カワクリ心理インビテーション②~invitation! To心理検査フィードバックコース~

 こんにちは。とくだです。
お久しぶりです。相談室だよりも更新できぬままでしたが、
invitation!という形で、またやってきました。
さて、川原先生と大平さんが心理検査について書いてくださっていた記事(3部作-③もう一人の自分に出会うための心理テストのすすめ)、さらに原さんからも検査についての紹介がありました。
いろんな種類の検査があることがお分かりいただけたと思います。
 原さんの記事にもありましたが、結果については自分の感覚と一致すること、だけじゃなくて、しっくりこない部分も大切だと思います。
また、鵜飼さんが言っていた「自分のことは自分でわからない/結果は自己評価になってしまう」こと、
この疑問への一つの答えとして、質問紙では確かに自己評価になりますが、その用途として、
川原先生は質問紙の結果を薬物療法の効果の判定や、診断書作成の一つの指標として臨床的に用いています。
統計的な処理で『誰かとの比較(標準化されたT得点)』で判定し、
用途としては、『継時的にみたかつての自分との比較』をして用いているのです。
 
 カワクリでは、以前から心理検査のフィードバックは、大切な時間としてきました。
結果についてあまり知らされなかった、精神科臨床の現場でそういう声が多くある中で、
川原先生は、きちんと伝えることの大切さを、それこそ開院当初から私たち心理士にもいつも伝えてくださっていました。
たとえば、血液検査でもそうですが、結果の数値などは、専門的でよくわからないものです。
心理検査も、専門用語や数値化したそのスコアだけ見てもよくわからない、そういうところが多々あります。
ただ、たとえそうだったとしても、それも含めて説明し、受けた人が自分で結果を知るということ、そのための時間を設ける、
ということをしてきました。
日本人は数値化(可視化)が好きなので、これはある程度好評でしたが、ある日、川原先生がショックを受ける事件がありました。
 それは、SCTやP-Fスタディなど、記述式のテストを、数値化したりして、統計的にフィードバックしたところ、
その患者さんは、「先生、私のSCTやP-Fスタディの中身、よく見てくれました?あの感想を聞かせてくださいよ」だったそうです。
つまり、人間の心とは、振り子のようなもので、「本人の言ったまま」をそのままにしておくと、不満足になるので「数値化」する。
しかし、「数値化」が進みすぎると「本人の言ったまま」に触れて欲しくなるという、ごくごく自然な二元論です。
ということになると、果たして、「数値化」してそれを伝える、それだけでいいのだろうか?ということが、今回この企画の発端でした。
そこで、先生と、私たち心理で、その両方を満たす方法を模索し始めたのです。
川原先生と、そういった心理検査の話、結果の返し方についての話をしていて、思い出したことがありました。
 私も、特に学生時代、いろいろな心理検査を体験しました。
心理の学生は自分でもやってみたり、実習もしたりするんですが、その頃に印象深かったことがありました。
確かあれは授業で、描画テストと、その他諸々やった時のこと。
描いてみた絵について、詳しく知りたい人は授業の後で個別に対応してくれるという話だったので、
興味があった私は、授業後に先生のところを訪ねてみました。
そこで言われたことは、なんとなく、私の想像とは違うものでした。その先生は、解釈を伝えてくれたんです。
でもその解釈は、私にとってはすっと入るものではなかった。
それは今思うと、そういう見方もできるな、その通りだなとは思うんですが、多分、そこではなかったんですね。
授業だし、遊び心もあって、描いてみたんです、ってところを、結構しっとり真面目に解釈されてしまった、その温度差、でしょう。
ただ、その『温度差』(不一致だった)というなんともいえない感覚だからこそ、今も覚えているんでしょう。
そういう意味では、温度差、不一致の部分は、必要かもしれない。考えるきっかけにはなりうるかも。
いや、不一致の部分ていうのは、多かれ少なかれ、必ずあるものなんじゃないかな、うーん、それにしても温度差は結構大きかったけど(苦笑)。
 その後、そのことはすっかり忘れて時間は経っていき、今、その例でいえば、私はその先生と似たような立場、解釈する側にいるんですよね。
当時の先生が、その立場で言った意味は当時よりもよく分かる、正しい、こともわかる。
心理検査を習得していく中では、まずそれを使えるようになるために、正しい部分を知る必要があるし、それを目指してきました。
 ただ、今思う『難しい』点は、正しい、ということだけでは相手の理解につながらないことも多いんじゃないかな…
心理検査の結果をただ伝えるだけでなくて、その結果についての対話って大事なんじゃないか。
それが、冒頭にも言っていた、果たして結果を伝えるだけでいいのな?という、川原先生の問題提起と一致した部分、私が共感した部分でした。
この『難しい』と感じていることを意識して、以前の自分の体験談が私の中で意味を持ったのも、先生との話で再認識したわけで。
ぼんやりと違和感があった部分を意識できると、問題として扱えますね。
やはり、私たちは、こういう言葉でのやりとりを通して、漠然とした体験に、少しずつ意味を持たせられることで、
新たな自分の理解につなげられるんじゃないだろうか、そう思うのです。
気づくことで、問題として焦点が当たり、それについて対応が考えられる、
私たちは、その気づきをお手伝いしたいと思っています。 
③へつづく


