背後霊

12/ⅩⅠ.(木)2015 はれ
僕が精神科医になった理由は、予告ブログの番外編にあげてあるので、時期も良いので、近いうちにアップします。
今回は、精神科領域でも、何故、僕が精神分析や精神療法に興味を持つようになったのか、のお話です。
大学生の頃、母が、東北から神様がやって来るという噂を聞きつけて、2人で見物に行ったことがある。
川崎の方の、何かの新興宗教の道場みたいなところだった。
僕らは熱心な信者に混じって、罰当たりみたいに、ゆるく座って、神様の登場を待っていた。
リーダーみたいな男は、神様が現れる時には強い風が吹くからこの無風の道場の松の葉が大きく揺れる、と説明した。
僕は試しに、神様が鎮座する予定の場所まで歩いて行くと、無風の道場の松の葉が大きく揺れた。
信者達は、どよめいた。リーダーみたいな男は焦っていた。母は、よくぞやった、と大喜びした。
きっと、「係りの者」がボタンでも押し間違えたのだろう。
しかし、僕ら親子は、神様が登場する前に別室に移動を命じられた。
そこに神様が待機していた。
神様は予想に反して、普通の田舎のおばさんだった。
神様は困った顔をして、「お願いだから、帰ってくれまいか?」と田舎弁でお願いした。
母はブツブツ文句を言っていたが、僕はこのおばさんが急に不憫に思えて、母を説得し帰ることにした。
<まぁ、俺たちの勝ちだから、いいじゃん>みたいに言って。
そうしたら神様は良い人(?)で、「あなたの後ろには3人の背後霊がいる」と教えてくれた。
「その3人はあなたと同年代で、あなたのことを羨ましがっていて、力を貸してくれるから安心して良い」と言った。
僕には思い当たる3人がいた。
僕は比較的、珍しいと思うのだが、10代後半に同級生3人を亡くしている。
その3人のことかな、と一瞬、納得した。
でも良く考えたら、そのうち2人は医者を目指していたが、親友という程の仲でもなかったし、力を貸すとは信じれなかった。
おばさんは、テキトーなことを言って、僕らを言い包めて信じ込ませる作戦なのかなと疑った。
そんなことはどっちでも良いのだけれど、今日の本題である。
3人のうちの1人は、確かに僕のことを今でも応援してくれていると信じられる。
彼こそ、僕に精神分析やフロイトのことを教えてくれた張本人で、中高の時の同級生だった。
彼は博識で見た目は中原中也に少し似ていた。
英語とドイツ語が堪能だった。
僕は彼に借りたフロイトの文庫本を<わかんない>と言って突き返したら、彼はこんな風に言うのだった。
「それはわからないのではなくて、つまらなかったんだね。フロイトは日本語訳より原文の方が面白いんだけどな」って。
そして彼は、「川原君は、絶対、精神科医になるべきだ」と言い、フロイトの本を彼流に噛み砕いて放課後に教えてくれた。
僕はそこで防衛機制とかを知って、それは面白いと興味を持った。
高校の3年は理系と文系で授業が分かれるから、彼とは疎遠になって行った。
卒業後、しばらくして彼は死んだ。11月だった。家族だけの密葬だった。
しばらくして、僕は彼の家族に呼ばれて、彼の家に招かれた。
家族はどうしても僕と会いたかったそうだ。
ちょっと難しい問題なのだが、彼は僕のことが好きだったらしく、彼はいわゆる同性愛者だったらしい。
簡単に言えば、ホモだった。
性の嗜好は人それぞれだ。人にとやかく言われる筋合いはない。人に迷惑をかけなければね。
東京スポーツの風俗欄をみると、色んな性癖に合わせた性産業があり驚かされる。
最近の流行は、ぺチャパイ、みたいだ。巨乳ブームの反動か?
しかし、同性愛の風俗はあまりみかけない。平成27年でもだ。
だから、彼が死んだのはまだ昭和50年代だったから、色々と思い悩んでいたのかもしれないな。
思い悩んでいなかったら、ゴメン。
彼が僕を好きなことは勘付いていたが、まさかそんな背景があるとは知らなかった。
もしも、彼がそんなに若くして死んでしまうと判っていたら、1度くらい寝てあげても良かったのになと、マジで思う。
だからもし、お前が背後霊で、これを読んでいたなら、ちゃんと俺の手助けをしなさい。
BGM. ザ・ルースターズ「恋をしようよ」


