談志生誕80周年、パート1

2016年は立川談志生誕80周年で、「談志まつり」を1000人以上入る、よみうりホールで、
命日の11/21(昼の部と夜の部)とその前日の11/20の計3公演が行われた。
チケットをさばくためでしょうね、志の輔・談春・志らくは、別の会に配置されました。
多くの客は、この3人の誰かを目当てですから。
ところが、この3人より年功序列的では、上の人が立川流にはいるので、3人とも、高座に上がる順番は前半の最後。
中入りをはさんで、座談会に参加して、あとを年長者に任せるかたちでした。
11/20の演目。↓。

11/21AMの演目。↓。

11/21PMも演目。↓。

会場では、「談志の遺言」という新刊が販売されていました。
娘の弓子さんがいたのでサインを頼むと、それは謙虚に、「私でいいの?」と聞いて、
「人生成り行き、立川談志byゆみこ」と書いてくれました。
クリニックにも1冊買って来たので、見てみて下さい。↓。


ここからは3公演のまくらやトークショーで、談志について語られた面白ネタを拾って紹介しましょう。
・平林
談志は物を知らなくても「バカ」とは言わなかったそうで、「興味の対象が違うんだな」って言ったそうです。
談志に言わせると、「状況判断、出来ない奴がバカ」。
ある日、電車の中で女子高生が携帯電話で喋ってるのを見つけた談志は「やめな、やめな」って注意をして、
次に、今度は、一見して怖そうな人が電車の中で携帯電話で喋ってるのを見つけると、「あれはよしとこう」。
これが状況判断が出来るってこと。
・志雲
談志と言えば、色紙。有名なのは、「人生成り行き」、「食い物を粗末にするな」、「勝手に生きるべし」etc.
志雲は談志に色紙を貰ったことがあり、そこに書かれてたのは、「弟子はみんな馬鹿」。
・談春
前3人の演目が、あまり談志の持ちネタではないとチクリと言い、
「談志しかやらなかった落語担当」と自称して、「慶安太平記」の途中の良い所だけを少しやった。
テレビなどで手抜きする時の、談志に似てると思った。
・生志
自分の会に談志が出て、客が「つまんないぞ~」って言ったら、談志<どこに面白いって書いてある?>。
他の客が、「談志、頑張れ~」って言ったら、<俺が頑張ってないと思ってるのか?>ってすごんだって。
・談之助
談志は、落語の料金は、「あまりとるものじゃない」と言っていたが、
名古屋で「木久蔵・歌丸二人会」のポスターがあって、5000円、それをみて、
「こいつらと同じ木戸銭かっ!」って激怒して、「1円でもいいから高くしろ!」って5001円にしたと。
衆院選立候補の時、銀座の歩行者天国で、笑点メンバーを引き連れ、ワーワー、受けたが選挙には落ちた。
談志は東京八区から出馬したが、日曜に歩行者天国に来てたのは、田舎者だけだった。
・談吉
談志の鞄持ちで、ビストロSMAP、に行った。
談志は、キムタクの分厚いステーキを一口食べて、「もういい。焼いただけだろ?」。
草ナギ&香取の海鮮スープは、「旨い旨い、コクがある」ってパクパク食べて、収録が終わると、
「談吉、タッパー、持って来い」って、キムタクの料理だけ持って帰った。
談志は肉が好き。それも高い肉が好き。
・キウイ
生前、談志に「キウイ、真打になっていい。落語もやっていい。ただし、人前でやるんじゃねぇぞ」。
そんなキウイが、「大師匠に稽古をつけて貰いました」。談志、「誰だ?」。
キウイ、「橘家圓蔵、師匠です!」。談志、「キウイ、お前な、うまくなる気ないだろ?」。
※橘家円蔵とは、月の家圓鏡、のこと。
・談慶
談志の死を知らされたのは、11/23。
翌日、長野で落語会。企画してくれた人は大の談志ファン。
落語の前に一言言わせて下さいと、
「談志師匠が亡くなった悲しみを乗り越えて行きましょう。それでは1分間の黙祷。
…。なおり。それでは、明るい落語をどうぞ」
黙祷の後の落語はやりにくい。
談志に、「談慶って誰だ?Cコースか?」って言われたエピソードがある。
談志の手術が成功して、喋れない時は、筆談。
談志、「まい泉のカツサンドはあるか?」。
あわてて、「あります。大丈夫です。冷凍保存してあります」と書いたら、
談志、「ばかやろ、俺は耳は聞こえる」。
・談笑
喫茶店でふと耳にした女性二人の会話。昼間から男女の営みの格好の話をしていた。
聞こえてくる話では、「やりたい」って本人が言ってるらしいが、その人はかなり高齢なのに、
難しい、誰もやったことがないような格好を要求するらしい。
話し相手の女は、「やらしてあげなよ~」、昼間から若い女が二人で「やらしてあげたい」って、
よく聞くと、「天皇の生前退位」の話だったって。
退位、と、体位。
談志と関係ないが、バカバカしいから載せてみた。
・志らく
談志の独演会、イリュージョン落語が受けなかった。
談志、「帰れない、志らく、タクシー代出すから、送ってけ」。
車の中でも、「なんでウケないんだろう~~」。
家に着いて、「受けなかったの?パパ、可哀想~」って、見ちゃいけないものを見たようで、
タクシー代もらって帰ろうとして、談志、「タクシー代、いくらだ?」。1万円くらいです。
すると、財布から5千円出して、「ケッ!お前に5千円とられるのか。屈辱」と。
・松元ヒロ
永六輔と談志は仲が悪かったと言われるが、それは演じてただけだと。その方が面白いから、と。
だから、談志が立川流を立ち上げても、志の輔くらいしか受けなかった時、
永六輔が談志に、「自分が入って盛り上げようか」と申し出て、
そうしたら談志が、「永ちゃん、落語の方は小沢の昭ちゃんがやったりして、それなりに盛り上がってるから、
講談の方をやってよ」と言ったという。
永六輔と天皇は同学年で、永六輔が死んだ2-3日後に、天皇が「生前退位」を発表したとか。
談志の好きな松元ヒロのネタは、「天皇家民営化計画」。これはMXTVでもやったが、カットされたという。
・里う馬
これを受けて、「戦前なら憲兵に引っ張られて、聞いてる皆さんも同罪です」。
下は、佳子さまの写真集。良い時代だ。↓。

