心の護美箱(37)~精神療法事始め

29/Ⅴ.(土)2021 はれ 新宿紀伊国屋書店地下のカレー屋「モンスナック」7月で閉店?

心の護美箱(36)がいっぱいになったから(37)を作りました。始めてこのブログを読む人は「何のこっちゃ?」ですね。そんな人はこちらを。→心の護美箱(36)。

さて今回はカワクリがお送りする「精神療法、三部作」の第三弾です。これを読めばあなたもカウンセリングを受けた気になれます。世間の無知な人間に対しては、カウンセリングを受けてるふりだって出来てしまいます。そんな必要がいつあるのかは知りませんが。

 

①出会い

…精神科(心療内科・カウンセリング)が一般身体科(内科・皮膚科・眼科など)と決定的に違うのは、家族や周囲が「心配してること」と、本人の「困ってること」が違うことです。たとえば家族は「リストカット」や「不登校」や「家庭内暴力」を心配しますが、本人はもっと哲学的なことで悩んでいるのに、仕方ないからやむをえず「それら」で凌いでるのに、そんなこともわからないくせに表面的な現象で右往左往する家族に対して、本質をみてない、と不満に思いながら病院に連れて来られる人がほとんどです。ですから治療のスタートは、本人が困ってることをこちらが見極め、それを一緒に解決していこうと同盟を結べるかどうかにかかっています。そのための第一歩が初回面接で、それは出会いであり、第一印象が大切です。人を見た目で判断するな、と言いますが見た目以外で判断するのは難しいです。それを補うために面接をします。こちらは患者がどんなことに困ってるかどんな人なのかを見極めようとしますが、患者も必死だからこの医者(カウンセラー)は信用できるか、とこちらを品定めして来ます。そんな真剣勝負が行われて、「じゃ、とりあえず、やっていこうか」となって、1年くらいしてからでしょうか、患者は「実は初めてここに来た時、こう思ったんですよ」と第一印象の報告をします。良い治療関係が構築できたからこそなのでしょうが、「最初は、ここは病院か?と思いました(笑)」とか「はじめてセンセーの髪色を見た時、『終わった』って思いました(笑)」と過去形で語られます。稀に初回面接で「ここ、変わってますね?」という人がいますが、感想だからそれは自由だから良いのですが、「初回からそんなことを言えるなんて、この人は変わってるなぁ」と僕は思います。

②治療構造

…設定のこと。何曜日、何時から、何分やる、などをあらかじめ決めておきます。我々の業界用語では「枠(わく)」とも言います。僕は若い頃、「枠」は、「我慢が足らない患者に不安耐性をつける目的」あるいは「患者の気まぐれに振り回されないため」のものだと勘違いしていました。なぜなら子育てをするお母さん(お父さん)には「枠」などありません。24時間365日体制です。精神療法にはある意味ほんのちょっと「育て直し」みたいな側面もなきにしもあらずだからそうした方が良いのかもしれませんが、そんなことをしてたら我々がもちません。一定水準のサービスを提供し続けることが不可能になるので、「枠」は治療者のためにあるのです。って、昔、誰か偉い先生が言ってました。ま、育児と精神療法、並べて語るのもいかがかね?

「精神分析系の技法論」の書物を読むと、大抵、最初に「治療契約」のことが書いてあり、その中でもいの一番に「お金」のことが載っています。そのくらい精神分析では「料金設定」が大切なようです。でもそれを「いくら」に設定するかは悩みます。今は一応、一律にいくらとしていますが、本来はその人の収入で変えるべきだそうです。

本場で修行してきた人に聞いたら、昔はその人の履いてる靴の値段がワンセッションの値段、とした時代もあったらしいですが、今のように価値が多様化したり、お洒落さんが多かったり、一点豪華主義でバカ高いスニーカーを履いてる学生もいるからこれはもう通用しませんね。でもカウンセリングを受けるにあたり患者もそれ相応の覚悟を問われ、それが身を切るに相応しい料金を設定するというのが出発点で収入が上がったら料金も上げ、下がったら料金もディスカウントってしてる人(時代)もあったそうです。

しかし、患者のカウンセリングに関する本気度の評価基準を「お金」にすることにちょっとためらいがありますね。昔、精神科医になりたての頃、高校の友人と朝まで飲み明かした時に、この話になって、「お前の信じる思想は人の心を金ではかるのか。さもしい奴だな」「日本人には、赤ひげ、幻想がある。おばあちゃんが治療費がないからと大根を差し出しても、医者は笑って受け取るものだ。金持ちしか受けれない治療なんておかしい。金儲けに走ったら終わりだ」「そもそもユダヤ人の発想だろ。金に汚い」「見損なった」と散々でした。このディベート、今でも言い返せるかわかりません。

僕が子供の時に日曜学校で聞いた話。募金箱の横に鐘があります。クリスマスの夜に、募金をしてそれが神様に伝わると鐘が鳴る、という伝説があります。町の大金持ちが多額の寄付をしましたが、鐘は鳴りません。誰が募金してもそうです。やはりただの伝説か。皆がそう思った時、みすぼらしい女が来てわずかなコインを募金箱に投げ入れました。それは彼女が汗水たらして働いた全財産だったのです。すると教会の鐘は町中に鳴り響くように鳴っていつまでも鳴り続けた言います。聖書の教えは重要なのは「金額」ではなく「その人の信仰心=本気度」だと言うのです。こういう初等教育を受けてると、「料金設定」ってものすごく難しいんですよ。単なる「儲け話」ではなく、真剣度や覚悟を測る物差しに「お金」を使うから、いくつになってもディベートに勝てそうもない。

と思っていたら、最近精神療法界隈でちょっとした揉め事があるそうです。発端は「アカデミック」なことだからスキャンダラスではないのですが、あえて揉め事と言う表現をしてみました。そのアカデミックな論争は「料金」の問題にも飛び火しそうで、革新派は「NPOを作って、お金の払えない子供や学生にもカウンセリングを」と言ってるらしく、主流派は保守的で体制をかえず、中には「患者のするべき仕事は精神療法家を食わせることだ」と極端なことを言う人まで。まだまだ論争はこれからのようです。昔、新日本プロレス所属の長州力が国際はぐれ軍団のアニマル浜口と組んで作った維新軍が、アントニオ猪木&藤波辰爾ら正規軍と真正面から革命闘争をした時が、日本のプロレス史上で最も盛り上がってた時期だったのと合わせて考えると、世代闘争って業界も活性化されるからどんどんやればいいと思います。

