見ないふり

17/Ⅵ.(木)2021 時々激しい通り雨 7月からの新ウルトラマンの敵役のボスに上坂すみれ。

ワクチン接種後から体調が悪い。体がだるく調子が出ないのだ。もう1週間以上たつから医者たちは「副反応ではない」と口をそろえる。ひどい奴は「仕事したくない病だ」という(笑)。

こないだの日曜の総合格闘技「RIZIN」の東京ドームマッチは後日録画でみた。しょこたん(36)がユーチューブでコラボした人気の朝倉兄弟の弟・朝倉海(27)の試合のリングアナウンサー役をやってたからビックリした。総合格闘技は潜在的なプロレスファンで占められてる世界だから迂闊に入って来ない方がいいぞ。全盛期のビートたけしでさえ物を投げられたし、下手すりゃ山田邦子の二の舞だ。そんな人気の朝倉兄弟の兄は、柔術家に失神負け。日本の総合格闘技がグルっと一回りして柔術にスポットが当たりそうな予感。それは中量級のタイトルマッチの決まり手も「三角締め」だったから。とは言え、この試合はチャンピオンがアゼルバイジャンの選手でこないだまで志願して兵役に出てた選手。対するチャレンジャーは日系人で浜松に拠点を構えて練習を積んでいた。今はコロナだから外人は来日後2週間隔離生活でアゼルバイジャンのチャンピオンはそんなハンディを背負って試合に挑み負けた。そしてそういう裏事情をテレビでは言わないのだ。卑怯だと思った。

女の子が親戚が死んだけど「なんとも思わない」という。対象喪失の直後はそういうものだ、と諭すが、「それとは違う」という。「自分には人間的な感情が欠落してるのだ」と淡々と言う。そこで僕は大学2年の時に、父が死んだ時のエピソードを話した。棺桶に花などを入れた後、釘を打つのだが、僕はたまたま台所に「イトーヨーカ堂」の商品券があるのをみつけ、茅ケ崎の北口にあるイトーヨーカ堂へ行き、別にすぐ必要でもない靴下を何足か買い、大事な儀式に遅刻した。女の子はそれを聞いたら大笑いして、「なんで靴下?センセーはサイコパスですね」と2度笑った。精神分析の祖・フロイトも自分の父親の葬式に床屋に行って待たされたために遅刻したというエピソードがある。フロイトはこのことから、「無意識に父の死を認めたくない気持ちが行動をコントロールしてしまう」失錯行為と言う無意識の作用を発見した。でもあの子に言わせりゃ「フロイトもサイコパス」だ。

僕のおじさんが先日、死んだ。コロナ禍だから葬儀は簡素に。参加しなくても良い。僕はそのおじさんには親しみを持っていたから、お通夜に行こうと思っていた。告別式だとちゃんとした格好をしないといけないが、お通夜ならフダンのTシャツ&ジーパンでも良いはずだから。でも知らせを聞いた土曜の夜、睡眠薬を規定量の倍飲んだら、二日間寝続けてしまい、お通夜も告別式も出れないどころか寝て過ごした。おじさんは僕が子供の頃に宮前平のペットショップで「ワニ」を買ってくれた。うちの家族は僕以外は皆、爬虫類や両生類が嫌いなので、おじさんくらいしか買ってくれる人はいなかった。僕が池にワニを放したら、父が池で飼ってる鯉が食べられてしまう、と大騒ぎして怒っていた。僕は子供の頃、俊足だったがそれは同年代の中でのこと。父は結核で足を悪くしてるから走るどころかビッコをひいてたから相手にならない。だからおじさんが遊びに来るとかけっこの相手をしてもらった。おじさんは足が速かった。何度やっても勝てなかった。「タッちゃんには無理だよ」と余裕で笑っていた。子供相手に手を抜かなかった。僕は大人げないなと思ったが、大人ってそうあるべきなんだと教わった気もする。

母の日ばかりが母に感謝すべき日ではないように、通夜や告別式以外の日に弔いに行っても良いことにさせてもらおう。しかし、体調がすぐれない。患者に心配されるほどだ。困ったものだ。おじさんのせいかもしれない。迷惑な話だ。合掌。


心の護美箱(38)~精神療法技法論・魔法の言葉

11/Ⅵ.(金)2021 はれ 池江璃花子(20)が日本選手団の旗手の候補に浮上

心の護美箱(37)がいっぱいになったから(38)を作りました。始めてこのブログを読む人は「何のこっちゃ?」ですね。とりあえず、グチを書き込めるページなのです。つまり心に溜め込んでるものを、捨てる、ゴミ箱、のようなものです。昔、僕の少年時代の茅ヶ崎では駅前に有害図書を入れる「護美箱」という大して面白くもないトンチのゴミ箱がありました。それへのオマージュです。非公開を希望の人は、そう書いてくれればアップしませんし、こちらが判断して「不適切」なものはアップを控えます。参考にこちらを。→心の護美箱(37)。

精神療法あるある、です。患者さんから「あの時の先生の一言で救われました」と後になって語られる一言が、こっちは全然覚えてない、ということがあります。逆に、こっちが満を持して発したフレーズがまるで刺さってなかったということもあり、結構なディスコミュニケーションの中、精神療法は進んでいるということです(笑)。えっ?そんなことで良いの?とお思いの方も多いと思いますが、「週刊誌ネタ」が「全体の会見や文章の一部を切り取ったもの」で印象操作が行われる悪意、であることの反対で、「たまたま語られた一言」なんて所詮全体を言いつくせてはいないという逆説です。もっと言えばコミュニケーションのうち「言語的コミュニケーション」の占める割合なんてわずかだという研究もあるし、皆さんも実体験で経験済みでしょう。例えば、ふんぞり返って爪を切りながら「愛してるよ」なんて言われても何も響かないし、前かがみになって背を丸くし哀願するように「ごめんね」と言われりゃ許しちゃう。たとえ、それがDV男の手口でも。

昔、プロレスではその人の必殺技を他人が真似するのはタブーとされました。アントニオ猪木の「卍固め」をジャイアント馬場が使うことは、どちらのプライドとしてもあり得ませんでした。藤波辰巳と長州力の名勝負数え歌では、あえて長州力の必殺技「サソリ固め」を藤波辰巳が長州に決め、それを古舘伊知郎が「掟破りの逆サソリ」と実況した名フレーズが例外くらいで、精神療法にも似たところがあり、人が使った名セリフ(解釈、などという)を他人が真似すると大失敗するという例は枚挙にいとまがありません。女性患者が妙にめかしこんでくるから「あなたは私と結婚でもするつもりですか!」と「恋愛転移」を指摘して治療が展開したというのを聞きかじった治療者が同じような女性に「あなたは私と結婚するつもりですか!」と言ったら、「やっと、わかって下さったの?」と火をつけちゃったって古典的な笑い話もあるくらいで、大事なのは「何を言うか」ではなく「誰がいつどのタイミングで何を言うか」が問題なのです。だからコンビニで売ってる本のように、「子供に伝わる魔法の言葉」みたいなものは存在しないと考えた方が良いですね。

それを大前提にした上で、僕がお勧めしたい「魔法の言葉」があります。これは結構、誰がやっても効果が期待できるのではと思うので、気に入ったら使ってみて下さい。それはダライラマの手口です。ダライラマが来日した時です。丁度、北京オリンピックの直後で柔道無差別級で金メダルをとった石井慧がダライラマの講演会を傍聴してたのです。フロアから何か質問はないですか?と聞かれた時、石井慧が手を上げました。石井は当時まだ22歳でオリンピックの連覇を期待される日本柔道界の宝でした。しかし石井慧は総合格闘技への転身を考えていたのです。石井はダライラマに対して真正面から質問しました。「周囲の反対があっても自分のやりたい事を貫くべきか、それともある程度、長い物には巻かれるべきでしょうか?」と。その時のダライラマの格好はつるっぱげに派手な黄色とオレンジ色のあいの子みたいな片方の肩だけさらけ出したセクシーなスタイルで、これで肩にインコでも止まってたら「ビルマの竪琴」の中井貴一です。ダライラマは、石井の質問に前傾姿勢になりながら、通訳を介してなのに、「うん。うん」とうなずきながら、物凄い真剣な目つきで格闘家顔負けの迫力の形相で北京オリンピック金メダリストを睨みつけ、話を聞き終わったら、間髪を入れず、石井を力強く指さして、腹の底から絞るような声でこう言ったのです。「自分の人生は自分で決めるのだ!」。僕はこれをテレビの中継で見ていて、ショックを受けました。そしてひらめいたのです。人にインパクトを与える魔法の言葉の発し方。それはなるべく浮世離れした格好をして、相手の語る話をさえぎらず傾聴し、相手の話が終わったら、相手を威圧するようなポーズと声で、ものすごい「正論」を言う事です。

後日、天皇陛下のお正月のご挨拶に前年度活躍した各界の著名人が招待される会に、石井慧も招かれていました。天皇陛下は事前に各々のゲストについてお勉強されてるようで、的確なご質問をひとつづつされます。石井の番が来た時、陛下は「これからも柔道をお続けになりますか?」とお声をかけると、そこは石井慧は日本男児、天皇陛下を前に嘘はつけませんね、「自分は総合格闘技の道に進もうと思っています」と答え、隣にいた女子レスリングの吉田沙保里が腰を抜かしていました。

僕はこの放映をみながら、ダライラマの仕業だな、と点と点が線になったのです。

BGM. よしだたくろう「ガラスの言葉」


心の護美箱(37)~精神療法事始め

29/Ⅴ.(土)2021 はれ 新宿紀伊国屋書店地下のカレー屋「モンスナック」7月で閉店?

