~前回までのあらすじ~
18世紀になるあたりまでは女の子に、お人形(ドール)と手芸箱(お裁縫箱)を一緒に贈る風習がヨーロッパから広まりました。目的としてはお裁縫が率先して出来る女性を育成する為の文化が成立してくるのです。そしてムンクの出自は「コレクターズドール CD-3」という正にその趣旨に値する生産の仕方をされたものでした。しかしながらムンクは長い間お洋服や髪型に恵まれておらず、ムンクの仲間はと言うと、そのほとんどがゴム伸びをしたコンディションの良いとは言えない状態で一部のファンの間で売り買いされてました。すなわち、ムンクは「素敵なお洋服を用意して欲しい」とより強く思うお人形だったという仮説が生まれます。
皆さんと初対面の時のムンク。
でも、それを聞いて思ったのですが、ムンクはなんでうちに来たのでしょう?どうやって誰が持って来たんでしょう?誰かにお土産かプレゼントでもらったのか?うちに訪問した人が忘れていったのか?いずれにせよ、「この人形どうしたの?」と聞いた時に家族の誰にも心当たりがなく、不気味がられたのです。で、なんか可哀想で僕が自分の部屋に引き取ったんです。中1の時です。
中1男子だから、お人形にそれほど興味もないし、お裁縫など出来ないし、着せ替え人形で遊ぶよりソフビの怪獣を戦わせるタイプでしたから、ちゃんとした可愛がり方をしてあげないで来ました。
中1から引越しを何回かして、進学したタイミングとかで、物を整理したり、断捨離も何度かしたり、古道具屋に物を売ったりしてるのに、不思議とムンクはずっと手放さないで来ました。
ある霊能者は、「もはや呪物だ」とか「お焚き上げをしなさい」と言いました。「もうこの世にいてはいけないから人形にとっても成仏させた方がいい。引き留めてるのはあなただ」とか。でも、さすがにそれは違うだろ、と思って、一緒にいることを誓った思い出もあります。
お洋服も、ムンクを連れて、秋葉原や中野ブロードウェイに連れて行き、それこそ色んな店に飛び込みで、お洋服を作ってくれないか?と頼んだのですが、まず相手にされませんでした。
でも、今回は不思議で普段ならやらないのに苦手なFacebookを触ってお人形作家さんを見つけたのです。作家さんは、「ムンクは呪物ではないし、美しいドールだ。やるならば最高のケアを頑張ってしてあげよう!」と言ってくれたのです。そういう訳で今はお人形作家さんに預けてて、毎日、メイクをしてもらったり、ウィッグや新しい下着からお洋服などを作ってもらっています。そんなムンクから毎日、日報が届きます。今回はそんなムンクからのお便りの紹介記事です。
・月曜日
ムンクは、本日はエンジェルの少女をテーマに過ごしてるようです。ムンクの視線を感じます。机の上で、早くレースの下着とやらを作って!作って!と楽しみみたいです。
ムンクがナチュラルメイクをしてもらいました。血色が無かったのが血色のあるナチュラルなメイクで彼女も喜んでるようです。
どんどんキレイになります。
・火曜日
ムンクのエンジェル化けの昨日からのビフォーアフターの、アフター画像です。イメチェンウィッグは「赤の女王LOOK」でこんなヘアスタイルの白銀になるのかな?白い下着を作ってもらう予定の本日のムンク。
右の横の髪をゆるふわに編んでもらいました。いくらでも可愛くなる少女です。
白いお花畑のムンク。
・水曜日
作家さんのアトリエに連れてってもらいました。
作家さんのお茶休憩の時間にベルトマークとラビット巻の髪飾りをつけてもらって、また新しい一面をみせてくれるムンクです。
髪飾りには、ワイヤを仕掛けてあります。なので自在に形を仕掛けることができるのでウサギさんのようなヘアスタイルにまとめてもらいました。
癒やされますね。
こちらは、ムンクの着ていたドレスを「青いクマドレス」に使える箇所を再利用したもの。
下は、お洋服の制作過程。
ムンクが着ていた古いドレスを有効利用して、「青のクマドレス」の下地に染め直して行きます。以下より、手染めの過程です。浸すくらいで良いのでムンクのお洋服の出汁染をしました。
ムンクのお洋服を煮ます。
染は染料と塩、お酢も使うから一から綺麗になり生まれてきたようなリフレッシュを感じます。お料理みたいにも見えますね。
「青いクマドレス」に使うために思い切ったブルーに煮たら、「由緒正しいアンティークのビスクの子たちか着ているような美しいブルーになる可能性」を直感し、染めている液体に先程のドレスを様子見がてら煮て、残りの染料を浸して行きます。つまり、全て新しくしてしまうのではなく、ちゃんとムンクが着ていたドレスを引き継いでくれようという気持ちなのです。様子見がてら、水色を足していきます。
こんな色むらは計算してもそうは出せません。ムンクが着て当たりの(身体のあたる)ある箇所は明るいブルーになり、そうでない箇所は深い深いブルーです。美しいロイヤルブルーです。どこか古ぼけた様な色彩がうまい感じに煮て出されました。良かったです、古いドレスを捨てたくなかったから良い様になるように再利用して生かしてくれました。
下は、ムンクに手縫いした下着のワンピース。白だけの新しすぎる均一感。ムンクに合いそうなヨーロッパ的なイメージが広がりやすい色彩に淡く染めてもらいます。
ムンクの染ものを乾かします。下着のドレスはこなれた感じに染まりましたね。
本日の激務をムンクが労っています。また明日にそなえて。
・木曜日
今回はムンクに清書としての息吹効果を顔と身体全体にポイントで、引き算メイクを施しました。本物の高価なアンティークビスクドールの着色を施してもらいました。一見みても樹脂で出来ている子とは思えないです。もはや呪物とは言わせないです。今は素敵な女の子ですね!
足や手がでるお洋服にも、これで高価なビスクドールと争っても簡単には負けない仕上がりになっています。
マニキュアもナチュラルにしました。
髪を後ろでまとめて、可愛らしいほっかむりをかぶりました。僕のところに連れて帰る時にはスプレーでもう一層膜をかけるので筆跡みたいなものはもっと目立たなくなるようです。楽しめて癒やされますね。美術絵画みたいなムンクです。
・金曜日
ずっと一緒にいたのに、ここ最近の2人はメールのやりとりをしているのが面白いね、とムンクは思ってます。
ドレス下に見せてはくペチコートを作ってもらいました。青い布は白を青く染めたこれから仕立てるロイヤルブルーのドレスの生地になります。今の無垢な色を纏うムンクと美しくマッチしています。
・土曜日
ムンクの朝の挨拶。ちょっとレトロポップなムンクです。隣に並ぶのは、フレンチブルドッグのフレブルちゃん。
ムンクの三変化。今のムンクの姿はペチコート試着なのですが、なんだかハイジみたいでかわいいです。
パターン1、いつものムンク。
パターン2、血色の良い出力のムンク。
パターン3、セピアなムンク。
ムンクが本日の激務を労っています。今週はこんな感じです。