24/ⅩⅠ.(火)2020 寒い 小林麻耶、ボートレースの生司会降板。
安倍元総理が開いた「桜をみる会」がニュースになっていた。なんでも参加費は一人5千円でホテルニューオータニで飲み食いして多分それじゃ足りなかろうという試算でその不足分を安倍総理側が出した可能性が問題らしく、ホテルの領収書をどうのとか検察がどうのとか評論家たちが言っていたが、総理大臣が自分主催のパーティーでケチケチ徴収してたらみっともないと思うのだが、原さんによるとそれは「公職選挙法」ではワイロみたいなものだそうで、それを選挙に利用したら法律違反でいけないのだと教えてもらった。しかし、そもそも「桜の会」に参加する時点で安倍晋三を応援してる人なのだからワイロ云々じゃないと思うのだがダメらしい、もっと勉強しよう。
自分と他者の友好な関係性を利用して、自分に有益な結果を搾取するのはけしからん、というのはよくわかる。精神療法では「禁欲原則」というのがある。これはカウンセリングとかしていると自然と主治医と患者という関係が、「親子関係」とか「擬似恋愛」みたいな空想に支配されることがあって、極論、洗脳とか恋人関係みたいになれるのである。そういう関係でなければ「フツーのおっさん」が「理想の人物」に見えてしまう錯覚を治療外で利用するなという戒めで、そういう戒めがあるということは、ほっとくとそういうことをする人が多いとも言えるのであろう。禁欲とはストレートに(男性)治療者が(女性)患者をセックスの対象にしちゃいけないよ、という意味が大きいが、もっと広い意味でも使われる。だから僕らは不自由で、患者さんがやってるお店に行ったりサービスを受けるのも基本的にNGで、これは他科の医者との大きな違いだと思う。だからこそ、患者さんは安心して心を開けるってものでもある。
研修医の頃、大学では「しょうどくかい」というのが毎朝あった。抄読会と書きます。消毒会ではないです、まだコロナが流行ってない頃ですから。論文を読んで、皆に発表紹介し合う会で僕はこれが大嫌いでした。なので自分の番では訳本が出てる古典的名著をやってみたり朝日新聞の人生相談を拾い集めてみたりしました。結構、ウケてはいたのですがアカデミックな機関はそんなものを許しません。抄読会のルールが、「過去5年以内の海外の専門誌に掲載されている医学論文に限る」と枠付けされてしまいました。困った僕は図書館をあさりました。英語は嫌いですからモチベーションが湧かないものにはパフォーマンスが下がります。だから少しでも興味をもてる文献を探しました。そこでみつけたのが、「Sexual Counter-Transference」でした。これは直訳すると「性的逆転移」でした。転移とは患者が治療者に過去の重要な人物の思い出をダブらせてみることで、逆転移とは治療者が患者に治療的な立場をわきまえずに私情を抱いてしまうことを言います。性的逆転移は治療者が患者に性的な関心をもつことの論文でした。教授はポカ~ンとしてて、助教授は怖い顔をして、医局会はシ~ンと静まり返りました。あっ、でも心配ご無用、僕はそういう空気でも平気でいられるのです。アメリカの精神分析をしてる治療者と患者の関係で性関係を持った人がどのくらいいるかというレポートでした。結構、多かったです。その治療者側の心理的な側面に女性週刊誌ばりにメスを入れるのですが、れっきとした専門雑誌に載っていました。
さっきネットのニュースで男性教師が教え子(女生徒)に手を出し、彼女は心療内科に通ったあげく自殺してしまったという記事をみました。男性教師は休みの日に女生徒をドライブに誘ったり、膝の上に座らせたり、キスしたり、スカートの中に手を入れてお尻を叩いたりしたそうです。女生徒も先生に好意を抱いていたから自己嫌悪になったりして苦しみ、挙句、誰も知らないと思ってたら友人が皆知っててショックを受けたと心療内科のカルテに書いてあったそうです。カルテ開示したのですね。しかし、可哀想だな。この子がもし僕のところに来てたら何がしてあげられただろうか。難しいなぁ。
教師と生徒の関係と、治療関係はよく似てると思う。尊敬があこがれに変わり、救済したい気持ちが恋愛感情に変化したり、そう言えば、恋という字は変という字に似ている。昔、金八先生で売り出した頃の武田鉄也がトルコ風呂に行ったらトルコ嬢がドラマのファンで、「なんで金八先生がこんな所に来るの?」って泣き出しちゃって武田鉄也は「あれは作り物だから」ってなだめて事をしようとしたというエピソードを、ラジオでビートたけしが言っていたっけ。
僕は今ネイルをしているがそれは友人の紹介である。コロナで不景気だから景気回復のために行って来た。これは良い事だと皆が言うけど、もしこのネイリストさんが僕の患者だったら「アウト!」なのです。風俗産業もコロナ禍で不況だと思うが、手助けしようと僕がお客で行くのは、さっきの金八先生と同じ幻滅を生む。バツが悪かろうし次回の診察にも来づらいだろうし。だから我々の仕事は「守秘義務」とセットになるくらいに「禁欲原則」は大事なのです。
もしも、二人が恋におちてしまう運命で出会いがたまたま治療者患者関係だったら?という命題については僕はこう答えます。まず治療を中断し別の治療者に紹介しそれがうまく行きそうなら、治療者が身辺をきれいにして(既婚者なら離婚して)お互いフィルター越しの変数がなくって1年以上好き同士だったら結婚すればいいと思う。



















































