ギャップ萌え

3/Ⅵ.(木)2010 快晴
木々高太郎の
~「木々」はペンネームで本名の「林」を分解して作ったようだ~
「わが女学生時代の罪」という探偵小説を読む。
若い女主人公が、
女学生時代のレズビアニスムの体験によって処女でありながら妊娠してしまったという話である。
渋澤龍彦は
「パルテノジェネーズという言葉がある。
ギリシャ語でパルテノスは処女、ゲネシスは生殖を意味するから、処女生殖ということになる。
この言葉が私にとってすこぶる魅力的にひびくのは、おそらく互いが相反する性質を示す二つの概念を
強引に一つに結びつけたところの言葉だからにほかなるまい。
パルテノスはそもそも不毛でなければならないのに、豊饒であるべきゲネシスと強引に結合せしめられる。
そこでパルテノジェネーズは奇妙な効果を発揮する。
コインシデンティア・オッポジトルム、
すなわち『相反するものの一致』といってもよいかもしれない」と書いている。
「乞食の王」とか「輝ける闇」とかいう言葉もいくらか似ているという。
悠久たる「ギャップ萌え」の歴史を感じる。

画像は中野ブロードウェイ4階で見つけたツンデレガチャポン。
面白かったので写メに撮っておいた。
「誰がツンデレよ!あんたが嫌いなだけよ!」。
まさかこんなところで披露できるとは思わなんだ。
BGM. ザ・クールス「シンデレラ」


コカコーラ・レッスン

2/Ⅵ.(水)2010  はれ
こんな夢を見た。
ベスト10番組の段田男のセットの饅頭を僕が食べてしまった。
おかげで番組の段どりはメッチャクチャ。
仕方なしに、即興で超ドタバタを僕と段田男で繰り広げる。
その内、賑やかし芸人達が集まって来て人間ピラミッドや相撲を取り出したから後は任せた。
僕は海岸通りを抜け防波堤へ出る。
テトラポットに腰掛けてポケットに入れてきたコカコーラの缶をよく振ってから開けた。
プシュッ。
たくさんのコトバが文字や記号に因数分解され上空を染めてゆく。
コカコーラ・レッスンみたいだ。
それに5月も終わりだというのに、何と寒い沖縄だろう。
BGM. ARB「ダン・ダン・ダン」


少女地獄

1/Ⅵ.(火)2010  今日から6月だけど五月晴れ
書庫の整理をしていたら、永島慎二の「その場しのぎの犯罪」という漫画を見つけた。懐かしい。
そういえば僕は昔しばしば、その場しのぎの嘘をついた。どうでもいい嘘。切羽詰った訳でもない。
その気になればもっと計算できる頭脳があるのにすぐバレる嘘をつく。
大人は首をひねる。手を抜いているのか?
大人は途方に暮れる。嘘のための嘘?マニエリスム?
ある日、サングラスをかけて登校し服装違反でつかまる。
僕がついた嘘は「直射日光を浴びると目が変質する眼病を患っている」。
心配した教師は一言も叱らずに、有島武郎の「一房の葡萄」を気取ったのか、一冊の本をくれた。
タイトルは、夢野久作著「少女地獄」。
中身を読んでみる。
天才看護婦・姫草ユリ子は虚言壁があり、嘘を支えるためにまた嘘をつく。
そして自らついた嘘で地獄へ堕ちていく。
そんな話。
ちなみに「一房の葡萄」は「おいしかった」と書いてあったが、「少女地獄」は後味の悪さしか残らなかった。
話は変わるが、アニメに「地獄少女」というのがあったがあれは面白かった。
K-1MAXで長島☆自演乙☆雄一郎が、主人公・地獄少女こと閻魔あいのコスプレをしたのを一度見たことがある。
BGM. オフコース「君が、嘘を、ついた」


