9/Ⅹ.(水)2024 雨のウエンズデー ジョン・レノンの誕生日
こう雨が続くと憂鬱になります。小学生時代の猪木なら学校を休んでいましたね。そんな僕はジャンバーを着て来ました。
でも気圧とセロトニンにやられて、グターっとします。
袖に般若心境をあつらえたスカジャンはジョン・レノンが死ぬ前にインタビューで着用したもののレプリカです。カメラはライカ、カメラマン・受付の渡辺さん。
今回お届けするのは「劇写メ・ストーリー」二本立てです。まだ受付に羽田さんが加入する前でうかいさんがいる頃の作品です。文章もうかいさんが書いてくれています。今なんの明るいニュースもない時代なので懐かしさも手伝い再録しますね。タイトル→うかいさん解説→本文記事→クレジットの順です。2話あります。見たことある人もない人も、5年ぶりの蔵出しなのでお楽しみください。
①◆柿と、貧乏と、文房具
これは、受付が気に入ってる作品です。
お口のケアの【炭】で毎回笑ってしまいます。
でもなんだか可哀想な物語で、少し胸糞悪くもあります。
だからなのか、コメントはありませんでした。
↓
あるところに、お嬢様学校に通う、貧乏な女の子がいました。
その子はとても秀才なため、特待生でそこの学校に入りました。
ですが、そこの学校に通う子は、自分以外、全員裕福です。
その子はひたすらに貧乏なので、お友達との様々な違いに、日々悩んでいました。
裕福な友達1「今日のわたしのおやつは、広島のもみじまんじゅう」
裕福な友達2「わたしは、プラハに売ってたチョコレート」
貧乏な女の子「いいなぁ。二つとも食べた事がないや。
わたしは、お母さんが勤めてるクリニックからもらってきた、ミルクと砂糖」
さっそく食べ始めようとした3人ですが、ここは学校の中庭。
手洗い場がありません。
でも女の子なので、用意周到です。
裕福な友達1「わたしの今日のお手拭は、三ツ星フレンチでも使ってる、これよ」
裕福な友達2「わたしは、ファーストクラスでも使われてる、これよ」
貧乏な女の子「二人とも可愛いの持ってるね。
わたしは、バイト先でお客さんが使わなかった、これ」
無事、おやつを食べ終わりました。
その後は、さすが女の子、お口のケアもかかせません。
裕福な友達1「やっぱりこれよね」
裕福な友達2「わたしはそれの新作よ」
貧乏な女の子「美味しいの?やっぱりにおいケアといえばこれよね!炭!」
裕福な友達1「おやつの時間はあっという間ね。今何時かしら?とけいで確認しましょう」
裕福な友達2「とけい、とけい、あ、あったわ。あら、もうこんな時間」
貧乏な女の子「わたしの、けいと、は時間がわからないんだ」
裕福な友達1「残った時間でシール交換しましょうよ。昨日買ってもらったの」
裕福な友達2「わたしはイギリスで買ったものよ」
貧乏な女の子「キラキラしてて綺麗だね。
わたしは手作りなんだけど、これでいいかな?」
シール交換を無事に終えた3人は、授業に戻っていきました。
次の授業は美術です。
裕福な友達1「わたしは、フランスの画家が使っているものと同じキャンバスとペンを使うわ」
裕福な友達2「わたしは世界に3つしかないキャンバスとペンを使ってみるわ」
貧乏な女の子「二人とも素敵な文房具だね。
わたしはそんな高級品持ってないから、これを使うよ」
貧乏な女の子「あはは。これじゃ、ぜんぜんかけないや…。
わたしのは文房具じゃなくて、びんぼうぐだよ…。」
女の子は、どうしてこうも違うのかと、嘆き悲しみました。
「わたしは、まともにかけるペンすら買えない」
一本のえんぴつを、小指ほどの長さになっても、大事に大事に使っていた女の子にとって、カラーペンなんて夢のまた夢でした。
そして、いいものを使っているお友達と、それを持つことすら出来ない自分を恨みました。
とうとう貧乏な女の子は、いけないことをしてしまいました。
同級生のロッカーからカラーペンを(ペン立てごと)盗んでしまうのです。
数日後、女の子は先生から呼び出されました。
先生の後姿は、とても意味深です。
「な、なにかご用でしょうか?」
女の子は、怯えながら聞きました。
とてもこわいかおです。
でも、先生は何も言いません。
何も言わず、手を前にかざしています。
『先生は怒っているんだ。わたしが人の物を盗んでしまったから』
女の子はそう気付きました。
そして、盗んだものを先生の前に置きました。
女の子は言いました。「先生、すみません。
わたしは同級生のロッカーからこれを盗みました。
どんな罰でもうけます。」
先生は女の子に聞きました。
