ライバルは………いね~よ。

17/ⅩⅡ.(火)2019 明日はまた暑いらしい、寒暖差にいじめられる毎日。大家さん、亡くなる。合掌。

談志のジョークにこんなのがある。男がいつも決まって2杯、酒を注文するのを不思議に思ったバーテンダーが「失礼ですが…」と声をかけると、男は、「はい。私の遠くにいる友人と語り合う気分で2つ頼んでるのです。いえ、ちゃんと生きてます。遠くにいるだけで」。ある日、男が1杯しか酒を頼まない。バーテンダーが心配して、「ご友人に何か?」、それに対し男、「いやいや、僕が禁酒しただけで」。

僕はこれを気取って必ず、飲み屋では酒を2杯注文する。一々、お替りするのが面倒くさいというのもある。いつかこんな気の利いたジョークでも言える日言える店がないかと思ってる。

僕の友人の、マサキは僕と同期で同じ精神科の開業医なのだが、ライバルではない。僕が開業直前まで勤めていた病院で彼は副院長、僕はヒラだったから。

こないだの記事「シラノ」が自分としては良い出来だったので、マサキに自慢しようと記事のURLをメールで送ったら、「今、医局の忘年会」だと返信。えっ?そんなのあったの?聞いてないよ。

医局の忘年会では、酒が入る前に、集団会という研究発表会がある。そこでは優秀な演題に賞を授けている。初代教授と2代目教授の名前を冠した賞である。仮に、初代の名前が「ポンポコピー」で2代目が「ポンポコナー」なら、「ポンポコピー賞」と「ポンポコナー賞」である。マサキはその日、自分のクリニックで立ち上げた「発達障害のショートケア・プログラムの意義」みたいなものを演題として発表して、なんと!「ポンポコピー賞」と「ポンポコナー賞」を「W受賞」したそうな。僕が「シラノ・ド・ベルジュラック」というお遊びをブログで発表してる頃に、それである。ライバルに価しませんね。

マサキは僕の酒を心配していて、しきりと禁酒しろ、と言います。「そうしたら、うつ、も治る」って。

僕が20才の頃に好きだった女の子の1人に、アイスクリーム、という子がいた。彼女は大学の同級生で、だからマサキも知っている。僕は学園祭では大酒くらって暴れてるグループで、マサキはそれを冷ややかにみてるグループで、アイスクリームは「川原君!お酒に飲まれちゃダメよ!」と叱る係り。僕はアイスクリームには弱いから、すぐ大人しくなっていた。

そんなアイスクリームが死んだらしい。マサキから聞いた。マサキはもっと前から知っていたが、僕が落ち込むんじゃないかと気にして告知しなかったらしい。それから人づてに色々聞いたら、どうやらアイスクリームの死因は、アル中だったらしい。

バカだなぁ、アイスクリーム。酒で死ぬなんて。よく知らないけど、きっと1人で呑んでたんでしょう?俺を誘えば良かったのに。2人で呑んでりゃ、何か喋るから、口は一つしかないのだから、飲む量が必然的に減ったのに。立川談志が言ってたけど、「酒とは本来、呑まれるもので、それで反省する。つまり酒とは反省するために呑むものなんだ」って。俺たち、大学を出て、国試受かったら、無条件に「先生」だもんな。天狗になっちゃうからな、時々、酒呑んで失敗して反省しなきゃ傲慢になっちゃうからね。しょうがなかったんだろうな。

なのに、マサキの馬鹿は、俺に「酒をやめろ」という。アイスクリームが1人で死んだのに、俺だけやめる訳にはいかない。俺は、「くもの糸」のカンダタじゃない。マサキめ、せいぜい、「ポンポコピー賞」と「ポンポコナー賞」の「W受賞」にでも酔ってな。俺は酒で酔う。

BGM.河島英五 「酒と泪と男と女」


9 Replies to “ライバルは………いね~よ。”

  1. 川原です。
    初代教授「ポンポコピー」の教授室には、デューラーの「メランコリア」の版画がありました。
    僕は引退した教授に手紙を書き、それとなく、版画をゆずってくれ、みたいなことを書いたら、
    「これは自分が主任教授になった時に、恩師からいただいたもの」と説明し、代わりにカラーコピーをして送って下さった。

    2代目「ポンポコナー」教授の行き着けの店が、こないだ閉店した奥沢の寿司屋「入船」。
    僕は入船から、懸賞旗や、「ポンポコナー」教授の呑み残しの高級ウヰスキーをくすねて来た。

    真の「ポンポコピー賞」と「ポンポコナー賞」をもらったのは俺だとは言えないだろうか?言えないか。失礼しました。
    マサキ、おめでとう。

  2. おはようございます。 妙に寒くない朝です。
    大家さんとは誰なのか?と、たどっていたら。 どこかで間違えたのかカラテカの話題に漂着、しかも読みふけっていました。 もぅこんな時刻。

    さて。 私の周囲にも酒で他界した人がいまして。
    一番身近なのが母です。 その葬儀には新旧・近遠様々に大勢の方々から弔問を受け、遺族一同びっくりしておりました。 なので。

    そのような葬儀を取り仕切るのがワリに大変だったことが、少しぐらいは伝わりましたでしょうか。 葬式躁病のことは随分あとで知りましたが。 いまだに亡くなった母に対しては涙を流していません。