ブログとヴァレリーとH.と私

31/Ⅴ.(月)2010 くもり 5月最期の頁
5月1日からブログを始めて、ひと月経った。
意外と書くことがあるものだ。
フランスの思想家で詩人のポウル・ヴァレリーは「なぜ書くか」という問いに対して、
「弱さによって」と答えた。
ヴァレリーの殆どは依頼原稿だったというが断り切れないという弱さだけでなく、
書こうとする内部の突き上げる衝動に易々と負けてしまうという意味を含んでいるのだろう。
まったく関係ない話だが、高校の時の英語の先生が
「ポウル・ヴァレリーと木々高太郎はよく似ている」と言っていた。
ブログの最後に必ずBGMをつけることにしたのは、コトバで伝えきれない気分を補足するためだった。
楽しそうに日記を書いてても案外気分は暗かったり、
一見重い内容でも気持は明るかったりすることがあるのが人間だ。
その日のジャスト・フィーリングな音楽をBGMで流そうと思ったのだ。
しかし、最近はもっぱらその日の記事のダジャレだったり言葉遊びが主となっている。
それでも面白ければいいと思う。
今日は二子玉川でH.と会った。
彼は今日が誕生日だったらしい。
僕より一廻り年下だ。
現在の精神科医療や今後我々がなすべきことについて話し合った。
H.といい、うちの徳田さんといい、若いのに真剣にものを考えている医療従事者がいる。
こういう人が何人かいれば日本の将来は大丈夫なんじゃないか、と思った。
BGM. シテュレイ・ティスディル「ヒー・セッド・シー・セッド」


闘魂伝承

30/Ⅴ.(日)2010 くもり
二日酔い。
きのう日本酒を5合呑んだあと、ワインを一本空けた。
知り合いの方から「二日酔いしないですよ」と言われたので油断した。
「合わせ技一本!」というのがあった。やられた。でもワインは美味しかった。
DREAM.14の地上波放送の録画を観る。
解説が、須藤元気、谷川サダハルンバ・プロデューサー、ゲスト解説が川尻達也だった。
解説陣が変わるだけで、同じ大会なのに随分と印象が変わるものだ。佐々木希とかもいるからか。
その後、録画しておいたナッシュビルの
「青木真也vsギルバート・メレンデス」を青木真也自らの解説でお届けする番組を観る。
夕方から、箱庭療法について少し調べてみた。
箱庭療法と聞いて「何それ?」という人も少ないだろう。
小説や演劇やTVで度々登場してるから、浸透してるだろう。
箱庭療法は河合隼雄が日本に持ち帰ったもので、
もともと河合は日本人で初めてのユング派分析家の資格をとるためにチューリヒのユング研究所に留学していたという。
チューリヒの郊外のツォリコンでドーラ・M・カルフ夫人に出会い、
この人から直接教わったのだという。
カルフ夫人は、イギリスのローエンフェルト女史から学んだことに自分の創意を加えて
「ザント・シュピール(砂遊び療法)」を創始したのだ。
河合は、
これは言語化には弱いが直感的にものごとをつかむ能力に長けている日本人にはピッタリの治療法だ、
とまさに直感的に感じ日本に持ち帰ったという。
その視覚的形態が日本に昔から伝わる「箱庭」を連想させるので「箱庭療法」とネーミングされたそうだ。
僕がK病院に勤めていた頃、部長のO先生に「箱庭をどう思いますか?」と聞いたことがある。
O先生は精神科医だが心理学を勉強するために京都に国内留学した経験をもつ人物だ。
箱庭療法学会を作った頃にそこに居合わせて、その学会誌の第一巻第一号に学術論文が載っている。
O先生は、箱庭は結局医者の出す処方だと言った。
薬は患者さんが飲んでそれで良くなる。箱庭もこちらが場を作ってそれで患者さんが作って良くなっていく。
同じことだという。
そして、その代謝過程が箱庭に表現されているのだ、と。
薬は飲んで良くなれば代謝なんかどうでもいいのと同じで、箱庭の意味もそんなものだと。
「薬」だから効くものと効かないものがあるし、効果には時間がかかるし、反作用や副作用もある。
箱庭の副作用とは、箱からはみだす、とかでそういうことをちゃんとこちらが関与しながら観察して、
そうなったらoverdoseだとストップをかける必要がある。
O先生はもっとえらい先生に「箱庭をどう思いますか?」と同様の質問をしたことがあったという。
そのえらい先生は
「あれは、こちらが寄り添って見守ってる中で作ることに意味があり、それは風景構成法も同じことで、
だから箱庭は決して一人じゃ作っても駄目だよ。
こちらが見ていて、それがきちんと患者さんに意識として伝わっていること、
それが大事で、それがあればバウムテストだって治療になりうるよ」と言われたという。
O先生はプレイ・セラピーも同じで、患者さんに関与しそれがきちんと伝わってることが大事で、
ただ単に緊張をほぐすために遊ばせるだけじゃしょうがない、と教えてくれた。
こういう口伝えに教わったものを次の世代の人に伝承していくことが必要だと思った。
これからは、そうして行こうと思った。
BGM. 山崎ハコ「呪い」


