文化部通信~その参拾参~

こんにちは、長らくお待たせしました。文化部通信33弾。

9月は敬老の日がありますね。
先生の尊敬する恩師 長谷川和夫先生からいただいた版画から紹介しましょう。

裏にはサイン入り

デューラーのメランコリア。
すごく簡単に言うと「憂鬱」を擬人化したものだそう。
天使が頭を抱えて、目の前の忙しい光景を見つめて憂鬱に沈んでいるよう。魔法陣、砂時計、秤、菱面体等錬金術、幾何学…周りにはすごくたくさんの物がありますね。それぞれが意味を持っているような?

意味深長です。

続いては、これが先生のヒーロー。長嶋茂雄。

下は私の好きな一枚。

 

今回は、クリニックの掲示物をアトランダムに紹介しつつ、特長を見てみましょう!
多種多様が川原クリニックの長所です。それではどうぞ!

ドリㇷ いかりや長介

涼宮ハルヒの憂鬱 長門有希

実は温度で色が変わるんです。冷蔵庫で冷やすと・・・

だんだんと色が戻っていきます。

長門有希 のバックアップである 朝倉涼子 は委員長です。

化物語 の委員長は 羽川翼

エヴァ の委員長は 洞木ヒカリ

委員長のイメージって長女っぽいですね。

 

6月に紹介した長靴を覚えていますか?
突然ですが、長靴をはいた猫コンテストを開催してみました。

エントリーNo.1 エスパーニャンコ(おそ松さん)

No.2 阪本さん(日常)

No.3 キメラ長官(スパイファミリー)

優勝は‥キメラ長官でした!
他の子たちは、座り姿勢だから足がなかなかうまくはまりませんでした。
でも、足が長くなったみたいでちょっと面白いですね。

長渕剛 は(石野真子と結婚したため)先生の恋敵ですが、唯一ファーストアルバムは持ってて「長いのぼり坂」はいい曲だと言っていました。クリニックにもあるはず‥と探したのですがありません。よくよく思い出してもらうと、レコードは長原の中古レコード屋に売っちゃったみたいです。なので写真もなしです。

そういえば、夏休みに川原先生は「ワンピース」の映画を予習なしで観に行ったそうで「あの手足の長くなるのがルフィか」と言ってました。何も知らないで行くなんて悠長ですね。
映画といえば、「シンウルトラマン」は面白かったそうですね。
長澤まさみのお面をなぜか持っている先生・・・メフィラス星人とザラブ星人を手にお気に入りの院長先生。いつまでも年長さんのようです。

ポケモンもたくさん居ますよ。
鼻の長いゴマゾウ

首の長いキリンリキ

角の長いヘラクロス

長い定規

長ネギ

・・・

長々と書いてきましたが、
皆さん何かお気付きになりました?
鋭い人は違和感を覚えたと思います。

今回の記事、「長」が多くないですか?

「”長”谷川和夫」「”長”嶋茂雄」「いかりや”長”介」「”長”門有希」「”長”渕剛」「”長”澤まさみ」…

もっと言えば「意味深”長”」とか「手足の”長”いルフィ」「悠”長”」、「特”長”」「カワクリの”長”所」。「委員”長”」は「”長”女っぽい」。「”長”靴コンテスト」を開き「足の”長”くなった」「キメラ”長”官」が優勝し。
「”長”いのぼり坂」 「”長”原の中古レコード屋」。先生のことを「院”長”」と呼んだり「年”長”さん」に例えたり。ポケモンも「”長”い」ものばかり。「”長”い定規」や「”長”ネギ」なんて。
思い返せば、冒頭のあいさつの「”長”らくお待たせしました。」から、そうでした。
それもこれも9月は別名、「”長”月」というのです。それで”長”でまとめてみました。

以上、文化部”長” スーでした。


心の護美箱(62)~宗教と精神医療

10/Ⅸ.(土)2022 過ごしやすい天気 ミック・ジャガー、エ女王を悼む「美しいお嬢さんから国民に愛されるおばあちゃんに」。

 

