11/Ⅷ.(火)2020 東京で2年振りに37℃越 香港警察、民主活動家・アグネス・チョウ逮捕
「特別に愛してよ、十七の夏だから」という桜田淳子のヒット曲を思い出した人も多いのではないでしょうか、小池百合子の「特別の夏」宣言。帰省も旅行もしにくいから、海外旅行はもっと難しいですね。なので、今回は海外旅行に行ったつもりになるように、9年前の記事を編集して載っけます。行先は、今や大変な情勢にある、香港です。
9年前といえば、2011年。3・11の年です。あれだけ大変だったのに、夏には海外旅行に行けたんですから、今年がいかに特別かわかりますね。↓。
うちの家族旅行は、女性陣が(妻と娘)が行き先から何から何まで決めて、男性陣は(俺と息子)は黙ってその企画に乗っかるというシステムが確立されている。
特に、僕の場合はひどいもので、行き先もうる覚えのまま、当地で今回の旅先がどこかを知る始末。それでも、誰も困らない。それでも、地球は回ってる。
こんな事があった。行きつけの寿司屋に息子と2人で行って、<来週、香港に行くんですよ>と言ったら、
お店の女将さんが、「100万$の夜景の写真、撮ってきて見せて下さいね」と言うので、快諾した。
旅行に行き数日たったが、一向にその気配がないので、<100万$の夜景には、いつ行くの?>と尋ねたら、
女性陣と話がかみ合わない。事情を詳しく説明したら、謎が解けた。ここは、「香港」ではなく、「台湾」だったのだ。
息子に、<お前、知ってた?>と聞くと、「知ってた」。<いつ?>、「飛行機で」。
<何で教えないんだよ!>、「だって、聞かなかったから」。
<…って言うか、お前、寿司屋に一緒にいただろう?俺が香港だと思い込んでるの知ってただろう?教えろよ>、
「いつ、気付くかと思って」だと。
ところで、このバカンスは娘と2人で旅行に行く話になった。そのため、今回の旅行の企画は娘1人で行った。
実は、僕のパスポートの期限が切れているので、娘が本籍地の茅ヶ崎まで書類を取りにいったり、有楽町でパスポートの申請を代行してくれたり。
「行き先はどこがいい?」と希望を聞かれた。娘は、自分の行きたいところより、お父さんの行きたいところに行きたい、と母親に話していたという。
そうか、じゃ、リクエストね。<イタリアか、ハワイか、ルーブル美術館か、世界遺産か、フロイト・ミュージアムか、ゲシュタポ収容所>と希望を伝えた。
日程的な関係で、どんどん消去法で選択肢が減り、娘は、色々と智恵をしぼっって、「香港&マカオ4日間の旅」に決まった。
母親から伝え聞いた話によると、娘は香港、特にマカオに好印象を持っているようで、それというのも、
小学生の頃、クラスメートが家族旅行で香港&マカオに行き、お父さんがカジノで楽しそうにしていて、
雰囲気がとてもよかった、と友人から聞かされて、「家族団欒」のイメージをサブリミナルに刷り込まれているようだった。
子供たちが、小さい頃なんて、まとまった休みなんてとったことなかったからな。
子供の学校の運動会と、病院の行事の運動会がぶつかって、病院の方を選んでひんしゅくを買ったこともあったな。
ここ1年くらいだものね、長い休暇がとれるようになったのは。
人生にやり直しがきくのかどうかは知らないが、今は昔してこれなかったことの埋め合わせをする時期なんだなぁと、この頃、ふと思うことがある。
第1日
早朝、娘に起こされて、羽田へ向かう。今日から2人で、香港&マカオ4日間の旅。香港は土地が少なくて、東京都の総面積のおよそ半分くらいだそうだ。
宿泊先は、nikkoホテル。日系のホテルだから日本人のスタッフもいて、初香港の人にも安心だ。↓。
下は、部屋の窓から外を写した。日の丸が揺れてる。「がんばろう!日本!」という感じ。↓。