DREAM.14

29/Ⅴ.(土)2010 くもり時々雨
スカパーのペーパービューで「DREAM.14」を観戦する。
しろながす鯨のステーキとのどぐろの塩焼きと行者にんにくのオヒタシをつまみに一杯やりながら観よう。
DREAM.12以来のホワイトケージ導入である。
青木真也が4.17ナッシュビルで完敗を喫してから日本の総合格闘技は危機的な状況である。
ゴング格闘技は表紙で青木の敗戦の姿に「日本最弱」の文字を躍らせ危機感を煽った。
紙プロは「日本の夜明け前。幕末的格闘技、北米黒船と開国論」という特集を組み、
「日本もケージを導入しルールも北米仕様にすべき」という開国派と
「無理に北米に向き合わず、日本のリング文化を高めるべき」との鎖国派の活発化した議論を啓蒙している。
その流れでのDREAM.14である。
ペーパービューの解説は世界のTK高阪剛とゲスト解説に青木真也と笹原プロデューサーがついた。
力が入る。酒がすすむ。
メーンは桜井マッハ速人が「五味を倒した男」現ストライクフォース王者のニック・ディアスと進退をかけて臨む試合。
笹原はこう解説する。
4・17ナッシュビルで青木がメレンデスに敗れた時、
マッハから彼(ニック・ディアス)の主戦場であるケージで戦いたい、の要望があった。
リングがいいか、ケージがいいか議論されてるところでもあるが、
ニック・ディアスはDREAMのウェルター級チャンピオンであるマリウス・ザムロスキーをKOしてることもあり、
DREAMとしてもリベンジの戦いである。
技術面もそうだが、マッハの試合にかける意気込み、気持ちがケージの中でどこまで出せるかがポイントだ。
もともとマッハは自分の内面を表に出していく選手で、ここ何試合かはそれが影を潜めてた感がある。
マッハらしさを出して欲しいと語った。
グレイシーハンター桜庭は新世代グレイシー・24歳のハレック・グレイシーと対戦。
ハレッグはホイラーの息子、ホイスの甥に当る。
10年前に桜庭はハレックの叔父であるホイスと90分くらい戦ってグレイシーをやっつけた。
その時にギブアップをしないはずのグレイシー一族が負けを意味するタオルを投入した。
その役目をしたのがハレックの父・ホイラーだった。
その時、ハレックは14歳だった。
まるで大河ドラマである。
もし勝って国に帰ったらお父さんや伯父さんに褒められるぞ。
一方の桜庭は入場の際の煽りビューでエヴァンゲリオンのマスクを被り
「日本のMMA(総合格闘技のこと)はリングだ」とケージを武器のナイフで切り裂き、
4本ロープをこしらえてリングインするパフォーマンスを見せた。
桜庭は「ケージorリング」に明確な解答を見せたのである。
あとは試合内容で「やっぱりリングの方が面白い」と我々に思わせる必要がある。
しかし、相手はそんなイデオロギーとは無関係にただ敵討ちにだけ来てる男である。
僕の桜庭のイメージはいつもそうだ。
対戦相手は桜庭だけを倒しに来るのに、桜庭は目の前の相手以外のものとも戦っている。
そしてそれはいつもとても大きなものだ。
Dynamite!!でミルコに負けた時もそうだった。
最激戦区のフェザー級は人気者キッド、所が出場しヨアキム・ハンセンvs高谷も好カードで注目だ。
笹原プロデューサーは解説で
「元々、フェザー級をやる時、60~65kgの選手も出られるようにと考えていた。
今回は63kgというのをDREAMのフェザー級に決めたが、こういう形でワンマッチをする時には
それぞれの選手が納得する契約体重でやるスタイルがいいのかなと思っている。
多分行く行くはそれが分かれてフェザーとかバンタムにしていきたい」と語った。
おそらくこれは小見川を意識しての発言だろう。
小見川道大、去年の大晦日、DREAM対戦極対抗戦にて高谷を破った男であり今はフリーの立場の選手だ。
最新の紙プロのインタビューでは
「国内で出るところはないですもん。63kgに落とせないからDREAMも無理ですし」と語っている。
これに対するDREAMからの回答だろう。
ちなみに解説の高阪が言っていたが、
「65から下になると200gってのがかなり大変らしい。
カツカツの状態から200g落とすのはかなり大変らしい。
65kg以下はその体重が自分にあった体重なのか落として来たのかが明暗を分ける」と指摘した。
オープニング・セレモニー、
4・17ナッシュビルで青木真也がやられた場面にモノクロで戦闘機が飛行する映像から
「Raise your flag.」の煽りビューで盛り上がる。
「DREAM  14. White Cage Returns」の文字。
初の金網導入、DREAM12.を大阪城ホールまで観に行った思い出が蘇る。
「リアル金網デスマッチ」
「金網ザムライ対金網伊達男」
「フェザー級裏日本最強決戦」
「小さなヴォルク・ハン対格闘猿」
「神の子 DEAD or ALIVE」
「喧嘩士対バイキング」
「10年目の桜庭狩り」
「STRIKEFORCE vs DREAM」
「暴力柔術対野生のカリスマ」 そしてニック・ディアスとマッハ2人のアップ。
「このままじゃ終る」とマッハの肉声。
「Rise your flag.」の文字。
高谷・マッハ・所・桜庭のやられてるシーンがコマ割りで流れ、「旗かかげよ!」と力強いナレーションとともに、
年老いたエリオ・グレイシーのふてぶてしい表情を、へりくだるように左下から仰ぎ見るカメラワークでパーン、
「Raise your flag.」の文字のアップ。
BGM.はアフリカ音楽のようにドンドコドン・ドンドコドン、闘争心を煽る。
ニック・ディアス、マッハがそれぞれゴリラのように胸を叩いてアピールする映像、
画面が格子模様になる、「夢よ~」ナレーションの声、ケージだ…と思った瞬間にゴーンという鐘の音、
すぐさま4分割、日本人レスラーがやられてる…、目を覚ますようにナレーションの声、「奪還せよ!」、
会場の歓声、「Dー14 White Cage Returns.」の文字が画面いっぱいに、会場にパーン、大拍手。
キラキラ・ミラーボール。4分割の映像、ゴチャゴチャ。
ドーンドーンという効果音、「openinng ceremony」の文字、
チカチカ光る光と全体的にブルーライト、
白い幕に光が当たり赤くなったり青くなったり、
赤コーナー青コーナーを意味するつもりか、
動脈と静脈の象徴か、
幕が放たれケージが現れ、一盛に歓声、そして花火、ボーンボーン、
「レ~ディース・エ~ン・ジェントルメ~ンニャ!ウォン・カム・チュ~、ホワイト・ケ~ジ~、ドリィ~~ム、フォ~ティ~ニャ!」
と魔女のような声。
「DREAM14.全選手の入場です!」サングラスの男の渋い声。
青木の解説は面白かった。
KIDの復活が喜ばしい。やはり華のある選手が活躍しないと業界は盛り上がらない。
DREAM.15も土曜日の開催に決まった。
土曜日だと外来があるから試合会場に行けない。
会場アンケートに「土曜だと行けないから」とあれほど書いておいたのに。
いくら言ってもわからないな。
明日は、修斗で「リオン武vs日沖発」がある。これもスカパーで中継するので観戦しよう。
BGM. 岩井小百合「ドリームドリームドリーム」