大学病院に通うのが好きな患者さんがいる。馴染みの主治医が異動しても「ついていかず」「大学病院につく」患者さんは一定数いる。猫は家につく、みたいなものか。

僕が大学にいる頃、先輩から引き継いだ「ある患者さん」の治療はとても難しかった。お薬を飲めば良くなるのだがすぐにやめて再発してしまうからで、その理由が「信仰上の理由」だったから。僕の前任の先生方は「イイ加減にシューキョーはやめろ」と言い、宗教は「精神科の薬は癖になる」と服用を止める。患者さんは板挟みで結局、具合が悪くなって損をしていたのは患者だった。この人の両親は仲が悪く離婚しなかったのが不思議なくらいで、子供時代のこの人は両親の仲をとりもつのが仕事だった。そのせいか、この人の人生でこの人に関わる「2つの大切なもの」は判で押したように険悪になった。まるでそうなる台本が存在し関係者がその脚本をよく読みこんで役に徹しているかのように。その順番が僕に回ってきて、僕はこの患者さんを通して「宗教」と対立する配役になった。そんな僕がしたことは患者の所属する地区の団体に電話して、「この人の病気には医学的には薬が大切なこと。ただし患者の生活には信仰が必要なことも理解してる。こちらは信仰も尊重するからどうか両者で協力して患者をバックアップしないか?」とお願いした。そうしたら相手も良い人で「そういうことなら」と話しに乗ってくれ、患者に「今度のは良い先生だね」とか言ってくれて時々「ちゃんと薬、飲んでる?」と服薬チェックまでしてくれると患者が喜んでいた。僕が大学を去った後もその人は大学病院に残ってるから今はどうしてるか知らないが、僕らの「世代」で台本を書き換えたからきっとうまく行ってると思う。

医療と宗教は元々一つで「救済」と言う名のもとに、医学の父・ヒポクラテスは神殿でおこもり療法をやっていたという起源がある。近代になり、医療と宗教が別れてしまい、そうなると「きょうだい」って結構仲が悪いから、理解し合えずいがみあってるのだと思う。もうよせばいいのに。

その子は10才の頃にお母さんに連れられて来た。目のクリクリっとした溌溂とした美少女だったが、それ以上にお母さんが清楚で優しそうで美人だったから驚いた。患者は全然学校に行ってなかったがお母さんはそれを咎めず寛容だった。僕は、この人から生まれたかった、と思わされるほどの好印象。でも理由は忘れてしまったが患者の何かが理由で児童思春期外来に来て僕が担当した。お父さんがちょっと「かたい」人でソフトに両親の仲が悪いから、患者がそれを取り持つために我が身を犠牲にして外部の大人に「SOS」を出したのだと解釈し、僕も休日返上で毎週日曜日に両親と本人と4者面談を毎回90分やった。多分、3ー4年やったと思う。両親の仲は良くなり患者への理解も進み、僕が病院を異動する時のドサクサに彼女はボーイフレンドの家に押しかけ女房のように逃げ込んで、僕の外来には転院して通って来てくれて25才くらいまで毎週みていた。そのうち男が地方に転勤するのを機に籍を入れて親と関係を切って自立した。地方に行く直前のセッションで彼女は唐突に僕にこう言った。「うちのお母さん、覚えてるでしょ?お母さん、●●の信者だったのよ。私は二世」。<二世?>「生まれた時から入信してるの。●●の教えで、学校行事は全部出れないの。誕生日会もクリスマスも七夕の短冊もよ。そりゃ学校行かないでしょ?」と笑った。<えっ?なんで今まで言わなかったの?何年もカウンセリングしてたのに>「だって、聞かなかったじゃん」だって、一本とられた。彼女は「ミクシーで二世の集まりはあるけどみんな誰にも言えないのよ。いっぱいいるよ。だから先生のところにもそういう子、来るだろうから助けてあげてね。二世は自分から絶対、言わないからね。仮に聞かれても最初はとぼけるから。でもその時に、何か変だなと思ったら怪しいからね」とコツまで教えてくれた。彼女は今なんとかなっていて、近所づきあいや簡単なパートタイムくらいはしている。

今回の安倍総理の暗殺事件で宗教の二世問題がクローズアップされて、こんなに表面化する時代が来たんだ、と僕はビックリしている。

さて、その彼女は今、どうしてるかと言うと実はこないだ来たばかり。コロナ禍で行き来はしづらくなったが、数か月に一度、電車を乗り継いで来てくれてる。そんなことも出来るようになったんだ。

こないだの診察では、「ね、こないだのブログ何よ(笑)パワーアップしてるよね~。ね、あれ見た人で、おっぱい揉ませてあげます、って人いた?」とテーブルに片肘ついて頬杖ついてこっちをまっすぐ見てニコニコ笑うのだが、僕らは安倍さんの暗殺事件以来初めて会ってるのに、こんな話題でいいのか?僕らの診察はまだ真剣勝負で腹の探り合いがつづいてる。

BGM.ザ・プラターズ「マイ・プレイヤー」