・談志は、弟子が自分のことをネタにすることについて、
「せっかく、立川談志、という良い素材があるんだから、うまくやれ」と言っていた。
以下の2つは、おそらく同じエピソードの扱いだろう。どちらが好きですか?
①朝のワイドショー生放送に談志が呼ばれた。カルガモ親子のお引越し。
司会が、「談志師匠、どう思います?」
談志、「言っていいのかね?」
賢い司会者はやめる。
それが、司会、「どうぞ」。
談志、「こんなもの殺せ!」。
全国から苦情が殺到。そのプロデューサーが、お引越しになった。
②談志がコメンテーターの時は、40代の頃で、田丸みすず、さんがワイドショーで、カルガモ親子のニュースで、
「談志さん、どうですか?」。談志、「俺に振るな」。
田丸、「いいえ、どうぞ」。
談志、「腹の減った猫を放せ!」。
動物愛護団体からクレームが来た。
↑処理の仕方でこんなに違う料理になるのかと思います。どちらが好みでしょう?
①は、生志。②は、志らく。
僕は、②の志らく、の方が好きです。やはり、立川談志を調理させたら、志らくの右に出るシェフはいないと思います。
ま、個人の好みの問題ですからね。
※落語やライブのレビューはすぐ書かないと、この記事も8ヶ月経ってるから、大変だった。
しょこたんの30才のバースディライブは、もう2年前だからなぁ…。書くけど。
BGM. サディスティック・ミカ・バンド「ダンス・ハ・スンダ」


14 Replies to “談志生誕80周年、パート1”

  1. 先生、おはようございます。有言実行ですね。
    パート2に続いてパート1!記憶だけでここまで書けるなんて、すごいです。私はおもしろかったら、休憩時間や帰りの電車でさらっとメモし、後で感想文書いています。
    この会は21日の昼、夜に行きました。初めてナマで志の輔聴いて、さすが!と思いました。次の雲水は「立川流の最底辺と最高峰に挟まれて上がります。」と言ってました。この方、手堅くて割と好きです。キウイが「芸の足りない分、体張ってます」とホールの2階席部分を一周してましたね。
    志らくが ♪ のんきなブーちゃん♪を歌ってました。落語のリズムがダントツに良かった。ヒロさんは辛辣で面白いけど、あの日は後半「永六輔追悼」の話題になってました。次の里う馬の憲兵発言はすっかり忘れてました。
    しょこたんバースデイライブも、気長にお待ちしております。

    1. トモトモさん、談志まつり、の足りない部分の補完ありがとう!
      そうそう、キウイと志の輔にはさまれた、雲水はそんなこと言ってましたね(笑)
      上方落語の人ですね。
      キウイが寄席を走り回る姿をみて、僕は<お前は、みずほ、か>と思ったものです。
      しかし、不思議なもので、志の輔の発言が何も思い出せなかったのです。
      「富山出身。新幹線が出来て便利になった。だから、みどりの窓口、をやります」、くらいです。
      左談次と談四楼は覚えてるけど、大して面白くなかったから書きませんでした。

