29/Ⅷ.(土)2020 はれ 池江璃花子、約1年7カ月ぶり50メートル自由形に復帰。タイムは26秒32。 目標の日本学生選手権(10月2~4日)の標準記録26秒86を突破!
名は体をあらわす、などと言うがこの人は良い人だった。
名前が「良男」である。大学時代の野球部の1年先輩だった。
僕はサードを守り、良男さんは控えの一塁手だった。
ある日の試合で、ショートの先輩が失策したあと、僕がサードゴロを一塁へ悪送球した。
ピッチャーは振り返って「怖くて三遊間には打たせられないな」と嫌味を言った。
ファーストだって捕れない球ではないだろう。
技術的な問題ではなく、捕る気がないのではないか?と思った。
無性に腹が立った。
そんな時、ベンチから良男さんの声が響く。
「ドンマイ~、ドンマイ~。川原~、くさるなよ~」。
3アウトをとり、ベンチに戻ると、良男さんが僕の横に座り、
「くっそ~、俺がファーストだったら捕ってやったのに。俺が試合に出れないから…」と
口惜しがった。
良男さんは努力の人だった。
野球部の練習日以外も自主練していた。
その試合の後、僕は良男さんに誘われ練習をした。
良男さんが一塁ベースにつき、僕がゴロを捕球したと想定しあらゆる体勢から一塁へ送球する送球練習。
細長いファーストミットの先を使ってショートバウンドの球は全部すくい上げる。
頭を超えそうな暴投もジャンプしてキャッチしてくれる。
言い忘れたが良男さんは長身である。
たまさか胸のあたりにストライクのボールを投げると、
いい音を出すためにファーストミットを思いっきり強く早くはじくように閉じる。
パシーン!球が重そうだ。
「川原~、ナイス・スロ~!」、良男さんは目をつむって青空に向かって雄叫びをあげるのだ。
こっちが照れる。
その後、僕はささいなことから日々がめんどくさくなり人間関係を全部切りたくなり部活を辞めた。
学校で部活の先輩とすれ違うとバツが悪いのは初めだけで、すぐに挨拶もしなくなった。
それでも良男さんは違った。僕の悪い噂を聞きつけると、
そのたびに学生会館まで僕を探し出しにきて、
「川原、くさるなよ」「川原、学校は辞めるなよ」と、こっちが「うん」と言うまで肩を揺すられた。
僕が今、こうして精神科医をやったりブログを書いたり出来てるのも良男さんのお陰。
「川原、くさるなよ」と言って引きとめてくれなかったら、どうなってたかわからない。
BGM. 小林旭「北へ」
良男さんって人、優しいですね。良男さんみたいな人がいれば、私も野球ギライにならずにすんだのに・・・・。
papaさん、こんばんは。
本当にそうですね。自分の努力だけでなんとかなった人っていないんじゃないかと思います。
ではまた~