30/Ⅸ.(木)2021 台風16号迫る 河野太郎完敗。敗因は「石破氏と組んだことがすべて」。
勝負の世界では時々、「作戦勝ち」という言い方を聞く。圧倒的な兵力の差がある相手と戦う時に有効なのは頭脳戦である。おそらく頭脳戦とは、①心理的な罠を仕掛け、②精神的に苛立たせ、③相手の持ち味を封じ込め、④攻撃を空回りさせ、⑤動きが雑になったところを仕留める、クレバーな兵法ではないか。それならば僕はかつて頭脳戦のお手本みたいな試合を観たことがある。ジャイアント馬場vsスタン・ハンセンの一戦だ。
全盛期を過ぎた馬場は勢いに乗るハンセンに破れPWF世界ヘビー級ベルトを奪われた。リターン・マッチが組まれたが、もう誰も馬場が勝つとは思わなかった。しかし、馬場はここでハンセンにものすごい頭脳戦を仕掛けたのだ。タイトルマッチが決まった日から、報道陣に「次の試合に秘策がある。ハンセンがウエスタン・ラリアートを仕掛けて来た時に‘16文ラリアート’を打つ」と言うのだ。
それを伝え聞いたハンセンは慌てた。「ナニ?‘16文ラリアート’だと?16文は馬場の足のサイズだろ?ラリアートは腕を使う技だ。どうやってやるんだ?そもそもラリアートは俺様の得意技だ!」と激高し、記者たちに八つ当たりした。
ジャイアント馬場は余裕しゃくしゃくに「ま、当日を楽しみにしてよ」と太い葉巻を吹かし、記者たちの質問を煙に巻いた。ハンセンのイライラがピークに達した頃、決戦の火蓋は落とされた。普段のスタン・ハンセンの試合ではなかった。
いつものハンセンらしい破壊力が陰をひそめた。‘16文ラリアート’を恐れるばかりに踏み込んだ攻撃ができないからだ。その為、馬場に決定的なダメージを与えられないのだ。一進一退の攻防の中、焦りから不用意に飛び込んだハンセンをクルっと馬場が「小包固め」に丸め込んで3カウントを奪って勝利した。
「小包固め」とは、相手の首に自分の腕を巻きそのまま自分の足を相手の足にひっかけクルっと前転させエビ固めにするセコイ技である。馬場は勝利者インタビューで、「16文ラリアート?そんなモン無いよ。16文は足のサイズ、ラリアートは腕を使う技。出来る訳ないだろう」と笑い飛ばした。ハンセンは‘16文ラリアート’という亡霊に負けたのである。馬場の談話を伝え聞いたスタン・ハンセンは「ガッデム!」と悔しがったという。
心の護美箱(42)がいっぱいになったので、(43)を作りました。今回はクリニックの紹介です。
実は、教科書的な治療空間作り、というのが存在して、刺激の少ない白い壁、音楽はクラッシックかイージー・リスニング、絵も風景画、刺激を少なくする工夫なのでしょう。これが書かれたのは何十年も前のことで、その間に世の中は激変しているのに、誰もそれを見直そうとしてないようにみえます。
カワクリも開院当初は、教科書的に作りました。以前の記事をみてもらえれば、今と全然違うのが判ります。今の受付が書いてくれた記事ですね。
でも、僕は思ったのでした。病院っぽさに抵抗を示す人も少なくないぞ、と。「刺激が少ない」と決め付けてられている「その風景画」や「そのクラッシック音楽」に嫌な思い出が有るかもしれない。正味、万人に共通する刺激の少ないもの、なんてこの世に存在しないだろう。どうせ何をしたって誰かしらに何かしらの「影響」があるなら、いっそ、「本当の川原先生のお部屋」を作って出迎えよう!、と今のスタイルになった次第です。
以前、刑事さんがクリニックに訪れたことがあって、「ここはお住まいですか?」と聞かれたことがあり、あらゆることに鼻が利く刑事さんが勘違いした位の我が家感です。(笑)。患者さんの反応は真っ二つで嫌な人は最初の時点でビックリして、診察を受けずに帰っちゃう(泣)。反対に「ここが落ち着く」と言ってくれる人もいる。有り難いのは、そう言ってくれる人の多くが、決して、アニメやアイドルのファンだという訳ではなく、そんなものと縁遠いお年寄りだったりすること。「ここが落ち着く」と言って貰えると嬉しい。診察日以外にも、マンガの続きが気になったと読みに来たり、勉強だけしに来る学生も出てくる。そうすると空間が力を持つのです。磁場ですね。
僕は実はそれを見越していて、設計の時点でカウンターテーブルを勉強しやすい高さに作ったのです。以前の病院で、外来の待ち時間に、暗がりで、膝の上にテキストブックを置き、テスト勉強をしてる子をみて、それが印象に残っていたから、ここのクリニックを作る時に真っ先に考えたのが、勉強に適した高さのテーブルでした。それを受付スタッフが見守れる位置に配置。受付の応援してくれるまなざしを背中から感じるアイデアは、僕の過去のプラスの実体験による。それは医師国家試験の追い込みの時期で、僕は毎日、近くのカフェテリアで1日勉強をしていて、そこには女性店員が3人いて僕を見守っていてくれて、たまにお水を入れに来てくれたり声をかけてくれたりして随分と力になった。だから、その恩返しみたいな気持ちがあるのです。
BGM. 吉田拓郎「おいでよ」