夜は、海岸に出て、「アベニュー・オブ・スターズ」という香港映画に貢献した人の手形やサイン付きプレートが埋め込まれた散歩道を歩く。一番人気は、断トツでブルース・リー。↓。
香港ではスリが多いらしく、「スリに気をつけろ!」と色んな人から言われた。もしも、娘のバッグをスリが奪ったら、もしやに備え、ブルース・リー・バージョンとジャッキー・チェン・バージョンのイメージトレーニングをしておく。
第2日
トラムという2階建てのチンチン電車に乗って、まずは「天后廟」にゆくが、ここは面白かった。オブジェが、大きくて極彩色で迫力があって派手でよい!。
「天后」とは、海と漁師を守る女神様のことで、「天后廟」はその天后を祀っているのだ。↓。
天后の左隣には、観音廟がある。これも、色っぽくて素敵!。↓。
「天后廟」の海を臨む境内には、他にも見逃せないさまざまな福の神や珍獣が大集合している。↓。
下は、長寿橋と言って、渡ると長生き出来るらしい。注意点は、帰りに同じ橋を渡らないこと。プラマイ・ゼロになってしまうから。↓。
他にも、こんなのがあって、全部は撮りきれませんでしたが、とても面白かった。↓。
↑。最後は、ドラゴンでしめてみました。
次は、セントジョンズ大聖堂へ。移動中、スコールのような大雨が、短期集中型に降ったが、すぐ止んだ。で、セントジョンズだが、現在ある建物は第二次世界大戦後に再現されたもの。13世紀ゴシック様式。↓。
堂内のステンドグラスも素敵。↓。
下のは、譜面台みたいなもので、聖書や賛美歌を乗せるのかな?。黄金の鷲のデザイン。かっこいい。一家に一台欲しいな。↓。
本日のメインイベント。100万$の夜景を観にヴィクトリア・ピークへゆく。登山電車のようなものに乗るのだが、これに乗るのに長蛇の列が出来ている。しかし、娘は用意周到で、何か脇の方からスイスイと、ディズニーランドのファストパスのようなルートを使って、全然、待たずに列車に乗れた。すごいね。下が、その登山電車。↓。
今日は、昼に雨が降ったから、空気が澄んでいて、霧がなくて、綺麗で、きっとこれが、100万$の夜景なんだと思う。↓。
写真を撮ってみるも、肉眼で見るのと、レンズ越しに見る光景は全然違う。単に、写真が下手だとも言えるが…。
そうそう、この旅行で、娘と2人の記念写真を何枚か撮った。こうやって2人で、同じ写真に納まるなんて、何年振りだろう?。子供の時、以来だろう。中学生に上がってからは初めてじゃないか?。忙しすぎたから。
第3日
日帰りでマカオに観光。マカオの町は、カラフルというかパステルというかお洒落だった。昔、ポルトガル人が住んでいたらしい。
まずは、聖ポール天主堂跡。17世紀の様子をうかがわせる。ファザードだけが立つ。↓。
よく見ると、このファザードに、フランシスコ・ザビエルとか、ドクロとかドラゴンとか蓮とかシーサとか、色んな文化の物が入り混じっていて面白い。ちなみに、ドラゴンは西洋では「悪」で東洋では「福」だ。このファザードのドラゴンは「西洋」だ。アップの写真を載せて見ますが、細かい所は見えないかな。↓。
この辺りでは、エッグタルトが名物で、7香港$=約70円、玉子がプリプリしていて美味しかったけど、熱くって、思わずこぼしてズボンの裾とスニーカーの靴ヒモの間にめり込んでしまった。ティッシュであわててふくも、靴ヒモに玉子を塗りこむ様になってしまった。
そんなことはどうでも良くって、聖ポール天主堂跡の隣には、ナーチャ廟というのがある。「男の子」を守る神様だそうだ。↓。
ちなみに、この辺は、世界遺産らしく、娘が僕のリクエストに答えた形になっている。
下は、聖ドミニコ教会。淡いイエローに彩られた美しい教会。↓。
↑。手前の石畳のモザイクは、ポルトガルの熟練工が敷き詰めた波型模様をしていて、そちこちに海の生き物を表したりしていた。蟹とかナメクジとか。