③抵抗

…わざわざお金を払って治療を求めてやってきて構造を決めて開始したのに、その治療に抵抗するという矛盾のことです。治療が進んで見たくない局面になると意識的・無意識的にキャンセルしたり、治療者と良い関係だったのがズレを感じたりするとガッカリしたり腹が立ったりしてストライキのようにカウンセリングをパスすることもあります。抵抗は必ず起きます。これをどう扱って乗り越えて認識して行くかが治療の醍醐味なので、あえてカウンセリングをキャンセルした時はたとえどんな理由でもキャンセル料が発生します。それは「あなたのために時間をとっといたのだから、時給分、頂戴ね」って意味ではないのです。昔から我々の業界では「雨が降ってもアクティングアウト」という言い伝えがあります。大雨で交通機関が止まったという表向きの理由があってもそれは抵抗の行動化(アクティングアウト)と考える厳格さが、逆にこちとらそのくらいマジだぜ的な契約だったのですが、ここに来て、コロナです。さすがに、コロナに感染してもキャンセル料とは言えません。むしろ熱があって来られちゃ困るし。こうやって、コロナはまた一つ古き良き伝統を破壊して行くのでした。

④転移

…転移という現象は精神療法以外の場面でも二人の人間が向き合えば必ず起きます。精神療法で言えば、患者は今までに体験した色々な人間関係を意識しないまま治療の中に投げ込んで来ます。患者の持ってる悩みや苦しみは大抵その中に潜んでいるから治療者は転移がどのように展開して行くかを意識して一生懸命見て行きます。転移というのは不思議で性別も関係ありません。僕は男だから「父親転移」や「おじいちゃん転移」ばかりが起きるかと思いきや「母親転移」が起きたりもします。だから「男性恐怖症」の患者には女性治療者をという発想はあまり意味がないと思います。「この人は男性が苦手だ」と理解出来てる男性治療者の方が、「何にも考えてない」女性治療者よりも良いに決まっています。

これまで僕も色々な転移を投げ込まれて来ました。戦争体験のあるおじいちゃん患者さんに「センセーは、兄貴のようだ」と言われたり、何でも僕が困ったことを解決してくれると理想化されてた女子校生には彼女が必死に興奮した時、「ね~、頼むよ、ドラえもん~!」って言い間違いされました。ドラえもん転移が川原史上最強ですね。

⑤解釈

…解釈とは治療関係の中で結局のところ、患者は何をしようとしているのか、治療者は何をしようとしているのかという理解を持つことです。大昔、日本に精神分析が輸入されたばかりの頃は、治療者と患者が一緒にテキストブックを観ながら、患者が話すことを「これに当てはまりそうだな」と勉強会のようなことをしてたそうです。それを今の精神療法に洗練させたのが「古沢平作」という人物です。一般の皆さんは知らなくて当然ですが、我々の業界でその名を知らぬ者はモグリです。権威のある専門的な学会でもその年にもっとも活躍した人に授与されるのが「古沢賞」と言います。プロ野球で言う「沢村賞」のようなものです。古沢平作は、実は、こさわへいさく、と読みます。皆さん、ふるさわ、だと思ったでしょう?もうお亡くなりになった先生ですがもしご存命なら、「今年の、ふるさわ賞は~」と司会者が言ったら、ひな壇から「こさわ、だよ!」と言うアンジャッシュのような持ちネタが出来てたことでしょう。

⑥洞察

…いくつかの抵抗を処理し、転移を理解し、解釈を通じて、患者さんは自分の基本的な問題への認識が広がります。それを洞察と言います。僕が洞察と言われて思い出すのは、中学の時の倫理社会の授業で習ったことです。その教師は心理学の授業をしてて、その中で「洞察とは、バスケット・ボールでシュートをする時に直接ゴールを狙わず、後ろの板に当ててその反動を計算してゴールに入れること、それが洞察だ」と言いました。僕はもういい年になって中学で習ったことなどあまり覚えてないのですが、これだけは忘れられないのです。間違いなのに。

⑦終結

…精神療法に終わりがあるのか?終わりがないのか?という問題があります。精神療法が「病気を治す」ためだけではなくさらに「幸福に生きる」ことを目的にするのなら当然出てくるディスカッションで、何をもって「幸福?」なんてとこから始めるからこの議論に終わりはありません。でも現実にはどこかで終わりが来ます。終わりが来る時が終る時です。それが終結です。別れはいつも突然です。いきなり終わってしまうこともありますが、理想的には終結の時にはこれまで行った精神療法の全体をもう一度おさらいしてまとめるという作業をしておしまいにしたいです。

僕が勤務医の頃、決まった曜日の宿直をしていました。宿直明け必ず、「おかあさんといっしょ(コアなファンは、おかいつ、と略す)」を見てました。毎週毎週何年か同じ歌のおねえさんとおにいさんにテレビの向こうから「おはよう~」と手を振られて癒されていました。ところがです。新年度、歌のおねえさんとおにいさんが新しい人にバトンタッチすると聞きました。僕は軽いめまいを覚えショックでした。でも一緒にこれまでの思い出を振り返って受け入れて行こうと思ったのですが、番組にはそんな配慮は微塵もなく、ある日いきなり「次回からこのおねえさんとおにいさんになります。バイバイ~」と言われました。僕のように精神療法を心得る身としては納得のいかぬ終結でした。でも、世間の多くの子供たちはスムーズに受け入れたみたいです。僕もいつしか慣れてしまい、そのお姉さんを好きになりましたが、なんと彼女こそ、「団子3兄弟」の茂森あゆみお姉さんだったのです。この歌は番組を超えて大ヒットしましたね。僕はたまたまNHKのポップジャムに「団子3兄弟」が出た番組の録画をしていて、その回の最後に、「みなさん、バイバイ~」と出演者全員が横1列で手を振る時、茂森あゆみお姉さんは2階席のお友達にも届くようジャンプして手を振りました。そして着地した時、スカートの裾が一瞬ひるがえった様子が映り込んでました。こういうのは気をつけて欲しいものです。僕は永久保存版にしておりますが。

以上、精神療法事始め、でした。カウンセリング希望の方は受付まで。

おまけ。下は何でしょう?

