がんばれ!!照ノ富士!!(仮題)

13/Ⅲ.(水)2019 はれ ダイナマイト・キッド追悼興行の全カード決定!

アニメ「からかい上手の高木さん」の二期が決定したのと、今、10巻を買うと、卓上日めくりカレンダーがついてくる、
何かと話題の高木さん。

コミックス「からかい上手の高木さん」5巻に「クリティカル」という回があって、これがちょっと面白い。

いつも高木さんにからかわれるクラスメートの西片は、その日の朝の情報番組の占いでは超ラッキー運。
それで、「今日こそは高木さんを逆に、からかい返してやる」と意気込んで登校中、高木さんに会う。
見透かされたように、「何かいいことあった?」。
<な、ないよ>。
「もしかして、今日のラッキー運、かに座とか」
<ちょ…ちょ…なんで知ってるの?>
「あと、O型も1位だったから?」と図星。

それでも、西片は占いを信じ下校時に、高木さんをからかってやろうと思う。

高木さんと、首尾よく二人で帰ることになったところ、級友に、「ゲームやろうよ」と誘われるが、断る。
頭は高木さんをからかう作戦のことでいっぱいだ。しかし、これがまた何も思い浮かばない。

二人で並んで歩く帰り道。高木さんが、「ゲーム、よかったの?」ときくと、西片は作戦で気もそぞろだから、
<あぁ、うん。高木さんと一緒に帰りたかったし>と答え、また考え事。
高木さんに、じーっとみられ、やっと我に返り、

<今、俺、変なこと言わなかった?>と自問自答。
あわてて、<占いなんだよ。占いで、クリティカルが出る、って言ってたから、今日こそ高木さんに勝てると思って…>
<だから、別にそういう意味じゃないから。…今のないことにして>と言うと、
高木さんはいつもの高木さんで、「しょうがないなぁ。もう1回言ったら聞かなかったことにしてあげる」。
西片<言うワケないだろ。じゃ、俺、こっちだから。バイバーイ>と走って逃げる。1人残る高木さんのアップ。

唇の真一文字がかすかにふるえ、ごくんと何かをのみこんだような描写。
曲がり角を曲がって、「ハーっ」と胸をおさえる高木さん。こんな高木さん、みたことない。
最後のコマで「クリティカルってこわいなぁ」とつぶやく高木さん。
からかい上手の高木さん、で語り継がれる名場面と言っていいだろう。そんなクリティカル。
どういう意味か、わかりますか?

我々がよく施行する、エゴグラム、という心理テストの尺度に、CP、というのがあって、それは、クリティカル・ペアレントの略で、
「批判的な親」という意味です。でも、それと、このマンガの、クリティカルのフィーリングは違いますよね?

それで僕はうちのスタッフや友人やその方面で有名な心理業界の人にもメールして、クリティカル、の意味を聞いてみました。
学術的な意見や、英単語の意味を解説してくれる答えがいっぱい来ました。

でも、僕が知りたいのは、そういうことではなくて、そういう英単語の意味とこのマンガを結びつける「カギ」です。

そこで存在感をふるったのが、受付のうかいさんでした。
彼女は多分、そんなに英語が得意な方でもないのに、
ゲームで「クリティカル・ヒット(会心の一撃!)」という用語があるのを手がかりに、色々と調べてくれました。
ネットで、英語や心理学の知識はけっこう得られますからね。
高木さんの、「クリティカル」の回の動画もみてくれて、彼女が出した結論は、

「ここでいう、クリティカル、は、会心の一撃、のクリティカルです」。

よく自分は「勉強が出来ないから頭が悪い」と思っている中高生が結構、多くいます。
今の学校教育は、ほとんど丸暗記ですむ記憶力の勝負で、それで良い学校にも行けるし、良い会社にも入れるし、
医師国家試験だってパス出来るけど、人生はそこからがスタートです。
‘成功’した人が社会に出て困っていることが多いのです。
人生って、テストみたいに、‘正解’がないからでしょうか。

学校教育が広く浅く知識を身に付けさせるせいか、1つのことを深く掘り下げる習慣がないのも問題でしょう。
その点、オタクはすぐれてます。掘り下げますから。

吉田拓郎から入ったのに、ボブ・ディランの曲、全部、知ってたりするから。
ルーツをさぐる、ってことなんでしょうね。学問の基本ですね。

勉強と学問は違うと言われます。
勉強は漢字で、むりにしいる、と書きます。これはやらされてる訳です。
でも、学問はオタクに近いです。
興味があること、探究心が、知らないでいることを放っておかないのです。
意味のないことはまるでやる気ないのは、モチベーションが湧かないとパフォーマンスが極端に下がるからで、
逆に言えば、意味さえ見い出せばやる気が出てパフォーマンスもアップするということです。
だから、中高生で成績の悪い人は、何も腐ることはなくて、「自分は勉強は不向きで学問向きだ」と思うといいです。

僕の好きな立川談志は中卒で、落語家になりましたが、
「自分は学歴がある。落語を通して色んなことを学んでいるから。ないのは、学校歴だ」と言っていました。
僕の好きなフレーズです。

おまけ。

からかい上手の高木さん、には、からかい上手の元・高木さん、というスピンオフもあります。
ちょっとだけ紹介しましょう。こんな感じです。

元・高木さんは結婚して娘がいます。
娘との会話。
<ねぇ、ねぇ、お母さんってどんな子供だったの?>
「う~ん。好きな人をからかっていたかな」
<ははは。今と変わらないじゃん>
「そうだね。変わらないね。好きな人も」
<え~??…ってことは??>
そこに、玄関の音がガチャガチャとして、<ただいま~>とスーツの男の人が帰ってくる。顔は見えない。
コマ割りは、アパートの廊下にうつり、その家の表札に書かれていたのは、西片。