12 Replies to “背後霊”

  1. 先生こんにちは
    最近まめに更新って何かあったんですか?(笑)
    先生の文章、僕は大好きです。
    長文でも読んでいて楽しいし、僕の頭の中には先生の声で入ってきます。
    きっと、格好つけずにストレートに文章をお書きになっているからでしょうね?
    朝夕はめっきり寒くなってきましたので、ご自愛くださいませ。

    1. TIさん、こんばんは。
      最近、更新しまくってるのは、ええじゃないか、の気分です。
      ところで、TIさんのハンドルネームで思い出したのですが、先日、「さくら学院」の父兄会に行きました。
      最前列のど真ん中というラッキーな席でした。
      「さくら学院」に「科学部」が復活し、そのパフォーマンスの中で、オーロラヴィジョンに「Mg3」という文字が見えました。
      元素記号みたいで、マグネシウム?、と思いましたが、正解は、「めぐみ」という生徒の紹介の語呂合わせでした。
      それをヒントに僕も、自分のことを、T22、と記名することにしました。
      Tが「た」で最初の2は「英語でツー」で二個目の2が「慣用数字の二」で、達二、の略です。
      T22、って、阪神タイガーズの田淵を連想する世代もいそうですね。年がバレますね(笑)
      記事、誉めてくれてありがとう。
      お互い、風邪などには気をつけましょうね。ではまた~

  2. 川原先生、こんにちは。おひさしぶりです。
    最近更新が多くて嬉しいです。
    よくぞやった、と喜ぶお母様、いいですね。
    うちは新興宗教などには不寛容だったので、
    親子で神様を見に行く、というのがなんだか新鮮です。
    風俗のことはよくわかりませんが、渋谷で同性に関する条例が通った今なら、
    彼はそこまで思い悩まなかったのでしょうか。
    本当のところ、それは彼でないとわからないですが。
    雨のせいかなんとはなしに体調が悪いのですが、明日の絵のワークショップを楽しみに
    今日はおとなしく養生をしています。
    季節の変わり目、ご自愛ください。

    1. yoruさん、こんにちは、おひさしぶりです。
      母は真面目な人なのですが、最近、思い出すのは「アナーキー」な所ばかりです。
      たとえば、音楽の教科書の全部の歌を替え歌にしたイタズラ書きを教師に注意され、母が呼び出されたこと。
      3者面談です。
      そこで授業をおろそかに僕の書いた作品群が発表されて行きます。
      「おお牧場は緑」の替え歌「おおパンツは黄色」の箇所で、母は思わず、「達二、面白いじゃない!」と大喜びして、
      教師を圧倒して我々は無罪放免されました。
      帰り道、母は「達二はユーモアのセンスがある」とご満悦でした。
      せっかく同性愛のこと真剣に考えてくれたのに、関係ない返信ですみません。
      今日も雨がシトシト降っています。
      お互い、風邪などひかないようにしましょうね。
      ではまた~

  3. 先生、こんばんは。
    金曜日の先生の言葉から暗示を受けたのか、そもそもそうなるべきだったのか、今朝は酷い夢で、ボロボロ泣きながら(泣いているのは現実)、自分の力が足りないのだと自覚しながらも一応反論してました。
    でも、泣くとスッキリしますね。
    ところで、同性愛の風俗ですが、「ハッテン場」というのは真剣に相手を探すところだと聞いた事があります。
    今は駅前再開発で閉店になった小さなライブハウス(2階でした)の上の階がそれだったのです。
    外階段を上って来る足音で、ライブの客か、上の階の客なのかわかる、とマスターが言ってました。
    さくら学院祭、科学部復活はネット上の友人が大喜びしてました。
    彼は5列目だったとのこと。最前列ど真ん中!すごいですね。
    志らくのシネマ落語良かったです。だるま食堂も、歌が上手いなぁと思いました。勿論面白いし。
    雨で嫌な天気ですが、何とか暮らしています。