ヒント。香水をつけてる振付。

正解。BTSの新曲「バター」の中でメンバーが一人づつエレベーターの中でパフォーマンスを見せる時のオレンジの服のメンバーの完コピ。

BGM. BTS「Buuter」


心の護美箱(36)~精神療法総論

18/Ⅴ.(火)2021 梅雨入り 澤田隆治死ぬ。88才、野末陳平先生と同い年。

文案

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4月も2週間が過ぎ、春の風を感じる日も多くなってきました。

環境が変化した人も多いでしょうか?

変化と言うと、川原クリニックもこの春から相談室がひとつ増えることになりました!

今週16日金曜日から、早速開室します。

 

元々喫煙室だった場所が、2つ目の相談室となります。(謝って入室しないようご注意下さい!)

コロナ後は禁煙となり待合スペースとなっていましたが、あの空間が好きだった方もいるかもしれません。隠れ家みたいで素敵でしたよね。

 

ベタですが、春は出会いと別れの季節と言います。新たな出会いと聞くとポジティブなイメージですが、日常の破壊でもあります。なかなか疲れも伴います。

春風に足を取られぬよう、踏ん張っていきたいものです。

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↑これはうちの心理の、都袋美知恵(ペンネーム)、が新しい心理室が出来る時に間に合うように作ってくれた文案でアップするのをすっかり忘れていました。今さらですがアップしてみました。

さて今回は心の護美箱(35)がいっぱいになったから(36)を作りました。始めてこのブログを読む人は「何のこっちゃ?」ですね。そんな人はこちらを。→心の護美箱(35)。

前回、「精神療法各論」を書いたので、今回は順序が逆ですが、「精神療法総論」をお送りします。主にフロイトが唱えた重要なキーワードをカワクリ流に意訳して行きます。

 

①無意識の意識化

人の心は氷山の一角に例えられ、見えてる部分は全体の30%くらいで残りの70%は水面下に隠れていると言われてます。みえてる部分を「意識」、みえない部分を「無意識」といって、なんと我々の重要な物事の決定には「無意識」が大きく関与してる訳です。恋人を選ぶ時も、「今度こそ良い人!」と祈って選んでも「今度も結婚詐欺師だ!」なんてのは、無意識がそういう人をわざわざ選んでるのです。いやになりますよね?どうしたらいいでしょう。それは「無意識」を「意識化」すれば良いのだという寸法です。

たとえば、その人にとってはあまり良い父親ではありませんでした。でも無意識下では「父親をかばいたい気持ち」もあります。そこで男を選ぶ時に無意識的に変な男をチョイスします。人間なんて100%善人なんていないから、付き合う中で「無意識」に彼の嫌な部分を刺激して引き出します。そしてひどい目に会って傷ついて別れます。こんなことが繰り返されると、「所詮、男なんてみんなロクなものじゃない。お父さんだけが特別じゃない」という結論を出し、「父をかばうこと」に成功するのが無意識の力。こわいですね。これを辞めたいなら、無意識を意識化し、「行動」で処理しないようにすることが必要ですね。

無意識には常識的なところもあります。例えば、夫がいるのに浮気して若い男とデートをしようとしてるご婦人。心のどこかに罪悪感があるから、車のドアに足を挟んで歩けなくなって、デートをキャンセルします。無意識が不倫にブレーキをかけた訳です。これも罪悪感をちゃんと言語化していれば、デートに行けてたでしょう。

②防衛機制

…不安や葛藤が湧き上がって来た時に意識から追い払うための自衛手段。代表的なものを幾つか。

・抑圧、とりあえず心の奥底にしまいこみ蓋をしておく。

・否認、ないことにしてしまう。僕は忌野清志郎が死んだことを認めない派です。

・取り入れ、別れた男の口癖をいつのまにか真似して寂しさをまぎらわす。

・同一視、高倉健の映画を観終わって出てくる客は皆、肩で風切ってる。

・反動形成、差別意識が高い人ほど平等を訴える。

・合理化、イソップの寓話でキツネがブドウがとれないと「どうせ酸っぱいんだぜ」と捨て台詞。

・隔離、悲しくてやりきれないから感情を切り離す。「離人症」はつらさをリアルに感じないための防衛機制。これを利用してる風俗嬢は多い。熟練者になると「行為」をしてる自分を空中からみれる。

・退行、赤ちゃんプレイを好む社会的成功者は多い。母乳風俗も人気。

・昇華、不良たちの有り余るエネルギーをラグビーに向かわせ、皆で夕日に向かってダッシュ。

さてざっと書きましたが、「投影性同一視」というのが最近の流行りです。ちょっと難しいので、お芝居で説明しましょう。以前の心理啓蒙劇・シラノ~より。

これとよく似たものに「取り入れ性同一視」があります。クヴァード症候群って知ってますか?未開民族にクヴァード族というのがいてそこの風習では女性が妊娠すると男が「つわり」をするそうです。一説では婚姻制度がはっきりしてないから「俺が父親だ!」と主張してるとも言いますがどうでしょうね。そのクヴァード症候群が最近、日本でも多いそうですね。ひょっとして女が何股もかけてるから、「俺が父親だ!」と思いたいのかしら?押し付け合うケースはよく聞きますが、時代は変わったのかしら?男が優しいのですね。痛みを分かち合うのかしら。「すくすく子育て」というEテレの番組でもちょっと前はお母さんのワンオペが大変、だったのがコロナ以降、お父さんも子育て頑張ってるのに評価されなくて可哀想、みたいな番組に内容が変わってきてますから、クヴァード症候群増えるのかな?