BGM. よしだたくろう「知識」


さよなら こんにちは

11/Ⅲ.(月)2019 はれ

久し振りの、からだをみてくれる場所に行った。昔、エネルギー療法といって紹介したことがある女性のセラピスト。
新しい場所に移転して、初めての来日でした。
そこは線路際のアパートの一室で、まるで彼女の家に呼ばれたみたい。冷奴とビールが出てくれば、まるで「彼女」だ。
「これまでどこかでみてもらってましたか?」と聞かれたので、
「どこにも行ってない」と嘘をついた。ちょこちょこ、町のマッサージとかに単発で行っているのに。

僕にはこういうどうでもいい嘘をつく癖がある。
久し振りに行った美容院で、今までどうしてました?と聞かれ、よそに行ってたと言いづらく「自分で切ってた」と言ったり、
「もう行くのよそう」と思って遠のいてた焼き鳥屋には、他の店に色々行ったが、やはりそこの味が恋しくて、久し振りに行った時、
「焼き鳥、全然食べてない。むしろ、鶏肉が久し振り」なんて、どうでもいい嘘をつく。
心のどこかで少し間の空いた気まずさを誤魔化してる罪悪感が、しょうもない嘘を作り上げてるのかもしれない。

だから、クリニックに何年かぶりで、来た人に、純粋に「これまでどうしてたの?」と聞くと、皆、「どこにも行ってなかった」と答えるけど、
中には、言いづらいからそう言ってる人もいるのかな。皆は、僕と違うかな。

そんなこともあり、施術の後は、中野のタコシェで、「死人の声をきくがよい」の新刊のサイン本があると言うから、
買いに行こうと思った時、5時からクリニックで、アポを入れてるのを寸前で思い出した。

急いで行けば、間に合うと、電車に飛び乗って、大岡山駅で降りたら、改札口で、電車に乗ってた、警察官に職質された。
こっちは急いでいる。走って逃げたら、3人に取り囲まれて騒動になった。

結果、奴らは、大岡山とか関係ない巡査で、たまたま巡回してたらしく、俺を直感で不審者と思ったそうだ。
俺も俺で、税理士さんと打ち合わせしてたから「何の用か?」と聞かれ、「商談だ」と答えたのが不味かったらしい。
「ヤク」とか持ってると思われたのかな?
それとも、大岡山の派出所の人なら、顔見知りだけど、巡回してるポリスだから、電車の中で俺を不審に思ったのかも。
でも、平日の昼間だ。
痴漢もスリも出来ないだろうに。
ということは、俺は、ポリスに、何を疑われたのか?
消去法で言うと、これしかない。
女心を盗む、恋の大泥棒。絶賛、指名手配中!

そんな訳で、2020の東京オリンピックも近くなると、サリン事件とか警戒が厳しくなるから、日本はいい国だから、職質が増えると思う。
だから、皆さんは、職質を受けても、ムカつくかもしれませんが、相手(ポリ公)を殴ったり、写メをとったりしてはいけないそうですよ。
警察関係者から教わった。
なんとか罪になるらしい。グッと我慢してね。

でも、警察官は誠意があって、「てめぇ、これで何も出なかったらどうするつもりだ?!」とすごんだら、
「その時は謝りに行きます」と言ってて、僕はその通り、何も怪しいものは出ないから、シロで、
税理士さんを待たせてたから、3人を引き連れてクリニックに行って、謝らせて、潔白を証明しようと思ったら、
税理士さんも5分くらい遅刻してたかた、僕がクリニックの無人の鍵をあけ、しばらく誰も来ないから、
警察とはさよならしたんだけど、何だか僕が嘘をついてるみたいな雰囲気になって、大人気なかった。

僕の今年の「占い」は、あまり「良くないらしい」。
昔、六星占術の細木数子が、「同じ星座占いで、当たる人と当たらない人がいるのは、当たる人は、運が強い、のだ」と言ってた。だから、運勢が悪い年には悪い事が起きた方がいいらしい。
僕の今年の運気は良くない。

昔の人は、運の悪い事は、年始にすませておいた方がよい。だから、今時分に、そういうことが起きたほうが、「かえって運がいい」と強がったそうだ。

ポリ公事件であらためて、そんなことを思う、僕なのである。はじめに、アンラッキーを使いきったみたいな。

BGM. 伊藤つかさ「さよなら こんにちは」


髪の未来を選べるうちに(仮題)

6/Ⅲ.(水)2019 くもり 世界ハンド女子大会、垂れ幕、制作担当は女性?

クリニックのBGMで、昔の特撮の主題歌が流れてるのだが、勧善懲悪の世界観は、
「我は正義の味方で、悪い奴らをやっつける」と歌う。
それで思い出したのだが、サンリオ・ピューロランドはすごいことになってるらしい。

行った人に聞いたのだが、ピューロランドのショーに出てくる悪者はすごく「怖い」らしい。
そして、そこにキティちゃんの恋人のダニエルが出てきて、
「皆で力を合わせて、あの悪者をやっつけよう!さぁ、声を合わせて~」と呼びかけると、
そこに大天使・キティ様が登場なされる。
キティちゃんは、「ちょっと待って。どんな悪い人だって、そうなった生い立ちや理由があるはずよ」。
すると、悪者が改心し、子供たちにも良い影響を与える。
しかし、問題は、ダニエルの立場だ。

これを杉山さんに話したら、「ダニエル、かませ犬」と笑った。
かませ犬?
久し振りに聞いた単語だ。
実際に会話で使ってるのを聞いたのは、長州力の「かませ犬発言」以来、川原史上2人目だ。
杉山さんは、時々、面白い言葉使いやイントネーションを使う。笑い声は小鳥みたいで。