3 Replies to “カワクリ心理インビテーション②~invitation! To心理検査フィードバックコース~”

  1. とくださんこんばんは。
    数値化の説明だけでなくて感想もほしい、はわかります。
    「結果はこう出てるけど、そんなでもないと思うよ」みたいに。
    ふつうでありたい自分ってのは捨てきれないものなので。
    そういうのをカウンセリングの場面で掘り下げていくんですね。
    認めたくない自分自身ってのもありますからね。
    客観視ほどこわいものはないと思うので治療者には正直に言ってもらいたいですけどね。
    それで落ち込んだら「落ち込んだ」って伝えられる関係性を作られたら理想でしょうね。

  2. ①先生が他の、心理のブログにも利用してくれていいんだよと仰いまして、これはフリでもあるのではないかなと勝手に解釈しましてさっそく書き込ませていただきます。なんとなく思いついたことがあったので。
    誰かを励まそうと、底まで行ったら上がるだけと、ある芸能人がつぶやいていました。僕はだけどその先にもっと深い底があるけどな、と思いました。悪いほうに考える天才です。
    これも書いたか記憶に定かでないですが、ドラゴンボール超(スーパー)のTシャツ着ている子供がいて、今のドラゴンボールは子供に理解できるのかなあと思いました。ある回で「悟空さんはリラックスしすぎて、突然の攻撃に対処できません。逆にベジータさんは常に緊張感を持っているせいで、すぐに回避行動をとれません」だったか、そんなセリフがありました。ちなみに今は見ていませんよ。僕はこれは、交感神経と副交感神経のことを言っているのだなと思いました。
    さらには、グラップラー刃牙のモデルになった元総合格闘技をやっていた方の本に乗っていた、陰陽の図っていうのか、白と黒の丸い図形をさっき思い出して、思ったのは、シーソーの片側に善をのせて、もう片方に悪を乗せた時、僕は白くなろうとしすぎたのかなと思うのです。何も法に触れるようなことをしようというのではありません。バランスが悪くて、黒いほうが持ち上がって、いつの間にかダークマターになってしまったのかもしれないな、そんな風に思うのです。
    ノイズキャンセリングイヤホンと同じ原理なんですけど、シンセサイザーの音(音の波形)を消す方法は今のところ僕は2種類知っていて、単純に消しゴムで消してしまう方法が一つ、もう一つは、音が上に向かう放物線だとしたら、逆方向に全く同じ波形を当てるという方法があって、そうすると音が消えてなくなるそうです。なんか似ているなあと思いました。
    毒をもって毒を制す、ということでしょうか。箱庭療法をした芸人さんの話を書くつもりでしたが、違う話になってしまいました。でも、文字数制限ないから書いちゃおうという自分を俯瞰で見て不憫に思う。
    ②TVの企画で芸人さんには内緒で、心理学の先生を呼んで、箱庭を作ってもらったそうです。芸人さんて家庭環境がとても複雑なのでひどい結果になったらしいです。別の回でその中の一人の、一般常識とはかけ離れている家族との関係の話を聞いてびっくりしましたが、本人は幸せに生きている。
    NHKのすくすく子育てが好きだった頃があって、それは一つは発達心理学の先生が出てくるので、何か参考になればと思っていたのと、もう一つは単純に赤ちゃんがかわいいから。
    ある回で引っ込み思案な男の子が、公園のお友達とすぐに一緒には遊べないので困っています、どうしたらいいでしょうかというお母さんの質問と、子供のVTRだったのですが、
    先生の答えが「この子は将来小説家になるかもしれないですね」っていう。それは川原先生が「君はロマンチストだからね」っていうのが、誉め言葉なのか、そうでないのかよくわからないのと似ており(ちなみにほかの人にも言われたことがある)、まあそれはいいとして、かなり早い段階で、人間のパーソナリティーって確立されてしまうんだなと思ったのです。それ以来見ていませんが。
    ③ホメオスタシスという言葉があります。傷ができたら、同じようには元に戻らないけど、ふさがる。風邪をひくけど、よっぽどでなければ、勝手に治る、そんな体の機能のことです。僕はなぜ心にはそれが働かないんだろうと、常々不思議でなりませんでした。まあでも、セロトニンがたまに間欠泉のように出る時があって、今がそうなのかもしれません。もうちょっと安定して流れてくれればいいんですけど。
    終わり

  3. とくださん、今晩は今回の解説は今までのとくださんの中で一番よっかた、解りやすかった、腑に落ちました。
    また、今までのコメントでは解らなかったとくださんの内面も感じとれました。
    今回のインビテーションはカワクリの患者さん達にとてもいい影響を与えていると思います。
    みんなみてるかな、ブログ。

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