③対象喪失

…「対象関係」とは、その人にとって大事な人との関係のことで、その他のどうでもいいような人間との「対人関係」と区別します。だから「対象喪失」は知り合いが死んだというよりとてもショックな喪失体験です。アメリカの診断基準で「ストレス強度」という項目があります。人によって何がストレスになるかなんて違うからそんなものに意味はないと思うのですが、各国間の比較とか疫学のリサーチにはある一定の基準が必要なのでしょう。そこでこないだまでの「ストレス強度」1位は「配偶者の死」だったのですが、最近は順位に変動があったらしく1位は「ペットロス」だそうです。ペットって不思議です。たとえば不登校の子とか場面緘黙の子に「ともだち」として犬や猫を飼ってあげます。家族が不和だからペットを飼うケースもあります。大抵の動物の平均寿命は人間より短いです。ですが、何故か、その子に友達が出来たり、居場所が出来たり、家族の仲が良くなったりすると、まるで「僕の役割は終わったね」と言わんばかりに死ぬケースが多い気がします。僕は獣医ではないから偏った母数を相手にしてるからでしょうか。

フロイトが晩年に大切にしたのは「対象喪失」に対する「喪の仕事」です。大切な人(ペットも家族か)が亡くなってからそれを受容するのにかかる時間はどんな文化圏でも「1年」と言われています。これは受容に必要な時間ではなく、喪に服す期間でしょうね。ペットロスの悲しみをもっと早く埋める方法を知ってますか?別のペットを飼うことです。

④夢

…「正夢」「逆夢」「吉夢」「夢占い」などは我々は信じません。では夢についてどう考えてるかというと、普段は記憶に残しとくと心の健康に良くない物を無意識下に抑圧して生きているけどさすがに無意識の容量も満杯になってくると、意識下に出しても良い物から寝てる間にクリーニングして洗い出します。その名残みたいなものが「夢」の構成要素になります。さすがに元の素材をそのまま出すのは安眠を妨害するから「検閲」して形をかえて夢の舞台に登場させます。だから夢は大抵、「不安」だったり「不気味」だったり「ヘンテコ」です。心が弱ってる時にバランスを取るために「良い夢」をみさせてくれることがありますが、これは要注意です。特に「うつ病」の人が「良い夢」をみて、目が覚めると「なんだ、夢か」とガッカリして自殺したりするからです。

昔何かで小児麻痺でずっと寝たきりで早死にした子の短歌を読んだことがあります。正確には覚えていませんが、こんな感じです。「思い切り草原を走ったらとても気持ち良かった。でも夢だった」、なんか目覚めのガッカリ感が伝わって来ますよね。

 

以上、精神療法総論でした。カウンセリング希望の方は受付まで。


精神療法各論

13/Ⅴ.(木)2021 霧雨。医師会会長、マンボウの中会食を謝罪。

精神療法といっても色々と流派があって、アメリカではカウンセラーの数だけカウンセリングがある、とか、400種類のカウンセリングがある、などと言われてるそうです。今日はその代表をいくつか、カワクリ視点で独断と偏見で紹介します。

①精神分析(精神分析的精神療法、力動的精神療法)

…治療構造をしっかり作り、転移(患者さんが過去に体験した様々な対人関係を治療に、無意識に、持ち込んでくること)を取り扱うことを中心に行うもの。19世紀末にフロイトが提唱しました。イエス・キリストとフロイトとカール・マルクスは人間存在に大きな影響を与えた3人のユダヤ人だと並べて語られることがあります。

フォークトリオだったRCサクセションの清志郎はバンド編成の新生RCを作るために当時の人気フォークデュオ・古井戸(ふるいど)の仲井戸麗市・チャボを引き抜きたいと思いました。そこに古井戸のもうひとりの加奈﨑がソロアルバムを出すというので楽曲を何曲か提供しました。キヨシローはどんな時よりも本気を出して「売れる曲」を作りました。これでヒットすれば、古井戸が解散してチャボが自分のところに来てくれるから。結果、チャボはRCに参加してその後の成功は皆さんご承知の通り。出会った頃のキヨシとチャボはどっちも人見知り。当時は合同でリサイタルをすることが多く、ミュージシャンが楽屋でワイワイやる輪に入れなかった者同士でした。2人がはじめてコンタクトしたエピソードが僕は好きです。楽屋のすみっこでキヨシがチャボにポケットからチョコレートを出して、「チョコ、食う?」と声掛けると、チャボが「食う!食う!」と答えたそうです。これが二人の友情の始まりです。フロイトの話をしようとしてたら、すっかり古井戸(ふるいど)の話になってしまいました。

②実存分析(ロゴテラピー)

…ユダヤ人のため強制収容所に収監されて生き延びたフランクルが提唱した実存をテーマにしたもの。フランクル著の「夜と霧(よる、と、きり)」はベストセラー。

僕は生のフランクルにあったことがあります。講演会を聞いたのです。印象的だったエピソードを話しましょう。フランクルはある神学校に呼ばれて講演会をしたそうです。司会進行は学長がしたそうです。学生から事前に集ったアンケートを学長が1枚づつ見ながら質問を選別するそうですが、ある質問紙を学長が「くだらない」と捨てようとした時、フランクルは「ちょっと待った。それを見せて下さい」と言いました。学長は「?」な顔をして「600、とは何ですか?なんて質問は下らない」と言いますが、フランクルは「いや、これは大変、重要な質問だ。神(GOD)とは何ですか?と書いてある」と言います。きっとこんなくせ字だったのでしょう。↓。

ここで重要なのは、神学校の学長には見えなかった「GOD」が自分にはみえた、というアピールでした。すごくないですか?僕はちょっと引きました。

帰りに偉い先生に「君はフランクル先生は知っているかね?」と聞かれ、「はい。夜と霜(よる、と、しも)を読みました」とジョーク(霧を霜と読み間違えた体)を言ったらカンカンに怒ってました。ジョークの通用しない人は困ったものですが、僕にも責任はあり、やはりTPOを考えるべきですね。