ところで僕は今週の土曜日、研究会があるので、早目に出ます。
そこでは2人の演者が発表するのを聞くだけのはずが、主催者のリクエストで、討論会の場で、
司会者から僕に質問が来るから、「これこれこんなことを言ってくれ」と頼まれている。

それをスタッフに打ち明けたら、「サクラじゃないですか」と指摘され、なるほど、と思ったので、髪色をサクラにしてみた。↓。

美容院の帰り道、自由ヶ丘の本屋で、「今の時代こそ力道山」という本を立ち読みしていたら、
たまたま居合わせた患者さんから、「センセーじゃないですか」と挨拶された。びっくり。

でも、読んでた本が、力道山、で良かった。恥ずかしい本じゃなくて。って、こういう場合、恥ずかしい本って何だ?

BGM. さくら学院(中元すず香)「 桜色のアベニュー 〜from SUZUKA〜」


狐祭りと、びっくりアート

2/Ⅲ.(土)2019 はれ 花粉症、はやる。

クリニックのインテリアに今日、二つ仕掛けを作った。カワクリお得意の、遊び心だ。

まずは、診察室にある、偽物語の月火ちゃんのポスター。↓。

さて問題です。この中に、狐は何匹いるでしょう?5匹ですか?不正解ですよ。ヒント。↓。

ここにも隠れています。だから正解は、6匹です。↓。

ついで、診察室前の通路にある美術館コーナーより、デルボーの絵画のポスター。↓。

この中に裸体の女の人は何人いるでしょう?3人ですか?不正解です。ヒントはここ。↓。

何かが飛び出てますね。これを引っ張ってみましょう。↓。

1人隠れていました。正解は、だから4人です。この絵は、受付の大平さんが作って仕込んでくれました。面白いでしょう?クリニックに来た時、みてみて下さいね。

BGM.P-MODEL「美術館で会った人だろ」


悩殺ダンサー・まりやの喜劇(仮題)

26/Ⅱ.(火)2019 くもり少しあたたかい

ラインをはじめまして、色んなスタンプを大人買い。
週末には、ポール・マッカートニーが日本語を喋るスタンプを買った。
「マイドー」、「オヤスミー」、「チョー、スバラシイ」などと話しかけてくれる。

不思議と僕らはラインが好きな世代みたいで、これまではメールをしても2-3日返信が来なかった奴らが、即レス。
「やっと、連絡、とりやすくなったね」だって。

大学時代に好きだった女の子。
当時、大原麗子がCMで、「愛は恋より少し大き目」と言っていたから、
原宿のキディランドで、牛乳パックのデザインの、バカデカイサイズの抱えるくらいの大きさのゴミ箱を買って、
誕生日に、「愛は恋より少し大き目…というから、少し大き目のプレゼントをします」というメッセージを添えてあげたら、
大層、いやがられた。
彼女も捨てたいだろうが、大き過ぎて捨てるに捨てられない。入るゴミ箱がないから。それに、そもそもゴミ箱だし。

そんなことばかりしてるから、好きな子からは必要以上に嫌われる青春でしたが、時は魔術師ですね、
猪木が馬場の追悼興行に出たように、今は彼女とラインでやりとりしています。

こないだなんて、2人して昔のアルバムを引っ張り出してきて、それを見ながらアレコレ話して、気付いたら深夜2時。
翌朝は心地よい寝不足で、コンビ二で「メガシャキ」を買って飲んだら、ジンジャーの風味が爽やかな味わい。
「エスタロンモカ」系の体ごと持っていかれるような力づくの覚醒感とは、ぜんぜん違いました。

そんなこともあって、「ザ・ヒストリー・オブ・かわはら」という写真集(アルバム)が増補されまして、なかなか好評です。
さすがに、ネットにアップは出来ないので、来た時、みたい人は言って下さいね。
若い、って、どんなジョークより破壊力がある、オモシロ、ですよ(笑)

今更ついでですが、最近、ウィキィペディアを覚えました。あれは便利ですね。色んなことを調べています。
今日は俳優の「宅麻伸(たくま・しん)」について調べました。

宅麻伸は、芸名で、宅麻、は本名で、伸、は「七人の刑事」の主演の「芦田伸介から、いただいたんじゃないかな」とされていて、
「逞しい~ん」のダジャレではないことが判明した。
我ながら、何やってんだか。

最後に、最近気になったテレビネタ。
アッコにおまかせ、で紹介してた週刊文春の最新号に、「結婚したい男ランキング」が出てて、衝撃の結果でした。
下は13才から上は80才まで、2300人にアンケートしたそうです。

さて、その結果は、

10位が、山P。
5位が、嵐の相葉くん。嵐は5人中4人が30位以内ランクイン。匂わせ恋人の二宮くんだけ圏外。

4位が、ムロツヨシ。ドラマで、若年性アルツハイマーの妻を愛す夫役が受けたそうですよ。

3位が、堂本剛くん。
パニックや突発性難聴にも負けず前向きな姿勢と、抜群な歌唱力が人気。

2位は、高橋一生。
タレントCM起用ランキング2位で、料理好きでポイント稼いで、恋愛スキャンダルの影響で1位になれなかったらしい。

1位は、

竹野内豊

です。
大岡山が舞台になったドラマ、義母ムス、の父親イメージが陽だまりのようで良かったようです。

カワクリ受付陣も喜んでいました。

BGM. RCサクセション「2時間35分」


人生はバレンタイン・デー~あの時君は若かった

14/Ⅱ.(木)2019 寒い 平成最後のバレンタイン、ぺろりんのチョコは目玉焼きチョコ

最近、面白いと思ったのは、トシちゃんの「キミに決定!」。
レッツゴー・ヤングの収録で会場の女の子がノリノリで映るんだけど、その目がスターを見る目でキラキラさせてる。
トシちゃんの生歌は確かに下手なんだけど、踊りというか、とにかく運動量が多く動き回るのである。
スケボーで登場したり、途中でジャパニーズというバックダンサーに囲まれて姿が見えなくなったかと思ったら、
その輪の中から足をおっぴろげたジャンプで飛び出るのだが、その跳躍力がすごい。
まるでトランポリンでも使ってるみたい。
そしてカメラは会場の女の子にパーンし、女の子の目はキラキラ2倍増。楽しい動画で何回もみてしまう。

