前田の想い~アウトサイダー19

13/ⅩⅠ.(日)2011
今、日本の格闘技界はK-1やDREAMが地上波から消え、景気がいいのはUFC(世界最高峰と呼ばれるアメリカのメジャー団体)と地下格闘技だけ!、という「格闘・格差社会」と呼ばれている。
その地下格闘技の代表が、前田日明が不良達の更生のために主宰する「ジ・アウトサイダー」だ。アウトサイダーについては、何度かここでも紹介したので興味があったら、読んでみて下さい。
※ジ・アウトサイダー関連記事:2010年5月&10月「ジ・アウトサイダー」、2011年5月「5・8アウトサイダー横浜大会」。
今日は、横浜文化体育館で試合が行われるので、観戦に出向く。↓。

今大会の僕のお目当ては、「ロシア特殊部隊対抗戦」と「日系ブラジリアン柔術軍団対抗戦」である。
つまり、不良達がこれらと戦うのである。

全31試合の長丁場で、開始が午後3時で終わったのが午後9時で、観戦するのにも気合がいる。
最初の20試合位は、アウトサイダー同士の戦いで、彼らの肩書きは例えばこんな感じである。「○○地獄族 第何代総長」とか「○×会 初代総長」とか「大阪ギャング」とか。
面白かったのは、かつては刃物片手に登下校し、ムカついた車はひっくり返して燃やすなどをしていたという宮永という選手。相手の選手が契約体重より5kgオーバー(格闘技では、悪質な反則になるらしい、体重が5kg違うのは圧倒的な不利だから)していても、対戦を受け入れ、KOして勝った。
それから過去最多の乱闘回数を誇る黒石という選手が地元・横浜ということもあり絶大な人気があり、試合も面白かった。
それから、ザ・シバター・テイカーという(WWEのジ・アンダーテイカーのモノマネ)一見イロモノっぽい選手が試合でもモンゴリアン・チョップとか出しながらも最後は圧倒的なスキルで相手を仕留めた。前田もニコニコしていた。
そして、いよいよ僕のお目当ての対・ブラジル、対・ロシアだ。対抗戦の前には、全選手がリングに上がり国歌の斉唱が行われ、否応なしに雰囲気は盛り上がる。

日系ブラジリアン柔術軍団は、前田が直々に道場に赴いてスカウトしてきた選手だそうだ。しかし、そこはアウトサイダー軍が大和魂を見せつけ3勝0敗の結果となった。
しかし、ロシアの特殊部隊はそう簡単には行くまい。前大会にも登場し、圧倒的な強さだった。今大会では、パンクラスやZSTに出場経験のある実力者をぶつける。つまり、不良vsロシア軍ではなく、日本の格闘家vsロシア軍に近い。
1試合目のコンスタンティンは、パンチの当て勘も良く、1R56秒でKO勝ちした。前回に続き、2連勝だ。
2試合目のビターリは「技のマトリョーシカ」の異名があり、寝技の攻防の後、2Rラスト10秒で打撃のラッシュを掛けTKO勝ち。彼も2連勝だ。
対抗戦は、2勝0敗でロシア軍の圧勝。ちなみに、大将戦に出場する予定だった選手は交通事故に遭い来日できなかったのだと。残念。
僕は、1人で観戦に行ったのだが、僕の隣にはヤンキーの女子のグループが陣取っていた。知り合いが試合に出るので、応援に来たらしい。
僕は不思議と昔から不良少女との相性は良く、彼女らも1人観戦の僕を気の毒に思ったのか、不良ならではの情け深さか、缶ビールをくれたり、ポップコーンを食べろ、とすすめてくれた。
僕と彼女らは試合に熱中し、一息つくと、1人の女が「ところで、仕事、何してるの?」って聞いてきたから、色々ご馳走になった手前もあるから、<医者だよ>と答えると、皆で手を叩いて声を揃えて、「ウマイ!ウマイ!」って爆笑した。<ギャグじゃないんですけど>。
ま、いいか。
「人生をあきらめなかった奴には、必ずチャンスがあるのだ」。
挫折した若者達に、もう一度、敗者復活の舞台を作ってやりたい、それが前田日明の想いであった。
ある者はプロ格闘技家となり、ある者はアウトサイダーでの活躍により格闘技以外で自分の夢を叶えたという。
それぞれの若者が、アウトサイダーのリングに上がることで自信を持ち、己の生き様に誇りを持ち、堂々と社会へ巣立っていった。
しかし、その一方で、一度リングで敗者となった故に、二度とリングに戻って来ない若者もいるという。前田は、そんな彼らが残念でならないという。そして前田はこう言う。
「一度、男が決めたからには、せめて3年は歯を食いしばって頑張って欲しい。物事は、3年頑張らなければ結果はついて来ないのだ。あれこれ考える前に、とにかく3年頑張れと言いたい。頑張れば夢は必ず叶うのだ。決してあきらめないで欲しいと願う」と。
前田日明の発言だからこそ重みがある。そもそも前田は、新日本プロレスの若手レスラーだった頃、猪木の気まぐれで「ユニバーサル・プロレス」に飛ばされ、そこから戻って来いと命令が下るも、新日本には帰らず、社会現象とまでなった「UWF」に発展させた。しかしUWFも経営難から古巣・新日本プロレスにUターンするがセメントマッチ(真剣勝負)でクビになり、それからも色々ありながらRINGSを創り、自らが引退した後は、ヒョードルやノゲイラを発掘するも、新興勢力のPRIDEに人気選手を引き抜かれ、活動停止に追い込まれた。そして、ジ・アウトサイダーの旗揚げから、まもなく4年目になる。
来年、3月にはいよいよRINGSが再始動する。今日の大会に出場したメンバー達もRINGS出場を目指すのだろう。
そして新たな伝説を作って行くのだろう。
会場で、前田のフィギュアを買う。直筆サイン入り。自宅の部屋に飾る。↓。


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