③森田療法

…僕の指導教官が「森田療法」の専門家だったから大学病院の病棟に畳部屋がありました。全部で50床の病棟に特別室みたいな個室があるのは異様です。入院森田療法は「絶対臥褥(がじょく)」と言ってまず最初の1週間は寝たきりで部屋から出れません。そして次のステップで日記が許され、次で散歩・軽作業と行動の自由を広げて行きます。「不安」を行動で紛らわさず、正面から向き合うためです。しかし、考えてみて下さい。うちの病棟は50床あって、様々な病気の人がいて、皆、決まった時間に食堂に行って、薬も列に並んだりします。用件があればナースステーションに自分で行きます。しかし、森田療法は絶対臥褥、部屋から出られないので看護婦さんが食事や薬を届け、ナースコールで部屋に来てくれます。畳部屋は一つしかないから、超VIP待遇ですよね。これは自己愛が満たされるというか、お殿様みたいな気分に浸れます。だから僕の感想は「うちの病棟の森田療法の効果は、自分を特別扱いされることで満足するから」だと思ってました。森田療法は森田正馬(まさたけ)先生が考案した禅の思想を取り入れた日本発の精神療法です。僕は研修医の頃にやってたせいで古臭いものだと思っていたら、最近、またブームのようです。何故でしょう?不思議だ。

④内観療法

…大学病院に勤めてる頃、夏休みの2週間を利用して地方の精神病院に行った。無医村みたいなところで、医者の頭数を必要とする病院が当時はあって長期休みには出稼ぎに行った。その土地は治安が悪く入院時に記載する問診票(当てはまるものに丸をする)の「態度」の欄に「入れ墨をみせて脅す」という項目があり、こんなものが印刷されてるということはそういう人が多いという意味なのでしょう。そこで出会った心理士の先生(60さいくらい、男)は「東京から来た若い医者」に興味を抱き、「東京の精神療法事情」を聞いて来ました。代わりに彼は自分が考案した「ロール・レタリング」という精神療法を教えてくれました。誰かに向けてお詫びの手紙を書くという指導でした。何せ入れ墨ゴロゴロですから、普通のカウンセリングじゃダメなんでしょう。「母に向かって詫びなさい」と言ってローレ(ロール・レタリングの略)。「次は父に向って、ローレ」とローレ攻めにしてくそうです。

こないだ、「23歳シングルマザー小6男子にわいせつ行為で有罪」という記事に「こういう人には罰じゃなく治療を」と書いてありましたが、僕は「こんな美人が来院しても何をすればいいかわからんな」と思いましたが、その時に、ローレのことを思い出しました。あの先生、生きてるかな?

⑤認知行動療法

…これも犯罪者の更生に役立つそうですね。しょこたんがストーカー被害にあったというニュースでも「犯人には治療を」というコメントがあって、その時に弁護士が認知行動療法は再犯防止のエビデンスがあると言い切ってました。

その真偽はともかくとして、認知行動療法とはある状況で生じる気分や行動には、その人特有の「方程式」が稼働するのだという考えです。つまり、y=f(x)、という公式を持ってる人のそれを、y=f’(x)、に換えれば、条件ⅹでも結果yの値が変わってくるという算段ですね。でも、僕に言わせれば、その方程式って結局どうやってつくられたかってその人の人生の積み重ねで出来上がった訳だから、そこを掘り下げて行くのは精神分析だから、結局、認知行動療法って精神分析の短期&焦点づけ療法じゃんって思うのですが、違うの?

⑥箱庭療法

…昔、えらい先生に「箱庭をどう思いますか?」と聞いたら、「あれは、こちらが寄り添って見守ってる中で作ることに意味があり、それは風景構成法も同じことで、だから箱庭は決して一人で作っても駄目だよ。こちらが見ていて、それがきちんと患者さんに意識として伝わっていることが大事で、それがあればバウムテストだって治療になりうるよ」だって。分かったような分からぬような。

⑦アンガーマネージメント

…「怒り」をコントロールする方法をラジオビバリー昼ズで松村邦洋が言ってました。腹が立ったら「怒」という字を思い出し、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」と10回言うと、腹が立たず、別のところが立つ、という下ネタ。高田文夫に怒られてました。

 

以上、精神療法あれこれ、でした。


ボブ・ディランは今何を考えているか?

12/Ⅴ.(水)2021 はれ 東京五輪・ボランティア医師200人募集したら280人の応募!

友人の院長がカンカン。スタッフが挨拶をしないのだという。「九官鳥やインコでも、おはよう、くらい言うぞ」と上手いことを言う。僕は「もう世代も違うし、相手も大人なんだから人格や品格やポリシーの問題なのだから、そういう人間なのだとあきらめるしかない」と諭すが、友人はそれでも納得いかず、仕方ないからしばらく愚痴を聞く。うちのクリニックに時々、子供が来るが親に促され「挨拶しなさい」と言われても親の後ろに隠れる子がいる。何されるかわからないから、そりゃそうなるだろう。でも帰る時には親に「挨拶しなさい」と言われると、「バイバイ、バイバイ」と何度も言う。やっと帰れるからの呪文や儀式のように何度も言う。そんな話を友人にしてやると、「それとまったく同じだ!朝の、おはようございます、がなく、帰る時だけ、お先に失礼します、だって。そうかぁ、あいつら子供と同じか」と納得したよう。そんな話を聞きながら松村邦洋の名言「あいさつにスランプなし」を思い出す。今こそ松村の言葉を道徳の時間で教えたらどうか。あれ?ってことはオレ、「学校って社会に出て必要なものを教えるところだ」と思ってたのか??

ま、みんな色々とストレスを抱えて生きてる訳ですが、僕はうちの心理スタッフと「グループLINE」を勝手に立ち上げました。この記事の表題は、グループLINEの名称。以下は、川原発信のメッセージの一部を特別に紹介。

 

・〇月×日。

MXの田村淳の番組で「コロナうつ」の特集でゲストに出てた専門家。何故か、右指に包帯がグルグル巻き。こんなに目立つのに司会の田村淳もレギュラーの鈴木奈々も何も言わないから、かえって気になる。

・〇月×日

これ今みてる。

正解わかりますか?