  2.  さすがに巨匠や、笑いのプロの人達の話に、
    自分の拙い駄洒落はジョークを書く気にはなれませんが、
    (これがいわゆる、気後れと言うやつでして…)(苦笑)
    記事を読んでいて改めて、笑いや、機智、機転、と言うのは、
    時に、彼岸(三途の川だったり)、
    向こう側へ渡らずに済んだりもする分岐点、、、
    「誰そ彼」「彼は誰」時、
    (記録的な興行となった「君の名は。」から)
    に、そんな瞬間に、ハッと我に返らせてもくれる、
    侮れない、ものだと思いました。
    地域によって7月だったり、8月だったりしますが、
    夏はちょうどそんな「お盆」の時期でもあり、
    そんな連想になったのかも知れません。
    「彼岸」と「誰そ彼」「彼は誰」は
    類語かとおもいますが、さすがに
    「うんこ漢字ドリル」には載っていないと思います。
    そして、読んでいていつの間にか、何故か?目頭が熱くなったりもしたのですが、
    落語に「人情噺」がある理由が、改めて自分の中でわかった様な気がしました。

    1. ボクシングファンさん、こんばんは。
      興味深いコメントでした。
      談志は、「現代落語論」で、人間の業の肯定、を落語のアイデンティティーと定義しました。
      眠たきゃ寝ちゃうし、呑んではいけなにのに呑む。
      これだけはやってはいけないということをやってしまうのが人間、という訳です。
      落語は、常識に対する非常識を語っていました。
      ところが現代はどこまでが常識で非常識かが分からなくなり、この対立図式が成立しなくなりました。
      そこで、落語もアイデンティティーの危機を迎えました。
      談志がそこで次に提唱したのが、常識にも非常識にも入らないわけのわからないことをやる。
      それがイリュージョン落語です。
      しかし、これは弟子にもなかなか理解できない者もいたそうです。
      談志は、その時、芸を左右するのは、演者のパーソナリティー以外の何物でもない、と言っていました。
      僕はこれを精神科医療の現代における役割と似てるなと思います。
      精神科では、中間領域、という考え方があります。
      クリニックのHPの「クリニック紹介」にあります。
      良かったらみて下さいね。ではまた~

  3. 先生今晩は。
    談志って随分白黒はっきり
    しているというか
    ズバズバはっきり意見を言う
    方なのですね。
    自分も似たような所も有り
    勉強になります。
    ここまではっきりしていると
    気持ちがスッキリするのは
    気のせいでしょうか。
    トモトモさんの影響を受け
    談志のCDを購入しました。
    一度ゆっくり聞いて見ようと思います。
    あーしかし機嫌が良くなって良かった。
    今精神的に楽です。
    何かあったのかな?
    では、土日思いっきり遊びまーす!
    BGM.福山雅治 『Dear』

    1. kinomoto sakuraさん、こんばんは。
      談志の「落語とは人間の業の肯定」は、kinomoto sakuraさんにしっくり来ると思いますよ。
      しかし、トモトモさんの影響で、ってすごいですね!十中八九の磁場の力!!
      女は男にとって「ケーニッヒスベルクの橋」のように永遠に解けない問題のような気がします。
      「笑点」では、福山雅治、と言えば、三遊亭小遊三です。ではまた~

