スィンセリティ・ニュー・シー・シネマ

3/Ⅹ.(月)2016 小雨
その前の(月)は、学校医の後、「君の名は。」を観に行こうかと思ったのですが、
「傷物語」をまだ観てないのに、そんなのを先に観たら、忍ちゃんに怒られるかと自惚れ、
そんなことを考えていたら、ゴジラも「動く席」でもう1回観たいし、
それなら京アニの「声のなんとか」も観たいけれど、4本続けて観るのは、東映チャンピオンまつり、じゃあるまいし、
大人しく家に帰って、新海誠作品のDVD「秒速」と「言の葉」を続けて観ました。
これらは、クリニックの待合室のモニターで流す候補として買ったものですが、受付のソネさんの懸念では、
「秒速」はハッピーエンドじゃないから&「言の葉」は「倫理的にどうかな?」という理由で渋っていました。
そう言われると気になるので、事前にチェックすることにした訳です。
確かに、「秒速」はなるほど、全然ハッピーエンドじゃないですね。
ソネさんの見立ては正しい。
そうなると、「言の葉」の「倫理的にどうかな?」はどうなるのだろう?
そう思いながら観てたら、最後の方で主人公の男子が、女教師の部屋で愛を告白しました。
<すわ、ベッドシーンになるのか?>と 、シルビア・クリステルの「プライベート・レッスン」的な予想をして、
<ソネさんにそんな物は見せられない>と、ドキドキしてしまいましたが、杞憂にすぎず、そんな展開ではなかったです。
ソネさんの表現がオーバーなんですよね(笑)
っていうか、そんなことを想像した自分を恥じろ!って話でした。
そんな「言の葉」の声優は、主人公の男子が「おそ松さん」のトド松で、女教師が「化物語」の千石撫子です。
「言の葉」は雨の描写が効果的で、特にラストの方の大降りの音響はリアルだな、と感心して観ていたら、
実は外が大雨で、たたきつけるような雨音を、映画の音響だと勘違いしてて、雨戸を閉めなかったから大変でした。
噂にたがわず、映像が綺麗で、雨の演出が見事で、映画が終っても、雨の残像が見えました。僕の涙でした。
と言う訳で、僕は、この映画をクリニックで流すことにしました。
そこで、字幕スーパーをつけて、もう1度、観ました。
すると、情報量が何十倍にもなりますね。
背景、人物の表情、字幕、音響、会話、ナレーションで脳のキャパを越えました。
その結果、字幕を読みながら映像の輪郭をみて、BGMをバックに、セリフは頭に入らず。
トッティ(トド松)、と、↓。


なでこ(千石撫子)が、↓。


普通に、お喋りしてる「おそ松さん」と「化物語」の素敵なコラボ・アニメに脳内で変換されました。
まぁ、クリニックでは、消音して流すから情報量はコントロールされるので、そんな奇跡は起きないでしょうが。
そして、今日、「君の名は。」を観てきました。傷物語、まだ観てないけど…。
あらかじめ、ネットで買えるそうなので、家族にチケットをとってもらおうとしたら、
「E.T.とか、タイタニックとか、ハリー・ポッターとか観てないといつも自慢してるのに、
これは観るんだ。同じだと思うけど」とチクリとイヤミを言われたので、当日、映画館で券を買いました。
ゴジラの新宿TOHOシネマズです。↓。


