友に会いに行く〜日刊ムンク㉓

~前回までのあらすじ~

 

この子はいつも川原と一緒に寝ていたアンティークドールです。

川原が中1の頃からいつのまにか家にいたお人形は、家族の誰が家に持って来たのか誰にも分からず不気味がられました。可哀想に思った川原は部屋に置いてあげました。それから、約50年、どんな家族より長く川原のそばにいます。名前は「ムンク」、由来は川原の夢の中に出て来て、「わたしはムンク」と名乗ったから。カツラや髪の毛はとれて、アンティークな帽子や靴も無くなり、服も日に焼けて色褪せてしまっています。18世紀頃までヨーロッパでは、女の子にお人形と手芸箱を一緒に贈る風習が広まりました。ムンクはそんな伝統を受け継ぐ「コレクターズドール CD-3」という「素敵なお洋服を用意して欲しい」と強く思うお人形だったのでした。そうと知った川原はテディベアの第一人者のお人形作家さんとコンタクトを取り治療とお洋服作りをお願いしました。

作家さんのアトリエで人気者になるムンク。

ムンクがいない間の代わりに作家さんが作った「抱き熊スーティー」という子をくれました。名前は反戦の願いを込めてラスプーチンにしました。「プーチンでラスト」みたいな意味です。

川原の「守護」を祈ってくれるクマです。

ムンクが帰って来ました。

ムンク・川原・ラスプーチンのトリオ名は「SS♡T」。成長して行く「SS♡T」の成長譚「日刊ムンク」の第23弾。

 

・月曜日

後輩の診療所を表敬訪問。

訪問看護をしているナースも交えて。

そこに近隣で開業してる先輩も駆けつけてくれて。

ミャクミャクのシューズを自慢しているところ。

4人で記念写真。

打ち上げは近所の「餃子の王将」。

 

・火曜日

しばらく家族と会わないな、と思ってたら、新幹線で大阪に旅行に行ってたらしい。万博に行ってたんだって。三泊四日。
どうも、家がひっそり閑、としてると思った。

 

・水曜日

そんな家族のお土産。ミャクミャクと伊藤潤二のコラボ、Tシャツ。

缶バッジはひとり5個まで。

まさかの「男」しか出ませんでした。

心なしかムンクも「富江、出なかったのね」と顔しています。

おかげでムンクが、ヒロイン独り占め状態。

 

・木曜日

サンリオの「いちご新聞」10月号をゲットする。今月号は、クロミがポスター。クロミの誕生日が、10月31日だから。ちなみにキティちゃんは11月1日。

今日は大雨で大岡山に来る電車が止まり、キャンセルが多発。商店街も滝のようで川のようで波のようでした。

 

・金曜日

男が頼りない気持ちになって、助けて欲しくなった時に女の人にはどういう場合が刺さるのかな?と考えた。知り合いの顔を一人づつ思い浮かべて、「ひとによって違うんだろうな」とそう思った。

 

・土曜日

そう言えば言ってなかったと思うけど、ムンクをリペアしてくれた作家さんから聞いた話で、ムンクの関節の奥から僕の髪の毛と思われし「緑色の髪の毛」が出て来たという。ムンクは僕といつも一緒に寝ていたからそんなこともあるかと思うし不思議なことではないけれど。
ひとは自殺しそうになった時に強く抱きしめて欲しいと思うことがる。それはどこかに吹き飛ばされてしまうのを食い止めるために地に足がつくように「アース」の役割をして欲しいからで、「温もり」とか「人肌」などという感傷的な理由ではなくて、もっと力学的な理由なのだと思う。

明日は同窓会。

 

次号へ続く。


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