Q

28/Ⅴ.(金)2010 はれ
お灸をしてもらう。どうやら姿勢が悪いらしい。
BGM. 坂本九「上を向いて歩こう」


僕が野球部だった頃。

27/.(木)2010 はれ 昼過ぎに通り雨
看護学校のマネージャーに借りたまま返せていない本を読む。
A.J.クローニン「城砦」。
主人公の青年医師マンスンが、
いくどか絶望しながらも熾烈なヒューマニズムと科学的真理の求道精神に支えられて、
あやまりに陥ってはもどり、誘惑に負けてはそれから逃れ、それらを一つ一つ切りぬけ、
そのたびに医者としても人間としても成長していく話。
マンスンが圧倒的な抵抗をうけたのは、個人の、社会の、そして国家の無知と沈滞。
人間の無知はおそるべき威力をもち、その牙城は微動だにしない「城砦」のようだという。
あの人はどんな想いで貸してくれたのだろうか。
BGM. 野口五郎「青春の一冊」


気づき

26/Ⅴ.(水)2010 曇り
ここのところクリニックのTVモニターがoffになってるのをお気づきの方もおられるだろうか。
実は、DVDプレイヤーが動かなくなってしまったのだ。
早く直すか買い換えないとイケナイ。
アメリカ・インディアンだかケルト人だかは、
身の回りの物が故障すると今やっていることや自分の体調をチェックせよ、
というメッセージとして受け取るのだと昔読んだことがある。
今回のDVD故障は、アメリカ・インディアンかケルト人流に言えば、
クリニックに何か不具合が潜んでいるかもしれないから再点検せよ、という風に受け取るのだろう。
見習っといて損はない。
BGM. 桜田淳子「ねぇ!気がついてよ」