平日14:30スタートなのに、ほぼ満席でした。
最近は機械でチケットを買うから、その操作がよく判らなくて、適当にボタンを押してたら、
千円札を2枚入れたのに、なかなか券が出てきません。
お金が足りないそうでした。
結局、2800円という値段で、<随分、高いなぁ>と思っていたら、プレミアム・ボックス・シート、と言って、
隣と敷居があって遮断されてて、物を置くスペースもあり、ゆったりとした贅沢な席でした。
そこまで必要かな?と思いましたが、まぁ、普段の自分へのご褒美だと思うことにしました。
ネタバレしないように気をつけて、僕の印象的だったシーンの感想を書きます。
主人公の少女が巫女さんで、口噛み酒、を造る儀式があります。
口噛み酒、とは、神様に奉納する神聖なお酒のことで、少女がお米をよく噛んで、液体状になったら吐き出すのです。
「はじめ人間ギャートルズ」の猿酒の要領と似ています。
受付の大平さんとKさんと一緒にお昼を食べに行った時、「君の名は。」を観て、<泣いた>、と言ったら、
「どこでですか?」と聞かれたから、<口噛み酒>と答えたら、ドン引きされました。
食事中だったからかな?
主人公の少女は、その儀式を同級生にみられるのを嫌がっいてましたが、おませな妹が、励ましのように、
「いっそ、生写真とメイキング映像もつけて、口噛み酒、を売り出せば良い」と発言してました。
僕は、<商品化したら買おう>と一瞬、思いましたが、昔、ブルセラというのが社会問題になっていた頃、
摘発された店主(おっさん)が、女子高生の「つば」、と偽って、自分の唾液を売っていたというニュースを思い出し、
産地を見極める、とか、食の安全、ということにあらためて思いをめぐらせたものでした。
そんな主人公の女の子の巫女さんの衣装が、「ひぐらしのなく頃に」の古手梨花ちゃまの巫女さんのコスチュームに
よく似てるな、と思ったのですが、「君の名は。」の舞台は飛騨で、確か、「ひぐらしのなく頃に」の聖地巡礼も
そっちの方だったような気がするから、似てて当然なのかも。
それとも日本全国、巫女さんの正装って同じなのかしら?
今度、大学の同窓会があるから、巫女さんに詳しい人に聞いてみよう。(いるのか?巫女さんに詳しい人)
下が、古手梨花ちゃまの巫女さん姿。↓。


もう一箇所、印象的だったのは、最後の方で、学校の放送室をジャックして、ニセの避難勧告を出す女子は、
「魔法少女まどか☆マギカ」の、鹿目まどか、の声ですね。
あの放送は良い声だったな。下が、鹿目まどか制服バージョン。↓。


この映画は、我々の世代には受けると思いました。それは、大林宣彦の尾道三部作のジュブナイル映画を彷彿させ、
監督のちょっとした洒落っ気なのですかね?、ちょっとオマージュしてる場面もあってニヤニヤします。
「ある!ない!」と自分のオッパイをもんだり、上半身裸で姿見に映るのは、「転校生」の小林聡美ですね。
小林聡美は「転校生」の冒頭で大胆にもオッパイを見せましたが、「君の名は。」ではボカシが入っていましたね。
これは映倫とか都条例とかの影響ですかね?
コミケ関係でも、結構、問題になってましたね。
「女子高生はヤバイから、女子校生にしよう」とか。
女子高生は18歳以下でアウトだけど、女子校生なら専門学生とか短大もOKみたいな、議論を聞いたことがあります。
そんなことを言ったら、エスパー魔美なんて、今は放送禁止ですかね?それとも芸術だからいいのか。
魔美のお父さんは画家で、そのバイトで魔美はヌード・モデルをやってる描写だから。↓。


あっ、すみません。話が、エスパー魔美になってしまいました。
話を、「君の名は。」で大林宣彦の映画っぽいところに戻します。
原田知世の「時をかける少女」のエッセンスもありました。
「君の名は。」でも、タイムトラベルは重要なテーマですからね。
原田知世の「時をかける少女」では、未来人・深町くん、が未来へ帰る時に、原田知世の質問に答えてこう言います。
「時は過ぎるのではなく、やってくるものだ。だから、また会える。でも、その時、2人とも記憶はないんだ」と。
それに答えて、原田知世は「また会えるの?私にはわかるわ」と本来なら絶対的な力を持つ「時間」に対して、
私は忘れない、というピュアで強い意志の力のみで抗おうとする決意表明をします。↓。