心の護美箱(36)がいっぱいになったから(37)を作りました。始めてこのブログを読む人は「何のこっちゃ?」ですね。そんな人はこちらを。→心の護美箱(36)。

さて今回はカワクリがお送りする「精神療法、三部作」の第三弾です。これを読めばあなたもカウンセリングを受けた気になれます。世間の無知な人間に対しては、カウンセリングを受けてるふりだって出来てしまいます。そんな必要がいつあるのかは知りませんが。

 

①出会い

…精神科(心療内科・カウンセリング)が一般身体科(内科・皮膚科・眼科など)と決定的に違うのは、家族や周囲が「心配してること」と、本人の「困ってること」が違うことです。たとえば家族は「リストカット」や「不登校」や「家庭内暴力」を心配しますが、本人はもっと哲学的なことで悩んでいるのに、仕方ないからやむをえず「それら」で凌いでるのに、そんなこともわからないくせに表面的な現象で右往左往する家族に対して、本質をみてない、と不満に思いながら病院に連れて来られる人がほとんどです。ですから治療のスタートは、本人が困ってることをこちらが見極め、それを一緒に解決していこうと同盟を結べるかどうかにかかっています。そのための第一歩が初回面接で、それは出会いであり、第一印象が大切です。人を見た目で判断するな、と言いますが見た目以外で判断するのは難しいです。それを補うために面接をします。こちらは患者がどんなことに困ってるかどんな人なのかを見極めようとしますが、患者も必死だからこの医者(カウンセラー)は信用できるか、とこちらを品定めして来ます。そんな真剣勝負が行われて、「じゃ、とりあえず、やっていこうか」となって、1年くらいしてからでしょうか、患者は「実は初めてここに来た時、こう思ったんですよ」と第一印象の報告をします。良い治療関係が構築できたからこそなのでしょうが、「最初は、ここは病院か?と思いました(笑)」とか「はじめてセンセーの髪色を見た時、『終わった』って思いました(笑)」と過去形で語られます。稀に初回面接で「ここ、変わってますね?」という人がいますが、感想だからそれは自由だから良いのですが、「初回からそんなことを言えるなんて、この人は変わってるなぁ」と僕は思います。

②治療構造

…設定のこと。何曜日、何時から、何分やる、などをあらかじめ決めておきます。我々の業界用語では「枠(わく)」とも言います。僕は若い頃、「枠」は、「我慢が足らない患者に不安耐性をつける目的」あるいは「患者の気まぐれに振り回されないため」のものだと勘違いしていました。なぜなら子育てをするお母さん(お父さん)には「枠」などありません。24時間365日体制です。精神療法にはある意味ほんのちょっと「育て直し」みたいな側面もなきにしもあらずだからそうした方が良いのかもしれませんが、そんなことをしてたら我々がもちません。一定水準のサービスを提供し続けることが不可能になるので、「枠」は治療者のためにあるのです。って、昔、誰か偉い先生が言ってました。ま、育児と精神療法、並べて語るのもいかがかね?

「精神分析系の技法論」の書物を読むと、大抵、最初に「治療契約」のことが書いてあり、その中でもいの一番に「お金」のことが載っています。そのくらい精神分析では「料金設定」が大切なようです。でもそれを「いくら」に設定するかは悩みます。今は一応、一律にいくらとしていますが、本来はその人の収入で変えるべきだそうです。

本場で修行してきた人に聞いたら、昔はその人の履いてる靴の値段がワンセッションの値段、とした時代もあったらしいですが、今のように価値が多様化したり、お洒落さんが多かったり、一点豪華主義でバカ高いスニーカーを履いてる学生もいるからこれはもう通用しませんね。でもカウンセリングを受けるにあたり患者もそれ相応の覚悟を問われ、それが身を切るに相応しい料金を設定するというのが出発点で収入が上がったら料金も上げ、下がったら料金もディスカウントってしてる人(時代)もあったそうです。

しかし、患者のカウンセリングに関する本気度の評価基準を「お金」にすることにちょっとためらいがありますね。昔、精神科医になりたての頃、高校の友人と朝まで飲み明かした時に、この話になって、「お前の信じる思想は人の心を金ではかるのか。さもしい奴だな」「日本人には、赤ひげ、幻想がある。おばあちゃんが治療費がないからと大根を差し出しても、医者は笑って受け取るものだ。金持ちしか受けれない治療なんておかしい。金儲けに走ったら終わりだ」「そもそもユダヤ人の発想だろ。金に汚い」「見損なった」と散々でした。このディベート、今でも言い返せるかわかりません。

僕が子供の時に日曜学校で聞いた話。募金箱の横に鐘があります。クリスマスの夜に、募金をしてそれが神様に伝わると鐘が鳴る、という伝説があります。町の大金持ちが多額の寄付をしましたが、鐘は鳴りません。誰が募金してもそうです。やはりただの伝説か。皆がそう思った時、みすぼらしい女が来てわずかなコインを募金箱に投げ入れました。それは彼女が汗水たらして働いた全財産だったのです。すると教会の鐘は町中に鳴り響くように鳴っていつまでも鳴り続けた言います。聖書の教えは重要なのは「金額」ではなく「その人の信仰心=本気度」だと言うのです。こういう初等教育を受けてると、「料金設定」ってものすごく難しいんですよ。単なる「儲け話」ではなく、真剣度や覚悟を測る物差しに「お金」を使うから、いくつになってもディベートに勝てそうもない。

と思っていたら、最近精神療法界隈でちょっとした揉め事があるそうです。発端は「アカデミック」なことだからスキャンダラスではないのですが、あえて揉め事と言う表現をしてみました。そのアカデミックな論争は「料金」の問題にも飛び火しそうで、革新派は「NPOを作って、お金の払えない子供や学生にもカウンセリングを」と言ってるらしく、主流派は保守的で体制をかえず、中には「患者のするべき仕事は精神療法家を食わせることだ」と極端なことを言う人まで。まだまだ論争はこれからのようです。昔、新日本プロレス所属の長州力が国際はぐれ軍団のアニマル浜口と組んで作った維新軍が、アントニオ猪木&藤波辰爾ら正規軍と真正面から革命闘争をした時が、日本のプロレス史上で最も盛り上がってた時期だったのと合わせて考えると、世代闘争って業界も活性化されるからどんどんやればいいと思います。

③抵抗

…わざわざお金を払って治療を求めてやってきて構造を決めて開始したのに、その治療に抵抗するという矛盾のことです。治療が進んで見たくない局面になると意識的・無意識的にキャンセルしたり、治療者と良い関係だったのがズレを感じたりするとガッカリしたり腹が立ったりしてストライキのようにカウンセリングをパスすることもあります。抵抗は必ず起きます。これをどう扱って乗り越えて認識して行くかが治療の醍醐味なので、あえてカウンセリングをキャンセルした時はたとえどんな理由でもキャンセル料が発生します。それは「あなたのために時間をとっといたのだから、時給分、頂戴ね」って意味ではないのです。昔から我々の業界では「雨が降ってもアクティングアウト」という言い伝えがあります。大雨で交通機関が止まったという表向きの理由があってもそれは抵抗の行動化(アクティングアウト)と考える厳格さが、逆にこちとらそのくらいマジだぜ的な契約だったのですが、ここに来て、コロナです。さすがに、コロナに感染してもキャンセル料とは言えません。むしろ熱があって来られちゃ困るし。こうやって、コロナはまた一つ古き良き伝統を破壊して行くのでした。

