13/Ⅴ.(木)2021 霧雨。医師会会長、マンボウの中会食を謝罪。
精神療法といっても色々と流派があって、アメリカではカウンセラーの数だけカウンセリングがある、とか、400種類のカウンセリングがある、などと言われてるそうです。今日はその代表をいくつか、カワクリ視点で独断と偏見で紹介します。
①精神分析(精神分析的精神療法、力動的精神療法)
…治療構造をしっかり作り、転移(患者さんが過去に体験した様々な対人関係を治療に、無意識に、持ち込んでくること)を取り扱うことを中心に行うもの。19世紀末にフロイトが提唱しました。イエス・キリストとフロイトとカール・マルクスは人間存在に大きな影響を与えた3人のユダヤ人だと並べて語られることがあります。
フォークトリオだったRCサクセションの清志郎はバンド編成の新生RCを作るために当時の人気フォークデュオ・古井戸(ふるいど)の仲井戸麗市・チャボを引き抜きたいと思いました。そこに古井戸のもうひとりの加奈﨑がソロアルバムを出すというので楽曲を何曲か提供しました。キヨシローはどんな時よりも本気を出して「売れる曲」を作りました。これでヒットすれば、古井戸が解散してチャボが自分のところに来てくれるから。結果、チャボはRCに参加してその後の成功は皆さんご承知の通り。出会った頃のキヨシとチャボはどっちも人見知り。当時は合同でリサイタルをすることが多く、ミュージシャンが楽屋でワイワイやる輪に入れなかった者同士でした。2人がはじめてコンタクトしたエピソードが僕は好きです。楽屋のすみっこでキヨシがチャボにポケットからチョコレートを出して、「チョコ、食う?」と声掛けると、チャボが「食う!食う!」と答えたそうです。これが二人の友情の始まりです。フロイトの話をしようとしてたら、すっかり古井戸(ふるいど)の話になってしまいました。
②実存分析(ロゴテラピー)
…ユダヤ人のため強制収容所に収監されて生き延びたフランクルが提唱した実存をテーマにしたもの。フランクル著の「夜と霧(よる、と、きり)」はベストセラー。
僕は生のフランクルにあったことがあります。講演会を聞いたのです。印象的だったエピソードを話しましょう。フランクルはある神学校に呼ばれて講演会をしたそうです。司会進行は学長がしたそうです。学生から事前に集ったアンケートを学長が1枚づつ見ながら質問を選別するそうですが、ある質問紙を学長が「くだらない」と捨てようとした時、フランクルは「ちょっと待った。それを見せて下さい」と言いました。学長は「?」な顔をして「600、とは何ですか?なんて質問は下らない」と言いますが、フランクルは「いや、これは大変、重要な質問だ。神(GOD)とは何ですか?と書いてある」と言います。きっとこんなくせ字だったのでしょう。↓。
ここで重要なのは、神学校の学長には見えなかった「GOD」が自分にはみえた、というアピールでした。すごくないですか?僕はちょっと引きました。
帰りに偉い先生に「君はフランクル先生は知っているかね?」と聞かれ、「はい。夜と霜(よる、と、しも)を読みました」とジョーク(霧を霜と読み間違えた体)を言ったらカンカンに怒ってました。ジョークの通用しない人は困ったものですが、僕にも責任はあり、やはりTPOを考えるべきですね。
③森田療法
…僕の指導教官が「森田療法」の専門家だったから大学病院の病棟に畳部屋がありました。全部で50床の病棟に特別室みたいな個室があるのは異様です。入院森田療法は「絶対臥褥(がじょく)」と言ってまず最初の1週間は寝たきりで部屋から出れません。そして次のステップで日記が許され、次で散歩・軽作業と行動の自由を広げて行きます。「不安」を行動で紛らわさず、正面から向き合うためです。しかし、考えてみて下さい。うちの病棟は50床あって、様々な病気の人がいて、皆、決まった時間に食堂に行って、薬も列に並んだりします。用件があればナースステーションに自分で行きます。しかし、森田療法は絶対臥褥、部屋から出られないので看護婦さんが食事や薬を届け、ナースコールで部屋に来てくれます。畳部屋は一つしかないから、超VIP待遇ですよね。これは自己愛が満たされるというか、お殿様みたいな気分に浸れます。だから僕の感想は「うちの病棟の森田療法の効果は、自分を特別扱いされることで満足するから」だと思ってました。森田療法は森田正馬(まさたけ)先生が考案した禅の思想を取り入れた日本発の精神療法です。僕は研修医の頃にやってたせいで古臭いものだと思っていたら、最近、またブームのようです。何故でしょう?不思議だ。
