23/Ⅹ.(土)2021くもり 眞子さま&磯山さやかの誕生日、眞子さま30才&磯山さやか38才。
僕は六星占術でいう「大殺界」の3年間が今年でやっと抜けるらしくホッとしたのも束の間、来年からは「厄年」らしい。もう何を信じたら良い物か。結局、自分に都合の良い物しか信じないという大方の人と同じ結論になる。我慢した「3年間」を返せと言いたい。
しかし、重なる時は重なるもので、色んな方面からストレスは一度に来るもので、そんな時、僕は、ガッツ石松、を思い出す。ガッツ石松は若い頃、繁華街で10人組のチンピラとケンカになった。いくらガッツが腕自慢でも10人相手では、かなうまい。そこでガッツがとった戦略とは?ガッツは、行き止まりの細い路地をみつけ、そこは大人1人くらいしか通れない狭さで、ガッツはそこに入り、突き当たりのカベに背を向け臨戦態勢。相手は1人づつしか入って来れないから、1人づつ順繰りにぶんなぐって、全員、倒したという武勇伝。
ガッツ石松と聞くと、世間の人は「バカ」と誤解しているが、なかなかの策士だ。問題山積とは、辞書で調べたら、片付けるべき問題が山積みにたくさんあることを言う。昔の人は、分散して1年中悩まされるくらいなら、少々大変でもいっぺんに来てもらった方が気が楽だ、と強がったと聞く。たくさん色んな方面のストレスからキャパシティーオーバーになった時や、スケジュール帳が真っ黒になった時は、脇見をせず、目の前のことを一つづつ、ガッツ石松方式でがんばることにしている。
心の護美箱(44)がいっぱいになったので、(45)を作りました。今回は、緊急にお伝えしたいメッセージ、それは、僕の知っているサクセス・ストーリーは、皆、黒星スタートだ、である。プロの洗礼、とでも言うべきか。
アントニオ猪木のデビュー戦は、大木金太郎に頭突きでフォール負け。同日デビューのジャイアント馬場は田中米太郎に「股割き」で勝っている。
新人・長嶋茂雄の開幕戦は、国鉄スワローズの金田正一の前に4打席4連続三振。金田は3三振を奪った後の4打席目でも臆せずブンブンとバットを振り回してくる新人・長嶋茂雄に恐怖を抱いたと言う。世界のホームラン王・王貞治は、デビューから26打数ノーヒット。長いスランプからのスタートで、27打席目の安打がホームランであった。
私事ではあるが、僕も研修医に成り立ての頃、無断欠勤がバレて、ペナルティーで「2週間連続当直」の刑になった。今でもそうだが、医者の当直は、翌日も勤務である。当直は当直室で仮眠して、呼ばれたらすぐ病棟や救急外来に行くのが仕事。だから、運が悪ければ、2週間まともに寝れないのだ。でも僕は、へこたれなかった。勿論、自業自得だと反省した、のではない。2週間、当直室から家に帰れない泊り込みという状況が、「日本一のホラ吹き男」の植木等みたいだと思ったからで。映画「日本一のホラ吹き男」で、臨時雇いで会社に入った植木等が配属された部署は、会社にとって何の関係もない古い書類の整理。皆、やる気がない。「ここじゃ、いくら頑張っても出世はないよ」と先輩から言われる。すると、植木等は、底抜けに明るいテンションで、張り切って、荷物をまとめて会社に泊まり込み、仕事をする。「そんなにまでして残業代が欲しいのか」という皮肉にも、「いいえ、残業代はビタ一文、いりません」と1人で、書類を全部、片付けてしまう。労働組合は残業して残業代を取らないことを問題視し、同じ職場の人間達は「仕事がなくなってしまった」と不満を言う。そうして、会社は仕方なく、植木等を他の部署に係長待遇で異動させる。ここからホップ・ステップ・ジャンプ!東京オリンピックの直後の映画で元・三段跳びの選手だったという設定の植木等は、三段跳びの様に出世して行く。高度経済成長の時代のサラリーマンに元気を与えたと言われる映画だが、今、観ても色褪せないパワーだ。なので、僕も植木等のマネをして、家から色んな物を当直室に持ち込んだ。浅草のマルベル堂で、クレージーキャッツのブロマイドをオーダーメイドで引き伸ばし、それを当直室の壁に貼った。陰気な当直室が、まるで僕の1人暮らしの部屋みたいに衣替えした。評判を聞いて、何人もの看護婦さんや他科の研修医も覗きに来た。皆、「お~」って言ってた。今思うと、カワクリの空間作りのルーツは、この当直室に起源があったのかも。クレージーの特注ブロマイドは、今もカワクリの待合室のテレビ側のソファの方に貼ってあります。↓。
丁度、半分の1週間が終った時点で、調子に乗った僕は、「トニー谷」のブロマイドの特注も発注した。そのニュースに異常に反応した人たちがいた。それは病棟のナース達でした。女性には、つらそうな姿をアピールするより、平気の平左、で明るく振舞った方が母性本能をくすぐるみたいで、ナースは一丸となって、僕の味方をした。彼女らのナイチンゲール精神は組織立って、医者や教授や医局長に「いくら何でも可愛そうだ」と意義を申し立てた。
「過重労働でミスが起きたらどうするつもり?」
「川原先生だから笑って仕事が出来ているのよ」
「いえ、ああ見えて、顔で笑って心で泣いているのよ」
「あぁ、いじらしい」
「それに比べて、他の医者は川原先生に仕事を押し付けて、楽をしてるのよ」
「他の医者は、ズルイわ」
などと、本来、僕が無断欠勤したのが問題なのに、矛先が他の医者に向いた。実際は、僕は研修医だったから、当直には必ず上級医の先生が日替わりで付いていて「2週間当直」というのは、半分、洒落だった。つまり、学生気分の抜けない僕に社会人の厳しさを教え込ませるための親心であり、問題を大きくしない配慮だった。そして、2週間、毎日、日替わりで色んな先輩から、生の知識を吸収できるチャンスを用意してくれたのだった。僕は、ゴールデン・ルーキーで、精神科医として期待されていたのだ。そんな内輪な洒落は、ナースには通じない。
彼女らは、川原先生を守るためにはストライキも辞さず、の構えだ。病棟でナースにストなどされたら、大変だ。医者が、検温や配膳や採血や保清など、駈けずり回らなければならなくなる。ナース・コールも医者がとる事態になる。これには上層部もあわて、急遽、僕のペナルティーは1週間で解除された。そして、医局長はナースの前で、僕を労う為の1席を自腹でもうける約束までさせられた。憎憎しげに、医局長が、「川原君、何を食べたいんだい?」と僕にだけ見える角度で恐ろしい顔をして質問した。僕は、「●●のうなぎ」と高級な鰻屋の名前を告げ、「個室で、コースにしてね」と答えた。ナースを納得させるには、それが最善の策だった。そして、僕と医局長は週末、本当に二人きりで、鰻屋の個室でコースを食べたのでした。さすが、名店!、うまかったです。
何を言いたいかと言うと、「始めから上手く行く人はいない!」、ということで、ヒーローでさえ最初は皆、黒星スタートなんだから、仮にそうだとしても腐らずに頑張ろう!、というエールです。
BGM. 植木等「スーダラ伝説」