④転移

…転移という現象は精神療法以外の場面でも二人の人間が向き合えば必ず起きます。精神療法で言えば、患者は今までに体験した色々な人間関係を意識しないまま治療の中に投げ込んで来ます。患者の持ってる悩みや苦しみは大抵その中に潜んでいるから治療者は転移がどのように展開して行くかを意識して一生懸命見て行きます。転移というのは不思議で性別も関係ありません。僕は男だから「父親転移」や「おじいちゃん転移」ばかりが起きるかと思いきや「母親転移」が起きたりもします。だから「男性恐怖症」の患者には女性治療者をという発想はあまり意味がないと思います。「この人は男性が苦手だ」と理解出来てる男性治療者の方が、「何にも考えてない」女性治療者よりも良いに決まっています。

これまで僕も色々な転移を投げ込まれて来ました。戦争体験のあるおじいちゃん患者さんに「センセーは、兄貴のようだ」と言われたり、何でも僕が困ったことを解決してくれると理想化されてた女子校生には彼女が必死に興奮した時、「ね~、頼むよ、ドラえもん~!」って言い間違いされました。ドラえもん転移が川原史上最強ですね。

⑤解釈

…解釈とは治療関係の中で結局のところ、患者は何をしようとしているのか、治療者は何をしようとしているのかという理解を持つことです。大昔、日本に精神分析が輸入されたばかりの頃は、治療者と患者が一緒にテキストブックを観ながら、患者が話すことを「これに当てはまりそうだな」と勉強会のようなことをしてたそうです。それを今の精神療法に洗練させたのが「古沢平作」という人物です。一般の皆さんは知らなくて当然ですが、我々の業界でその名を知らぬ者はモグリです。権威のある専門的な学会でもその年にもっとも活躍した人に授与されるのが「古沢賞」と言います。プロ野球で言う「沢村賞」のようなものです。古沢平作は、実は、こさわへいさく、と読みます。皆さん、ふるさわ、だと思ったでしょう?もうお亡くなりになった先生ですがもしご存命なら、「今年の、ふるさわ賞は~」と司会者が言ったら、ひな壇から「こさわ、だよ!」と言うアンジャッシュのような持ちネタが出来てたことでしょう。

⑥洞察

…いくつかの抵抗を処理し、転移を理解し、解釈を通じて、患者さんは自分の基本的な問題への認識が広がります。それを洞察と言います。僕が洞察と言われて思い出すのは、中学の時の倫理社会の授業で習ったことです。その教師は心理学の授業をしてて、その中で「洞察とは、バスケット・ボールでシュートをする時に直接ゴールを狙わず、後ろの板に当ててその反動を計算してゴールに入れること、それが洞察だ」と言いました。僕はもういい年になって中学で習ったことなどあまり覚えてないのですが、これだけは忘れられないのです。間違いなのに。

⑦終結

…精神療法に終わりがあるのか?終わりがないのか?という問題があります。精神療法が「病気を治す」ためだけではなくさらに「幸福に生きる」ことを目的にするのなら当然出てくるディスカッションで、何をもって「幸福?」なんてとこから始めるからこの議論に終わりはありません。でも現実にはどこかで終わりが来ます。終わりが来る時が終る時です。それが終結です。別れはいつも突然です。いきなり終わってしまうこともありますが、理想的には終結の時にはこれまで行った精神療法の全体をもう一度おさらいしてまとめるという作業をしておしまいにしたいです。

僕が勤務医の頃、決まった曜日の宿直をしていました。宿直明け必ず、「おかあさんといっしょ(コアなファンは、おかいつ、と略す)」を見てました。毎週毎週何年か同じ歌のおねえさんとおにいさんにテレビの向こうから「おはよう~」と手を振られて癒されていました。ところがです。新年度、歌のおねえさんとおにいさんが新しい人にバトンタッチすると聞きました。僕は軽いめまいを覚えショックでした。でも一緒にこれまでの思い出を振り返って受け入れて行こうと思ったのですが、番組にはそんな配慮は微塵もなく、ある日いきなり「次回からこのおねえさんとおにいさんになります。バイバイ~」と言われました。僕のように精神療法を心得る身としては納得のいかぬ終結でした。でも、世間の多くの子供たちはスムーズに受け入れたみたいです。僕もいつしか慣れてしまい、そのお姉さんを好きになりましたが、なんと彼女こそ、「団子3兄弟」の茂森あゆみお姉さんだったのです。この歌は番組を超えて大ヒットしましたね。僕はたまたまNHKのポップジャムに「団子3兄弟」が出た番組の録画をしていて、その回の最後に、「みなさん、バイバイ~」と出演者全員が横1列で手を振る時、茂森あゆみお姉さんは2階席のお友達にも届くようジャンプして手を振りました。そして着地した時、スカートの裾が一瞬ひるがえった様子が映り込んでました。こういうのは気をつけて欲しいものです。僕は永久保存版にしておりますが。

以上、精神療法事始め、でした。カウンセリング希望の方は受付まで。

おまけ。下は何でしょう?

ヒント。香水をつけてる振付。

正解。BTSの新曲「バター」の中でメンバーが一人づつエレベーターの中でパフォーマンスを見せる時のオレンジの服のメンバーの完コピ。

BGM. BTS「Buuter」


心の護美箱(36)~精神療法総論

18/Ⅴ.(火)2021 梅雨入り 澤田隆治死ぬ。88才、野末陳平先生と同い年。

文案

———–

4月も2週間が過ぎ、春の風を感じる日も多くなってきました。

環境が変化した人も多いでしょうか?

変化と言うと、川原クリニックもこの春から相談室がひとつ増えることになりました!

今週16日金曜日から、早速開室します。

 

元々喫煙室だった場所が、2つ目の相談室となります。(謝って入室しないようご注意下さい!)

コロナ後は禁煙となり待合スペースとなっていましたが、あの空間が好きだった方もいるかもしれません。隠れ家みたいで素敵でしたよね。

 

ベタですが、春は出会いと別れの季節と言います。新たな出会いと聞くとポジティブなイメージですが、日常の破壊でもあります。なかなか疲れも伴います。

春風に足を取られぬよう、踏ん張っていきたいものです。

————-

↑これはうちの心理の、都袋美知恵(ペンネーム)、が新しい心理室が出来る時に間に合うように作ってくれた文案でアップするのをすっかり忘れていました。今さらですがアップしてみました。

さて今回は心の護美箱(35)がいっぱいになったから(36)を作りました。始めてこのブログを読む人は「何のこっちゃ?」ですね。そんな人はこちらを。→心の護美箱(35)。

前回、「精神療法各論」を書いたので、今回は順序が逆ですが、「精神療法総論」をお送りします。主にフロイトが唱えた重要なキーワードをカワクリ流に意訳して行きます。

 

①無意識の意識化

人の心は氷山の一角に例えられ、見えてる部分は全体の30%くらいで残りの70%は水面下に隠れていると言われてます。みえてる部分を「意識」、みえない部分を「無意識」といって、なんと我々の重要な物事の決定には「無意識」が大きく関与してる訳です。恋人を選ぶ時も、「今度こそ良い人!」と祈って選んでも「今度も結婚詐欺師だ!」なんてのは、無意識がそういう人をわざわざ選んでるのです。いやになりますよね?どうしたらいいでしょう。それは「無意識」を「意識化」すれば良いのだという寸法です。

たとえば、その人にとってはあまり良い父親ではありませんでした。でも無意識下では「父親をかばいたい気持ち」もあります。そこで男を選ぶ時に無意識的に変な男をチョイスします。人間なんて100%善人なんていないから、付き合う中で「無意識」に彼の嫌な部分を刺激して引き出します。そしてひどい目に会って傷ついて別れます。こんなことが繰り返されると、「所詮、男なんてみんなロクなものじゃない。お父さんだけが特別じゃない」という結論を出し、「父をかばうこと」に成功するのが無意識の力。こわいですね。これを辞めたいなら、無意識を意識化し、「行動」で処理しないようにすることが必要ですね。

無意識には常識的なところもあります。例えば、夫がいるのに浮気して若い男とデートをしようとしてるご婦人。心のどこかに罪悪感があるから、車のドアに足を挟んで歩けなくなって、デートをキャンセルします。無意識が不倫にブレーキをかけた訳です。これも罪悪感をちゃんと言語化していれば、デートに行けてたでしょう。

