リニューアル

診察室に新しく本棚を入れました。雰囲気がガラッと変わりましたよ。↓。

昔、読んだ庄司薫の『白鳥の歌なんか聞こえない』という小説の中で、主人公が知り合いの女の子の家に呼ばれ、
老人(もう死ぬ間際)の部屋に通され、そこに聳え立つ書棚と本に圧倒されるというシーンを、僕は強く印象に残っている。
僕の父は僕が大学2年の時に胃癌で死んで、当時、僕は東中野で自由に暮らしていたのだが、母が一人になってしまうとか、色々な理由で茅ヶ崎に帰った。茅ヶ崎から学校へ通うのは少し不便だったが、通えない距離ではなかった。
実家の庭には、父の書庫があり、それは小さな一軒屋くらいあるプレハブ小屋で、中には、『白鳥~』の老人のように、
天井に届かんばかりの本棚が図書館のように隣接して立ち、夥しい数の書籍が几帳面に本棚に並べられていた。
それは、医学書や短歌の歌集やら文学全集や何かの資料集だったりするのだが、手当たり次第に選んだ本のどれもに何らかの読んだ形跡があり、<こんな膨大な知識を持っても、死んでしまったら無になるのかな>などと思ったりしたものだ。
僕は、医学部の試験の勉強をこの書庫でした。書庫には、本棚だけではなく父が書き物をするための机と内線の電話がひかれていたから、携帯電話のない時代、テストの直前情報は家の電話で回ってきたので、試験勉強するには最適な環境だった。
僕は、背中に沢山の本に見守られ勉強をした。それはとても心強かった。文字通り、父がバックアップしてくれている感覚を抱いていた。
そして、それは僕に実力以上の物を引き出させた。僕はこれを良い体験として記憶していて、今回の本棚導入もそれに従った。
診察室に座られた方は判ると思うが、そんなに威圧感はないはず。ただ、目移りしちゃうかもね。他人の本棚って興味あるものね。診察がおろそかにならなければ近くに寄って、見ても良いですよ。
下は、5月の新刊マンガ、「氷菓」と「かんなぎ7」です。フィギュアケースの隣の本棚下にあります。↓。

「氷菓」は、今期のアニメでは一番、面白いのではないかしら?。「かんなぎ」と同じ、京都アニメーションの製作です。
つまり、「ハルヒ」や「けいおん」とも一緒です。↓。

「かんなぎ」は作者が病気療養で長期連載が中止されていたが、無事、復帰されてから初の単行本だ。
5月2日には、ブルーレイーのBOXも出る。丁度、今頃、新緑の季節感のある綺麗なポスターでしょう?。
これも診察室に貼ってあります。↓。


3 Replies to “リニューアル”

  1. 大学の一般教養の講義のときだったか、先生が『友達の家に行ったら、その人の本棚を見てみましょう。
    その人がどんな人かわかるはずです。』と言っていました。
    確かに本棚って、持ち主が見事に反映されるんですよねぇ(笑)。
    まあ、私の本棚はコンピューターや電子工学の本、鉄道の本ばかりで、いわゆる『オタク』を具現化したような
    本棚です。あ、精神医学や心理学のたぐいの本もありますけどね。
    一方、歴史や文学が好きな親父の本棚は、歴史小説や怪談などでいっぱいです。他界した祖母の本棚は、
    俳句をやっていたせいか、植物図鑑や鳥の図鑑がいっぱい詰まってたような。
    で、先生の本棚、先日診察の際に眺めてはみましたが・・・世界が広すぎて、むしろ先生がどんな人か、
    よくわからなくなりました・・・(笑)。

  2. 本棚、すごくいいですね。「親がバックアップしてくれている感覚」というのがわからないので、うらやましいです。アニメにはまったく興味がないんだけど、先生が面白いと言うなら、ちょっと様子を見てみようかな、と。

  3. 庄司薫お好きだったのですか。私も高校時代庄司薫にハマっておりました。でも奥様が、ピアニストの中村紘子と知ったとたん一気に熱が冷めました(笑)。

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