1/Ⅴ.(土)2021 はれ、地震があった、雷雨も。マッチ退所。
僕がうんと子供の時に、ウルトラマンをみた。ソントンジャムという会社の提供で、滝のような川のようなせせらぎの中に「ソントンジャム」が並んで映ってるコマーシャルが番組の間に流れてたが、うちの食卓にはソントンジャムはなかった。ウルトラマンのオープニングは白黒のマーブルみたいなうねうねが「ウルトラQ」とタイトルを映し出すのだが、これは前番組の「ウルトラQ」そのままで、それが勢いよく吹き飛んで真っ赤な背景に白抜きの文字で「ウルトラマン」と出る衝撃。まだテレビは白黒放送とカラー放送が半々の時代で、「ウルトラマン」は新しい時代の幕開けの象徴のようにもみえた。僕の一個上の学年の友人が「ウルトラセブンはみたが、ウルトラマンはリアルタイムでみてない」と言ってたから(上に兄弟がいるいないとか)で随分、文化背景は変わるものだと思う。僕は「ウルトラセブン」には飽き出していた。それはウルトラセブンはロボットとか乗り物が多くて、僕は怪獣とか動物が好きで機械は嫌いなせいもある。ちなみに僕は「仮面ライダー」もみたことがない。裏番組で「巨泉のお笑い頭の体操(クイズダービーの前身番組、円鏡がこれで売れた)」をみてたから。当時は一家に一台しかテレビがなくビデオもなかったから、視聴率というのが今より信用できたと思う。
特撮ものから卒業した僕が夢中になったのは芸能界だった。月刊「明星」とか「平凡」を毎月買ってみていた。天地真理・南沙織・小柳ルミ子の三人娘が売り出し、五木ひろしがデビューし、グループサウンズを解散してソロになった堺正章や井上順が歌にお笑いに大活躍。ジュリーこと沢田研二とショーケンこと萩原健一は二枚目の代表。小学校3-4年の頃、「帰って来たウルトラマン」が放送されるというニュースが流れた。僕はもうその頃にはそんな子供っぽいものに関心がなくなりつつあったが、当時人気の「仮面ライダースナック」などのブームに乗れなかったから(テレビをみてないので)ウルトラマンならわかるぞ、という色気がなかったとも言えない。「帰って来たウルトラマン」の特集を「テレビガイド」が巻頭カラーで特集するというから買ってみたが、今でも覚えているがその号の表紙は、黒いタキシードを着て並んでいる(かくし芸大会の宣伝か?)マチャアキとドリフのカトちゃんのツーショットだった。
この二人はとても面白かった。まだ志村けんは付き人だったからテレビではみなかった。確か、4チャンで「第1回喜劇人大賞」なるものを授ける番組をみた記憶がある。由利徹や伴淳三郎などの重鎮がそろって若い芸人の話をしながら雑談の延長で大賞が決まるという訳のわからないシステムだった。大賞には「マチャアキ」が選ばれた。マチャアキのお父さん・堺俊二は笑芸人で舞台の最中に舞台で死んだことで有名だ。「お父さんの分まで頑張りな」ということを誰かが言っていた。多分、みんな同じ思いだったのだろう。僕は子供でマチャアキは好きだったから賞をもらったのは良かったと思ったがこの偉そうなおじさんが何者なのか当時はその有難味がわからなかったから退屈な番組であったが、そのせいかどうか知らないが「喜劇人大賞」は僕の知る限り第2回以降をやってないと思う。すごいぞ、マチャアキ、唯一無二のチャンピオン。
マチャアキと順之(井上順は、いのうえ・じゅんじ、と名乗っていた)はグループサウンズのスパイダースのメンバーだった。ジュリーはタイガース、ショーケンはテンプターズだった。僕は彼らがGSで活躍する姿を実際にみた記憶はない。きっとウルトラマンをみてたせいなのだろう。GSの生き残り組の人気はすごかった。新御三家が出ても、お笑いや芝居や歌で存在感見せ続けた。エンゼルハットをかぶってデビューした当時の桜田淳子がフルーチェのCMで歌を歌うのだが、それはフルーチェに色んな味があって迷っちゃうというのと自分で簡単に作れる商品で誰にあげようかな、と恋に恋する乙女感をミックスした傑作CMで、僕は今でも歌えるのだが、♪ジュリーにショーケン、マチャアキ、ジュンジ、私の私の好きな人♪、と歌うのである。ここに出てくる名前が当時の人気者ランキング上位で全員GS出身者だった。ちなみにこのCMは最後に、桜田淳子がスプーンを握りしめ空をみて、「ひろし~」というオチである。迷った挙句、桜田淳子が決めたのは「ひろし」だったのである。これは五木ひろし、とか、ど根性ガエルのひろし、という意味ではなく、当時、日本人男子で1番多い名前が「ひろし」だったからと何かで読んだ。きっと、明星か平凡であろう。
さてここで問題になることが数年後に起きる。