②防衛機制

…不安や葛藤が湧き上がって来た時に意識から追い払うための自衛手段。代表的なものを幾つか。

・抑圧、とりあえず心の奥底にしまいこみ蓋をしておく。

・否認、ないことにしてしまう。僕は忌野清志郎が死んだことを認めない派です。

・取り入れ、別れた男の口癖をいつのまにか真似して寂しさをまぎらわす。

・同一視、高倉健の映画を観終わって出てくる客は皆、肩で風切ってる。

・反動形成、差別意識が高い人ほど平等を訴える。

・合理化、イソップの寓話でキツネがブドウがとれないと「どうせ酸っぱいんだぜ」と捨て台詞。

・隔離、悲しくてやりきれないから感情を切り離す。「離人症」はつらさをリアルに感じないための防衛機制。これを利用してる風俗嬢は多い。熟練者になると「行為」をしてる自分を空中からみれる。

・退行、赤ちゃんプレイを好む社会的成功者は多い。母乳風俗も人気。

・昇華、不良たちの有り余るエネルギーをラグビーに向かわせ、皆で夕日に向かってダッシュ。

さてざっと書きましたが、「投影性同一視」というのが最近の流行りです。ちょっと難しいので、お芝居で説明しましょう。以前の心理啓蒙劇・シラノ~より。

これとよく似たものに「取り入れ性同一視」があります。クヴァード症候群って知ってますか?未開民族にクヴァード族というのがいてそこの風習では女性が妊娠すると男が「つわり」をするそうです。一説では婚姻制度がはっきりしてないから「俺が父親だ!」と主張してるとも言いますがどうでしょうね。そのクヴァード症候群が最近、日本でも多いそうですね。ひょっとして女が何股もかけてるから、「俺が父親だ!」と思いたいのかしら?押し付け合うケースはよく聞きますが、時代は変わったのかしら?男が優しいのですね。痛みを分かち合うのかしら。「すくすく子育て」というEテレの番組でもちょっと前はお母さんのワンオペが大変、だったのがコロナ以降、お父さんも子育て頑張ってるのに評価されなくて可哀想、みたいな番組に内容が変わってきてますから、クヴァード症候群増えるのかな?

③対象喪失

…「対象関係」とは、その人にとって大事な人との関係のことで、その他のどうでもいいような人間との「対人関係」と区別します。だから「対象喪失」は知り合いが死んだというよりとてもショックな喪失体験です。アメリカの診断基準で「ストレス強度」という項目があります。人によって何がストレスになるかなんて違うからそんなものに意味はないと思うのですが、各国間の比較とか疫学のリサーチにはある一定の基準が必要なのでしょう。そこでこないだまでの「ストレス強度」1位は「配偶者の死」だったのですが、最近は順位に変動があったらしく1位は「ペットロス」だそうです。ペットって不思議です。たとえば不登校の子とか場面緘黙の子に「ともだち」として犬や猫を飼ってあげます。家族が不和だからペットを飼うケースもあります。大抵の動物の平均寿命は人間より短いです。ですが、何故か、その子に友達が出来たり、居場所が出来たり、家族の仲が良くなったりすると、まるで「僕の役割は終わったね」と言わんばかりに死ぬケースが多い気がします。僕は獣医ではないから偏った母数を相手にしてるからでしょうか。

フロイトが晩年に大切にしたのは「対象喪失」に対する「喪の仕事」です。大切な人(ペットも家族か)が亡くなってからそれを受容するのにかかる時間はどんな文化圏でも「1年」と言われています。これは受容に必要な時間ではなく、喪に服す期間でしょうね。ペットロスの悲しみをもっと早く埋める方法を知ってますか?別のペットを飼うことです。

④夢

…「正夢」「逆夢」「吉夢」「夢占い」などは我々は信じません。では夢についてどう考えてるかというと、普段は記憶に残しとくと心の健康に良くない物を無意識下に抑圧して生きているけどさすがに無意識の容量も満杯になってくると、意識下に出しても良い物から寝てる間にクリーニングして洗い出します。その名残みたいなものが「夢」の構成要素になります。さすがに元の素材をそのまま出すのは安眠を妨害するから「検閲」して形をかえて夢の舞台に登場させます。だから夢は大抵、「不安」だったり「不気味」だったり「ヘンテコ」です。心が弱ってる時にバランスを取るために「良い夢」をみさせてくれることがありますが、これは要注意です。特に「うつ病」の人が「良い夢」をみて、目が覚めると「なんだ、夢か」とガッカリして自殺したりするからです。

昔何かで小児麻痺でずっと寝たきりで早死にした子の短歌を読んだことがあります。正確には覚えていませんが、こんな感じです。「思い切り草原を走ったらとても気持ち良かった。でも夢だった」、なんか目覚めのガッカリ感が伝わって来ますよね。

 

以上、精神療法総論でした。カウンセリング希望の方は受付まで。


精神療法各論

13/Ⅴ.(木)2021 霧雨。医師会会長、マンボウの中会食を謝罪。

精神療法といっても色々と流派があって、アメリカではカウンセラーの数だけカウンセリングがある、とか、400種類のカウンセリングがある、などと言われてるそうです。今日はその代表をいくつか、カワクリ視点で独断と偏見で紹介します。

①精神分析(精神分析的精神療法、力動的精神療法)

…治療構造をしっかり作り、転移(患者さんが過去に体験した様々な対人関係を治療に、無意識に、持ち込んでくること)を取り扱うことを中心に行うもの。19世紀末にフロイトが提唱しました。イエス・キリストとフロイトとカール・マルクスは人間存在に大きな影響を与えた3人のユダヤ人だと並べて語られることがあります。

フォークトリオだったRCサクセションの清志郎はバンド編成の新生RCを作るために当時の人気フォークデュオ・古井戸(ふるいど)の仲井戸麗市・チャボを引き抜きたいと思いました。そこに古井戸のもうひとりの加奈﨑がソロアルバムを出すというので楽曲を何曲か提供しました。キヨシローはどんな時よりも本気を出して「売れる曲」を作りました。これでヒットすれば、古井戸が解散してチャボが自分のところに来てくれるから。結果、チャボはRCに参加してその後の成功は皆さんご承知の通り。出会った頃のキヨシとチャボはどっちも人見知り。当時は合同でリサイタルをすることが多く、ミュージシャンが楽屋でワイワイやる輪に入れなかった者同士でした。2人がはじめてコンタクトしたエピソードが僕は好きです。楽屋のすみっこでキヨシがチャボにポケットからチョコレートを出して、「チョコ、食う?」と声掛けると、チャボが「食う!食う!」と答えたそうです。これが二人の友情の始まりです。フロイトの話をしようとしてたら、すっかり古井戸(ふるいど)の話になってしまいました。

②実存分析(ロゴテラピー)

…ユダヤ人のため強制収容所に収監されて生き延びたフランクルが提唱した実存をテーマにしたもの。フランクル著の「夜と霧(よる、と、きり)」はベストセラー。

僕は生のフランクルにあったことがあります。講演会を聞いたのです。印象的だったエピソードを話しましょう。フランクルはある神学校に呼ばれて講演会をしたそうです。司会進行は学長がしたそうです。学生から事前に集ったアンケートを学長が1枚づつ見ながら質問を選別するそうですが、ある質問紙を学長が「くだらない」と捨てようとした時、フランクルは「ちょっと待った。それを見せて下さい」と言いました。学長は「?」な顔をして「600、とは何ですか?なんて質問は下らない」と言いますが、フランクルは「いや、これは大変、重要な質問だ。神(GOD)とは何ですか?と書いてある」と言います。きっとこんなくせ字だったのでしょう。↓。

ここで重要なのは、神学校の学長には見えなかった「GOD」が自分にはみえた、というアピールでした。すごくないですか?僕はちょっと引きました。

帰りに偉い先生に「君はフランクル先生は知っているかね?」と聞かれ、「はい。夜と霜(よる、と、しも)を読みました」とジョーク(霧を霜と読み間違えた体)を言ったらカンカンに怒ってました。ジョークの通用しない人は困ったものですが、僕にも責任はあり、やはりTPOを考えるべきですね。

③森田療法

…僕の指導教官が「森田療法」の専門家だったから大学病院の病棟に畳部屋がありました。全部で50床の病棟に特別室みたいな個室があるのは異様です。入院森田療法は「絶対臥褥(がじょく)」と言ってまず最初の1週間は寝たきりで部屋から出れません。そして次のステップで日記が許され、次で散歩・軽作業と行動の自由を広げて行きます。「不安」を行動で紛らわさず、正面から向き合うためです。しかし、考えてみて下さい。うちの病棟は50床あって、様々な病気の人がいて、皆、決まった時間に食堂に行って、薬も列に並んだりします。用件があればナースステーションに自分で行きます。しかし、森田療法は絶対臥褥、部屋から出られないので看護婦さんが食事や薬を届け、ナースコールで部屋に来てくれます。畳部屋は一つしかないから、超VIP待遇ですよね。これは自己愛が満たされるというか、お殿様みたいな気分に浸れます。だから僕の感想は「うちの病棟の森田療法の効果は、自分を特別扱いされることで満足するから」だと思ってました。森田療法は森田正馬(まさたけ)先生が考案した禅の思想を取り入れた日本発の精神療法です。僕は研修医の頃にやってたせいで古臭いものだと思っていたら、最近、またブームのようです。何故でしょう?不思議だ。