  4. 先生にコメントの返信を頂いたことで、気付きがありました。
    以前、結構前なのですが、
    「自分は志ん朝が好きなんです。」
    と言ったら先生が少し笑いながら、
    「談志のライバルだね、でも面白いのは、どちらかと言えば談志の方が志ん生に近いんだよな。」
    と言う様なことを言われたのですが、その時はなんとなく漠然と、そうだな、と思ったのが、
    時間を経て急にその輪郭がよりクッキリして来ました。
    実は前回のコメントの中で、「彼岸」と言うワードを使う時に、
    ネットでさらっと「ニーチェ」のことをさらったのですが、
    (嘗てもそれほど掘り下げていたわけではないのですが…(苦笑))
    久し振りにそんなことをしてみると、「ニーチェ」はもうアーカイブされており、
    単にもう「古い」とされ、古き良き時代の話である、と。
    現代人から生きる生々しさが決して失われた訳ではないので、
    形を変えてそれに向き合う何か?が求められたり、問われたり
    しているのでしょうが、、、
    「落語」と言う括り?分野?仕事、の中で、その様な問題、課題に
    向き合おうとしたのが、「談志」なのかな、と。
    理不尽な面も含めて、そんな談志の生き様に人情噺にも通じる、
    何かこみ上げるものがあったのですが、
    談志は「人情噺」は「業の克服」であるとして、アプローチをしなかった、と。
    正直、この「業の克服」は自分には解釈が難しく別の表現が必要なのですが、
    「「子別れ」は現代では成立しない」と言う談志のインタビュー記事を見た時に、
    なんとなく納得出来ました。
    現代人も、「聲の形」や「君の名は。」(真知子巻きで無い方)
    を観て涙を流すし、決して「人情の機微」がないわけではないのは当然で、
    ただ、「機微」の形が違う。
    三遊亭圓生が人情噺をレコードに吹き込んでいた時代は、まだ、
    「子別れ」がリアリティさを持っていたのだとおもいます。
    先生がリンクしてくださった、「クリニック紹介」を早速拝見しました。
    以前、一度は見た筈なのですが、改めて見た今回は、やはりその輪郭が
    自分なりにクッキリとした部分がありました。
    自分自分の「中間領域」を振り返ってみると、よくありがちなのですが、
    発症の時に「理想と現実」の「中間領域」がやられて、
    ニヒリズムに陥り末人となり、
    その状態で夢想した「ルサンチマン」に依るカタルシスを期待したのですが、
    これもダメでさらにニヒリズムが強化し、より末人となり、
    紆余曲折を経て、お陰様で今は「回復期」にある自分は、
    今はその「中間領域」で「超人」になろうとして様々工夫している様な気がしますが、、、
    でも、現代ではやはり「超人」は大袈裟で、
    でも、その「超人」と言うワードを使うことに忠実であろうとしたのが、「志ん朝」で、
    「超人?んなもの、超人バロム・1だってもう古いじゃねぇか」
    と、表現しようとしたのが、「談志」なのかぁ、と勝手に解釈しました、すみません。
    長文、失礼しました。

    1. ボクシングファンさん、こんばんは。
      またまた興味深いコメントありがとう。
      談志は落語と格闘してた人で、「人間の業の肯定」→「イリュージョン」の後に、死ぬ間際は、
      「(落語は聴いてると)江戸の風が吹く」と言っていて、その変遷にも注目です。
      一方、志ん朝は、<落語の良い所は?>に、「タヌキやキツネが出るところ~ん」ですからね(笑)
      円楽(先代)に至っては、「私が嫌いなのは、差別と黒人だ!」ですよ。
      一人真面目に答えてる談志がバカみたいじゃないですか(笑)
      子別れ、というと、志らくのまくらで、「♪今日で子別れね~もう~会えない~♪という菅原洋一の歌が思い出されますね」
      と言うのが好きです。
      クリニック紹介(中間領域)みてくれてありがとう。また語りましょう!

  5. 先生、こんにちは。
    私も志の輔のマクラはボソボソ喋る人なんだなぁ、と思いました。「みどりの窓口」自体はおもしろかったです。
    昨日初めて、午後の仕事の同僚とアイドルの話をしました。勤務中はそんな暇はないのですが、私は退勤カードタッチ後で、相手(30代男性)は事務所スペースで休憩中で。キッカケは私が着ていたベビメタTシャツです。彼はBABYMETALが有名になって名前くらいは知ってるようでした。つい、さくら学院重音部の話から、異性である「少年」ではなく少女アイドルが好きだけど、誰でも良い訳ではなく、さくら学院とベルハーが好きというあたりまで、ベラベラ喋りました。喋り過ぎてすみませんと言うと、この職場は何かにそういう熱量持ってる人が多いから大丈夫ですよ、とこたえてくれました。
    フライングですが、先生、お誕生日おめでとうございます!

    1. トモトモさん、こんばんは。
      みどりの窓口、は志の輔のブラックな面がみれて面白いですね。
      でも、本当に「みどりの窓口」(面白かった!)以外は全然印象ないですね。
      まるで気配を消してたみたい。
      職場でのオタク話が出来るのは、うちのイズムと一緒で、同志みたいですね。
      フライング・バースディ祝いありがとうございます!
      しょこたんのバースディライブのレビューは誕生日に書く予定です。
      ではまた~

  6. 最後の問の答えは私も②ですね。
    談志さんの事ははっきり言ってほとんどしりませんが、随分はっきり言う人ですね。
    でもよく解らないのはキムタクのステーキは焼いただけだろって言って持って帰るんですね。
    それはキムタクのが一番美味かったって事ですか?

  7. ②ですね。
    それで談志はケチなんですか?
    それとも本当に美味かったんですか?
    どっちだと思います?
    ケチなだけなら持って帰らないですよねぇ

    1. sinさん、こんにちは。
      いつもコメントありがとうございます!
      談志は、腐ったものから食べて行くほど、食べ物を粗末にしません。
      ケチの度を越して、どうやったらビニールが食べれるか?、って考えるような人です。

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