④内観療法
…大学病院に勤めてる頃、夏休みの2週間を利用して地方の精神病院に行った。無医村みたいなところで、医者の頭数を必要とする病院が当時はあって長期休みには出稼ぎに行った。その土地は治安が悪く入院時に記載する問診票(当てはまるものに丸をする)の「態度」の欄に「入れ墨をみせて脅す」という項目があり、こんなものが印刷されてるということはそういう人が多いという意味なのでしょう。そこで出会った心理士の先生(60さいくらい、男)は「東京から来た若い医者」に興味を抱き、「東京の精神療法事情」を聞いて来ました。代わりに彼は自分が考案した「ロール・レタリング」という精神療法を教えてくれました。誰かに向けてお詫びの手紙を書くという指導でした。何せ入れ墨ゴロゴロですから、普通のカウンセリングじゃダメなんでしょう。「母に向かって詫びなさい」と言ってローレ(ロール・レタリングの略)。「次は父に向って、ローレ」とローレ攻めにしてくそうです。
こないだ、「23歳シングルマザー小6男子にわいせつ行為で有罪」という記事に「こういう人には罰じゃなく治療を」と書いてありましたが、僕は「こんな美人が来院しても何をすればいいかわからんな」と思いましたが、その時に、ローレのことを思い出しました。あの先生、生きてるかな?
⑤認知行動療法
…これも犯罪者の更生に役立つそうですね。しょこたんがストーカー被害にあったというニュースでも「犯人には治療を」というコメントがあって、その時に弁護士が認知行動療法は再犯防止のエビデンスがあると言い切ってました。
その真偽はともかくとして、認知行動療法とはある状況で生じる気分や行動には、その人特有の「方程式」が稼働するのだという考えです。つまり、y=f(x)、という公式を持ってる人のそれを、y=f’(x)、に換えれば、条件ⅹでも結果yの値が変わってくるという算段ですね。でも、僕に言わせれば、その方程式って結局どうやってつくられたかってその人の人生の積み重ねで出来上がった訳だから、そこを掘り下げて行くのは精神分析だから、結局、認知行動療法って精神分析の短期&焦点づけ療法じゃんって思うのですが、違うの?
⑥箱庭療法
…昔、えらい先生に「箱庭をどう思いますか?」と聞いたら、「あれは、こちらが寄り添って見守ってる中で作ることに意味があり、それは風景構成法も同じことで、だから箱庭は決して一人で作っても駄目だよ。こちらが見ていて、それがきちんと患者さんに意識として伝わっていることが大事で、それがあればバウムテストだって治療になりうるよ」だって。分かったような分からぬような。
⑦アンガーマネージメント
…「怒り」をコントロールする方法をラジオビバリー昼ズで松村邦洋が言ってました。腹が立ったら「怒」という字を思い出し、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」、「女の股にこころ~」と10回言うと、腹が立たず、別のところが立つ、という下ネタ。高田文夫に怒られてました。
以上、精神療法あれこれ、でした。
このクリニックで行われている精神療法はなんですか?
papaさん、こんばんは。
たとえば、「気分障害」とか「不安性障害」の場合、薬物療法単独群よりカウンセリング併用群の方が治療成績は上だそうで、再発予防に関してはカウンセリングは薬物療法と同等と言う論文もあるようです。だからウチでは最初は薬と併用して効果を上げ、維持して、やがてカウンセリング自体の目的が「治す」ことから「より良く生きるには」「自分らしさとは」「自己実現」へと目標設定が変化して行きます。日本ではカウンセリングはあまり一般的ではないですが、欧米では「お抱えの弁護士とカウンセラーを持つことがステイタス」と言われるそうで、そのように自然にシフトして行きます。
クリニックで行われる精神療法は、①精神分析的なアプローチ、が基本ですが、患者さんのコンディションやニーズに合わせて他の物との折衷で行っています。
川原先生、こんばんは。
今日もお疲れさまです。
川原先生、ブログの女性読者を敵に回しましたね笑
こんな美人が来院したらって!
