5/Ⅵ.(土)2010 はれのち曇り
若い友人に借りた西島大介著「ディエンビエンフー」というマンガを読む。
ベトナム戦争が舞台だ。
お返しに、ロバート・キャパの「人民軍兵士の死、スペイン内乱1936」の写真を見せてあげて、
あとは高橋留美子の「めぞん一刻」を全巻貸す約束。
ベトナム戦争と聞くと、ウルトラセブンを思い出す。
ウルトラセブン(S42年10月~43年9月)の第42話『ノンマルトの使者』は、
「もし人類が侵略者だったら?」という常識を根底から覆す内容のドラマである。
海底開発センターの船上基地シーホース号が大爆発を起こして沈没。
その事件を予告した真市少年は、「海底を侵略すればノンマルトが黙っていない。
地球はノンマルトのものであり、人間はノンマルトを海底に追いやった侵略者だ」という。
ノンマルトは怪獣ガイロスを操って攻撃を開始してきた。
ウルトラセブンは宇宙の平和のために戦っているが、それはうぬぼれに過ぎないのか?
第42話『ノンマルトの使者』において、
一つの星の主導権を握る人間ともう一つの種族・ノンマルトの戦いに巻き込まれたウルトラセブンは、
第三者としての無力を思い知らされたのだった。
写真はこの番組放映直後のもの。
幼稚園児だった僕は、悩めるウルトラセブンに何と声をかけていいのかわからず、目を合わせられなかった。
折りしもベトナム戦争、真っ只中の時勢である。
円谷プロの大人たちは、
ウルトラセブンを通じて我々子供たちに真剣に何かを問いかけ、我々子供たちも正面からそれを受け止めた。
テレビに栄光と誇りがあった時代である。
BGM. 岡林信康「アメリカちゃん」
ちなみに題目の『ちょっとピンぼけ』とは、
写真の解像度のことではなく、ロバート・キャパの自伝のタイトルである。
ロバート・キャパ、1913年ブタペスト生まれ。
ユダヤ人。本名、エンドレ・フリードマン。
ナチスの手からのがれるように祖国を捨て各国をさまよった後、
‘ロバート・キャパ’というアメリカ人風の不思議な偽名を得て歴史に名を残す写真家となった。
報道写真の古典と言われた「人民軍兵士の死、スペイン内乱1936」をはじめ、多くの写真を残したが、
1954年5月、ベトナム・ハノイ南の戦場で地雷に触れて死亡。
奇しくも、と言うか、
「誕生日だ、ゴー!ゴー! 」からこちらに来ました。
奇しくも、の理由は、
自分の誕生日が「7月4日」だからです。
言わずと知れた「アメリカの独立記念日」です。
これも言わずもがな、なんですが、
その記念日は表向き、アメリカの入植者(侵略者)からの独立を
祝っていますが、先住民であるネイティヴアメリカンの存在はそのまま
「ノンマルト」に置き換えられることは、明白です。
セブンは、第8話「狙われた街」でメトロン星人から、
西日で赤く染まるアパートの一室で膝を交えて、
怪獣ならぬ異星人からの「懐柔」「挑発」をされ一瞬だじろぎますが、
「侵略者から地球を守る」と言う使命、アイデンティティに揺るぎはありませんでしたが、
「ノンマルトの使者」では明らかにその使命やアイデンティティが揺さぶられていましたね。
昼行燈みたいだった自分の子供の頃は、そこまでの理解力が無かったのですが、
それでも、「煮え切らない何か」を感じてはいました。
たまたまなんですが、
NHKで放映された「崩れ落ちる兵士」の写真を検証した番組をリアルタイムで見たのですが、
鮮明だけれど、どうも胡散臭い「崩れ落ちる兵士」、
不鮮明だけれど、鬼気迫る「ノルマンディ上陸作戦」、
2枚の対照的な写真をロバート・キャパの数奇な人生に象徴的に投影させていました。
ボクシングファンさん、こんにちは。
気がついたら、この記事、コメントゼロだったんです。
やっと陽の目をみて嬉しいです。
色々と含蓄のあるコメントをありがとう。
メトロン星人がダン隊員と卓袱台をはさんで語るシーンはシュールでしたが、今やノスタルジーです!