「なんでこれを盗んだの?」
女の子は正直に答えました。
「わたしが持っている文房具じゃ、満足に絵も描けないからです。
でも、新しい文房具を買うお金はなくて。」
先生は数回うなずいたあと、女の子に言いました。
「手を出してごらん」
「これは、とっても美味しい柿だよ。これを君にあげる」
女の子は混乱して、聞きました。
「先生、なぜですか?わたしは悪いことをしたのに、なぜ美味しい柿をもらえるのですか?」
先生は一呼吸置いて、こう言いました。
「その柿で、【カキカキ】しなさい。
よし!踊ろう!」
このお話が、有名な不良更生プログラム「柿踊り」の起源である。
※今回の記事のクレジット。
記事執筆・うかい。
原作・有島武郎「一房の葡萄」。
原案・川原&うかい。
絵コンテ・うかい。
撮影・川原&うかい&杉山&渡辺。
小道具・川原私物&患者さんからの贈り物。
フリスク・ナースの塚田さん私物を拝借(無断)。
貧乏な女の子役・渡辺(初主演)。
裕福な友人1・杉山。
裕福な友人2・うかい。
先生・川原。
貧乏な女の子がペンを盗んだ引き出し・スモーク君(ピローヌ)。
②◆柿と、クマと、ウィリアム・テル
これは受付三人がそれぞれ役を与えられた最初の作品です。
先生の作る物語がどんどん凝っていってますよね。
撮影秘話は言うまでもなく、外で傘持って踊ったことです。
色んな人に見られ、蔑まれ、笑われました。
なので最後の写真は、【踊っている】というより、【戸惑っている】が正解ですね。
↓
夏の蒸し暑さから一転、
朝晩の冷えと、乾燥に怯える季節となりました。
「クマはいいな。冬眠できるから。」
人間は呑気に言いますが、野生で生きていくのは過酷なのです。
山にある、あらゆる木の実などを食べまくり、冬眠に備えるのですが、
不作の年などは食べるものがないのです。
そうなると、どうなるでしょう?
そうです、人里におりてきてしまうのです。
この二匹のクマも例に漏れず、食べ物を調達しに人里へおり、
とても美味しそうな柿を盗もうとしたのでした。
↓柿を盗むクマ↓
作物を盗まれた人間様はお怒りです。
クマを駆除しろと、村長は無慈悲な決断をします。
↓村長(フラミンゴ)と駆除されそうなクマ2頭↓↓
そこへ現れたのは、英雄【ウィリアム・テル】。
彼は「駆除なんてさせない!」とクマを庇いました。
↓村長と対峙しているヒョウ柄のウィリアム・テル↓
すると村長は言いました。
「ならば賭けをしよう。おぬしの持ってるその銃で、柿を撃てるか?」
ウィリアム・テルは首を縦に振りました。
すると村長は、不適な笑みを浮かべながらこう言いました。
「その柿が、息子の頭の上に置いてあってもか?」
↓柿を頭の上に乗せられている息子↓
苦虫を噛み潰したような顔をするウィリアム・テル。
迷いに迷っていると、息子は一言
「ダッドを信じるよ」
ウィリアム・テルは柿を仕留めると約束をし、息子に銃を向けました。
息子は目を閉じて、歯を食いしばります。
その場にいた全員に緊張が走り、どこからかツバを飲み込む音が聞こえてきました。
ウィリアム・テルは狙いを定め、引き金をひきました。
その時、
バッ!とひらいたのは、傘。
ウィリアム・テルが持っていたのは、最初から銃ではなく、傘だったのです。
息子は安堵の涙を浮かべ、クマと村長はあっけにとられていました。
さっきまでご立腹だった村長は、みるみるうちに目尻がさがり、こう言いました。
「いやいや、こりゃ一本とられた!祭りじゃ!祝いじゃ!みな踊れ!(?)」
ウィリアム・テルと息子は、柿と傘を持って踊りました。
クマも一緒に踊り出します。
村長も一緒に踊り出します。
村の外でも踊ります。
この踊りは、一晩中続きました。
後にこの物語は、「大岡山名物、傘踊り」として、語り継がれましたとさ。
おしまい、おしまい。
※今回の記事のクレジット。
記事執筆・うかい。
原案・川原&うかい。
絵コンテ・うかい。
撮影・川原&うかい&杉山&渡辺。徳田(屋外担当)。
衣装&傘提供・川原&カワクリ備品。
ウイリアム・テル役・うかい。
その息子・杉山。
熊1・川原。
熊2・渡辺。
村長・フラミンゴ(カワクリ備品)。
村長の黒子・川原(二役)。
以上です。
今日は冷たい雨ですね。雨の日の看板につけるイラストが色あせたので交換しました。
今度のは、「ルックバック」の名シーンをオマージュしています。川原&羽田さんのアイデアで、作成は羽田さんです。
イラスト部分をクローズアップ。
これを見たら雨の日も少しウキウキしないですかね?
BGM. ジョン・レノン「ウーマン」