21/Ⅹ.(水)2020 くもり。今夜、オリオン座流星群が見頃。
野球漫画の傑作はいくつかあるが、「ドカベン」の作者・水島新司が作画だけを担当した「男どアホウ甲子園」は今の若い人はもう知らない人もいるかもしれない。
主人公の藤村甲子園のおじいちゃんが大の虎キチで、甲子園球場のグランドキーパーの仕事をしている。好きが高じて孫の名前を「甲子園」と名付けた。
その子が野球をするために生まれてきたような天才児。地肩も強いし、度胸はいいし、根性もある。野球をするために生まれてきたは誉め言葉だが、裏を返せば野球以外にとりえがない。
最近の若い人は器用だし、芸能人もマルチになんでもこなすソツがない人が多い。一方で、日本人の国民性は「これ以外にとりえがない」という不器用な人も大好きだ。
今回はそういう話。
藤村甲子園はピッチャーで剛速球の持ち主。キャッチャーは、豆たん。甲子園の子分みたいなものだ。豆たんは、色んな経緯があるが、甲子園と同じ道を歩む。
それは男心に男が惚れた、キャッチャーとは女房役というものであんさんの行くところ、あっしもお供しますぜ、ってな感じ。
二人の掛け声は、「行くぜ!豆たん!」「はいな、あんさん!」。男どアホウ甲子園。変化球なんか投げたりしない。直球1つで勝負する。
その後、甲子園は東京6大学で一番弱いチームを優勝させる、と男気をみせるが、6大学で一番弱いのは東大だ。
甲子園は野球どアホウ、勉強なんか出来ないが、そこはカンニングを使ってちゃっかり合格。天才の進む道にはいつも神風が吹く。そういうものだ。豆たんも合格。
そして史上初、東大を大学日本一に導くのだ。(これは漫画の話しで、まだ東大は6大学で優勝したことはない)
そしてプロ入り。阪神に入団。
阪神球団は絶対的な評価として、村山実(2代目ミスタータイガース、天覧試合で長嶋にサヨナラホームランを打たれた投手)のつけていた永久欠番である背番号「11」をプレゼントするという。
これは「巨人の星」で星飛雄馬が川上哲治の永久欠番「16」を貰い受けるのと比較して欲しいが、
入団会見で甲子園はそんな名誉を断るのだ。「エースナンバーは、1番。村山はんはダブルエースの11番。ほんならわれはトリプルエースの111番じゃーい」と歴史は自分で作ると言わんばかりだ。さすが、野球どアホウ。
そして背番号111をつけて豆たんと一緒に阪神に入団。豆たんの背番号はたしか222。
藤村甲子園の速球はプロでも目を見開いたが、プロ野球はそんなに甘い世界じゃない。直球1つで通用するものか。
その証拠に同期で入った小野田は剛球カーブや剛球シュートや剛球ドロップなど、速球のままで手元で変化する球を見せ付けた。
嫌がる甲子園を説得し、カーブを覚えさせる豆たん。甲子園はカーブも覚え投球にも幅が出来るが、それを喜ばないのが野球どアホウ。
1軍に昇格し、ミスタージャイアンツ・長嶋茂雄との対戦だ。
甲子園は自慢のストレートを2つ続けて投げた。長嶋はフルスイング。打球は2球ともバックネットにつきささる。
甲子園の球威に長嶋が押されたともみれるが、タイミングがぴたりとあっているとも言える。
勝負の3球目。ミスターも甲子園も、男と男の戦い、直球で勝負の心づもり。
そこで豆たんが、甲子園に出したサインはカーブ。豆たんは甲子園の分身みたいなものだ。なぜここでカーブを要求?プロ意識の目覚めか?豆たんの自己主張なのか?
葛藤する甲子園。直球1本に的を絞るミスター長嶋。
カーブのサインを譲らない豆たん。気持ちを決めた甲子園は大きく振りかぶって3球勝負。投げた球はストレート。待ってましたと長嶋茂雄。バットがボールの芯をとらえた。
次の瞬間、甲子園の球威に長嶋のバットが折れ、ボールはそのままチップして背後に飛ぶがキャッチャーミットにおさまり3球三振。それを受け止めた豆たんのミットの構えはストレートを待つ姿勢だった。
豆たんはあえてカーブのサインを出しその通りにしない甲子園の行動原理を理解した上で、甲子園の潜在能力を怒りとして引き出したのであった。
長嶋はネクストバッターズサークルの王貞治に「すごいのが現れたぞ。ワンちゃん、あとは頼む」と言い残す。時代は昭和49年、ミスター長嶋茂雄が引退する年のことである。
生前、立川談志がジミー時田のことを「あいつはだらしなくて、酒癖が悪く、女にはすぐ手を出し、貸した金は返さない、うそつきで、貧相。でも、ギターを弾かせたら、『どうでぇ、これが俺の友達だ』と自慢したくなる奴」と絶賛していた。「プロ」っていうのはそういうものなのかもしれない。
今朝のワイドショーで、Jリーグの選手が女性へのDVで逮捕されたというニュースをやっていた。包丁を持って脅すなどとんでもない男だ。
テレビ局の取材に答えた知人の証言だと、「元々、自己中でケチな男だった」そうだ。火のない所に煙は立たず、きっとろくでもない人間性なのだろう。
人生は長い。
一度しくじったからそれで終り、ではなく、セカンドチャンスは与えて欲しい。
この男の罪がどの程度のものなのかは知らないが、きちんと罪をつぐなったら、サッカーに復活すればいい。
僕はサッカーのことなど何も知らないが、どうせこの男はサッカーしか能のない、サッカーどアホウなのだろう。
自粛期間に変に清掃活動やボランティアなどせずに、ひたすらシュート練習をすべきだ。
復帰戦で4ゴールくらいしたら、サッカー界のジミー時田になれるぞ。