泣くな!1円

2/ⅩⅠ.(火)2010 その2
そのミック・ジャガーのワインは着払いでの支払いだったのだが、僕は持ち合わせが(なんと!)1円足りなかったのだ。
「1円を笑うものは、1円に泣く」と昔の人は言ったが、本当にジャスト1円足りなかったのだ。
そこで岡田さんが、「私、1円持ってますよ」と出してくれた。
貰っといて言うのも何だが、「返さなくていいですよ、あげますよ!」という‘お駄賃あげる’的な姉目線が、ちょっと面白かった。
BGM. 美川憲一「お金をちょうだい」


ワインはいかが?

2/ⅩⅠ.(火)2010 くもり
今日は、第1火曜日だから徳田さんがお休み。徳田さんが休みの日は、何故か、くもりが多い。
そんな曇り空、エアメールで、ワインが届いた。ミック・ジャガーが厳選して選んだ葡萄で作られたワインだ。
ミック・ジャガーのロック・スピリッツは高く評価するが、ミック・ジャガーの葡萄を鑑定する目には正直、興味がない。 
なんか、夏目漱石の愛した蕎麦屋、と同じくらいどうでもいい。
まぁ、せっかく買ったのですから(買ったのか!)、クリニックの診察室に飾ってみる。

BGM. 沢田研二「あなたに今夜はワインをふりかけ」


七瀬ふたたび

1/ⅩⅠ.(月)2010 朝雨、くもり
校医のあと、映画「七瀬ふたたび」を渋谷で観る。丁度、アニメイト・コミック館の真上の映画館だった。

ついでなので、アニメイトでコミック「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」を買ったら、キャンペーンの名刺をくれた。↓。
桐乃、黒猫、沙織の3種類。新垣あやせ、も人気ありそうだから作ればよかったのに。


話を「七瀬ふたたび」に戻す。本編に先立ちまして、10分程度のプロローグ映画が上映されたのだが、その監督がなんと!
しょこたんでした。

こういうエスパーものを見てていつも思うのは、我々・精神科医への「世間の偏見」と「あるべき役割」だ。
こういうエスパーものは、決まって、ある日突然、主人公が超能力に目覚め、最初は「自分が狂ってしまったのでは?」と
不安になり、やがて本当に超能力があるらしいと納得すると、今度は「自分の存在理由は何なのか?」と悩み、
そして同様の仲間が集まり、共通の目的のため(敵を倒す、とか)に活躍する。
中には、自分がおかしくなったと思う始めの段階で、精神科やカウンセリングをたずねる場合もある。
しかし、決まって、精神科医やカウンセラーは、「ノイローゼですね」とか「薬を出しておきましょう」としか言わず、役に立たない。
エスパー達への、社会の‘無理解’の象徴として描かれているのが精神科医だ。(偏見だ。)
ある日、突然に超能力に目覚めたら、自分はおかしくなった?と思うのは当然であり、そういう人が精神科やカウンセリングを訪れる可能性はある。
そんな時、我々はどうしたらいいのだろう?
彼らの身に起きたことを、「常識」という物差しだけで判断せずに耳を傾け、不安や悩みや孤独感で押し潰れそうな心を支え、
いつしか時が来れば、仲間や目的が見つかり活躍する、という希望を信じて、「その時まで」寄り添うのだ。
不安な彼らが、「あそこに行けば、いてくれる」と思えるような「定点」になるのだ。‘わたしはここにいる’。
固定観念に囚われない「非常識」さと、人としての誠実さが必要条件で、それから自分が病気をしない健康管理も大切だ。
でも、実はこれは、普段の診療やカウンセリングでも同じなのです。心理部門もエスパー対応OKです。
僕はと来たら、怪我に用心して、200歳まで生きよう。
BGM. 古泉一樹「まっがーれ↓スペクタクル」


俺の妹がこんなに可愛いわけがない

31/Ⅹ.(日)2010 くもり、台風それる
溜まった録画をまとめてみる。「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」を4話続けてみた。
ファッション誌の読者モデルもする、勉強も出来て陸上部でもエースというパーフェクトな女子中学生・高坂桐乃は、                                              実はアニメやエロゲーが好きなオタクであり、そんな自分の趣味を恥ずかしいと思っている。                                                             ある真夜中、桐乃は兄・京介に「人生相談」するところから物語は始まる。
昔、三島由紀夫が、この世で一番美しいのは兄妹の愛である、みたいなことを言っていると渋澤龍彦が何かに書いてるのを読んだことがある。
しかし、このアニメはそんな、「みゆき」みたいな、話ではない。兄を兄とも思わないような生意気な憎ったらしい(可愛い)妹と、そんな妹のために骨を折ってやる兄、それに対して仏頂面で「ありがとね」とたった一言つぶやく妹、の兄妹関係を軸に描かれた作品だ。
河合隼雄が、欧米の昔話は兄・妹が主人公が多いのに対して、日本は圧倒的に姉・弟が主人公が多いと書いていた。                                           それは、「山椒大夫」の安寿と厨子王よろしく(←これは、昔話ではないが)、受身的に何もしない弟の幸福のために献身的に                                     活躍する姉の姿を通じてこそ、男女を問わず日本人全体の耐える・自己犠牲を美学とする日本人の心のあり方を適切に表現しうるのだろう、みたいなことだったと思う。
今は昔、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」である。
しかし、この兄・妹関係は欧米の昔話の兄・妹関係ではなく、日本の昔話が姉・弟関係で伝えようとした関係性に近い。                                           つまり、日本人の美意識は今も昔も変わらないが、それを共有するための装置としての主人公が「姉・弟」から「兄・妹」に変わっただけのようにみえた。
BGM. Claris「irony」