④内観療法

…大学病院に勤めてる頃、夏休みの2週間を利用して地方の精神病院に行った。無医村みたいなところで、医者の頭数を必要とする病院が当時はあって長期休みには出稼ぎに行った。その土地は治安が悪く入院時に記載する問診票(当てはまるものに丸をする)の「態度」の欄に「入れ墨をみせて脅す」という項目があり、こんなものが印刷されてるということはそういう人が多いという意味なのでしょう。そこで出会った心理士の先生(60さいくらい、男)は「東京から来た若い医者」に興味を抱き、「東京の精神療法事情」を聞いて来ました。代わりに彼は自分が考案した「ロール・レタリング」という精神療法を教えてくれました。誰かに向けてお詫びの手紙を書くという指導でした。何せ入れ墨ゴロゴロですから、普通のカウンセリングじゃダメなんでしょう。「母に向かって詫びなさい」と言ってローレ(ロール・レタリングの略)。「次は父に向って、ローレ」とローレ攻めにしてくそうです。

こないだ、「23歳シングルマザー小6男子にわいせつ行為で有罪」という記事に「こういう人には罰じゃなく治療を」と書いてありましたが、僕は「こんな美人が来院しても何をすればいいかわからんな」と思いましたが、その時に、ローレのことを思い出しました。あの先生、生きてるかな?

⑤認知行動療法

…これも犯罪者の更生に役立つそうですね。しょこたんがストーカー被害にあったというニュースでも「犯人には治療を」というコメントがあって、その時に弁護士が認知行動療法は再犯防止のエビデンスがあると言い切ってました。

その真偽はともかくとして、認知行動療法とはある状況で生じる気分や行動には、その人特有の「方程式」が稼働するのだという考えです。つまり、y=f(x)、という公式を持ってる人のそれを、y=f’(x)、に換えれば、条件ⅹでも結果yの値が変わってくるという算段ですね。でも、僕に言わせれば、その方程式って結局どうやってつくられたかってその人の人生の積み重ねで出来上がった訳だから、そこを掘り下げて行くのは精神分析だから、結局、認知行動療法って精神分析の短期&焦点づけ療法じゃんって思うのですが、違うの?

⑥箱庭療法

…昔、えらい先生に「箱庭をどう思いますか?」と聞いたら、「あれは、こちらが寄り添って見守ってる中で作ることに意味があり、それは風景構成法も同じことで、だから箱庭は決して一人で作っても駄目だよ。こちらが見ていて、それがきちんと患者さんに意識として伝わっていることが大事で、それがあればバウムテストだって治療になりうるよ」だって。分かったような分からぬような。

⑦アンガーマネージメント

…「怒り」をコントロールする方法をラジオビバリー昼ズで松村邦洋が言ってました。腹が立ったら「怒」という字を思い出し、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」と10回言うと、腹が立たず、別のところが立つ、という下ネタ。高田文夫に怒られてました。

 

以上、精神療法あれこれ、でした。


昨日のつづき

18/ⅩⅡ.(金)2020 寒い 涼宮ハルヒの消失、の日。

毎日寒いですね、冷たい風は世間のようです。ついつい人肌恋しくなっていけない恋に走らないようにしたいものですね。
クリニックは診察室は暖かくて気づきませんでしたが換気で寒気が入ってくるから受付は寒がって凍えています。
ドトールで今、キテイちゃんとのコラボをやっていてキティちゃんの体重がリンゴ三個分だからでしょう、リンゴキャンペーンです。
そこで受付に温かいアップルティーやアップルカフェオレなどを差し入れして点数を稼ぐ僕ですがこのクジがなかなか当たりません。↓。

 

皆さんは「テキーラ事件」って知ってますか?
どこかの金持ちが高級バーのVIPルームで女の子にテキーラを一本飲めたら「10万円あげる」って言ってチャレンジした子が死んじゃったんですって。
その金持ちは上級国民なのであまりニュースになってないそうです。
死んじゃった子、可哀想ですね。「断れない雰囲気」もあったんでしょうか。
しかし、テキーラって強いお酒です。僕がこの話を聞いた時の感想は、「10万円って安くないか?」です。「一杯、10万」ならわかるけど。
最近の日本の金持ちはどうなってるんでしょう。
そこへ行くと菅総理は立派です。「GO TO」停止の直後に行ったステーキ屋さんは最低でも一人10万円だっていうから、一国の総理が安い店に行ってたら笑われますからね。
「GO TO」を使った人に聞くと、それはお得なのだけれどそれ以上に「旅行してもいいよ」って免罪符的な効果が大きいのだそうです。
日本人は他人の目を気にしますから極端な話、自粛警察、などを恐れてる訳で大義名分がないと目立ったことが出来ない国民性なのでしょう。
ですから、「GO TO」を止めた直後に菅総理が会食した意味は大きく、年末年始の過剰な自粛に免罪符として、「だって総理だってやってるじゃん」って言えて少しは経済が回りますものね。良く出来た筋書きだ。これを考えた人、頭良いな。

コロナで1番怖いのは感染力やワクチンがないことではなく、人の悪意を炙り出して「絆」を破壊するところだと思います。夫婦や家族喧嘩や同窓会ラインでの揉め事も聞きます。スピリチュアル的に言うとコロナで我々人類は次のステージへ行けるかを試されているようです。
そんな今年はコロナ禍でラジオを聴くリスナーが増えたそうです。
緊急事態宣言の頃、僕が聴いたラジオはナイツのチャキチャキ大放送で、ナイツの塙が「夏と言えば、虫取りだけど、知ってる?ジャンポケの斉藤さんの話」といわゆる彼の持ちネタを紹介しました。小学校の頃、夏休みにジャングルポケットの斉藤が友達に虫取りに誘われて早朝山の上に虫取りに行き、先頭を歩くよう言われ「あれ?虫なんかいないよ」って振り向いたら一斉に「お前が虫だ」って網をかぶせられたってオチです。塙は話が上手いから相方の土屋も大笑いして、聞いてる僕も笑ってました。
そうしたらその数週後、夏休みのネットニュースで「いじめに負けるな」みたいな特集記事でジャンポケの斉藤が登場しこの話をして、斉藤は話が上手いからそれはいじめの悲惨さとそれに負けなかったが心の痛みを訴えていて僕はあらためて、イジメ・ダメ・ゼッタイ、と思ったものです。

同じ話なのに言い方で違って聞こえるのがいじめの怖さですね。いじめてる方に自覚がない、という。
いじめに打ち勝ちいじめを排斥しようと運動してるタレントの代表格がしょこたんです。しょこたんは胃腸が悪く中学の頃、教室で戻してしまったら、変なあだ名をつけられた過去があります。↓。

最近の学校では、いじめの温床になるからという理由であだ名を禁止してるところもあるといいます。これに対して取材を受けたしょこたんは、「それは行き過ぎでしょう」と答えていました。
こういう被害者と加害者の構図のディスカッションの時にどんな専門家の見識より「一被害者の意見」に重みが感じられるもので、あだ名でいじめられた当事者のしょこたんが「いい」というならそれ以上言えない雰囲気になる。あくまでいじめられたたくさんの人の中のワン・ノブ・ゼムに過ぎなくて考えてみれば他の意見もあるのだろうにだ。
それにしょこたんは特異な例です。「しょこたん」という呼称がそもそもあだ名です。確かに彼女は変なあだ名で傷つけられたが「しょこたん」という別の良いあだ名によって救われたのです。上書きされたのです。だから「あだ名肯定派」。ところがみんながみんなそうは行かないのでいまだに過去を引きずって「あだ名否定派」はいるでしょう。

何を言いたいかというと、人によって傷ついた人は人によってしか癒されないように、あだ名で傷ついた人はあだ名で救われる。ひょっとしたら男によって傷つけられた人は男によって癒されるのが道理なのかもしれない。人間不信を救うのは人間で、医療不信を払拭するのは医療でありたいと思う。

アレキサンダーという精神分析の傍流にいる人が「修正感情体験」ということを言っている。かつての嫌な体験と全く違う感情体験を治療者との間で情緒的に体験する学習・教育的な治療概念であり、なんとなくそれに似てると思う。
僕が治療的に大事にしてることの一つにそういうものもあると思っている。