狩野英孝だけ違う答え。

全員、不正解。

京大出の宇治原も分からず。

・〇月×日

山菜(しだ)を並べてみました。

オーメン。

・〇月×日

イギリスでやった実験だって。ロックダウン中に陰性者を集めて、どのくらい感染者が出るか、だって。

いやん、バカン。

・〇月×日

アイデンティテイがないと言う人がいますね。「生まれてからずっとアイデンティティがなかった」というのがアイデンティティという逆説。これを、ナイデンティテイと名付けてみました。アイデンティティと言えば、エリック・エリクソン(えりっく・えりくそん)だから、「ナイデンティテイの時代」と言う本のペンネームを、エソック・エソクソソ(えそっく・えそくそそ)という名前にして、オッチョコチョイが「エリクソンの新刊?」と飛びつくのを狙う詐欺商法です。「天才バカボン」で贋作専門の小説家がいて、「宝島」ではなく「宝鳥」、「乞食王子」ではなく「乞食玉子」など、読者が間違えて買うのを狙うキャラクターが出てきますが、それと同じ戦略です。

・〇月×日

イカとタコの違いを知ってますか?両方とも墨を吐きますが、どっちかが煙幕にして目くらまししてそのすきに逃げる。もう片方は、墨をおとりにして相手にそれを食べさせる。どっちがどっちでしょう?正解は、煙幕がタコで、食べさせるのがイカ。そう言えば、イカ墨って美味しいですものね。話をしてて誤魔化す人っていますね。その場しのぎに話題を変える人を「タコ派」、面白そうな話でこっちの気をそっちに移させる人を「イカ派」と呼んで区別したい。肝心な話を話したがらない人を「イカ」と「タコ」で区別してみる学説を学会に発表するのをどう思いますか?

 

…ってな感じです。グループLINEだと誰かが返信すればいいから、もらった人も負担が少なくていいでしょう?僕はなんて気遣いが出来るのでしょう。友人の院長と大違い。次回は「精神療法について」。

BGM. かまやつひろし「ボブ・ディランは今何を考えているか?」


カワクリ緊急事態宣言解除

8/Ⅴ.(土)2021 はれ。石原さとみ聖火リレーランナー、物議をかもす?緊急事態宣言延長。

川原はスランプだった。みんなも同じだろうな。長引く自粛、コロナ鬱、天候の寒暖差、気圧、趣味ができない・・・などで寄る年波、体力の低下を痛感していた。カワクリの緊急事態宣言は、コロナを防ぐことよりも川原の体調を考慮したものであった。

そして、ゴールデンウィーク。ステイホームのため一升瓶を買い込んだ。
1本目は楽器正宗。↓。

楽器正宗は福島の酒。酒は酔うと結局味はよく分からないから、復興をなんとかしたいというその気持ちで好んでのんでいる。そういう偽善者だという自覚があるぼくがスキ。なんて。

2本目は、花陽浴。↓。

日本酒ランキング上位の人気の酒です。甘い。これを買ったのは、昔好きだった子の好きな酒がこの酒だったからです。歳を取ると懐かしくなって、あの子とのんでいるような気持になるかなと思ったから。
いい酒に、高級なあてをつけると酒の味がわかんなくなるもの。質素なつまみをと、セブンの金のウインナーとヤゲン軟骨で美味しくいただく。

だけど、家に居てラジオを聞いて酒をのんでるだけだから、昔のことばっか考えてしまう。昔の患者さんのことを考えてしまい、2,30年もすると精神医学の考えも変わるもので、仕方ないんだけど「あの患者さんにこうしてあげとけばよかった」と後悔もする。そろそろ現役も終わり、残りの時間を考えたりしていた。
そしたら、普段口をきかない息子が「”親鸞”って何歳まで生きたか知ってる?」と聞いてきた。(浄土真宗の宗祖で、植木等「スーダラ節」のルーツにもなっている人が”親鸞”)「わかんない」と答えると「90才」との事。当時の平均年齢は30才、単純計算で300才まで生きたことになる。息子は続けて「だから、まだこれからだから頑張れよ」だって。あと200年くらい働けと・・よし、後ろばっか見てても仕方ないと立ち直る。

ゴールデンウィーク最終日、形から気合を入れようと美容室に行った。

ハーフ&ハーフ?白黒つけろ?それは前回までの僕。
今回のテーマはブラックジャック↓

僕は忌野清志郎が死んだことを認めてないのだが、一応5月が命日。清志郎が尊敬していたのが「ブラックジャック」「子連れ狼」「オーティス・レディング」の三人。その中の「ブラックジャック」の白黒にした。

去年、コロナで江の島の密が問題視されていたが、今年の夏もみんな海水浴に行けないだろうと思い気分だけでもと、海をモチーフにネイルをしました。

題して「雨男は海水浴に来るな」
ハンドは、初夏のイメージ。↓。

足の親指についてるのはターコイズ。海に似合う石でつけたそう。↓。

というわけで、元気になり、身なりも整い、魂も入り、診療を元に戻すようにしました。

 

と、川原先生なりすましスーでした。先生が忙しいため代わりにお知らせしました。今回は分かりやすかったんではないでしょうか?でも全部本当の先生のエピソードなのでご安心くださいね。

先生もそうだったように、コロナ鬱、巣ごもりによる夫婦喧嘩、ひきこもり、天候による自律神経の乱れ、不眠、コロナ禍で知らないうちに流行って来た”病名たち”(ADHD,ASD,HSP,カサンドラ症候群など)、それにそもそも五月は「五月病」の季節。精神科・カウンセリングは不要不急ですね。
おまたせしました。新患受付再開です。

また受付時間や何か変更があればカワクリホームページでお知らせしていますので、ご覧いただければと思います。
なにはともあれ、先生が元気になってよかったです。おわり。


心の護美箱(35)~今さらわかった

1/Ⅴ.(土)2021 はれ、地震があった、雷雨も。マッチ退所。

僕がうんと子供の時に、ウルトラマンをみた。ソントンジャムという会社の提供で、滝のような川のようなせせらぎの中に「ソントンジャム」が並んで映ってるコマーシャルが番組の間に流れてたが、うちの食卓にはソントンジャムはなかった。ウルトラマンのオープニングは白黒のマーブルみたいなうねうねが「ウルトラQ」とタイトルを映し出すのだが、これは前番組の「ウルトラQ」そのままで、それが勢いよく吹き飛んで真っ赤な背景に白抜きの文字で「ウルトラマン」と出る衝撃。まだテレビは白黒放送とカラー放送が半々の時代で、「ウルトラマン」は新しい時代の幕開けの象徴のようにもみえた。僕の一個上の学年の友人が「ウルトラセブンはみたが、ウルトラマンはリアルタイムでみてない」と言ってたから(上に兄弟がいるいないとか)で随分、文化背景は変わるものだと思う。僕は「ウルトラセブン」には飽き出していた。それはウルトラセブンはロボットとか乗り物が多くて、僕は怪獣とか動物が好きで機械は嫌いなせいもある。ちなみに僕は「仮面ライダー」もみたことがない。裏番組で「巨泉のお笑い頭の体操(クイズダービーの前身番組、円鏡がこれで売れた)」をみてたから。当時は一家に一台しかテレビがなくビデオもなかったから、視聴率というのが今より信用できたと思う。

