Go To トラベル気分~ハワイへ連れてってあげる。

13/Ⅷ.(木)2020 猛暑とコロナ。熱中症に注意。

10年前の記事です。↓。

目覚ましより早く目が覚める。ダイヤモンドヘッドの登山に出かける。
ホテルからのバスで登山口まで、そこから歩く。


ハワイといえば透き通る青い海。この青い海を保つため、ハワイ市長は毎朝早起きして海岸を歩き、
バスクリンをまいている、とバスガイドが日本人向けのジョークを言ってたが、
ダイヤモンドヘッドの展望台から観る海の色はまさにバスクリン。
バスクリンを誉めるべきか。


草も木もない裸の山から見える青い海とのコントラストも絶景だが↑、
ゴツゴツと剥き出しの山肌と枯れ木に親近感を覚える。
ハゲタカとかハイエナとか、嫌われ者の住み家のようで気を遣わなくてよさそうだから。↓。


ホテルに戻って、フルーツを食べて、お土産を選ぶ。
少し横になり本を読み、浮輪を持ってビーチへ。
今日は波がない。
浮輪で漂っていると、どんどん沖に流されて行ってしまい、怖いのでなるべく浅瀬に滞在する。
立って、ヘソくらいの波でも、腹這いになってれば頭を越える大波だ。
十分、サーファー気分が味わえる。