日本の歌謡シーンにフォークのブームが起きる。よしだたくろうの登場だ。拓郎についての細かい記述はここでは避けるが、たくろうのデビュー曲は「青春の詩(うた)」である(所説あり)。ここで豆知識。日活映画がロマンポルノに方向転換する直前、「女子学園ヤバい卒業」という夏純子が主演する青春ズべ公路線がヒットした。この映画で夏純子は敵対する不良グループと競技場でタイマンを張り、度胸を見せつけるため、そこでストリップよろしく制服を脱ぎ、まぶしいような純白のブラジャーとパンティ姿を披露した。この無軌道な若者の青春群像を描く映画に何故か突然、公園の噴水近くにギターを抱えた男が登場し歌を歌い出すのである。それが、よしだたくろうであり、歌が「青春の詩」である。音は後からかぶせたのだろう、エレキの音がするから、これはエレックレコードのファーストアルバムからの音源ではなく、シングル盤の音源だろう。この詩は♪喫茶店に入って彼女の手を握ること、あ~それが青春♪というように「~な、こと、あ~それが青春」というフレーズを重ねて行く手法でいくらでも長く出来るのが初期のよしだたくろうの作風の特徴です。その中で今回皆さんと共有したいのがこのフレーズです。それは、♪ジュリー、ショーケーン、キンちゃん~、あ~それが青春♪です。前述の如く、ジュリーは沢田研二、ショーケンは萩原健一、どちらもGSです。しかし、そうなると「キンちゃん」は誰でしょう?僕はこれを中2の頃からずっと悩んでいます。色々調べたし、ラジオにも投書したし、書籍も読み漁ったが、回答はありません。ちょっと音楽に詳しい奴にきいても、「キンちゃん?欽ちゃんだろう。萩本欽一」と答える始末。でも、ディメンジョンが違うじゃないですか。そこで僕が当たりをつけたのは、ザ・フォーク・クルセダーズの北山修。フォークルは京都のライブハウスでジュリーたちと同じステージに立っていた。一足先にジュリーたちがスカウトされ東京に向かう時、ジュリーが北山修に「先に東京に行って待ってる」と言ったセリフは有名。フォークルの当時のライブ音源を聞くと黄色い声で一色。北山修は普段は「サム(おさむ、の、さむ)」と呼ばれていますが、覆面バンド「ザ・ズートルビー(山田隆夫がいた、ずうとるび、とは別物)」では足柄金太と名乗っていたから、「キンちゃん」という呼ばれ方もしています。北山修のソロコンサートのライブ音源を聞くと、「サム~」「キンちゃん~」と二つの掛け声が聞こえます。そこで僕が出した説は、よしだたくろうの「青春の詩」の「ジュリー、ショーケン、キンちゃん~」のキンちゃんは北山修・説でした。
話は変わりますが、4月からメンバーチェンジとなったEテレの「ゴーゴーキッチン戦隊クックルン」の新メンバーは「タイゾウ」という男の子を中心に男子2、女子1、大人の女子1という構成です。ここで私がふれておきたいのは「タイゾウ」という男の子です。この子が若い頃のよしだたくろうにそっくりなのです。一人だけ年長なので背が高く、手足も長い。ノリが良くて、自分のことを「俺」と呼ぶくせにどこかしら育ちが良さそう。茶目っ気があって笑うと、眉が下がり、目がタヌキみたいにタレ目になり、肉厚のある唇がニコチャンみたいに半円を描き、まるで顔の輪郭の丸の中にもう一つ丸が出来て「◎」みたいな表情が記号になります。かぶってる帽子も拓郎がかぐや姫と一緒につま恋でやった時のオールナイトコンサートの時のバンダナを連想させます。ちょっとボンボンな不良っぽさだけど笑顔が可愛い男の子。こういう子が女性に人気が出るのは良いことだが、幼い男児が好きな変質者の目にとまらないかと心配になります。今は男の子を持つお母さんがベビーシッダーは「男はあぶない」と偏見めいた不安を抱いている世の中だからです。
さて話を元に戻しましょう。皆さんは「WOWOW」を申し込んでいますか?あれは契約してないと妨害電波みたいのでみれないシステムになってますが、中には無料でみれる番組があります。松村邦洋と松本明子のやってる「電波少年W」は無料でみれます。主にテレビの歴史を振り返るみたいな懐かしく、かつ資料的な側面のある番組です。そこで驚いたのですが、こないだゲストに萩本欽一が出演しました。欽ちゃんは元気でしたが、もうさすがに年寄りでしたね。活舌も悪いし、間も悪い、ツッコミが古くて、本人は毒気と面白みがあると思ってるんだろうけどしつこいだけ。ま、欽ちゃんを生でみれるだけで貴重なのだからそんなことは全然気にならないのだが、先に挙げた特徴はなぜかビートたけしにも共通してて、若い頃はあれだけ芸風の違った二人が同じようにみえてしまのは、年取ると人間はみな同じようにみえる仮説が出来上がりました。他のサンプルも集めてみます。と、そんなことはどうでもよくて、この番組で衝撃だったのは全盛期の「コント55号」の頃の異常な欽ちゃん人気の紹介です。「まるでアイドル」で出待ち&入り待ちは当たり前、マンションにまで女性ファンが駆けつけていたというのです。つまり、よしだたくろうの「青春の詩」の「ジュリー、ショーケン、キンちゃん~」のキンちゃんは、みんなの言う通り萩本欽一でした。俺は何を何年間も悩み続けていたのだろうか。0度と360度が同じ座標軸を示すようにグルっと考えすぎて何も考えない奴と同じ結果に辿り着く。
心の護美箱(34)がいっぱいになったから(35)を作りました。始めてこのブログを読む人は「何のこっちゃ?」ですね。そんな人はこちらを。→心の護美箱(34)。
BGM. よしだたくろう「青春の詩」