頭にくるでちゅ!(突然の幼児退行)
わたしだってダイエットに成功してちゃんとオシャレして、丁寧にメイクすればそれなりに…と思いたいんですけど…笑
弓子先生はわたしのアクセサリーやメイクを頻繁に褒めてくださるのになあ。
悔しいから、次の川原先生の診察まで断食ダイエットしようかな。嘘だけど。
さっき晩ごはん食べちゃったし。
あれ、でも、男性医師が女性患者のことをそういう風に褒めたらセクハラになるのかしら?
でも、次の診察はわたしの誕生日なので、セクハラでも何でもいいから、とりあえず、褒めてほしい!
…取り乱してすみません。
ブログに沿って、真面目な話をしましょう。
川原先生に診察でたびたび、
「それは認知の歪みですよ。」と
ご指摘いただくので、随分前に
上級心理カウンセラーの資格試験のテキストを揃えました。
もちろん、認知行動療法のテキストも入っています。
カウンセリングで、弓子先生に色々質問したり、わたしなりの意見を聴いていただいています。
弓子先生は素晴らしく分かりやすく、またユーモアを交えて解説して下さるので、勉強するのがとても楽しいです。
時々、弓子先生の冗談に笑い転げています。
自分のメンタルヘルスケアのためはもちろんですが、せっかくの機会だから、上級心理カウンセラーの資格をとりたいと弓子先生に申し上げたら、優しく応援して下さったので、無理の無い範囲で頑張りたいです。
せっかく弓子先生のような素晴らしい方に長年お世話になってこれたのだし、いつか資格と経験を生かせればいいなあ。
川原先生、お返事下さるなら、どうぞお手柔らかに笑
Marionさん、こんばんは。
あっ、そういう意味ではないです(笑)美人って誉め言葉じゃないです。
立川談志が言ってたのですが、「バカで美人を美人と言い、利口で不美人を不美人という」という意味です。
ま、冗談はともかくとして、弓子先生は素晴らしいですね。よろしくお伝えください。
資格をとるという目標は良いアイデアですね。
その昔、医学の父・ヒポクラテスは神殿で治療をしていました。まだ「治療」と「信仰」が分化しておらず、「救済」というくくりだった頃の話です。
それが自然科学の台頭とともに、両者が分かれてしまいました。だから現代で「医療」と「宗教」はあまり仲良くないです。兄弟だから(笑)
でも人を助けるのにはこの両面が両輪となることが大事な場合もあります。
スピリチュアルや占いと、科学的なカウンセリングのスキルを併せ持てば、きっと人の役に立つでしょうね。原点回帰という意味で。ではまた~
川原先生、深夜遅くまでお疲れさまです。
丁寧なお返事をわざわざ、ありがとうございます。
…なんだか上手く煙に巻かれてしまった気もしますが、こんなに遅くまでお仕事なさっているのだから、これ以上絡むのはやめます笑
弓子先生も川原先生には一目置いていらっしゃいます。
川原先生のことを
「同じ精神労働に従事する立場として、なかなか真似が出来ない、素晴らしい方ですね。」
と感嘆なさっていました。
そんなおふたりに面倒を見ていただいているわたしは本当に恵まれていると思います。
いつか、なんらかの形でご恩返しができれば嬉しいです。
まずはきちんと治療に励みますね。
パニック発作に近い予期不安のせいで眠れそうに無いので、心の護美箱にコメントさせていただくつもりですが、川原先生、今夜はもう休んで下さいね。
いつもありがとうございます。
Marionさん、こんにちは。
やさしい気遣いありがとうございます。
お礼に「プロ野球ミニ情報」をお教えしましょう。
阪神タイガースで田淵・掛布とクリンナップを打っていたブリーデンが死んでいたそうです。76才、死因不明です。
ブリーデンの現役時代、田淵が「カルーセル麻紀」を紹介したという逸話があります。
最初、「中々、キュートな子じゃないか」と喜んでいたブリーデンですが、実はカルーセル麻紀が「男」だと知ったら赤鬼のように怒ったそうです。
それ以来、ブリーデンのニックネームは「赤鬼」になったとか。っていうか、田淵って悪いですね(笑)
川原先生、こんばんは。
「プロ野球ミニ知識」、どうもありがとうございます。
…川原先生の楽しそうな笑顔が浮かんでくるようです笑
カルーセル麻紀さんぐらいお綺麗だったら、何の問題も無いような気がしてしまうのは、わたしが潜在的にバイ・セクシャル的な傾向があるからなのかしら。
随分昔の話になりますが、あるパーティーでレズビアンの女の子に
「ねえ、あなた、とても可愛いひとね。
今夜、わたしと寝てみない?