特撮ものから卒業した僕が夢中になったのは芸能界だった。月刊「明星」とか「平凡」を毎月買ってみていた。天地真理・南沙織・小柳ルミ子の三人娘が売り出し、五木ひろしがデビューし、グループサウンズを解散してソロになった堺正章や井上順が歌にお笑いに大活躍。ジュリーこと沢田研二とショーケンこと萩原健一は二枚目の代表。小学校3-4年の頃、「帰って来たウルトラマン」が放送されるというニュースが流れた。僕はもうその頃にはそんな子供っぽいものに関心がなくなりつつあったが、当時人気の「仮面ライダースナック」などのブームに乗れなかったから(テレビをみてないので)ウルトラマンならわかるぞ、という色気がなかったとも言えない。「帰って来たウルトラマン」の特集を「テレビガイド」が巻頭カラーで特集するというから買ってみたが、今でも覚えているがその号の表紙は、黒いタキシードを着て並んでいる(かくし芸大会の宣伝か?)マチャアキとドリフのカトちゃんのツーショットだった。

この二人はとても面白かった。まだ志村けんは付き人だったからテレビではみなかった。確か、4チャンで「第1回喜劇人大賞」なるものを授ける番組をみた記憶がある。由利徹や伴淳三郎などの重鎮がそろって若い芸人の話をしながら雑談の延長で大賞が決まるという訳のわからないシステムだった。大賞には「マチャアキ」が選ばれた。マチャアキのお父さん・堺俊二は笑芸人で舞台の最中に舞台で死んだことで有名だ。「お父さんの分まで頑張りな」ということを誰かが言っていた。多分、みんな同じ思いだったのだろう。僕は子供でマチャアキは好きだったから賞をもらったのは良かったと思ったがこの偉そうなおじさんが何者なのか当時はその有難味がわからなかったから退屈な番組であったが、そのせいかどうか知らないが「喜劇人大賞」は僕の知る限り第2回以降をやってないと思う。すごいぞ、マチャアキ、唯一無二のチャンピオン。

マチャアキと順之(井上順は、いのうえ・じゅんじ、と名乗っていた)はグループサウンズのスパイダースのメンバーだった。ジュリーはタイガース、ショーケンはテンプターズだった。僕は彼らがGSで活躍する姿を実際にみた記憶はない。きっとウルトラマンをみてたせいなのだろう。GSの生き残り組の人気はすごかった。新御三家が出ても、お笑いや芝居や歌で存在感見せ続けた。エンゼルハットをかぶってデビューした当時の桜田淳子がフルーチェのCMで歌を歌うのだが、それはフルーチェに色んな味があって迷っちゃうというのと自分で簡単に作れる商品で誰にあげようかな、と恋に恋する乙女感をミックスした傑作CMで、僕は今でも歌えるのだが、♪ジュリーにショーケン、マチャアキ、ジュンジ、私の私の好きな人♪、と歌うのである。ここに出てくる名前が当時の人気者ランキング上位で全員GS出身者だった。ちなみにこのCMは最後に、桜田淳子がスプーンを握りしめ空をみて、「ひろし~」というオチである。迷った挙句、桜田淳子が決めたのは「ひろし」だったのである。これは五木ひろし、とか、ど根性ガエルのひろし、という意味ではなく、当時、日本人男子で1番多い名前が「ひろし」だったからと何かで読んだ。きっと、明星か平凡であろう。

さてここで問題になることが数年後に起きる。

日本の歌謡シーンにフォークのブームが起きる。よしだたくろうの登場だ。拓郎についての細かい記述はここでは避けるが、たくろうのデビュー曲は「青春の詩(うた)」である(所説あり)。ここで豆知識。日活映画がロマンポルノに方向転換する直前、「女子学園ヤバい卒業」という夏純子が主演する青春ズべ公路線がヒットした。この映画で夏純子は敵対する不良グループと競技場でタイマンを張り、度胸を見せつけるため、そこでストリップよろしく制服を脱ぎ、まぶしいような純白のブラジャーとパンティ姿を披露した。この無軌道な若者の青春群像を描く映画に何故か突然、公園の噴水近くにギターを抱えた男が登場し歌を歌い出すのである。それが、よしだたくろうであり、歌が「青春の詩」である。音は後からかぶせたのだろう、エレキの音がするから、これはエレックレコードのファーストアルバムからの音源ではなく、シングル盤の音源だろう。この詩は♪喫茶店に入って彼女の手を握ること、あ~それが青春♪というように「~な、こと、あ~それが青春」というフレーズを重ねて行く手法でいくらでも長く出来るのが初期のよしだたくろうの作風の特徴です。その中で今回皆さんと共有したいのがこのフレーズです。それは、♪ジュリー、ショーケーン、キンちゃん~、あ~それが青春♪です。前述の如く、ジュリーは沢田研二、ショーケンは萩原健一、どちらもGSです。しかし、そうなると「キンちゃん」は誰でしょう?僕はこれを中2の頃からずっと悩んでいます。色々調べたし、ラジオにも投書したし、書籍も読み漁ったが、回答はありません。ちょっと音楽に詳しい奴にきいても、「キンちゃん?欽ちゃんだろう。萩本欽一」と答える始末。でも、ディメンジョンが違うじゃないですか。そこで僕が当たりをつけたのは、ザ・フォーク・クルセダーズの北山修。フォークルは京都のライブハウスでジュリーたちと同じステージに立っていた。一足先にジュリーたちがスカウトされ東京に向かう時、ジュリーが北山修に「先に東京に行って待ってる」と言ったセリフは有名。フォークルの当時のライブ音源を聞くと黄色い声で一色。北山修は普段は「サム(おさむ、の、さむ)」と呼ばれていますが、覆面バンド「ザ・ズートルビー(山田隆夫がいた、ずうとるび、とは別物)」では足柄金太と名乗っていたから、「キンちゃん」という呼ばれ方もしています。北山修のソロコンサートのライブ音源を聞くと、「サム~」「キンちゃん~」と二つの掛け声が聞こえます。そこで僕が出した説は、よしだたくろうの「青春の詩」の「ジュリー、ショーケン、キンちゃん~」のキンちゃんは北山修・説でした。