そのかわり、海水パンツの中は砂だらけになる。
浅瀬で溺れ恐ろしい体験をするも、冷静に足をつけば、なんてことはない。
恐怖とはイメージの作り出すものだ。
泳げないことにコンプレックスを持ってる人に朗報。吉田拓郎もカナズチです。
僕は、それを小学校の時に知って、とても気が楽になり、それ以降、まったく泳ぎの練習をしなくなった。
そういえば、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウイルソンも泳げないらしい。
話を、海に戻す。
娘が、同様に浮輪を持って海に出るが、彼女は命知らず、どんどん沖の方へ行ってしまう。
娘は小学校の頃、スイミング・スクールにも通っており、僕とは違い、泳ぎには自信があるのだ。
海を満喫している。
その間、こちとら相変らず浅瀬で溺れている訳である。
1時間くらい経過して、疲れたので妻の待つゴザへ戻る。
僕は、娘の様子を時折、気にしていたが、どんどん沖へ流れていく。
一向に帰ってくる気配がない。
もしかして、戻れなくなったのではないか?
風が凪ぎ、波が沖へ沖へと物体を引き寄せているのかもしれない。
さっきまで娘の浮輪の目印のグリーンの付近にたくさんいた他の遊泳者達も遠ざかり、
娘の現在地を示すグリーンは、太平洋にひとりぽっち、ポツンと浮かんでいる。
自分から助けを求められない、内気な子だ。
不安でも周りに声をかけられない、それどころか外見は平然として見られてしまう。
周りも気付かないから、さらに沖へ流されている。
まだ陽は高いが、人間はこんなに長い時間、海に浮かんでいて楽しいと思うか?
人間には海に浮かんでいて楽しいと感じる時間の限界もあるだろう。
ライフセーバーの位置を確認する。
砂浜から、娘の名を呼んでみるも届かない。
望遠で写真を撮ってるカメラマンがいる。
彼にレンズをのぞかせてもらって表情を確認するか?。
いくら泳ぎが達者とは言え、いくら魚座生まれとは言え、足がつってしまえば使い物になるまい。
「河童の川流れ」、「海のもくず」、「水の泡」という不吉なフレーズが頭をよぎる。
早川義夫の声で、ジャックスの「からっぽの世界」の一節が脳内にかかり始める
。♪静だな~海の底~。静だな~何もない~♪。
砂浜から、娘の名を念じ気を送る。
その限りは、浮輪が破れない、荒波にさらわれない、そんなコーティングの力を期待して。
いよいよ、娘のグリーンの浮輪は、沖へ流されて行く。
娘を助けなければ。
もし仮にそれが過剰な心配でも構わない。
確率の問題ではない。期待値の問題だ。
娘が、もし助けを求め、不安のまま流されていたなら…そう思うと胸が張り裂けそうだ。
娘を助けに行こう。目測で50~100mの距離だ、と弟が言う。僕は泳げないが、弟も泳ぎが達者だ。
娘同様、小学校時代スイミング・スクールに通い、色んなトロフィーをもらって帰ってきていた腕自慢だ。
娘を助けるべく、僕は黄緑の浮輪をくぐり、弟に娘の所まで泳いで連れてってもらうことにする。
弟に、ビートバンの要領で、浮輪の僕をバタ足で押させる娘・救出作戦だ。
妻によく沖で観察し、もしグリーンか黄緑の浮輪が見えなくなったり、異変を感じたら
(たとえば、サメの背ビレが見えた、とか)あそこのライフセーバーに連絡するよう言い残す。
妻も、弟に無理はするな、そして弟が1人で行った方がいいんじゃないか?、などと言う。
それは、ちがう。
主は1匹の羊が迷ったら残りの99匹をその場に残してでも探しに行くと聖書に書いてあるではないか。
一家の長である、私が行かない訳にはいくまい。
僕は、自ら浮輪をかぶりスタンバイOK、弟の動力で娘のもとへ泳ぎ出す。
僕が方向を「12時の方向」、「11時の方向」、「1時の方向」と指示を出す。
風は逆風、波も我々救出班を岸へ押し戻そうとする。
必死に押す弟が、「進まない、遠い」と弱音を吐く。
オレも体重を前にかけ、波に負けないように体重移動、波の抵抗を和らげるべく波に向かって体を
45度に舵取りして、弟に「がんばれ!」と叱咤激励を飛ばし、自らもフル稼働で足を動かすも、
お風呂で遊ぶアヒルのおもちゃのごとく微力だが、気合を伝えるには十分で、弟は英雄的に力を発揮、
波を追い抜き浮輪は前進。必死の形相、男らしく育ったものだと感慨。
竜雷太・主演、「これが青春だ」の主題歌が脳内でかかり出す。
♪嵐の中も~君のためなら~七つの海を泳いでいこう~
誇りひとつを胸に掲げて~夢に飛び込む~それが若さだ~そうとも!これが青春だ~♪。
娘のグリーンの浮輪が近付く。
ホルンの奏法で身につけた複式呼吸の要領で、娘の名を呼ぶ。2度、3度。
すると、娘はこちらに気付き、手を振る。
SOSのサインか?
娘の名を呼び続けながら、手招きすると、勇気百倍になったか、自力でこちらに泳いでくる。
「何?」と言う。
潮に流されてるのではと心配して救助に来た、と伝えると、娘は安堵の照れ笑い。
砂浜へ戻るぞ、との号令に従い、彼女はスイスイと先に泳いでいく。一安心。
一方、弟は、「重い重い、浮輪が邪魔だ」と嘆きながら、今度は方向転換、
必死で今来た道をUターン、砂浜に父を無事に送り届ける任務にミッション変更。
そんな弟に、いかにお前のとっている行動が人として素晴らしく、縁の下の力持ちとは男らしい美学なのだ、
ということを噛んで含めるように言って聞かせながら、足がつく所までくれば、こっちのもの。
右足で砂浜をギュっと掴むように立ち、左足も前に、両足でしっかりと立てた。
もう大丈夫だ。
オレは、振り返り、疲労困憊の弟の手を握り、ご苦労様、と引っ張るようにすくいあげる。
ここだけ見たら、オレ、ヒーロー。
とにかく、皆、無事で良かった。
足の砂を洗い流してホテルの部屋に戻り、一休みして、おなかが空いたので焼肉を食べに行く。
その席で、弟に、泳ぎの不安はなかったか?、と聞くと、「自分が溺れたらどうしよう」と心配だった、と言った。
「人生は、多くの場合、慎重にしておいた方が無難だ。
しかし、あの場面で泳ごうと決意したのはとても立派なことだ。男らしく育って、お父さんは鼻が高いぞ」と誉め、
「今日のMVP」の称号を与えた。


男たちヒーロー軍団は疲労して、早々と床につく。
かたや、姉は元気いっぱい、遅くまで母親とショッピングを楽しんだ。
ハワイもあと2日。

BGM. 布施明「これが青春だ」

 