それと、ナイツ、の、話を盛れない男、という漫才。これも何度もきいている。
どっちもユーチューブでみれます(きけます)。

今日はバレンタイン・デーだけど、こうみえて僕は昔はものすごくモテて、軽トラック1台分もチョコをもらった。
いつの世もセンスのある子はいて、1人だけ、歯ブラシをくれた。

「チョコ、食べ過ぎて、虫歯にならないように」というジョーク。
そういう面白い子がいたと言ったら、翌年は、皆、それがインパクトあったらしく、歯ブラシが山のように来た。
近所の歯医者がもらいにやって来た。

最近は、呑めない人にお酒をすすめるのはアルコール・ハラスメントと言うらしくダメなそうだが、
バレンタインに義理チョコをあげる(もらう)のもパワハラに該当しないかと国会で論議されたとか、しないとか。

毎年々々、チョコをくれる最長の人は僕が研修医の頃からずっとで28年連続の人がいる。
これは川原史上、母に次ぎ、第2位。母は41年。

BGM. よしだたくろう「Have a nice day 天然色写真編」


風景の起源

13/Ⅱ.(水)2019 はれ少しあたたかい 「ラテンの黒豹」ペドロ・モラレス、死ぬ。76才。

お恥ずかしい話だが、研修医に成り立ての頃、無断欠勤がバレて、ペナルティーで「2週間連続当直」の刑になった。
今でもそうだが、医者の当直は、翌日も勤務である。
当直は当直室で仮眠して、呼ばれたらすぐ病棟や救急外来に行くのが仕事。
だから、運が悪ければ、2週間まともに寝れないのだ。
でも僕は、へこたれなかった。勿論、自業自得だと反省した、のではない。
2週間、当直室から家に帰れない泊り込みという状況が、「日本一のホラ吹き男」の植木等みたいだと思ったからで。

映画で、臨時雇いで会社に入った植木等が配属された部署は、会社にとって何の関係もない古い書類の整理。
皆、やる気がない。

「ここじゃ、いくら頑張っても出世はないよ」と先輩から言われる。
すると、植木等は、底抜けに明るいテンションで、張り切って、荷物をまとめて会社に泊まり込み、仕事をする。
「そんなにまでして残業代が欲しいのか」という皮肉にも、<いいえ、残業代はビタ一文、いりません>。
そして、1人で、書類を全部、片付けてしまう。

労働組合は残業して残業代を取らないことを問題視し、同じ職場の人間達は「仕事がなくなってしまった」と不満を言う。
そうして、会社は仕方なく、植木等を他の部署に係長待遇で異動させる。ここからホップ・ステップ・ジャンプ!
東京オリンピックの直後の映画で元・三段跳びの選手だったという設定の植木等は、三段跳びの様に出世して行く。
高度経済成長の時代のサラリーマンに元気を与えたと言われる映画だが、今、観ても色褪せないパワーだ。

なので、僕も植木等のマネをして、家から色んな物を当直室に持ち込んだ。
浅草のマルベル堂で、クレージーキャッツのブロマイドをオーダーメイドで引き伸ばしてもらった。
それを当直室の壁に貼った。
陰気な当直室が、まるで僕の1人暮らしの部屋みたいに衣替えした。
評判を聞いて、何人もの看護婦さんや他科の研修医も覗きに来た。皆、「お~」って言ってた。
精神科の先輩には、「川原、やりすぎ!」と注意されたが、怒られはしなかったから、スルーした。

クレージーの特注ブロマイドは、今もカワクリの待合室のテレビ側のソファの方に貼ってあります。僕が医者になったのが平成元年だから、今年、31才になるポスター。↓。

これは最大限に引き伸ばしたから、ラミネートが出来ないので、結構、ボロボロになっていた。
それを受付の大平さんが、補修してくれることになったので、カメラマンとして同行する。
まずは、ポスターを一時、撤去。↓。

処置室に移動して、そこでテープで切れ目を丁寧に貼ります。↓。

綺麗に出来上がりました。大平さんの髪も綺麗です。↓。

元に戻しに行きましょう。↓。

話を、2週間連続当直、に戻そう。

丁度、半分の1週間が終った時点で、調子に乗った僕は、「トニー谷」のブロマイドの特注も発注した。
そのニュースに異常に反応した人たちがいた。
それは誰だと思いますか?
正解は、病棟のナース達でした。

意外と女性には、つらそうな姿をアピールするより、平気の平左、で明るく振舞った方が母性本能をくすぐるみたいだ。
ナースは一丸となって、僕の味方をした。
彼女らのナイチンゲール精神は組織立って、医者や教授や医局長に「いくら何でも可愛そうだ」と意義を申し立てた。

「過重労働でミスが起きたらどうするつもり?」
「川原先生だから笑って仕事が出来ているのよ」
「いえ、ああ見えて、顔で笑って心で泣いているのよ」
「あぁ、いじらしい」
「それに比べて、他の医者は川原先生に仕事を押し付けて、楽をしてるのよ」
「他の医者は、ズルイわ」