ちなみに、さっきの聖ポール天主堂は「イエズス会」で、こちらは「ドミニコ会」。聖ドミニコ教会も世界遺産なので、今はミサはしてないそうだ。感想を言うと、とっても落ち着く。ずっとここにいたい、安らかな気持ちになる。館内にある「バラの聖母像」も美しい。下は、館内の様子↓。白と黒のジグザグ模様が、ドミニコのマーク。
下の噴水は、マカオの中心地、セナド広場。向こうに見えるのが、仁慈堂。名のごとく、慈愛のことをしてくれる場所で、昔は貧乏な人や老人やらい病患者の力になったという。↓。
その後は、マカオタワーにゆき、カジノにも寄った。カジノは、クレージーキャッツの映画やマフィアのイメージで、もっと怖いというかピリピリした不健全な空気のところかと想像してたのだが、意外にもクリーンで拍子抜けした。マカオタワーのエレベーターはすごく速い。下の写真は、展望台から撮影した景色。どこかまでがマカオで、どこかからが中国になるらしい。↓。
僕は、ギャンブルというものを一切しないので、ここは楽しいとは思わなかった。これまでの人生がラッキーの連続で、さすがにもう運を使い果たしているだろうから、どうせ賭け事をしても勝てないと思うし。カジノで喜ぶお父さんの演技をするのも、白々しいから、一回だけスロットをやっただけにした。
マカオから香港に戻り、夜は、オープン・トップ・バスという屋根のない2回建てバスに乗り、市内観光をした。頭が看板スレスレだったり、ジェット・コースターみたいな坂だったりして、スリル満点。夜景も綺麗。
香港にはディズニーランドがあるらしいが、今回はそこには行かなかった。↓。
コレは香港のディズニーランドへの行き方を示した標識なのです。黄色い看板の左下に、黒い丸が見えるでしょう。ブレてて見づらいでしょうが、実は、ミッキーマウスのマークなのです。わかります?。
最終日
空港に着くと、搭乗手続きで、帰りの飛行機の便の変更と2人がバラバラの席になる、と言われた。<why?>と聞くと、「full」だって。満席ってこと?。予約してて、満席もないだろうと思ったが、少し早く日本に着くからそれでもいいか、ということにした。2人とも、英語、よく喋れないから交渉できないし。
ジャスト・モーメントと言われ、ベンチでおとなしく座って待っていた。しかし、いくら経っても何も言ってこないのである。さすがに娘が不安になったらしく、どうなってるんだろう、というから、さっきの係の男を見つけて、<どうなってるんですか?>とジェスチャーで聞くと、「ジャスト・モーメント」と言って立ち去ろうとする。
さすがにそれはないだろうと思って、<お前、さっきもそう言ってただろう>と文句を言うと、さすがにこちらが怒ってることは伝わったらしく、両手を前に出して、まぁまぁ、となだめるようなポーズで、「ジャスト・モーメント」と言いやがった。
さすがに頭に来て、<さっきから、ずっと同じこと言ってるじゃねぇか!お前のジャスト・モーメントってのは、何分何秒のことだ?正確に答えろ!>とすごむと、向こうは困ったような顔をして、「キャン・ユー・スピーク・イングリッシュ?」って言いやがる。<知らねぇよ!その手にゃ乗らねぇよ。大体、お前、これ信用問題だぞ。てめぇのところで飛行機を勝手に変えるとか言い出したんだろうが>、向こうはこっちが怒ってるのはわかるが何を言っているのかわからないので困っているようだが、普通に考えれば何を怒ってるかくらい想像できるだろう。
「キャン・ユー・スピーク・イングリッシュ?」と再度言うから、<だから知らねぇよ!知ってても使いたくない気分だよ!いいか、もう一度、言うぞ。信用の問題だぞ。信用だよ、信用!わかんねぇだろう?日本語だからな。ワザと言ってんだよ。家に帰ったら、辞書で引けよ。ディクショナリーだよ、『字、引く書なり』って言うだろう。いいか、よく覚えとけ!家に帰ったらディクショナリーで調べろ!。信用だぞ、シ・ン・ヨ・ウ!>、と鼻と鼻がくっつく距離で喋ってやった。