14 Replies to “Go To トラベル気分~ハワイへ連れてってあげる。”

  1. ハワイは、1回だけ行きました。
    ハワイっていうと、夕暮れを思い出します。コロナ前に買ったDVDで、夕暮れ時の、赤い夕焼けをバックに、野外ステージで、プロのシンガーたちが歌う。それを映像にしたものがあるんですが、それ見ると、いい気分になりますね。
    正直、ハワイでは、いやなこともありましたが、「旅の恥は掻き捨て」
    誰でもそうですよ。やはり、ハワイアンの音楽を聞きながら、夕日を見ながら、ビールを飲む。こういう過ごし方のほうが、私には、いいですね

    1. papaさん、こんにちは。

      夕日に赤い帆、というプラターズの名曲がありましたが、たしかに夕日を見ながらのビール、いいですね。
      冬の寒い日の、暖炉を見ながらのウヰスキーと同じくらいいいですね。

  2. 川原先生、こんばんは。

    ハワイでアロハシャツ着てレイ被って典型てきな観光客も、ペアルックなら恥ずかしくないものでしょうか?というか、ハワイの気候が許してくれるのかしら?

      1. 川原先生、おはようございます。

        ちょうど浦安の夢を見ました。「それは小さな世界」という乗り物知ってますか?小さな人形が出てきてくるくる踊ってるんですけど、音楽がとても可愛いんです。
        夢の中の友達と、音楽いいよねーってハモりました。
        アイスとかチュロスとか、食べ物もめっちゃ美味しいんですよね…食べ歩きするだけでも、浦安楽しいかも。でも、、、ねえ、、、

        1. タモさんが好きさん、こんばんは。

          知ってますよ。何しろ、クリニックの内装は、そもそも、「イッツア・スモール・ワールド」みたいにボートに乗って水面を1周しようと考えてたのですから。
          クリニックの待合室の廊下がグルっと回ってるのは、その名残りです。
          開業アドヴァイザーに、「薬局さんに雨漏りしたら苦情が来ます」「患者さんが船酔いしたら大変です」と必死に止められて没になったアイデアです。

          1. 川原先生、こんにちは。

            そうだったんですね。先生ってディズニー好きだったんだ、知らなかったです。
            わたしは最近アラジンのa whole new worldのところの映画をYouTubeで見ました。新しい世界を見たい。

          2. タモさんが好きさん、こんにちは。

            ディズニーはそんなに好きではないですが、イッツア・スモール・ワールドはよくテレビで明石家さんまが絶賛していたので取り入れてみました。

  3. 川原先生、こんばんは
    否定的な事を言って申し訳ないの
    ですが「勇敢に立ち向かう等」の心の力強さの象徴を「男らしさ」に繋げるの
    ですか?それでいいならそれでいいと
    思うのですが、時に「男らしさ」の中に
    「女々しさ」が含まれてこそ男性心理ではないのかなって思います。身体的格差はあれど「男」も傷つきやすいです。「アレコレ」考えはしましたがこの辺で

    1. ネコスッキーさん、OHA!

      僕らの学生時代は、女々しい、という言葉は差別的だから、雄々しい、と言い換えようなどと言ってた時代でした。30年以上前のことです。
      だから、そういう「言葉狩り」みたいなディスカッションはとっくに終ったものだと思ってました。
      不愉快な思いをさせてごめんなさい。僕は時代錯誤なのですね。

      あまり深い意味で使ってないです。すみません。これに懲りずにまたコメントして下さいね~

  4. 川原先生、おはようございます。
    「言葉狩り」で言葉を言いかえても
    「個人的無意識」の中でそれでいい
    と思っても「普遍的、集団的無意識」
    の中にはまだまだそういう偏見は消えないので女性に対して「子供を産む機械」と言ったり、男性の臨床心理士が同僚の女性の臨床心理士に「あの人は出産の度にカウンセリングルームを出たり入ったり」などと言ってしまうのだと思います。

    1. ネコスッキーさん、こんにちは。

      なるほど。
      以前にNHKでやってた海外ドラマで、弁護士事務所か何かが舞台なのですが、男女差別を撤廃するために、トイレも男女一緒という設定をみました。
      あれはマジなのかしら?それともキツいジョークのつもりかな?
      また何か気付いたことがあったらコメントしてみて下さい。同じように思う人も、別の価値観の人もいると思うので。ではまた~

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