正論は暴力だ!

22/Ⅹ.(木)2020 くもり 志村けんイズムを継ぐ女・磯山さやかの誕生日。37才、芸能生活20周年。

時の流れか寄る年波かいつしか僕も「小言幸兵衛」のように一々、人の言動が気に入らなくなった。
しかし、幸い、あまりそういうことで頭に来ないタイプだから、周囲の人間に直接言うことはない。
なんて書いてる時点でどうよ?という意見もありそうだが。おせっかいだが、「相手のために言ってあげた方がいいかな」と思うことはある。
他で失礼だと思われないためにとの老婆心。
でも、言わない。なんとなく。理由はないが、野生の勘。
そうしたらここ数日で3回もテレビで「ロジハラ」の特集をみた。
ロジハラとはロジック・ハラスメントのことで「正論」で相手を追い詰めるパワハラの1種だそうだ。
例えば、納期を間違えたり発注ミスしたら、「再発防止策は?」と聞かれ、「上司と相談して1週間後にお答えします」と答えると、「1週間?その間に同じことが起きたらどうするの?」と言われ、「では3日で」と返答すると、「そんな簡単に答えが出るの?」と追い詰められる。正論だが暴力的だ。これがロジハラ。
テレビには顔を隠して「ロジハラのせいで、うつ病になった」と証言する女性も登場。
こりゃ、大変だ。言わなくて良かった。あやうく川原がロジハラになるとこだった。しかし、仕事上のミスを指摘した上の言い分って正しい気がするが…。でも時代がきっと変わったのだろう。仕事への忠誠心より個人のメンタルヘルスを大事にするのが現代の価値観だ。本当にそうか?

僕が二十歳の頃は、僕らの世代は「新人類」と言われ、「わけのわからない思考回路をしてる」らしかった。これまでの常識が通じない、身勝手で、権利だけを主張し義務を果たさない、そしてそのことに開き直る全く性質の悪い恐るべき子供たちだとマスコミははやし立てた。
その頃、偉い先生に注意を受けたことがある。その先生はまことに良く出来た人格者で、やさしく諭すように「川原君、君を見てると昔の自分を思い出すんだ。私も色々経験したから言うのだが、君のとってる態度を失礼だと感じる人もいる。それは回りまわって君が損をする。私はこの年になってやっと気付いた。だから君に忠告しておきたいんだよ」と言った。
僕は、それを軽くスルーして、「そうですか。じゃ、僕も先生くらいの年になったら気付きます」と答えた。無礼で生意気で小ざかしいですね。仕方ない、新人類だもの。
何を言いたいかというと、その「先生くらいの年」が来てしまったのだ。

今朝、ファミマでエヴァンゲリオンのビックリマンチョコを箱買いした。今、レジ袋は有料だから、剥き出しのまま箱を小さな前ならえの要領で持って歩いた。
今朝はちょっと早かったからカフェに寄ってモーニング。
すると顔なじみの女性店員(女子大生のアルバイト、笑顔の似合うキラキラウーマン)が「すごいの持ってますね」と笑顔で言うから、「ひとつあげようか」と言うと、
彼女はレジの向こうから手を伸ばし遠慮なくチョコを一つとって、こう言った。「欲しくて言ったんじゃないですよ」。笑顔がキラキラ。
僕は、「この子は新人類だな」と思ったものです。

しかし、いつの世も若者は、新人類、なのかもしれませんね。
なんでも、メソポタミア文明の遺跡の壁に当時の人の落書きが残されていて、それが「まったく近頃の若い者は」という小言だそうです。

BGM. 松本伊代「TVの国からキラキラ」


2 Replies to “正論は暴力だ!”

  1. ロジハラで思い出すのが蓮舫です。もっとも、国会議員のわけのわからんおっさんたちを論破するには、あれぐらいの勢いは、必要ですけどね。
    人をうつ病にしちゃいけません。

    1. papaさん、OHA!

      その「うつ病」なのですが、僕が秘かに恐れてるのは、「新型うつ病」の二の舞にならないかです。
      どういうことかと言うと、10年前くらいでしょうか、週刊誌「スパ!」とかNHK「ハートネットワーク」などでかなり力を入れてやってました。
      つまり、あまりやる気のない社員(チャラチャラした風貌の役者をチョイス)が上司に叱責されふてくされ朝起きれなくなって、精神科にかけこむ。
      精神科医はメガネをかけたカマキリみたいな冷たい雰囲気の役者を選び、ネットに書かれてるような症状の質問をすると患者はすべて「イエス」と答え、わずか数分の診察で医者は「うつ病ですね」。患者は嬉しそうに「そうですよね~」と言って、「3ヶ月療養」の診断書をもらい、ハワイ旅行に行くという再現フィルム。
      悪意しか見当たらない。
      これによって、時計の針は逆回転して、「うつ病は怠け病」「性格の問題」「弱い人間がなる」という偏見を助長しました。
      日本うつ病学会の人たちの努力で(知らないけど)なんとか沈静化させましたが、真面目な患者さんは苦悩したものでした。

      今回のうつ病患者がそうだという訳ではないのですが、編集の仕方なのでしょうが、ロジハラした上司に対して正面から文句を言え、顔はモザイクかけてるけどテレビに登場してまで意見を主張できるなんて、なんて元気なうつ病でしょう。ここだけをみたら、一般の人の「うつ病」に対するイメージが変わってしまう気がするのです。つまり、理不尽なことをされて嫌な気分になって仕事に行けなくなる=うつ病、みたいな感じで、これって結局、また「うつ病は辛抱が足らない」「弱い人間がなる」「うつ病は逃げ」みたいな誤解を誘発させそうで心配です。元気なうつ病なんて、正直な泥棒みたいなパラドックスで、それだけで皮膚感覚で胡散臭さを醸し出すからです。
      なんて世を憂いてみましたが、こんなお天気です。papaさん、体調、大丈夫ですか?

      ところで蓮舫って名前なんですよね。苗字は斉藤だっけ。確か、斉藤蓮舫。これって、小池百合子が「ユリコ!」って名前で登録商標してるのと同じことだから結構すごいですよね。ある意味、「イチロー」と同じ。

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