磁場

9/Ⅰ.(土)2016 大平さん、ソロ・デビュー!
クリニックのコンセプトは、病院らしくなく、川原先生の家に行くように。
「徹子の部屋」とか「さんまのまんま」みたいに、お部屋でお話しをする。
教科書的な治療空間作り、というのが実はあって、
刺激の少ない白い壁、音楽はクラッシックかイージー・リスニング、絵も風景画など、
ま、判らない訳ではないが、
これが書かれたのは何十年も前のことで、その間に世の中は激変しているのに、
誰もそれを見直そうとしてないように思う。
或は、もはや、スタンダードというものが作れなくなってしまった時代なのかもしれない。
そうは言っても、カワクリも最初は、教科書的に作りはした。
ホームページのギャラリーの院内写真をみてもらえれば、開業当時は今と全然違うのが判ると思う。
ガランドウ。
しかし、直に僕は思ったのだ。
病院っぽさに抵抗を示す人は多いし、刺激が少ないって決め付けてるけど、
その「風景画」やその「クラッシック」の曲に嫌な思い出が有る人はいない、という保障だってない。
万人に共通する刺激の少ないもの、なんて存在しないだろう。
極論だが、どうせ何をしたって誰かしらに何かしらの「影響」があるなら、
いっそ、本当の川原先生の部屋を作って出迎えよう!、とある種、開き直りに近い、ひらめきと英断で、
僕の好きな物を飾る、今のスタイルになった。
これはほぼ毎日、何かしら変化がある。
僕が診察を終えてから夜中にかけて、ポスターの位置を変えたり、BGMを入れ替えたり、フィギュアを飾ったりしてる。
だから、僕はクリニックに朝の9時から深夜の2時くらいまでいる。
家には寝に帰るだけ。
以前、刑事さんがクリニックに訪れたことがあって、「ここはお住まいですか?」と聞かれたことがある。
刑事さんが勘違いした位の雰囲気を醸し出しているのは、それなりに実際に、ここにいる時間が長いからだと思う。
それが「徹子の部屋」や「さんまのまんま」のセットと違うところだ。
「場」が力を持ち、空間や空気感が本当っぽくなり、生気が宿る。
患者さんの反応はみてると真っ二つだ。
嫌な人は最初の時点でビックリして拒絶反応を隠し切れずに、診察を受けずに帰っちゃうし、
反対に「ここが落ち着く」と言ってくれる人もいる。
有り難いのは、そう言ってくれる人の多くが、決して、アニメやアイドルのファンだという訳ではなく、
そんなもの全然知らないお年寄りから、「ここは落ち着く」と言って貰える時が至福の時だ。
フダン着で来て下さい、フダン着で待ってます、は、クリニックのキャッチコピーで、フダン着は私服の時だ。
つまらない「しふく」のダジャレは見過ごして貰うことにして、
「ここが落ち着く」と言ってくれる人が増えると、
診察日以外にも、ふと立ち寄って休憩しに来てくれる人や、マンガの続きが気になったと読みに来たり、
勉強だけしに来る学生も出てくる。
僕は実はそれを見越して、設計の時点でカウンターテーブルを勉強しやすい高さに作ったのだ。
開業以前の病院で、外来の待ち時間に、暗がりで、膝の上にテキストブックを置き、テスト勉強をしてる子をみて、
それが印象に残っていたから、ここのクリニックを作る時に真っ先に考えたのが、
勉強に適した高さのテーブルだった。
それを受付スタッフが見守れる位置に配置した。
受付の応援してくれるまなざしを背中から感じるアイデアは、僕の過去のプラスの実体験によっている。
医師国家試験の追い込み時期、僕は毎日、近くのカフェテリアで1日勉強していて、
そこの女性店員は3人で、僕を見守っていてくれて、たまにお水を入れに来てくれて、声をかけてくれて、
随分と力になった。
だから、その恩返しみたいな気持ちがある。
こうなると、好循環で、患者さんからもプラスのエネルギーをフィードバックして貰えて、
するとこちら側の思いと患者さん側の思いが交叉して、力と力が作用して、磁場が生じる。
それがとても治療的な空間作りに貢献して、僕はその磁場の力の恩恵を受けて、そこに僕がいて、
そして他のスタッフがいる。
ここに来た時だけ、「ゴミを拾っておきました」とか「洗面所が濡れてたから拭いておきました」と言って、
家ではしないお手伝いをしてくれる人もいる。
今はそれがとても有り難い。
ひょっとしたら、パワースポットってこうやって作られるのかもしれないな、と思ったりする。
そういう善行と思いやりの連鎖が、カワクリの持ち味で真骨頂なのだと自慢したい。
だから、僕はそのためにも、こうして夜中まで残って、ブログを書く。
…って、ちょっと押し付けがましいですね。
今日、1月9日は、クリニックの開業記念日です。
スタートは、平成19年1月9日で、あの日も今日と同じ土曜日でした。
その記念すべき日に、新人の大平さんが、独り立ちデビューでした。
縁起が良いから、頑張って欲しいものです。皆さんも暖かく見守ってあげて下さいね。よろしくお願いします。
しかし、早いもので、カワクリは9周年です。山口百恵の活動期間が8年だから、抜いたな。
BGM. RCサクセション「去年の今頃」