今日のつづきは明日。


禁欲原則

24/ⅩⅠ.(火)2020 寒い 小林麻耶、ボートレースの生司会降板。

安倍元総理が開いた「桜をみる会」がニュースになっていた。なんでも参加費は一人5千円でホテルニューオータニで飲み食いして多分それじゃ足りなかろうという試算でその不足分を安倍総理側が出した可能性が問題らしく、ホテルの領収書をどうのとか検察がどうのとか評論家たちが言っていたが、総理大臣が自分主催のパーティーでケチケチ徴収してたらみっともないと思うのだが、原さんによるとそれは「公職選挙法」ではワイロみたいなものだそうで、それを選挙に利用したら法律違反でいけないのだと教えてもらった。しかし、そもそも「桜の会」に参加する時点で安倍晋三を応援してる人なのだからワイロ云々じゃないと思うのだがダメらしい、もっと勉強しよう。

自分と他者の友好な関係性を利用して、自分に有益な結果を搾取するのはけしからん、というのはよくわかる。精神療法では「禁欲原則」というのがある。これはカウンセリングとかしていると自然と主治医と患者という関係が、「親子関係」とか「擬似恋愛」みたいな空想に支配されることがあって、極論、洗脳とか恋人関係みたいになれるのである。そういう関係でなければ「フツーのおっさん」が「理想の人物」に見えてしまう錯覚を治療外で利用するなという戒めで、そういう戒めがあるということは、ほっとくとそういうことをする人が多いとも言えるのであろう。禁欲とはストレートに(男性)治療者が(女性)患者をセックスの対象にしちゃいけないよ、という意味が大きいが、もっと広い意味でも使われる。だから僕らは不自由で、患者さんがやってるお店に行ったりサービスを受けるのも基本的にNGで、これは他科の医者との大きな違いだと思う。だからこそ、患者さんは安心して心を開けるってものでもある。

研修医の頃、大学では「しょうどくかい」というのが毎朝あった。抄読会と書きます。消毒会ではないです、まだコロナが流行ってない頃ですから。論文を読んで、皆に発表紹介し合う会で僕はこれが大嫌いでした。なので自分の番では訳本が出てる古典的名著をやってみたり朝日新聞の人生相談を拾い集めてみたりしました。結構、ウケてはいたのですがアカデミックな機関はそんなものを許しません。抄読会のルールが、「過去5年以内の海外の専門誌に掲載されている医学論文に限る」と枠付けされてしまいました。困った僕は図書館をあさりました。英語は嫌いですからモチベーションが湧かないものにはパフォーマンスが下がります。だから少しでも興味をもてる文献を探しました。そこでみつけたのが、「Sexual Counter-Transference」でした。これは直訳すると「性的逆転移」でした。転移とは患者が治療者に過去の重要な人物の思い出をダブらせてみることで、逆転移とは治療者が患者に治療的な立場をわきまえずに私情を抱いてしまうことを言います。性的逆転移は治療者が患者に性的な関心をもつことの論文でした。教授はポカ~ンとしてて、助教授は怖い顔をして、医局会はシ~ンと静まり返りました。あっ、でも心配ご無用、僕はそういう空気でも平気でいられるのです。アメリカの精神分析をしてる治療者と患者の関係で性関係を持った人がどのくらいいるかというレポートでした。結構、多かったです。その治療者側の心理的な側面に女性週刊誌ばりにメスを入れるのですが、れっきとした専門雑誌に載っていました。

さっきネットのニュースで男性教師が教え子(女生徒)に手を出し、彼女は心療内科に通ったあげく自殺してしまったという記事をみました。男性教師は休みの日に女生徒をドライブに誘ったり、膝の上に座らせたり、キスしたり、スカートの中に手を入れてお尻を叩いたりしたそうです。女生徒も先生に好意を抱いていたから自己嫌悪になったりして苦しみ、挙句、誰も知らないと思ってたら友人が皆知っててショックを受けたと心療内科のカルテに書いてあったそうです。カルテ開示したのですね。しかし、可哀想だな。この子がもし僕のところに来てたら何がしてあげられただろうか。難しいなぁ。

教師と生徒の関係と、治療関係はよく似てると思う。尊敬があこがれに変わり、救済したい気持ちが恋愛感情に変化したり、そう言えば、恋という字は変という字に似ている。昔、金八先生で売り出した頃の武田鉄也がトルコ風呂に行ったらトルコ嬢がドラマのファンで、「なんで金八先生がこんな所に来るの?」って泣き出しちゃって武田鉄也は「あれは作り物だから」ってなだめて事をしようとしたというエピソードを、ラジオでビートたけしが言っていたっけ。

僕は今ネイルをしているがそれは友人の紹介である。コロナで不景気だから景気回復のために行って来た。これは良い事だと皆が言うけど、もしこのネイリストさんが僕の患者だったら「アウト!」なのです。風俗産業もコロナ禍で不況だと思うが、手助けしようと僕がお客で行くのは、さっきの金八先生と同じ幻滅を生む。バツが悪かろうし次回の診察にも来づらいだろうし。だから我々の仕事は「守秘義務」とセットになるくらいに「禁欲原則」は大事なのです。

もしも、二人が恋におちてしまう運命で出会いがたまたま治療者患者関係だったら?という命題については僕はこう答えます。まず治療を中断し別の治療者に紹介しそれがうまく行きそうなら、治療者が身辺をきれいにして(既婚者なら離婚して)お互いフィルター越しの変数がなくって1年以上好き同士だったら結婚すればいいと思う。

BGM. おニャン子クラブ 「およしになってねTEACHER」


子供もつらいよ。

19/Ⅹ.(月)2020 雨。「鬼滅の刃」公開3日で興収46億円スタート❗️新海誠監督「君の名は。」越え。

ベビーシッターによる幼い子供へのわいせつ事件が相次いでいることを受け、厚生労働省は事件を起こしたシッターの情報を自治体間のデータベースで共有する仕組みづくりに乗り出した。ネットでは、男のシッターはやめた方がいい、という意見も散見されるが、それは男女差別で、女の中にも「幼女にいたずらしたい」という人もいるから変質者を男女で区別してはいけないと思う。

先日、Eテレの「すくすく子育て」をみたら、「見守る育児」の特集だった。
その中で育児のプロが子供の見守り方を実践系で指南するコーナーがあったが、そこに出てきた幼稚園児くらいの男の子はミニカーをピアノの鍵盤の上で自慢げに走らせていた。
しかし、これはいけません。ピアノが傷んでしまいます。そこで育児のプロ。さすが無理矢理それをやめさせるのではなく、その子は直接鍵盤を弾くと手が痛いからミニカーを使ってるのだ、
それならば柔らかいものに代えればいいと機転をきかせ、おもちゃ箱からその子の好みはともかくとして、柔らかいものを探し出し、(ボロ雑巾のようなカエルのミトンだった)それを男の子に渡し、「ほらこれでやりなさい。プシューって走らせなさい」と言い聞かせ、一件落着。テレビカメラが入って興奮気味だったその子も、カメラに向って苦笑いしながら、自分でチョイスした訳でもないカエルの雑巾でピアノを弾かされていた。なんか同情した。
僕は子供の頃からよく家に人が出入りしてたからサービス精神で自分のおもちゃを来客に遊んで披露したものだ。それをみて大人が「子供らしい」と微笑むのも計算の上、やはり人が来るとテンションが上がるのだ。
ましてやテレビカメラが入ってきたらどうだろう?そりゃ興奮すると思う。好きなミニカーで、こんなとこも走っちゃうぜ、ってピアノの一つも走路にするだろうよ。
代えるのならミニカーじゃなくて、滑走路の方にして欲しかったぜ。

そんなことよりこの番組、司会が古坂大魔王なのだが、そのオープニングの登場シーンで流れる曲が、「化物語」の千石撫子の回の「恋愛サーキュレーション」のイントロだった。
あれ結構、やばいでしょ。中学生にスクール水着を着せて悶えさせたりする(とり憑かれた蛇の怪異をとるためだが)シーンは都条例にギリギリだとも聞いた。
まさかそんなことを喚起させる曲をBGMに使うのは僕の聞き間違えだと思ったが、番組の終わりに思いっきり、「恋愛サーキュレーション」がかかっておしまいのテロップが流れた。「すくすく」のすくと、「スクール水着」のスクを掛けたのか?そんなバカな。
やはりEテレってすごいな。時々、チェックしないと。

BGM. 千石撫子(花澤香菜)「恋愛サーキュレーション」


心の護美箱(23)~ナス

10/Ⅸ.(木)2020 はれ ホリエモン、機内マスク着用拒否事件、にブチギレ!