この時に、意味は判りませんが、深町くんは、原田知世のほっぺに墨のようなもので、まるで落書きのようにします。
上の写真の、原田知世の画面左側のほっぺが黒いのはそのせいです。
「君の名は。」でも、ほっぺに落書き、はコミカルなシーンとして登場してますね。
顔に落書きと言えば、劇場版「涼宮ハルヒの消失」の終盤でも、キョンが意識を失い入院してる時、
「団長の責任」として、病室の床に寝袋で泊まり込んでいたハルヒが、
意識を回復してキョンに起こされた時に発したセリフが「私の顔にイタズラ書きとかしてないでしょうね」
というツンデレで、キョンも「したかったけどな」と返しています。
こちらは、コミック9巻から。↓。



「涼宮ハルヒの憂鬱」でも、「時をかける少女」や「なぞの転校生」などには敬意を払っていますから、
これらのテーマは世代を越えて青春には鉄板で、寝顔に落書きはラブコメの王道なのかもしれませんね。
あっ、すみません。話が、「涼宮ハルヒの憂鬱」になってしまいました。
「君の名は。」で、大林宣彦の映画を連想した話に戻します。
「時をかける少女」のラストの方で、大きくなった原田知世は、大学の薬学部に勤めていて、
図書をいっぱい抱えて廊下を歩いていると、大人になった深町くんらしき人とぶつかって道を聞かれます。
道を教えて、別方向に歩いて行くのですが、お互い記憶がないけれど、何かを感じたのでしょうね、
まずは、深町くんが振り返って、原田知世は気づかずです。↓。


そして、深町くんが歩いて行くと、今度は原田知世が振り返りその背中を見送ってすれ違いのまま…。↓。


これは「君の名は。」では、歩道橋の上みたいなところで、よく似たすれ違いのシーンがみれました。
これは、きっと監督はわかっててファン・サービスしてる気がしました。
「時をかける少女」は、原田知世と深町くんの二人の強い意志が運命を手繰り寄せる予感をさせて終ります。
何年も心に引っ掛かっていた、青春の忘れ物の続編を、映画「君の名は。」で、みせてくれたような気がしました。
プレミアム・シートという隣と敷居のある席だったから、周囲を気にせず泣けて良かったです(笑)
以前の記事で、観てもないくせに、新海誠のことをディスりましたが、すみません。お詫びにもう1回観ます。
ちなみに、尾道三部作の残りの1つは、富田靖子の「さびしんぼう」。

BGM.トワ・エ・モワ「初恋の人に似ている」


10 Replies to “スィンセリティ・ニュー・シー・シネマ”

  1. 先生、おはようございます。
    sincerityという英単語、今調べて知りました。
    先生が泣く、という話、今までストレートに書いてらっしゃらなかった気がします。
    勿論、誰でも泣きますよね。
    私は昨夜、即興演奏とダンスのパフォーマンスを見て、特に具体的なテーマは無いのですが、悲しさ半分、高揚した気持ち半分で泣きました。
    映画の話題じゃなくてすみません。
    今、志らくの真似をして「男はつらいよ」シリーズを1から順に見ています。8まで行きました。

    1. トモトモさん、こんばんは。
      sincerityは、「誠」です。
      つまり、タイトルは「誠・新海、映画」の直訳です。
      泉和助の「ガマの油」の英語ver.をマネしてみました。
      志らくのそれ、僕もやろうとして挫折しました。
      映画の前にTV版「男はつらいよ」があるの知ってます?
      僕はそこからやりましたよ。確か、初回と最終回しかフィルムが現存してなくて、CS放送で観ましたよ。
      ラストは寅さんが沖縄でハブに噛まれて死んじゃう奴です。
      この評判が良くて、映画で復活という流れですからね!
      そう言えば、ブログであまり、泣く、って書きませんっけ。
      落語じゃ、しょっちゅう泣きますよ(笑)
      最近では、秋桜学園合唱部も泣けましたね。
      ではまた~