18 Replies to “磁場”

  1. 夜カワクリの前を通るとき、まだ先生頑張っているんだといつも思いながら通り過ぎています。
    診察日以外の日も夜、明かりがついていて、先生、頑張っていて、無理しているんだなって通り過ぎています。でも、その行動の裏には先生のちゃんとした裏にがあるのですね。
    それでも先生の体が壊れてしまわないか心配です。
    無理をしないでくださいね。

    1. T。さん、こんばんは。
      コメントありがとうございます。
      明りがついているのを、みていて、知っていてくれる人が存在するのを知って有り難いです。
      そんな思いやりが、今回の記事の言わんとしてる意味ですから、ありがとう。
      適当に頑張ります。

  2. 先生、こんばんは。
    先生の記事にコメントするのは初めてで、少し緊張しています。
    私はここに来るまでは、「病院」と言えば、白い壁にクラシックやオルゴールのBGM…と思っていました。だから、初めてここに来た時は驚きました。受付にはアニメのフィギュア、天井にはポスター、ウォーターサーバーに貼ってあるなぞなぞ、メジャーなマンガからマイナーなマンガ、アニメのBGM…などなど、今まで抱いていた病院像が覆されました。
    しかし、何回か通院すると、次第にクリニックの雰囲気に慣れていきました。毎週行く事に変わっているクリニックを見るのがとても楽しみになりました。
    そして、何よりも、受付の方々と患者さんが会話をする事が他の病院とは違う点だと感じました。帰り際や待ち時間にアニメ等の話が出来た時には、一気に親近感がわいた気がしました。いつもいつも、ありがとうございます。
    私はこのクリニックに出会えて本当に良かったと思っています。もっと早くに出会って居たかったと思う程です。
    9周年おめでとうございます。9年目がこのクリニックに携わっている人全員にとって、更により良い年になりますように。

    1. Moonさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます。
      Moonさんが何回か通院するうちにクリニックに対して抱くイメージの変化がとても上手に描写された文章で感心しました。
      我々の診療科は、内科や外科と違って、診断や治療に使える「武器」が少ないのです。
      ですから、それを補うために、スタッフ個々人のパーソナリティーを使うしかないと思うのです。
      受付のスタッフを採用する際の基準は、経験ではなくて、人柄です。
      各々の個性が、磁場の中で活かされるのが願いです。
      そして、Moonさんが書いてくれたコメントの最後の1行こそが、僕が言わんとしてる磁場を作る構成要素だと思うのです。
      どうもありがとう。またコメントして下さいね。

  3. 子供のころから病院通いが当たり前だったので、待ち時間が自分の人生の時間のかなりのウェイトを占め(waitだけに)ある地点までは苦痛だったのですが、そもそも病気にならない人なんていないし、これも人生の一部かな、なんて思い始めてからは勉強とか自分のための時間にするようにしました(とはいえ2時間超えてくるとつらくなりますけれども)。
    日によって違うのですが、たまにはクラシックがいいなとか、ああどこを見ても情報が入ってきて落ち着かないなとか、足痛いから伸ばそうと思ったらバルタン星人が何回も倒れてくるという←これはちょっと面白かった、と思うときもあったのですが、不思議なもので、先生のおかげで情報を遮断する能力が身に付きました。
    先日常にイヤホンとかヘッドホンつけている人が多いので、若い人に理由を聞いてみたのですが、もちろん音楽が好きなのもあるし、ナンパがうっとおしいとか、いくつかあるようなんですが、爆笑したのが、一人でホームに立っていると寂しいからというものです。何が言いたいかというと、別にイヤホンつけなくても自分の好きな曲を流すことができるように、いつの間にかなっていましたということです。どうもありがとうございます。

    1. テイラーは仕立て屋さん・さん、こんばんは。
      ユニークなコメントありがとうございます。
      ダジャレとか、バルタン星人の件とか面白い方ですね。
      そういう持ち味を大いに発揮すると魅力的だと思いました。
      またコメント下さいね~

  4. 先生、おはようございます。
    百恵ちゃんの活動期間を抜いたとは!おめでとうございます。
    一年前のブログのコメント欄では、ビートルズを抜いた!と書いていらっしゃいますね。
    来年は10周年で、キリが良くておめでたいですが…先生、その前に「早死に」なさらぬよう、そんなに長時間働くのはどうにかならないものでしょうか?具体的な時間を見ると、本当に心配になりますよ。
    カワクリの空間、特にカウンター席が大好きです。
    一番最初に座った席だから、なじみがあるのかもしれません。
    天皇崩御の新聞記事は、カウンターがいっぱいで、窓側の椅子に座った時に発見しました。

    1. トモトモさん、こんばんは。
      去年は、ビートルズって書きましたっけ(笑)
      心配かけてすみません、ありがとうございます。
      ちゃんと休みの日は息抜きをしています。
      昨日は、よみうりホールに談春を観に行って来ました。「明烏」と「子別れ・下」です。
      天皇の新聞は、カウンターがいっぱいの時に見つけたのですか。
      そんなモチベーションで、よく見つけましたね。
      これなら、「ごはんはおかず」もノー・ヒントで行けるかしら?

