19/Ⅷ.(金)2011 はれ
朝、部屋のベルが鳴り、何かと思ったら、お掃除の人が何やら言っていた。眠いので、「ノーサンキュー」と言って追い返した。すると、しばらくして、部屋の電話が鳴って、チェックアウトの時間だという。2人で、慌てて用意をしてホテルを出る。
寝坊して、朝御飯を食べ損ねたので、中華レストランみたいなところに入り、ランチをたのむ。これが、美味しかった。これなら、日本に帰って、中華を食べ直す必要はないな。なんて思っていたら、空港行きのバスの時間が迫っていた。慌てて、店を出る。デザートを食べ損ねた。
空港に着くと、搭乗手続きで、帰りの飛行機の便の変更と2人がバラバラの席になる、と言われた。<why?>と聞くと、「full」だって。満席ってこと?。予約してて、満席もないだろうと思ったが、少し早く日本に着くからそれでもいいか、ということにした。2人とも、英語、よく喋れないから交渉できないし。
ジャスト・モーメントと言われ、ベンチでおとなしく座って待っていた。しかし、いくら経っても何も言ってこないのである。さすがに娘が不安になったらしく、どうなってるんだろう、というから、さっきの係の男を見つけて、<どうなってるんですか?>とジェスチャーで聞くと、「ジャスト・モーメント」と言って立ち去ろうとする。さすがにそれはないだろうと思って、<お前、さっきもそう言ってただろう>と文句を言うと、さすがにこちらが怒ってることは伝わったらしく、両手を前に出して、まぁまぁ、となだめるようなポーズで、「ジャスト・モーメント」と言いやがった。
さすがに頭に来て、<さっきから、ずっと同じこと言ってるじゃねぇか!お前のジャスト・モーメントってのは、何分何秒のことだ?正確に答えろ!>とすごむと、向こうは困ったような顔をして、「キャン・ユー・スピーク・イングリッシュ?」って言いやがる。<知らねぇよ!その手にゃ乗らねぇよ。大体、お前、これ信用問題だぞ。てめぇのところで飛行機を勝手に変えるとか言い出したんだろうが>、向こうはこっちが怒ってるのはわかるが何を言っているのかわからないので困っているようだが、普通に考えれば何を怒ってるかくらい想像できるだろう。
「キャン・ユー・スピーク・イングリッシュ?」と再度言うから、<だから知らねぇよ!知ってても使いたくない気分だよ!いいか、もう一度、言うぞ。信用の問題だぞ。信用だよ、信用!わかんねぇだろう?日本語だからな。ワザと言ってんだよ。家に帰ったら、辞書で引けよ。ディクショナリーだよ、『字、引く書なり』って言うだろう。いいか、よく覚えとけ!家に帰ったらディクショナリーで調べろ!。信用だぞ、シ・ン・ヨ・ウ!>、と鼻と鼻がくっつく距離で喋ってやった。
そうすると、そいつは急に「OK!」なんて言って、俺たちのスーツケースを自ら引いて、カウンターの列に横入りして、係の女(そいつもさっきは態度が悪かった)に何か指示を出して、そしたらその女も急にキビキビとして、結局、そこの飛行機会社と提携してる日本の航空便に変更してくれた。スチュワーデスさんも日本人だし、2人の席も隣だし、出国の時刻も早すぎもせず遅すぎもせず丁度いい。なんだよ、出来るんなら最初からしろよ。こういうのは、良くないよ。言ったモン勝ちみたいじゃないか。気の優しい人なら損をする。そういうのは、良くないと思う。
ま、とりあえず一安心だね。出発の20分前に‘71番ゲート’に行けばいいらしい。免税店を見て回って、それでも少し時間があるから、スタバでお茶をしよう。自慢ではないが、僕はスタバという所に入ったことがなく、メニューが難しいというイメージだけがある。『日常』というアニメでも、主人公が地元のリニューアルした喫茶店に入ったはいいが、メニューの意味がわからない、というエピソードがあったが、ここは一つ、娘に選んでもらった。ナントカカントカ、というチョコレート味の飲み物にクリームがトッピングされて、キャラメルソースみたいなもので渦巻きが描かれていた。
