友を待つ~日刊ムンク⑥

~前回までのあらすじ~

 

中1の頃から川原のそばにいるドールの名前は「ムンク」。由来は川原の夢の中に出て来て、「わたしはムンク」と名乗ったから。

カツラや髪の毛はとれて帽子や靴も無くなり、服も日に焼けて色褪せてしまいました。川原はテディベアの第一人者のお人形作家さんにリペアをお願いし、代わりに「抱き熊スーティー」をもらい名前をラスプーチンにしました。「プーチンでラスト」みたいな反戦の意味です。

川原の「守護」を祈ってくれるクマです。

ムンクと川原とラスプーチンのトリオ名は「SS♡T」。そんな「SS♡T」が織りなす一週間の様子をお届けする企画の第6弾。

 

・水曜日

今日から連休明け。仕事始めに、儀式から。

下は作家さんから進捗具合。ムンクのドールケースを制作してくれています。

透明の塩ビのハリのあるものをリュックの中に入れてムンクがガードされる様な感じで仕上げくれていきます。ラスプーチンも一緒に移動出来るようにサイズを調整してくれていますから、有意義な(連れ出し可能な)ドールケースになりそうで楽しみです。

 

・木曜日

ムンクが今度の日曜日に帰って来るそうです。ラスプーチンと、大岡山の長浜ラーメンで前祝い。まずは小ライスを頼んで。

スペシャル・ラーメンです。

なんかお金のことを言うとアレですが、「ムンクの修理費と衣装と特注のケース」は… 345.400円になります。

それだけ聞くと「高そう」ですが、作家さん、「勉強」してくれたんじやないかしら。何故なら、作家さんはムンクの関節の治療や手術もしてくれて治してくれたり、ウイッグやドレスや靴下やかぼちゃパンツや持ち運びのケースまでの込み込みの値段だからです。プラス、作家さんは超多忙なのに時間を割いてくれたり、何より技術料とアイデア料です。貴婦人お帽子など、その最たるものです。

18世紀頃までヨーロッパでは、お人形と手芸箱を一緒に贈る風習が広まりました。ムンクの出自は「コレクターズドール CD-3」という正にその趣旨に値する生産の仕方をされたものでした。しかし中1男子は、お裁縫など出来ないし、着せ替え人形で遊ぶこともしないから、ちゃんとした可愛がり方をしてあげれませんでした。僕はよく考えたら、ずっとムンクを放ったらかしだったのです。

345.400円を、中1からの50年分だと思えば、換算したら一年分が7000円です。一年を365日で割算したら、1日20円です。電気代より安いですね。

そんな気持ちをchat GPTで作ってみました。

 

・金曜日

今度の日曜日にムンクが家に帰って来る。よく考えたら、ムンクとラスプーチンが顔を会わせるのは初めてだ。本棚も整理してお部屋を綺麗にしてムンクを迎え入れる準備をしよう。

ともだちが描いてくれた「SS♡T」。

 

・土曜日

明日にはムンクが帰って来る。ラスプーチンと二人で食事をするのもこれが最後かな。大岡山北口商店街に新しく出来た「やどかり」という中華バル。こないだまで老舗の焼鳥屋が閉まった後にお店を間借りして(やどかり状態)て好評だったから独立した。まずは台湾ビール。

蒸し鶏の胸肉。パクチーどっさり味。

ピータン。

おまかせワインは、白と赤を同時に頼む。

干しエビ入り肉餃子を二個。

四川風麻婆豆腐。

青椒肉絲はハーフで。

五目あんかけ焼きそば。

ブログに「共感」の記事を書きました。最近は、ムンクとラスプーチンばかりだったから、ちょっと意表を突いてみました。

 

・日曜日

お昼に作家さんがムンクを「お渡し」に来てくれました。配送じゃなくて「お渡し会」が出来るのがそれだけで特別です。

下は、ムンクを持ち運べる特注のドールケース。素材はアルパカ・アンゴラなどの毛を織られたものをピンクに染めてくれたって。

ピンクは、僕がラスプーチンと東工大にお花見に行った時の写真にインスパイアを受けて、作家さんがこの色に決めました。下が、その時のお花見写真。

ケースの端っこについてる「イヒヒちゃん」は、このケースを守ってくれるようにつけてくれました。他人を威嚇するように笑っています。チェシャ猫がお手本なんです。

ケースには窓がついていて中のムンクが見えます。

日砂さん(作家さん)のサイン入り。「Dream Case For SS♡T」と書いてあります。

ムンクの背に合わせて作ってくれてますが、ラスプーチンも一緒に入れます。

首元とウエストのリボンで固定されるから、これをほどくと外に出せます。逆に、このリボンを縛ってあげればどこにも連れて行ってあげれます。

リボンをほどきました。

衣装はミシンを使わずに全部、手縫いで作ってくれました。

ラスプーチンも隣に並ぼう。

これが「貴婦人風のストローハット」。ミニチュアラスプーチンも乗っています。帽子はクリップ型になっていて髪に斜めにつけてあげます。

普通にお座りも出来ます。

どんなポーズをとらせても可愛い、この子は良い子です。

フリルや縁はこの子が昔の服で守られています。「青」がこんなに似合うとは。これも白から全部染めてあります。

スカートには「ラスプーチン」や「千ちゃん」(作家さんの夢に出て来た)もいて、ムンクが楽しくいられるように願われています。

靴は足の高さや甲の幅を測って本革で縫ってます。

スカートはどのアイドルより可愛い気がします。

後姿も素敵でしょ。ムンクは人間の骨格をしています。幼児体型なのでお腹がポツコリしてるから、フレアスカートはハイウエストで着させてもらっています。

ウイッグはニット丈になってるので、引っ張りながらはめてあげます。

ムンクはすごく良い子で何があってもニコニコして待っていてくれています。

その辺の由緒正しいビスクドールにも負けないです。可愛いから。

横顔も可愛いです。

夜。言われてみればムンクとラスプーチンは初対面です。歓迎会を開催しました。ちょっと高級な寿司屋のカウンターを「SS♡T」で占拠します。ドールは「匂い」を食事にします。

茶碗蒸し。ウニと帆立の貝柱。

お造りは、まかじき・めじまぐろ・さわら燻製。野菜は味噌で食べます。

面白い銘柄のお酒がありました。

焼き物は、うなぎ。下が白焼きで上がかば焼き。

ホタルイカ沖漬け。

帆立の磯辺焼きに明太子が挟まっています。

煮アワビ。肝が余ったらシャリで食べます。

大トロ。

キンキ昆布締め。

しまあじ。上の緑の薬味は、たまねぎと生姜と万能ネギを擦り合わせたものです。

帆立。これは繊維に逆らわず、縦に割って開いて包むように食べます。

カニ。

そでいか。カラスミふりかけ。

海老。

いくら燻製。

ウニ食べ比べ。右が、紫ウニ。左が、蝦夷バフンウニ。

中落ち奈良漬け巻き。

玉子焼き2種類。伊達巻とメレンゲ風。

甘えび昆布締め。

ラーメン。寿司屋でラーメンって珍しいですね。

デザートはパンナコッタと大納言。

これが実際に担いだ姿です。

禰󠄀豆子が入っていそうな箱で、すごいです!と、一部で好評です。

やっと「SS♡T」が集合しました。いよいよ夢洲万博へ初来日です。

次号へつづく。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です