8/Ⅹ.(金)2010 はれ
大沢親分が死んだそうだ。僕は、この人にあまり思い入れはない。ただ1つ妙に忘れられない事がある。
大沢親分は、監督を勇退した年、日本シリーズのTV放送のゲスト解説に呼ばれていた。
僕は高校生で、かなり野球の知識もあり、もう解説者の解説などバカにして聞いていた頃だった。 「Sの解説は結果論だ」とか「Kは自分の現役時代の自慢話しかしない」とか「Aは最後には王貞治を育てた話になる」などなど。
そんな日本シリーズ最終戦、どことどこの対戦かも忘れたが、試合は最終回、本来なら抑えの切り札を出すべきところで、 そのチームの監督は別の投手をマウンドに送った。
球場が「?????」となった。実況のアナウンサーさえ、「これは、どうなのでしょうか?」と采配に批判的なコメントをした。 そして、そのピッチャーは打たれ、そのチームは破れ、日本一を逃した。
その時だ、大沢親分はこう言った。
「現場の監督じゃなきゃ、わからねぇことがあるんだよ。あそこでしかわからねぇ判断があるんだよ」。
僕は、それを聞いていて、これは人生も同じなんじゃないかと思った。正論やセオリーで人は人を責め立てる。 でも、その人にしかわからないことがあるのだ。その状況に置かれた人間がその場で懸命に下した行為や行動を、 外野が簡単にああだこうだと言う資格などない、と。
そんな大沢親分の思い出でした。ご冥福をお祈りいたします。
BGM. 大沢逸美「ジェームス・ディーンみたいな女の子」