    ところで。 マサキといえば、私の場合には別れた妻の上の弟君(三姉弟)の名前ですな。 家族内での呼称はマー君でしたから、彼のことを『マサキ君』呼ばわりしていたのは私一人でした。 就職してすぐ中古のMR-2とか乗り出して、一度だけ助手席に乗っけて貰いました。 唯一のミッドシップ体験ですか。

    いやはや。 どうも現在から先へのお話には、なりづらいようです。
    そんな性分ではないようにも思いますから、現在(いま)が そんな境遇なのかもしれませんね。

    今日は午前中に美容室へ予約が入れてあります。
    終わったら少し休んで、すぐ支度して出勤です。
    今夜は月イチ・ハードな方の対応日となっております。 玄関に盛塩とかすると周囲やご家族から反感買うでしょうか。 しませんが。 本人が舐めるかもしれないし。(※自宅で卓上サイズ醤油1本を飲んだり石鹸1個を食べた実績あり。いずれも救急搬送&胃洗浄&入院。)

    BGM. Tom Waits 『Drunk On The Moon』

    P.S. 少しだけ心配させてから ホっとさせる(笑わせる)お話って、いいですよね。 まだ自分で書いたことないですが。 書ける気もしませんし。

    1. 散文気分さん、OHA!

      大家さんは、水口ビルの大家さんのです。よそ者の僕にとても親切にしてくれた優しいおばあちゃんでした。
      昨日のお昼に、家族の方が知らせに来てくれたので、「御霊前」の封筒を買いに行き、「さすがに100円ショップじゃ失礼かな?」とファミマで買ったら、70円でした。
      お昼休みにちょっと抜けて、4階の大家さんのお宅まで。僕はミニーちゃんのトレーナー(裸の女の絵柄じゃなくて良かった)とつぎはぎのジーンズだったのですが、
      それがかえって、「診察の途中で駆けつけてくれたんですね」と好意的に解釈してくれました。お茶までいただきました。合掌。

      今回の記事の趣旨は、アイスクリームへの鎮魂歌と、マサキへのジェラシーです(笑)

  3. 飲み仲間っていうのも、色々ですね。私の家の近くに住んでいる中学校時代の友人、もうずいぶん会っていませんが、彼は、昼間に、私を見つけると、某中華料理店へ連れていき、私にレモンサワーを飲ませ、自分は、壺に入った紹興酒を、ガブガブと飲む。昼間なのに・・・・。そういう時は、「まあ、いいか」と思い、風流と言えばまあ風流な昼を過ごします。
    アイスクリームさん、大変なことがあったのかな。かわいそうですよ。酒に飲まれるなって先生に言っていたのに。

    1. papaさん、こんばんは。

      僕は大抵、1人で外で呑みますよ。焼肉屋とか焼き鳥屋とか中華やイタリアンや新宿中村屋のカレーなど。
      夜は混むから、昼間に1人で呑んでることが多いです。鰻屋や天麩羅屋にも1人で行きます。

      たま~に、呑みに付き合ってくれる人がいると嬉しくなりますが、誰でも良い訳ではありません(笑)

      断酒会の人たちに聞いたら飲酒欲求が強くなるのは、「夏」より「冬」ですって。人肌恋しくなるのでしょう。
      アイスクリームは、僕がつけたあだ名です。いつも怒ってばかりで、「冷たい」けど、最終的には酔っ払いの僕に「甘かった」から。
      甘くて冷たいから、アイスクリーム。こんな季節は、暖炉の火を見ながら、レディーボーデンのアイスクリームをつまみに呑めないウヰスキーで一杯やりたいな。

  4. シラノのお話、とっても良かったです。お話に感情移入しながら、難しい心理用語を気持ちで理解できました。
    投影同一視もよく理解出来ましたが、未熟な機能っていうのが、よく分かりませんでした。成熟した人は、ちゃんと自分で自分の面倒を見てあげられるっていう事なのかな。
    年末年始、先生もお酒の飲み過ぎには、気をつけてください。これも、投影同一視かな、無限ループしそうですー笑

    1. シロクマさん、こんにちは。

      何をもって「成熟・未熟」というかはわかりませんし、「成熟」してりゃいいってモンでもないだろうと思います。
      けれど、防衛機制に関しては、定義がはっきりしてるみたいですよ。
      「成熟」した人間は、嫌な事があっても、「顔で笑って心で泣いて、ぐっとガマンする」じゃないですか。それを「抑圧」と言います。これがベースの防衛機制を使う人が「成熟」した人です。

      一方、「未熟」な人は、「否認」をベースにします。「否認」とは現実に起きてることを認めないのです。それは知覚レベルでは「見えてる」し、「聞こえてる」のですが、その意味を「認めない」のです。
      僕がキヨシの死を認めない、と言ってるようなものより、深いレベルで認めません。
      そういう人を「未熟」といい、「投影性同一視」も猫を可愛がって、自分のミジメさを認めないのです。
      極端な「愛他主義」にもそういうところはありますね。
      意外と、一生懸命な善良な医者の中にそういう人はいますよ。
      患者に自分を投影して自分で治して自分の(癒して欲しさ)を自分で満たしてる人。医療従事者に多いかも。
      まぁ、誰の迷惑にもならないから、ほっといていいですよね。
      ではまた~

  5. 体調悪いから、明日、地域の保健病院に行ってきます。せっかく、トラウマがよくなってきたから、凄く落ち込んでいます…

    もう若くないんだなぁって、つくづく。

    (。-_-。)

    1. さとゆみさん、こんにちは。

      天候が悪いから、体調に影響が出るのは仕方ないですよ。
      トラウマの治療にメドが出来たら、また待っていますからね。

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