などと、本来、僕が無断欠勤したのが問題なのに、矛先が他の医者に向いた。
実際は、僕は研修医だったから、当直には必ず上級医の先生が日替わりで付いていてた。
「2週間当直」というのは、半分、洒落だった。

つまり、学生気分の抜けない僕に社会人の厳しさを教え込ませるための親心であり、問題を大きくしない配慮だった。
そして、2週間、毎日、日替わりで色んな先輩から、生の知識を吸収できるチャンスを用意してくれたのだった。
僕は、ゴールデン・ルーキーで、精神科医として期待されていたのだ。

そんな内輪な洒落は、ナースには通じない。
彼女らは、川原先生を守るためにはストライキも辞さず、の構えだ。
病棟でナースにストなどされたら、大変だ。
医者が、検温や配膳や採血や保清など、駈けずり回らなければならなくなる。
ナース・コールも医者がとる事態になる。
これには上層部もあわて、急遽、僕のペナルティーは1週間で解除された。

そして、医局長はナースの前で、僕を労う為の1席を自腹でもうける約束までさせられた。
憎憎しげに、医局長が、「川原君、何を食べたいんだい?」と僕にだけ見える角度で恐ろしい顔をして質問した。
僕は、<●●のうなぎ>と高級な鰻屋の名前を告げ、<個室で、コースにしてね>と答えた。
ナースを納得させるには、そうとでも言うしかない。それが最善の策だった。
そして、僕と医局長は週末、本当に二人きりで、鰻屋の個室でコースを食べたのでした。
さすが、名店!、うまかったですよ。
もう皆さん、ご承知かもしれませんが、僕はこういう空気、全然、平気なんだ。

えーと、何を言いたいかと言うと、カワクリの空間作りのルーツは、この2週間連続当直に起源があったのかも、と今思う。

BGM. 植木等(ハナ肇とクレイジーキャッツ)「無責任一代男」


くよくよするなよ

12/Ⅱ.(火)2019 はれ少しあたたかい 猪木、ジャイアント馬場没20年追善興行~王者の魂~に登場!

平成も終るという。昭和・平成・●×の3つの元号を生きることになるのか。
父は、大正と昭和しか知らない。
母は、大正・昭和・平成を生きた。
親を抜いたり、肩を並べたりで、感慨深いものである。

僕が医者になったのは平成元年で、だから、精神科の経験年数を聞かれたら、今が平成何年かの数字を
そのまま言えばよくて、楽させてもらっていた。たとえば、今なら「31」年目である。
これからは足し算を駆使しないといけなくなるのか。

平成という時代は、精神科の中でも色んなことがおきた。
法律が改正されたり、アメリカの診断基準が大流行してドイツの伝統的な診断学が鳴りをひそめた。
「分裂病」「躁うつ病」「痴呆」という疾患名が「統合失調症」「双極性障害」「認知症」にとって変わった。

「痴呆」の進行を防ぐのに役立っていた薬たちが追跡調査で全部「効果なし」と判定されて市場から消えた時は驚いた。
アリセプトが出る前の、薬たちである。

うつ病の仮説も、モノアミンからセロトニンにかわってSSRIが登場した時、革命が起きたように思った。

「トラウマ」の概念も僕が研修医の頃と今では、180度ちがう。
当時は「心的現実」を重視するあまり、「外的現実」にはノータッチだったが、「いじめ」や「虐待」が深刻になり、
治療は「外的現実」の調整に重きを置く必要が出て、精神科医のケースワーカー化、などと揶揄された。

今後も医学の進歩や、社会の運動で、精神医学の「常識」は覆って行くのかもしれない。
それを発展と言うなら、それに対応して行かなくてはならないが、それに振り回されるだけでなく、
変わらぬ精神科医のアイデンティティーを持っていたいものだ。

昔、立川談志が、ざこば、と芸談をした時の話を聞いたことがある。
談志が「落語とは人間の業の肯定」と言ったら、ざこば、は、「うけりゃいいおまへんか」と答え、
それに対して、談志が「うけなくなったら、どうするの?」と返すと、ざこば、は、「何が言いたいねん?」。
談志は「うけりゃいいと思っていると、うけてるうちはいいけれど、うけなくなったら困るでしょ?」、ざこば「…」。
談志「だから、落語とはこういうものだと定義しておけば、うけなくなった時に困らないでしょ?」
ざこば「そんなもんでっしゃろか」だって。

話は変わるが、昭和の爆笑王・林家三平さん(今の笑点に出てる三平のお父さん)は、私生活でも人を笑わせることを生き甲斐にしてたようで、
キラ星のようにエピソードがたくさんある。
その中でも有名なのは、三平さん(さん、まで入れて呼び名。今の、所さん、と同じシステム)が脳梗塞で倒れて、
救急車で病院に運ばれた時、意識の覚醒水準を確認するため、看護婦さんが「お名前は?」と尋ねたら、
「加山雄三です(当時の2枚目俳優)」と答えたという。命がけで人を笑わしてる。

太宰治が、晩年(遺書代わりに書いたから、タイトルが処女作なのに、晩年)、で、自分の事を、道化、といって、
もし自分が死んだら、「この人は一生涯、ひとを笑わせるために生きた人です」と墓石に刻んで欲しい、というようなことを言ってたと思うが、
それは三平さんにこそピッタリだと思うし、僕もそういう生き方をしたいと思う。
三平さんのことを書くと長くなっちゃうから、この辺にしとくが、談志が、
「もし、三平さんが、皆さん、真面目に生きなきゃダメですよ、なんて言う時代が来たらそれは末世だ」と言っていた。
もう三平さんも談志も死んでるけど、今の世の中って、そういう意味じゃ「末世」かな?なんて時々思う。