    1. トモトモさん、こんばんは。
      泣く、と確かにスッキリしますね。
      涙には浄化作用があって、喜怒哀楽、すべての感情で出ますね。
      だから、とりあえず何の涙でも良いから泣いておくと良いみたいですよ。
      心が錯覚してスッキリさせてくれる(笑)
      だからここぞという時のために、自分の「泣ける鉄板」を持ってると良いですね。
      フランダースの犬、でも良いと思います。
      因みに、僕は「ジャイアント・ロボ」の最終回です。
      後は、ベタですが、芝浜、でしょうか。
      12/6は、志らくときゃりーちゃんとさくら学院がかぶってて、頭痛が痛いです。
      5/18問題以来の難題です。
      雨で嫌な天気ですが、やまない雨はない、と云うし、雨の後には虹が出る、と云うし。
      お互い、支え合って、何とか日々を暮らしましょう。
      ではまたね~

  4. 先生、おはようございます。
    泣きの鉄板ですか。
    私は一時、「紺屋高尾」でした。今は、鉄板どころではないので…(鉄板不要です)
    12月6日、鎌倉の志らく独演会の終演時間を問合せると、18時近くになるかもと言われました。同じ神奈川県だし、さくら学院の(本物のチケットは取りづらいようだし)映画館でのLVとハシゴしようかと思ったのですが、「芝浜」の余韻も味わうことなく走って行っても遅刻、ではあんまりなので、志らくだけにします。
    やまない雨はない、ですよね。
    SU-METALももうすぐ18歳。
    いつもありがとうございます。

    1. トモトモさん、こんにちは、まさかのお昼コメントです。
      そう言えば、すぅちゃん、12月で18歳ですね。
      去年のファンクラブのイベント、豊洲ピットまで雨の中、行きましたよ。
      あそこは床がフラットで、3人は小さいから、何も見えない誕生会でした。
      ただ、その場に居合わせたという存在証明。そのためだけの意味でした。
      僕くらいの年でアイドルの追っかけをしていると、
      「金ばかりむしり取られて、馬鹿なんじゃないか?」
      とは誰も言ってくれなくなっていて、放置。
      そんな中、「紺屋高尾」の花魁にも愛情があった、というロマンティックな解釈は、
      手前勝手ですが、僕の心の免罪符になるのです。
      志らく→さくら学院のビューイング、という荒業があるのですね~
      「余韻」をとるか、「別腹」と考えるか。
      取り敢えず、貴重な情報提供、ありがとう!
      ではまた~

  5. ストロング金剛デス。
    チョット「ペニスに死す」みたいですね。あっ!間違えた「ベニス」でした。すいません。
    自分も背後霊について考えてみましたが、全く思い当たりません。何事も自分の決断だと思っていても、後から考えると、何かわからない力に動かされていた様な気がしますが…それを自分の才能、能力により引っ張られたと考えるか、スピリチュアなものととらえるのかというとことでしょうか?
    まあ考えても分からない事ですので、畑中葉子の「後ろから前から」でも聴いて、考えずに感じてみることとします。
    それではオマタ〜

    1. ストロング金剛さん、こんばんは。
      僕は「後ろから前から」を浪人時代に映画館で観ましたよ。
      確か、関根恵子の「ラブレター」と一緒にやっていた気がします。違ってたら、ゴメン。
      ニスに死す」というマンガをエビスさんが初期に描いてましたよ。
      確か、「私はバカになりたい」という単行本に収録されていたはず。違ってたら、ゴメン。
      僕ら医者仲間は、科学を勉強しているから、実に謙虚で、科学では判明できない物の存在を信じています。
      だから、脳外科医や救命救急の医者ほど幽霊を信じてる気がします。違ってたら、ゴメン。
      それでは股~

  6. ユングとフロイト、いいですよね、・・・・・そんなに詳しくないけど。本は持ってますが・・・・
    今はある程度普通になってきた同性愛者、昔は壁が高かったでしょうね。
    その人はきっと先生の中の内面に惹かれた・・・・のかな?
    今となっては解りませんよね・・・
    でもきっと今、その人はこのブログを読んでるでしょうね!

    1. sinさん、こんばんは。
      いつもコメントありがとうね。
      その中でも、今回のコメントは特に暖かいメッセージを下さりましたね。
      そう思って、頑張りますね。ではまた~

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