格安航空会社ピーチ・アビエーションの機内で、搭乗した客の一人がマスク着用を拒否し、さらに周囲の乗客や客室乗務員に対し威嚇行為をしたとして飛行中だった飛行機を新潟空港に臨時着陸させたという事件を、今朝のテレ朝「羽鳥慎一モーニンショー」とTBS「グッとラック!」の両ワイドショーで放送していた。しかし、取り上げ方がちょっと違って、「羽鳥」では、困った客だという直線的な報道で機内にいた別の客の声も「新潟で下ろされる時、バイバイ~、と手を振っていた」という態度の悪さを強調。一方、「グッとラック」では本人の独占インタビューに成功し、元々彼は耳が悪いので「声が大きくなってしまう」という身体的なハンディキャップのことや、意外とまともな彼の言い分、そして別の機内の客の意見も「迷惑だ」ばかりでなく反対意見の「大人しかった」という声も拾っていた。TBSって昔はあまり取材しないで一方的な決め付けをするイメージだったが、今回はかなりバランスが取れている印象だった。10月以降の改編で、ロンブー淳や金曜レギュラー・フワちゃんが合流する準備万端である。

そんな世相の中、僕は週末、呑屋でお土産にもらった野菜をリュックの中に入れっ放しだったことを今朝発見。少し、しなびている。下が、そのナス。ベッドに横たわらせてみた。↓。

さて、心の護美箱(22)もいっぱいになったので、(23)を作りました。
はじめて、このブログを読まれた方は何のことだか、判りませんね。
とりあえず、グチを書き込めるページなのです。
ここでも、非公開を希望の人は、そう書いてくれればアップしませんし、こちらが判断して「不適切」なものはアップを控えます。
まぁ、グチに限らず、要望や苦情やエールやラブレターでも構いません。この記事に関する感想コメントなら、尚結構!

今回は、ナス、にちなんだ過去の記事を編集して再録します。

↓。

 

人間の三大欲求は、食欲・睡眠欲・性欲だと言われ、うつ病では、これらが障害される。
だから、うつ病の評価スケールでは必ずこれらを含めたクエスチョンがされるべきなのだが、何故か、(というより、わかるが)性欲については、聞きにくいし、喋りにくかろう。

ある大学病院で治験をやってる精神科医と話したことがあるのだが、女性に対して性欲の質問はしづらいと言っていた。
だけど、患者が喋りづらいことを聞くのが、こっちの役目だろうが、と思った。

実際、セックスのことで悩んでる人の潜在的な数は多い。悩みは色々。人それぞれ。
でも、食欲や睡眠より、性欲の悩みを抱えてる人が意外と多いと思う。

皆さんに、性欲について話をさせるなら、こっちからそういう話を切り出さないといけないのかな?と思い、今回はそういう回にします。
だから、性的な話が嫌な人は、ここから先は読むのをやめて下さいね~

セックスはタブーである。
たとえば、青少年に見せてはいけない「なんとか指定」は、暴力とセックスの関連だろう。テレビやお茶の間もあきらかな性的描写を排除する。

それで思い出したのだが、僕が小学校低学年の頃、12チャンネルで「ハレンチ学園」の実写を放送していた。
ハレンチ学園は文字通り、ちょっとエッチなシーンの多い、永井豪の原作のマンガで、それをゴールデンタイムに、お色気ムンムンで発信してしまったのだ。

それは大評判になり、子供達は夢中になり、PTAは「俗悪番組だ」と目くじらを立てた。
その余波は僕らにも直撃して、「毎週、木曜、7:30~8:00は、自宅学習しましょう」と学校から命令された。
まぁ、家で宿題をいつやろうがこっちの勝手だから、僕はルールに従わなかったが、結構、その影響力はあって、その時間帯に勉強させられてる家庭のクラスメートはいた。だから学校で「ハレンチ学園」の話をしても盛り上がれなかった。いやらしい、やり方だよな、PTAとか大人って。「ハレンチ学園」の放送時間を自宅学習の時間にしたのである。

そんな「ハレンチ学園」が文部科学大臣賞をとったそうで、永井豪の作品が続々と再版されている。
なんだか、しみじみするなぁ。「ハレンチ学園」が文科省に認められる時代まで生きてしまったのかと…。

当時、糾弾されてる若き、永井豪は、
「自分は性にめざめた頃、父親のエロ本をこっそり見た。しかし、少年の性への興味と、そのギャップは大きかった。だから自分はそれを埋めるべく、ハレンチ学園、を描いている」
というような趣旨の事を、当時、PTAなどに吊るし上げられているテレビ番組や雑誌の対談で懸命に反論していたのを覚えてる。
札幌オリンピックの直前だった。

僕は中学1年の夏休み、中耳炎になりほぼ夏休み中、耳鼻科に通った。そこの医者が良かったとか、そこの看護婦がやさしかった、なんて思い出はまるでなく、何の感謝もない病院だが、(中耳炎は治った)そこの待合室にある「少年マガジン」に連載されていた永井豪の「イヤハヤ南友」が、なんとも、いやらしくて、楽しみで、毎週、喜んで、その耳鼻科に通っていた記憶がある。

オナニーをいつから始めるかは人によると思う。時代とか文化とか学校の友人の影響とか大きいと思うが、ネットがある今だと、また違うのかなと思うが、性的なことに関心を示すのは、やはり本人の目覚めだと思う。

僕が小6の頃、山上たつひこ、の「がきデカ」が人気だった。僕は週末、東京の塾へ電車で通っていたから、その行き帰りに、「少年チャンピオン」を読んでいた。「ブラックジャック」や「ドカベン」や「エコエコアザラク」や「よたろう」もあったが、やっぱり一番人気があったのは「がきデカ」だった。

山上たつひこ、は皆さんどのくらいすごいか知らないかもしれませんが、たとえば「こち亀」の秋本治が連載当初のペンネームは、山止たつひこ(やまどめ たつひこ)だったというくらい、つまり「宝島」を「宝鳥」とか、「乞食王子」を「乞食玉子」みたいに読み間違えるダジャレにするのと同じくらいメジャーな人で、そんな山上たつひこ、の「がきデカ」以前のヒット作は、「喜劇新思想大系」で、それは僕らの世代には古臭い、性の啓蒙書だった。

そのマンガの中で主人公が、オナニーに使う道具が、「コンニャク」だった。
コンニャクを人肌に茹でて、そこに割れ目を入れると、女性器と同じような感触になるというのだ。僕のまわりでそんなことをしたという人に1人もあったことがない。だが、僕は1回だけ試してみたことがある。

コンニャクを手に入れる時は苦労した。
当時はスーパーやコンビニがないから、町の豆腐屋に行って買うのだが、コンニャク1つだけ買うと、「さては、この子、オナニーするつもりだな」と見破られそうで、仕方ない、要りもしない、焼き豆腐と木綿豆腐を一丁づつ余計に買った。
丁度、エロビデオを借りる時、「キタキツネ物語」と「タイタニック」ではさんでレジに出すテクニックと同じだ。

この話を(当時の)受付にしたら、爆笑された。普通に1つ買っても変に思う人はいないって。「じゃ、あなたは、八百屋にナス1本だけ買いに行ける?」と聞いたら、「行けますよ。1本でも、10本でも」と答えるから、「逆に10本なら平気なんだよ。ナス料理を作るみたいだから。ナスを1本だけ買うんだよ」と念を押しても、「全然、平気ですよ」と一蹴された。

僕の失敗は、コンニャクに包丁で綺麗に縦線を入れてしまったから、おチンチンをコンニャクにさすと、ヌルっと飛び出て、まるで、チビ太のおでんのように、ウインナーがコンニャクから突き出てるようなマヌケな絵づらで、僕はそれを鏡に映して、我ながらそのアホらしさに、性欲も萎え、鏡をみながら、コンニャクをさしたまま、フラダンスを踊ったものだ。↓。

BGM. かぐや姫「おもかげ色の空」


お寝坊さん

9/Ⅸ.(水)2020 はれ 志村けん、浅草芸能大賞の特別功労賞。

先日、洗濯物を出したら、靴下が片っぽない、と言われたのですが、どこを探しても見つかりませんでした。僕はほぼ毎週、日曜日、近所のイタリアンに行きます。昼から飲める店だからです。すると、 店の女の子から、「これ、忘れ物です」、とビニール袋に入れた片っぽの靴下をもらいました。↓。


まるで、検察が発表する、犯人が所持してた違法薬物の証拠品みたいですね。

僕は大抵、この店で、ワイン2本はあけて、記憶をなくして帰ってきます。だから店の人も慣れっこです。さて、お酒もほどほどが大事です。さまないと、重要な用事に寝坊するかもしれないからです。そんな訳で、今日は寝坊の話を3件します。