僕は談志の説く「落語論」と、精神科医の仕事って似てるな、と折に触れ思うことがある。
たとえば、忠臣蔵の四十七志は英雄として語られるが、家来はおそらく300人以上いて、その中の47人だから、250人以上は逃げちゃってるのである。

でも落語は実際そうなったら、死ぬのを覚悟で討ち入りに行くより、逃げた人間にスポットを当てて、
「本来、人間って逃げちゃうでしょ?」というのが、歌舞伎や講談との違いはそこで、それを談志は、
「落語とは人間の業の肯定」と初期に定義した。

精神科はと言えば、根性論や、気の持ちようだという精神論で追い詰められた人に、
「いい加減」をすすめ、「テキトーに」やろうとアドバイスし、決して「がんばれ」とは言わない。そういう仕事だ。
そして、そういうことを患者に言うには、そういう価値観を持ってる必要があるが、お医者さんは総じて頑張り屋が多いけど、僕は例外で、性分として精神科向きだと思っていた。

ところが世は末世である。
三平さんが「皆さん、真面目に生きましょう」と言わなければならないように、我々の臨床でも、

困難があらわれると避けることで自分を守る「回避性パーソナリティー障害」や、
やりたくないことに対して、いやだ、という代わりにわざとゆっくりやったり忘れたフリをする「受動攻撃性パーソナリティー障害」と言う人が、
訪れて来るようになって、「ちょっとがんばった方がいいんじゃない?」とアドバイスすることもたまにある。

精神科医がそんなとことを言うようになったら、それこそ世も末だ。
ましてや僕がそんなことを仕事とはいえ言ってるなんて知ったら、教師や親戚は一斉に「お前が言うな!」とツッコミを入れると思う。
そうなると、精神科医のアイデンティティーというのも難しくなってくる。

そこで参考になるのは、やはり談志で、談志は「落語とは人間の業の肯定」が通じなくなった現代で、落語とは「イリュージョン」だと言った。
これは弟子たちの中でもよくわかってない人が多かったそうだが、これも精神科領域と近い関係にある。
イリュージョンは、こっち側から説明した方がわかりやすいと思う。カワクリのHP「クリニック紹介」から抜粋。

心にとって、「病気と健康」や「異常と正常」などに明確な境界線があるものではなく、中間の領域がある。
多くの精神の病気は、この領域がやられてしまい、保てなくなっているようだ。
病気を発症する時には必ずこの中間領域を通過するし、回復期にも同様に中間領域を通って良くなる。
川原クリニックでは、この中間領域を大切に考えている。
中間領域は、他にも「日常と非日常」や「常識と非常識」や「夢と現実」や「赤ちゃんと大人」の間にもある。
そこがうまく機能すると、「遊び」が生まれる。
日本語の「遊び」にはplayという意味の他に「ブレーキのあそび」のように余裕という意味がある。
このような言葉遊びやなぞなぞやジョークやナンセンスが中間領域の代表で、芸術の世界にも発展して行く。
クリニックの空間が遊びに溢れていて、始めはビックリしても、次第に居心地が良くなるのは、そんな計算もある。

僕のアイデンティティーは今の所、そんなところで落ち着いているのだが、一つ心配なことがある。
それは、談志が死ぬ直前に、「落語とは江戸の風が吹く」と言ったことだ。
江戸の風、については、談志はあまり説明してないから、僕もあまりピンと来ないのだ。
それに今は、「イリュージョン」で事足りているから。
でも、この先、また悩むことがあるかもしれないから、少しだけ考えてみるか。

ここでヒント。
晩年の談志は小さん師匠のネタをかけたりしていた。原点回帰か?
さらにヒント。
志の輔は、追善落語会の最後のゴタゴタの中で、「俺は富山の風だ」と言っていたこと。

そうやって考えるとなんとなく、その出自というか、ルーツのようなものの雰囲気が伝わる、あるいはそんな空気感になるってことかと想定できる。

僕の生まれ故郷は、湘南の茅ヶ崎。
東京からみると、藤沢、と、平塚、にはさまれた別荘地で、海水浴場で有名だ。
しかし、藤沢や平塚が区画整理されて綺麗な道路があるのに、茅ヶ崎はクネクネした道がとても多い。
まれに真っ直ぐな道があると、よほど珍しいのか、逆に、鉄砲道(てっぽう・みち)なんて通称がついたりする。
それは茅ヶ崎は、戦争の時に、ほとんど空襲を受けてないからだそうだ。

僕の思い出の中の茅ヶ崎も、温暖で平和なイメージだ。ちなみに僕の出身小学校の名前は、「平和学園」だ。そこに6年通った。平和な小学生だった。
僕の誕生日は、7月24日で、母がよく言っていたが、僕の生まれた日は、とてもお天気のいい、真夏の昼間だったらしい。

だから僕の最終(?)目標地点は、暫定的にここに決めておこう。
つまり、何もしなくても、何も言わなくても、クリニックに来てくれた人が、暖かい気分になってくれること。
お日様を浴びたような風を感じてもらうこと。とりあえず、そうしてみた。だから僕は、くよくよなんかしてられないのさ。

BGM. ヒカシュー「20世紀の終わりに」


キミにきめた

こんにちは。受付の大平です。

月曜日、私はやっとポケモンのゲームで四天王を倒し、ピカチュウから小さい花束を貰いました。

その熱が冷めないまま火曜の朝、出勤すると受付に大きな紙袋が・・・

 

中を覗くとポケモンたち!!