  5. 川原先生 こんにちは
    そして、遅くなりましたが9周年記念おめでとうございます!
    わたし、カウンターの高さ
    実は凄く気になってました。本を読む時に丁度良いんですよ。
    腕の角度とかも辛くなくて。
    素晴らしいです。
    初めから考えられていた設計だなんで!
    患者に優しいのは、先生だけじゃなくて
    クリニック全体なんですね。
    わたしも、お手洗いに行った時は、ペーパーを三角にしたり、洗面台の周りやガラスを拭きます。
    これには、私流のやり方と言うか 信じる気持ちがあって
    綺麗な状態のお手洗いを使ったら、次の人も綺麗に使ってくれる気がするので、毎回やっています。
    自分自身も気持ちがいいですしね。
    話が変わってしまいますが、相方が腰を痛めてちょっと辛そうなので、今日はわたしが普段迷惑を掛けてる分
    がんばります!
    では、また診察の日に

    1. 猫と肉球さん、こんばんは。
      カウンターのことを誉めてくれてありがとうございます。
      それから、洗面所も色々やってくれてたのですね。
      ありがとう。
      何もアピールせずに黙ってやっていてくれてたのですね。
      そういうお気持ちにカワクリは支えられているということを、今日の記事で伝えたかったのです。
      そう言えば、猫と肉球さんのブログ記事も誰かの役に立つと良いですね。
      なかなか、ここまで書いてくれている本とかないから。
      ではまた~

  6. こんばんわ!
    開業記念日、おめでとうございます。
    そろそろかなと感じていましたが
    また新しい1年もかわらず笑顔で
    元気に出迎えてくださる先生に
    会うのが楽しみです。

    1. コマさん、こんばんは。
      ふんわりと開業記念日、覚えてくれていたのですね。
      ありがとう。
      今年の1年は、充実したハッピーな年にしましょうね!
      ではまたコメントして下さいね~

  7. おはようございます。 そして 9周年(with upper Momoe) オメデトウございます。   さて。
     磁場にゃん。     ・・・すみません。 どなたもおっしゃらないので我慢できなくて、つい。 ごめんなさい。
    ほんの お詫びのしるしに。 ワタシは喫煙スペースを担当させて戴きましょう。
    ・・・あ。 でも 担当は少し荷が重いので、当番程度でお願いします。 そして たまに忘れるのが当番の基本形です。 正しい当番を目指して頑張りたいと・・・ 少しだけ頑張りたいと思います。
    場のコンセプトのお話。 大変に興味深く読ませて戴きました。
    そして通院初期の頃。 院内の様子から受けた印象を、今さらながらに振り返ると。   ・・・はっはっは(笑
    ところで。
    いつも思うのだけれど。 周年って一体何なのでしょうね。
    そんな風に考えていると 2時間くらいの待ち時間は割りと すぐ経っちゃいます。   ・・・なんちゃって。
    P.S. ラックにある(あった) 『しあわせな王子』 は2回ほど完読しました。
     そして不覚にも 2回とも涙しました。 うぅぅむ・・・(汗

    1. 散文気分さん、こんばんは。
      9周年(百恵越え)のお祝いメッセージ、ありがとうございます。
      実は、「磁場」の第2案も当初は考えていたのです。「磁場2案(じばにゃん)」って。
      でも、先を越されたのでやめておきます(笑)
      いつも凝ったコメントありがとうございます。またコメント下さいね。
      PS.あれは泣きますよね~

  8. ストロング金剛デス
    自分のオフィスを思うがままにコーディネートできるのは羨ましいかぎりですね。
    自分は、以前の職場で個室を持っていましたが、左遷後はヒラ部長なので雑居部屋に格下げです。
    始めはかなりショックでしたが慣れるもんですね。
    故ブルースリー先生の教えのように、自分は常に水のようになりたいと思っていましたから、形のある物を創るのは良いのですが、維持管理していくのは苦手です。クリニックの維持は大変なことと思います。9周年おめでとうございます。
    自分は、今年は足掛け2日大進撃でパンツのゴムを叩けるよう努力精進するつもりです。
    それではオマタ〜

    1. ストロング金剛さん、こんばんは。
      人生は色々ですね。
      しかし、ブルースリーの後が、せんみつ、とは(笑)
      これ、多分、読者のほとんどが意味わからないと思いますよ。
      僕も今、言われて思い出したくらいだから。
      でも、懐かしいですね~
      では股。

  9. カワクリ9周年おめでとうございます!
    今年が終わると10年ですね、感覚的にはもっと長いと思ってました。
    クリニックの雰囲気は私もすきですが、確かにアニメとか興味ない年配の方が落ち着くと言って下さるのがいいですね!

    1. sinさん、カワクリ9周年、ありがとうございます。
      これからもよろしくお願いします。
      一緒に、お年寄りに、アニメを布教して行きましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です