  2. 先生、こんばんは。夜更かし中です…。
    「誠実」をGoogle先生に翻訳してもらうと、この単語が出て来ました。
    「男はつらいよ」TV版はYouTubeにあったの(確か第1話)をかなり前に見ましたが、もう削除されたかもしれません。
    違法ですからね。
    私も落語で泣きます。
    秋桜学園は楽しく見ました。
    ところで、エスパー魔美の画像をパソコンの壁紙にするのは、セクハラになっちゃいますよ、たぶん。

    1. トモトモさん、こんばんは。
      エスパー魔美はセクハラですか??
      やばい、手遅れだ。
      急いで、みずほ、の写真に変えよう。
      みずほ、かぁ…(泣)

  3. 川原先生。現在は、「君の名は」の映画が、大盛況のようですね。
    アニメには、私は、あまり興味がないのですが、先生のブログを読んで、
    原田知世ちゃんの「時かけ」と、リンクしてる部分があると、知り、
    角川映画で、少女時代を過ごした私は、なんだか、「君の名は」を
    観てみようかな?って、気持ちになりました。
    会社の仕事のストレスや、人間関係で、サザンの「イヤなことばかりの世の中で」の歌みたいな
    日々だけど、嫌なことを食いつぶすぐらい、好きなことをして、
    この3連休を過ごそうと思います。
    川原先生の診察の時に、いつも、私は、暗い顔してますよね?最悪・・・。

    1. シンシアさん、こんばんは。
      僕は3連休は、久し振りに大学時代の同窓会に参加して旧友に会って来ましたよ。
      半分以上の顔と名前が一致しなくて。
      最後の方で、気がついたのですが、それは1学年上の同窓会でした(笑)
      ま、皆、親切だから、良かったですけど。
      3連休はどうでしたか?
      世間では、ハッピーマンデーって言うそうですね。
      カワクリは、月曜が定休日なので、毎週がハッピーマンデーです。
      シンシアさんは、暗い顔なんかしてませんよ。

  4. 先生ついに見ましたか!
    おめでとうございます!(何が・・・・・)
    私も口噛み酒のシーン大変印象に残ってます。
    そのあと、本当にあったものなのかネットで調べました・・・・あるんですね・・口噛み酒
    噛んだ人にもよりますが、ちょっと飲んでみたくなると思いました・・・でも泣かないですよ、このシーンで・・・
    あとの解説は先生のブログに任せますが、それにしても先生は昔の作品の事をよく覚えていますね。
    時をかける少女の個別のシーンとか・・・・役者の名前とか・・・・・・
    今回は映像もUPして・・・
    素晴らしいですね。
    ネタバレしても良い時期になったら君の名はも映像UPして下さい!

    1. sinさん、こんばんは。
      「君の名は。」やっと観ました。
      あとは、京アニの「聲の形」も観ないとです。
      「けいおん」の監督が撮ってるんですよね。
      口噛み酒、は確かにちょっと呑みたくなりますね(笑)
      でも、泣かないですか(苦笑)
      好きな物なので、いつまでも覚えているのですが、時々記憶が違っていますね。
      ではまた~

  5. 川原先生の同窓会、なんと、1学年上の方達だったとは!!
    親切な先輩たちで、良かったですね(笑)
    私の3連休は、雨の中、新大久保に韓国コスメを買いに行ったら、
    欲しいコスメが、在庫切れで、がっかり。
    あとは、私の誕生日が近いので、女友達と、お誕生日ディナーをし、
    カラオケで、80年代アイドルの歌を歌いまくって、ストレス解消の
    楽しい夜を過ごしました。
    最終日は、原因不明のひどい落ち込みと不安で、頓服飲んで寝てました。
    嫌なこともあれば、楽しいこともあるってか?!でも、原因不明って、やっぱり、
    気がかりです。。。

    1. シンシアさん、こんばんは。
      山あり谷ありの3連休のようでしたね。
      でも、カラオケは楽しそうでしたね!
      お誕生日も近いですね~
      体調不良って、よっぽどのことじゃない限り、多くは原因不明ですよ。
      蓄積疲労とか、気候とか。確かに、気がかりですけどね…
      ではまたね~

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