話は変わりますが、4月からメンバーチェンジとなったEテレの「ゴーゴーキッチン戦隊クックルン」の新メンバーは「タイゾウ」という男の子を中心に男子2、女子1、大人の女子1という構成です。ここで私がふれておきたいのは「タイゾウ」という男の子です。この子が若い頃のよしだたくろうにそっくりなのです。一人だけ年長なので背が高く、手足も長い。ノリが良くて、自分のことを「俺」と呼ぶくせにどこかしら育ちが良さそう。茶目っ気があって笑うと、眉が下がり、目がタヌキみたいにタレ目になり、肉厚のある唇がニコチャンみたいに半円を描き、まるで顔の輪郭の丸の中にもう一つ丸が出来て「◎」みたいな表情が記号になります。かぶってる帽子も拓郎がかぐや姫と一緒につま恋でやった時のオールナイトコンサートの時のバンダナを連想させます。ちょっとボンボンな不良っぽさだけど笑顔が可愛い男の子。こういう子が女性に人気が出るのは良いことだが、幼い男児が好きな変質者の目にとまらないかと心配になります。今は男の子を持つお母さんがベビーシッダーは「男はあぶない」と偏見めいた不安を抱いている世の中だからです。

さて話を元に戻しましょう。皆さんは「WOWOW」を申し込んでいますか?あれは契約してないと妨害電波みたいのでみれないシステムになってますが、中には無料でみれる番組があります。松村邦洋と松本明子のやってる「電波少年W」は無料でみれます。主にテレビの歴史を振り返るみたいな懐かしく、かつ資料的な側面のある番組です。そこで驚いたのですが、こないだゲストに萩本欽一が出演しました。欽ちゃんは元気でしたが、もうさすがに年寄りでしたね。活舌も悪いし、間も悪い、ツッコミが古くて、本人は毒気と面白みがあると思ってるんだろうけどしつこいだけ。ま、欽ちゃんを生でみれるだけで貴重なのだからそんなことは全然気にならないのだが、先に挙げた特徴はなぜかビートたけしにも共通してて、若い頃はあれだけ芸風の違った二人が同じようにみえてしまのは、年取ると人間はみな同じようにみえる仮説が出来上がりました。他のサンプルも集めてみます。と、そんなことはどうでもよくて、この番組で衝撃だったのは全盛期の「コント55号」の頃の異常な欽ちゃん人気の紹介です。「まるでアイドル」で出待ち&入り待ちは当たり前、マンションにまで女性ファンが駆けつけていたというのです。つまり、よしだたくろうの「青春の詩」の「ジュリー、ショーケン、キンちゃん~」のキンちゃんは、みんなの言う通り萩本欽一でした。俺は何を何年間も悩み続けていたのだろうか。0度と360度が同じ座標軸を示すようにグルっと考えすぎて何も考えない奴と同じ結果に辿り着く。

心の護美箱(34)がいっぱいになったから(35)を作りました。始めてこのブログを読む人は「何のこっちゃ?」ですね。そんな人はこちらを。→心の護美箱(34)。

BGM.  よしだたくろう「青春の詩」


文化部通信~その拾漆~

こんにちは、文化部通信17弾。
あっという間の5月です。
もう1年の3分の1が終ったという事実に驚きが隠せない文化部長スーです。
受付のディスプレイが少し変わりました。今までは↓

まどマギの新しい映画が出ると発表されたとの事で、映画に出てくる悪魔ほむらちゃんをドドーンと飾っています。後ろにはまどかちゃんもいます。
まどマギは完結していたらしいのですが、今回続編が出るとの事で先生はソワソワしています。

 

今月は”5”。早速探していきましょう。どうぞ。

田中邦衛さん演じる”五”郎さん。

フィンガー”5”

十四松は”五”男

”郷”ひろみ

しょこたんの誕生日は、”5”月”5”日。

ミサミサのフィギュア・・横を見ると?

”5”

立川談志 ひとり会CD全集 第五期 サインとメッセージ入り。すごいレアです!

立川談志 独り会 第”五”巻 もちろんサイン入りです。

けいおんの”5”周年フィギュア。掌に数字が書いてます。

”GO”!”GO”!MANIAC

“ゴー”ダマ・ブッダ

左から ”ゴー”スト ”ゴー”ス

”ゴー”リキー

いつもの流れですね!中国語で5は「ウー」です。

ウルトラ怪獣の”ウー”

「ウー」の正体は、娘を守るために現れた母の亡霊だそうです。
怪獣になってまで娘を守りたいという母の愛・・5月は母の日もあるのでベストマッチでした。

怪獣つながりの”ゴ”ジラ

毎回探すたびに、クリニック内は色々なもので溢れているんだなぁ・・とビックリします。全部どこにあるか分かる人は「川クリマニア」かも?

 

今回は”5”のつくものだけじゃ少なくて、記事が寂しくなると心配してくれた先生から”5”にまつわるイラストを描こう!との提案をいただきました。
ルールとして、色塗りはなし、かける時間は”5”分。
ちなみに私は絵を描くことが苦手なので、ネットで調べて参考にするのはOKとのハンデをもらいました。それではGO

1「野口五郎」

2「五郎丸」

3「五輪真弓」

4「五木ひろし」

5「後醍醐天皇」

6「後鳥羽上皇」

7「五島列島」

8「剛力彩芽」

9「サツキとメイ」

 

いかがでしょうか?1つ1つにコメントはあえてつけないでおきますが、先生のイラスト「躍動感がすごい!!!」の一言につきますね!トトロがイケメンです。
同じお題でもこんなに違う絵が出来上がるなんて面白かったです。
コロナ禍でお家で暇でたまらない人は、久しぶりにお絵かきしてみては?
(仕事の合間合間に描いていったので、5分ルールを守れたか微妙なのはお許しください。)