 

紙袋の横で杉山さんがその子たちを1体、1体、一生懸命拭いてきれいにしていました。

その様子を見ていた川原先生は「ウーロン茶のCMでこの茶葉は心優しい子達が1枚、1枚摘んだものです。ってやつみたいだね」と言っていました・・・が、そんなCMどこで流れているんでしょうか?

 

私も杉山さんをお手伝いしてルギアを拭く↓↓

綺麗になったポケモンたちは川原先生がゲットしてきた水色のバケツに↓↓

袋の中にはデジモンやからだの一部しかないポケモンもまじっているので分別します↓↓

頭しかないギャラドスは杉山さんの指にぴったり!!↓↓

しかし、これでは生首みたいだと指摘があったので先生にお家で胴体パーツを探してきてもらうことに。

次の日、海老の様な胴体パーツを発見し持って来てくれました↓↓

杉山さんギャラドス組み立て中↓↓

完成!!↓↓

ギャラドスはバケツの中に2体いるのですが、杉山さん曰く触り心地がいいのは透明のギャラドスみたいです。

 

バケツの中にはたまに透明のポケモンもまじっています。

ふつうのよりは少しレアみたいです。

私のお気に入りは透明ロコン。

透明ロコンのほうが顔が可愛いのですが右のふつうのロコンのポーズが好きです↓↓

ポケモンセンターのお姉さんのようにポケモンをなおして綺麗にしてくれた杉山さんのお気に入りはピィとヌオー。ちょっと杉山さんに似ています↓↓

うかいさんは最近テレビで毒キノコの番組を見たようで、毒キノコに似てるからという理由でグライガーとラフレシアがお気に入り↓↓

川原先生のお気に入りはギターを弾くニャースとサングラスをかけたゼニガメ団リーダーのゼニガメ。先生はこの2匹と一緒にたくさん遊んだみたいですごく汚れています↓↓

このポケモンバケツは入口のゴジラのところにあるので皆さんもお気に入りを探して見て下さい。

うかいさんは『ポケモン言えるかな?』を歌い、このバケツの中を探っていましたよ。

川原先生は・・・カラカラを探し中・・・

見つかったのはオコリザル!

また何かを探し中・・・

「イマクニ?がいたよ!」と喜ぶ先生!「イマクニ?は『ポケモンいえるかな?』を歌っていた人だよ」と説明までしてくれました。よく覚えていましたね!

さて、今回のポケモンといい川原先生はどこからこの子たちを持ってきたんでしょうか・・・

クリニックにあるものは先生の集めたコレクションです。このコレクションは皆さんもご存知の通り定期的に模様替えされ、しばらく見なくなったと思ったらそのうちまた登場することがあります。どこに保管しているのか・・・専用の倉庫でもあるのか・・・気になったので聞いてみると、川原先生は3階建てのお家に住んでいて、1階が先生のお部屋兼倉庫だそうです。このコレクション達とともに先生は生活しているみたいです。

どんなところか覗いて見たいですね。

 

BGM.カスミ・ラプラス「ラプラスにのって」


セクソロジー入門

30/Ⅰ.(水)2019 くもり 少しあたたかい 橋本治、死ぬ。70才、ジュリーと同い年。

人間の三大欲求は、食欲・睡眠欲・性欲だと言われ、うつ病では、これらが障害される。
だから、うつ病の評価スケールでは必ずこれらを含めたクエスチョンがされるべきなのだが、何故か、
(というより、わかるが)性欲については、聞きにくいし、喋りにくかろう。

ある大学病院で治験をやってる精神科医と話したことがあるのだが、女性に対して性欲の質問はしづらいと言っていた。
だけど、患者が喋りづらいことを聞くのが、こっちの役目だろうが、と思った。

実際、セックスのことで悩んでる人の潜在的な数は多い。悩みは色々。人それぞれ。
でも、食欲や睡眠より、性欲の悩みを抱えてる人が意外と多いのだということを同業者に言い回っている昨今である。

セックスはタブーである。
たとえば、青少年に見せてはいけない「なんとか指定」は、暴力とセックスの関連だろう。
テレビやお茶の間もあきらかな性的描写を排除する。

それで思い出したのだが、僕が小学校低学年の頃、12チャンネルで「ハレンチ学園」の実写を放送していた。
ハレンチ学園は文字通り、ちょっとエッチなシーンの多い、永井豪の原作のマンガで、それをゴールデンタイムに、
お色気ムンムンで発信してしまったのだ。

それは大評判になり、子供達は夢中になり、PTAは「俗悪番組だ」と目くじらを立てた。
その余波は僕らにも直撃して、
「毎週、木曜、7:30~8:00は、自宅学習しましょう」と学校から命令された。
まぁ、家で宿題をいつやろうがこっちの勝手だから、僕はルールに従わなかったが、結構、その影響力はあって、
その時間帯に勉強させられてる家庭のクラスメートはいた。
だから学校で「ハレンチ学園」の話をしても盛り上がれなかった。
いやらしい、やり方だよな、PTAとか大人って。
「ハレンチ学園」の放送時間を自宅学習の時間にしたのである。

そんな「ハレンチ学園」が文部科学大臣賞をとったそうで、永井豪の作品が続々と再版されている。
なんだか、しみじみするなぁ。「ハレンチ学園」が文科省に認められる時代まで生きてしまったのかと…。

当時、糾弾されてる若き、永井豪は、
「自分は性にめざめた頃、父親のエロ本をこっそり見た。しかし、少年の性への興味と、そのギャップは大きかった。
だから自分はそれを埋めるべく、ハレンチ学園、を描いている」
というような趣旨の事を、当時、PTAなどに吊るし上げられているテレビ番組や雑誌の対談で懸命に反論していたのを覚えてる。
札幌オリンピックの直前だった。