まずは、10年前の記事から。↓。

 

5/ⅩⅡ.(日)2010 まさかの…
今日は、しょこたんのファンクラブ限定のバスツアー。この日を、楽しみにしていた。

室内履きを用意しろ、と言われたので大岡山北口商店街で小学校用の上履きも買った。↓。
名前も書いた。↓↓。



前の晩、もらった芋焼酎「赤兎馬」を、柳家三亀松の都々逸を聴きながら呑んで空けたら、まさかの寝坊で不参加。ショックで、一日寝ていた。

それを知ってか知らずか、徳田さんが、「吉田さんって、ショコタンに似てませんか?」と問題発言をぶちかました。絶句する僕に、徳田さんは、「いやっ、ちょっとした表情とか、…仕草とかが…。ね…。(汗)。」ってとりつくろった。
一方の吉田さんには、「徳田さんとショコタンって似てると思うんですけどぉ」とすえ恐ろしいことを言われてしまった。
まるで、2人で「ショコタン」をなすりつけ合ってるみたいだ。何じゃ、ソリャ?。
下は、今週のお花。↓。ひまわり同士が、「あなたの方が似てるわよ」と譲り合ってるように見えるのは、猛暑のせいか?。


「中川翔子バスツアー」、まさかの寝坊で不参加のショック以来、ファンクラブ「ギザぴんく!」の会費を滞納していたため、ファンクラブからお知らせが来なくなり、ライブのチケットもとれなくなった。そう岡田さんにこぼしたら、「先生は、もうショコタンのことを好きではないんですよ!」と、まるでFBI心理分析官のような鋭いまなざしと口調で断定されてしまった。何じゃ、ソリャ?。

 

ついで、2年半後の記事。↓。

 

26/Ⅱ.(火)2013 曇り
先週の土曜の外来をいつもより早く終わらせたのは、翌日に「しょこたんバス・ツアー」があるからという理由ではなくて、その日の夕方から漢方薬の研究会があるからでした。それに参加するため。ところが、土曜日の外来は混雑して、皆さんには早く来ていただいていたのに、長くお待たせしてしまいましたね。すみません。
僕もお昼休みなしのノン・ストップ外来でやったのですが、研究会には間に合わない時間になってしまいました。
徳田さんも6時でカウンセリングが終わりだったので、僕らは遅番の天明さんと3人でご飯を食べに行くことにしました。
普段の土曜日より2時間も早いあがりです。商店街の空もまだ夕方の空です。僕らは、少し得した気分で、肉食になりました。
自由ヶ丘に、「焼肉ハンター」という勇ましい名前の店があり、大岡山からはそこが近いし、美味しいのでそこに行きました。
僕らは、3人で、タンやカルビやハラミやロースを2皿づつくらい食べて、ビールやマッコリや黒烏龍茶を各々、飲みました。
スタートが早いから余裕しゃくしゃくで、一週間の終りが、こんな感じでお疲れ様会みたいになって、皆、喜びました。
僕らは、少し調子に乗っていて、余裕しゃくしゃくが裏目に出て、誰も腕時計をしていなくて、誰も時間を気にしなくて、
おまけに「焼肉ハンター」が遅くまで開いてる店だから、何かの拍子に、「今、何時?」と一斉に携帯orスマホを見たら、午前の1時1分でした。
もう終電もなくなっていました。
女性をこんな遅くまで引き止めてしまったのは申し訳なく思ったのですが、
2人は僕の明日の「しょこたんバス・ツアー」を心配してくれました。
東京駅7時15分集合だと、耳にタコが出来るほど、聞かされていたからでしょうね。
自由ヶ丘は、開けた街なのですぐにタクシーは拾え、2人を車に乗せてから僕は悩みました。
6時に家を出るとして、あと5時間、ここで仮眠をとるか徹夜で行くか。
しょこたんのイベントは体力勝負だ、徹夜では無理だ。
携帯のアラームの他、家にある目覚まし時計をあるだけかき集めてかけたけれど、一昨年の悪夢が再来、翌日、目が醒めたらお昼の11時だった。
携帯の着信履歴には、「しょこたんバス・ツアー」の係りの方から、4件の電話をもらっていた。
7時15分集合なのに、最後の着信は7時45分で、バスは僕のことを30分も待っていてくれたのだ。
「しょこたんファン・クラブ」はやさしいですね。
そして、もしこの記事を見てて、バス・ツアーに参加した方がいたら、すみません、出発を遅らせたのは僕のせいです。
迷惑かけてしまいましたね、申し訳ないです。
翌日にメールのやりとり、2人とも無事帰れたと確認し安心、2人は僕のバスツアー不参加の報を聞いて残念がっていました。
しかし、「焼肉ハンター」に6時間近くいたことには一同、ビックリ。今度は営業時間を確認して入ろうと学習しました。
言い忘れましたが、「漢方薬の研究会」関係の方、急に行けなくてすみませんでした。
しかし、今回は結構マッコリを呑んだのですが、乾杯の前と寝る前に「五苓散」を飲んでたら、まったく二日酔いしませんでした。
今までに二日酔い予防には色んなドリンク剤などを試しましたが、「五苓散」が断トツで効きますね。
念のために、翌朝にも飲むと、より効果的ですね。※効果は個人的な感想です※
下が、時間も忘れる自由ヶ丘「焼肉ハンター」。牛一頭買い!!、だって。↓。

 

3発目は6年前ですね。↓。

 

18/Ⅴ.(日) 2014 晴れ
お陰様で、学会、終わりました。
本番は朝9時からだが、シンポジストは朝8時半に集合。これは、絶対、寝坊すると思ったので、徹夜して行くことにした。
いざ徹夜すると決めると、時間がいっぱいあったので、演目を8題、作った。
朝、6時にクリニックから自宅に帰り、シャワーを浴びて、学会用の衣装に着替える。
自宅の浴室の鏡に映して撮影してみた。
紺と赤のストライプのセットアップのスーツに、ネイビーのTシャツの柄は、写真では判りにくいが、若い頃のミック・ジャガー。
靴下もストーンズの柄にした。鞄は、赤。↓。


靴は、中のTシャツと合わせて、水色。キラキラしたものが、散りばめてある。↓。


会場には僕が1番乗りだった。
どこが受付かも判らないから、直接、会場の前で待った。
しばらくすると、司会の先生とシンポジストの先生2人が現われた。皆、友好的な人で良かった。
1人の先生は、以前に何かの研修会で一緒になったことがあるらしい。そう言われると、思い出した。
僕は、初めて人と会う時は、一応、臨戦態勢で行く。でも、その必要はなさそうだったので、すぐ解除した。
発表の順番は、「年の順」にした。僕は、2番目。
僕はそこで3人が首から名札をしてるのに、気付き、僕より若い先生に、<それ、どこで貰ったの?>と聞いた。
すると、その若い先生は、「あれ?送られて来ませんでした?」。<いや>。
「ひょっとして申し込みしましたか?」と若い先生。<申し込みって何?>と俺。
「学会に登録しました?」。<知らない>。
「学会参加費は?」。<まずい?>。
ちょっと間があって、若い先生は「ま、いいでしょ」と苦笑。俺もつられて、<ま、いいや>と笑った。
司会の先生が、シンポジウムの趣旨を話、僕ら3人を紹介し、スタート。ちなみに、2人の先生は、パワーポイントを使ってた。
僕は本番では、原稿を読まない。アドリブで喋る。一応、前もって、原稿を作って、それを頭に叩き込みはする。
でも、本番中にはそれを見ない。その場で頭に浮かんで来た事を話す。その方が活きた言葉になる。
だから、話が脱線したり、飛んだりするが、原稿にはない、その場で思いついたことも話すので、僕の発表は臨場感がある。そして、僕は思ったのだが、もし急な停電が起きたとしても、発表のクオリティーに変化が出ないのは僕だけだ。

やっと、開放~!
さて、まだ油断は出来ない。昨日は徹夜だから、ここで仮眠したらアウトだ。
そこで、僕は寿司屋に行き、きゃりーちゃんのライブの時間まで一杯やることにする。
店主が「良い天気ですね~」と言うので、<朝から、学会発表だったんだ>と言うと、「それはご苦労様」と労ってくれる。
刺身や焼き魚を食べながら冷酒を3~4本、呑んだまでは覚えてる。
僕は、そのまま、店のカウンターで、居眠りをしてしまった。
ハッと、目を覚ましたら、時計の針は、午後4時を回っていた。きゃりーちゃんのライブの開演時間だ。
起こせよ、寿司屋!

以上、お寝坊×3、でした。