そうすると、そいつは急に「OK!」なんて言って、俺たちのスーツケースを自ら引いて、カウンターの列に横入りして、係の女(そいつもさっきは態度が悪かった)に何か指示を出して、そしたらその女も急にキビキビとして、結局、そこの飛行機会社と提携してる日本の航空便に変更してくれた。スチュワーデスさんも日本人だし、2人の席も隣だし、出国の時刻も早すぎもせず遅すぎもせず丁度いい。なんだよ、出来るんなら最初からしろよ。こういうのは、良くないよ。言ったモン勝ちみたいじゃないか。気の優しい人なら損をする。そういうのは、良くないと思う。
ま、とりあえず一安心だね。出発の20分前に‘71番ゲート’に行けばいいらしい。免税店を見て回って、それでも少し時間があるから、スタバでお茶をしよう。自慢ではないが、僕はスタバという所に入ったことがなく、メニューが難しいというイメージだけがある。『日常』というアニメでも、主人公が地元のリニューアルした喫茶店に入ったはいいが、メニューの意味がわからない、というエピソードがあったが、ここは一つ、娘に選んでもらった。ナントカカントカ、というチョコレート味の飲み物にクリームがトッピングされて、キャラメルソースみたいなもので渦巻きが描かれていた。
娘に、<どうしてこれにしたの?>って聞いたら、「好きそうだから」だって。本当だ、美味しい。小さなトラブルはあったけど、やっと落ち着いたね。まだちょっと時間があるね。<そうそう、マクドナルドって、今でも『一緒にポテトはいかがですか?』って聞くの?>と娘に尋ねると、「聞くよ」って言うけど、<でも、今、バリューセットとか言って、ポテトはセットに組み込まれてるんじゃないの?>「飲み物だけ頼むと言われるよ」<あっ、そうか>なんてやり取りをしていた。
いよいよ20分前に‘71番ゲート’に着くと、これは‘30番ゲート’に変更されたという。<あの野郎、仕組んだか?>と一瞬、思ったが、それより場所を移動しないと。でも、‘71’から‘30’って結構あるぞ。時間も出発まであと10分もない。取り合えず走ろう!、と走るが、出発の時間は迫ってくる。スタバでゆっくりしすぎたなんて悔やんでもしょうがない。走りながら、娘は「間に合わないかも。飛行機、出ちゃうかも」と不安そうに言うから、<大丈夫!。‘71’番の係の人が‘30’番の係の人に、今から2人向かう、って連絡してくれてるだろう。それに、いざとなったら、俺には奥の手があるから大丈夫!>。結果は、ギリギリ・セーフで間に合いました。
家に着いてから娘が、「さっき言ってた、奥の手って何?」って聞くから、松田優作と薬師丸ひろ子の「探偵物語」という映画のラスト・シーンの話をしてやった。
それは、主人公の薬師丸ひろ子が探偵の松田優作に依頼をして、無事、事件が解決して、サヨナラになるのだが、その時には2人の間に「依頼者と探偵」という関係を超えた恋心のようなものが芽生えていた。しかし、薬師丸ひろ子は、悩んだ末、別れを決意して、一人、飛行機に乗る。空港で見送る松田優作。薬師丸ひろ子を乗せた飛行機は飛び立つが、なんとすぐに空港に逆戻りする。なぜなら、松田優作が、飛行機会社に、今飛び立った飛行機に爆弾をしかけた、と嘘の電話をしたから。それで、飛行機はユーターンして、乗客は全員、飛行機を降ろされるのである。薬師丸ひろ子も。そして、飛行場で待っていた松田優作と再会する。それと同じことをするんだよ。それが奥の手。
娘は、始めキョトンとしていたが、すぐにニヤリと笑って、やがてあきれたような顔をして、緊張感から解放された。