僕は中学1年の夏休み、中耳炎になりほぼ夏休み中、耳鼻科に通った。
そこの医者が良かったとか、そこの看護婦がやさしかった、なんて思い出はまるでなく、何の感謝もない病院だが、(中耳炎は治った)
そこの待合室にある「少年マガジン」に連載されていた永井豪の「イヤハヤ南友」が、なんとも、いやらしくて、楽しみで、
毎週、喜んで、その耳鼻科に通っていた記憶がある。

話を戻そう。
皆さんに、性欲について話をさせるなら、こっちからそういう話を切り出さないといけないのかな?と思い、今回はそういう回にします。
だから、性的な話が嫌な人は、ここから先は読むのをやめて下さいね~

オナニーをいつから始めるかは人によると思う。
時代とか文化とか学校の友人の影響とか大きいと思うが、ネットがある今だと、また違うのかなと思うが、
性的なことに関心を示すのは、やはり本人の目覚めだと思う。

僕が小6の頃、山上たつひこ、の「がきデカ」が人気だった。
僕は週末、東京の塾へ電車で通っていたから、その行き帰りに、「少年チャンピオン」を読んでいた。
「ブラックジャック」や「ドカベン」や「エコエコアザラク」や「よたろう」もあったが、やっぱり一番人気があったのは「がきデカ」だった。

山上たつひこ、は皆さんどのくらいすごいか知らないかもしれませんが、たとえば「こち亀」の秋本治が連載当初のペンネームは、
山止たつひこ(やまどめ たつひこ)だったというくらい、
つまり「宝島」を「宝鳥」とか、「乞食王子」を「乞食玉子」みたいに読み間違えるダジャレにするのと同じくらいメジャーな人で、
そんな山上たつひこ、の「がきデカ」以前のヒット作は、「喜劇新思想大系」で、それは僕らの世代には古臭い、性の啓蒙書だった。

そのマンガの中で主人公が、オナニーに使う道具が、「コンニャク」だった。
コンニャクを人肌に茹でて、そこに割れ目を入れると、女性器と同じような感触になるというのだ。
僕のまわりでそんなことをしたという人に1人もあったことがない。
だが、僕は1回だけ試してみたことがある。

コンニャクを手に入れる時は苦労した。
当時はスーパーやコンビニがないから、町の豆腐屋に行って買うのだが、コンニャク1つだけ買うと、
「さては、この子、オナニーするつもりだな」と見破られそうで、仕方ない、要りもしない、焼き豆腐と木綿豆腐を一丁づつ余計に買った。
丁度、エロビデオを借りる時、「キタキツネ物語」と「タイタニック」ではさんでレジに出すテクニックと同じだ。

この話を受付にしたら、爆笑された。普通に1つ買っても変に思う人はいないって。

「じゃ、あなた達は、八百屋にナス1本だけ買いに行ける?」と聞いたら、「行けますよ。1本でも、10本でも」と答えるから、
「10本なら平気だよ。ナス料理を作るみたいだから。ナスを1本だけ買うんだよ」と念を押しても、「全然、平気ですよ」と一蹴された。
俺が自意識過剰なのか?

話をコンニャクに戻す。
僕の失敗は、コンニャクに包丁で綺麗に縦線を入れてしまったから、おチンチンをコンニャクにさすと、ヌルっと飛び出て、まるで、チビ太のおでんのように、
ウインナーがコンニャクから突き出てるようなマヌケな絵づらで、僕はそれを鏡に映して、我ながらそのアホらしさに、性欲も萎え、
鏡をみながら、コンニャクをさしたまま、フラダンスを踊ったものだ。↓。

 

中2のバス旅行で、ちょっとませた子から、バスの窓から手を出してモミモミすると女のオッパイをさわった感覚と同じだ、と教わって、
クラス全員が代わる代わる窓から手を出してモミモミしていた。それが14才の思い出。

高2の夏、泊り込みの勉強合宿に行った。そこで知り合った女の子が積極的な子で、夜に女子寮に遊びに来い、と、いけない誘惑。
僕は悪い友人と3人で、彼女の誘導の元、女子寮に忍び込んで、それぞれが目当ての女の子の布団に潜り込んだ。
見回りに見つかるといけないから、という理由である。僕らは、布団の中でナイショ話をしていた。それは楽しかった。

すると、その女の子はちょっとエッチで、「ねぇ、川原君、何もしないの?」と言って、僕はドギマギして。
女の子はませてるから、僕の手をとって、自分の胸にあてた。
僕は中2のバス旅行以来、はじめて女の人の胸をさわった。
気が動転してるから、その感触が時速60キロの風圧と同じかどうかは覚えていない。

その女の子とは1回だけ映画も見に行ったことがって、つまりデートである。
僕は初デートだから、ロマンティックな映画にしようと思っていたが、彼女は僕に合わせて、
「がんばれ!!タブチくん!!、でいいよ」と言って、僕らは「がんばれ!!タブチくん!!」を見た。

僕の学校の仲間で、女子とデートしたことのある奴はいなかったから、皆、心配と興味本位と将来の自分の予習のために、
5人くらいがコソコソ僕の初デートを尾行してついて来ていた。

当時の映画は、今みたいなシステムじゃなく、全席自由で入れ替えなしで途中入場できたから、
僕らが入った回は満員で、僕は彼女と後ろの方で立ち見をした。
ちょっと離れた所で、5人組も立ち見をしていた。それが17才の思い出。

彼女は石野真子と誕生日が1日違いで、だから僕は何10年たっても彼女の誕生日だけは覚えてる。
ちょうど、今日くらいのはずだ。

BGM. RCサクセション「エミちゃん おめでとう」