娘に、<どうしてこれにしたの?>って聞いたら、「好きそうだから」だって。本当だ、美味しい。小さなトラブルはあったけど、やっと落ち着いたね。まだちょっと時間があるね。<そうそう、マクドナルドって、今でも『一緒にポテトはいかがですか?』って聞くの?>と娘に尋ねると、「聞くよ」って言うけど、<でも、今、バリューセットとか言って、ポテトはセットに組み込まれてるんじゃないの?>「飲み物だけ頼むと言われるよ」<あっ、そうか>なんてやり取りをしていた。
いよいよ20分前に‘71番ゲート’に着くと、これは‘30番ゲート’に変更されたという。<あの野郎、仕組んだか?>と一瞬、思ったが、それより場所を移動しないと。でも、‘71’から‘30’って結構あるぞ。時間も出発まであと10分もない。取り合えず走ろう!、と走るが、出発の時間は迫ってくる。スタバでゆっくりしすぎたなんて悔やんでもしょうがない。走りながら、娘は「間に合わないかも。飛行機、出ちゃうかも」と不安そうに言うから、<大丈夫!。‘71’番の係の人が‘30’番の係の人に、今から2人向かう、って連絡してくれてるだろう。それに、いざとなったら、俺には奥の手がある。だから大丈夫!>。結果は、ギリギリ・セーフで間に合いました。やれやれ。
家に着いてから娘が、「さっき言ってた、奥の手って何?」って聞くから、松田優作と薬師丸ひろ子の「探偵物語」という映画のラスト・シーンの話をしてやった。
それは、主人公の薬師丸ひろ子が探偵の松田優作に依頼をして、無事、事件が解決して、サヨナラになるのだが、その時には2人の間に「依頼者と探偵」という関係を超えた恋心のようなものが芽生えていた。しかし、薬師丸ひろ子は、悩んだ末、別れを決意して、一人、飛行機に乗る。空港で見送る松田優作。薬師丸ひろ子を乗せた飛行機は飛び立つが、なんとすぐに空港に逆戻りする。なぜなら、松田優作が、飛行機会社に、今飛び立った飛行機に爆弾をしかけた、と嘘の電話をしたから。それで、飛行機はユーターンして、乗客は全員、飛行機を降ろされるのである。薬師丸ひろ子も。そして、飛行場で待っていた松田優作と再会し結ばれるというエンディング。その松田優作と同じことをするんだよ。それが、俺の奥の手。
娘は、始めキョトンとしていたが、すぐにニヤリと笑って、やがてあきれたような顔をして、緊張感から解放された。旅の企画など、ご苦労さまでした。でも、まぁ、思い出に残るいい旅行だったね。
最近はあまり海外旅行に行ってないから、私も,益々英語がしゃべれなくなってきましたが、向こうの言いたい事はほとんど理解できなくても、私の主張したいことは思いつく単語を並べて私の要求を受けてもらっています。
まだ、独身時代のときにダイバー仲間で中学の英語の先生をしている人と紅海に行った時に、彼女は英語がペラペラなのに自分から話そうとしないので、私は単語だけでいろんな国の人と空き時間にはよくしゃべっていた。
エジプトは、タクシーにメーターが無かったり、お土産品にも値札が付いていないので、ほとんどの日本人は現地価格の3倍~6倍の値段をふっけけてくる。でも、私は、度胸と単語だけで値切りまくり、ほとんどが現地価格ですごしていた。それを見ていた、英語教師の友達は休み明けの最初の授業で、「私の友人は、単語しか話せないのに海外旅行でちゃんとコミケーションを取っていた人がいるから、流暢に英語を話そうと思わなくても良いのです。」と生徒に言ったらしい。彼女は「今回の体験を私はフィールドバックして、生かしているわよ。」と電話で言われました。
私が熱心に英語を勉強して話していたのは18歳ぐらいまでだから、今では基礎単語しか思い出せないです。
それでも、5歳の息子は「僕のお母さんは英語が話せる」と思い込んでいる。
ちなみに、私は薬師丸ひろ子が大好きでしたよ。ほとんどの映画とドラマは何回も見ていました。
かつらこさん
いつもコメントありがとうございます。度胸と単語ですね。
先生は気が強いんですね
私も気が強くなりたいです。
mayuさん
いつもコメントありがとうございます。内に秘めた気の強さ、という人もいますね。