そこらへんの男なんかより、ずっと気持ちよくさせてあげる。」
と口説かれた時はびっくりはしましたが、そう悪い気はしませんでした笑
彼女の誘いに乗ってしまったら、開けてはいけないパンドラの箱を開けてしまうような気がして、お断りしましたけど。
彼女は引き際も見事で
「残念。でも、パーティー、楽しんでね。もし気が変わったら、声をかけてくれたら嬉しいな。」
と言って、去っていきました。
しつこいナンパをする男性陣には見習ってほしいです笑
今日はパニック発作の予期不安と戦いながらも、信田さよ子さんのカウンセラーとしてのコラムを読んだりしてました。
それから、SexyZoneの「Miss Mysterious」を繰り返し聴いています。
ジャニーズらしい王道のアイドルソングです。
「一体僕らはどこまでの関係なの?
未だにちょっと距離あって 埋められないで歯痒い
問いかけたって ヒラリとかわされる
核心をつかれるのって そんなに怖くて嫌なの?
手を伸ばしてみれば すぐに逃げるくせに
この心は手放さないまま
張り裂けそうさ
いたずらなAngelic smile
甘い魔術が僕を眩ませてる」
川原クリニックに携わる全てのひとが楽しくすこやかな毎日を送れますように。
Marionさん、こんばんは。
レズビアンもののビデオが一時期流行ったことがあります。
まだAVビデオの黎明期、その映像のアングルはまだ計算されたものでなく、「行為」を録画してるのです。
だから「良いところ」でクライマックスに達する「男優」の顔が延々と映り、運の悪い消費者は「男優」で行く、という苦い経験が当時の「AVあるある」で、そういうトラウマの回避法としてどこでも安心して行ける百合族ものが流行りました。ま、直に、AVの映像技術が急勾配で成長し、レズビアンもののブームは終わりました。なんの話だ?
川原先生、こんにちは。
カウンセリングについて質問です。いつも最初に「今日は何について話しますか?」と聞かれます。大体電車の中から待合にかけて話すことを考えているのだけど、ワタシのキャパシティの問題か、本当に目の前の事というか、登場人物も少なく、同じことを何度も話してしまう気がします。
川原先生はそれでもワタシについて「荷物を背負って鬱にとどまれる心の体力がついてきた」と、成長したねって言ってくれました。
それはとても嬉しかったのだけど、カウンセリング総論などを読んで、果たしてワタシの話している内容は要点を得ているのか、少し不安になりました。カウンセラーさんには伝えてあるけど、どこかカウンセラーさんさえ笑わそうとしている自分がいて、(今、関わる人物が少ない中でワタシの言ったことで笑いが起きたら、それだけで幸せを感じるので)無理はしてないけど、もっと突っ込んだ何かを話していきたい気持ちになったのです。ただ、話す内容のポイントというか、何に意識を向けていけばより質の良いカウンセリングになるのかが分かりません。
アドバイスを頂けたらありがたいです。
タモさんが好きさん、こんばんは。
今のやり方で何も問題はないと思います。カウンセラーもうまくやってくれていますよ。
人間は大変なことがあると、そこから目をそむけたくなります。飢饉で大変な時に悲しんでもいられないから、いっそのこと村中で踊ってしまおうと、意味なく踊りまくる、などです。個人も大変な時に、鬱になるのは嫌だから強がったりやせ我慢したりして、わざとテンションをあげて誤魔化す訳です。それを「マニック・ディフェンス」と言います。マニック=躁的、ディフェンス=防衛、です。
カウンセリングで考える人間の成長とは、マニック・ディフェンスせず、鬱の立場でこらえられることです。
あなたはそれが出来るようになったのだから高級ですよ。
あまり理屈に振り回されず、今のままやればいいです。
この世の中に、「教科書通り」にやってうまくいくことなど何もないじゃないですか(笑)
次回のカウンセリングでここに書いたことをそのまま言うと良いです。「書いたから伝わってるはず」と思わず、あらためて自分の口で言うことがアドバイスです。
ではまた~