4/Ⅷ.(木)2016 はれ 暑い!
アカデミックな話で恐縮だが、「初期統合失調症」の研究をしている大学病院がパッとしない。
それから、話しは変わるが、診断にも流行があり、最近では「大人のADHD」と「双極性障害Ⅱ型」が流行りだ。
両者とも、否定的な意味で取り上げてみたのだが。
それは診断を検査に頼り過ぎで、これは一昔前に「経験ある医者の勘のみで診断するのは、危険」と指摘され、
根拠に基づく医療、が浸透したのはいいが、どうも精神科との相性は悪かったみたいで、
そもそも精神科の病気の原因が何一つ解明されてない仮説ばかりなので、限界が来たのだと思う。
ロールシャハも光トポも、色々の角度から僕なりに検証してみたが、未来予測、は出来ないみたいな印象だ。
早期発見とか未病という観点から言うと、甘い、のだ。
だから僕は、これらを何とかしようをスローガンに、7月攻勢をミーティングで打ち出したのだが、
ニュアンスの部分で、うまくスタッフに伝わらない…。
というか、診察での負担が大きくなって返って来てしまい、こちらのキャパ・オーバー。
伝え方が下手なのだろうか。
あるいは、分不相応なことをしているのか。
こういうのは、それこそ大学病院や医療センターなどの研究・専門機関に任せておくべきことで、
何も町の診療所がしゃしゃり出て、やることではないのかな。
マン・パワーが足りない。
昔、「ドカベン」で、中学時代の岩鬼がピッチャーをしていて、
「サードもショートもファーストも外野もみんなワシがやりたいで」
みたいなことを言っていたが、そんな気分はともかく、全部、自分でやれたら話しは早いんだろうが。
今週の新患の中でも、強化項目のターゲットの人はいて、僕の読みの通り、そういう相談の需要は増えるだろう。
だからと言って、内容が追いつかないのだから、「専門外来」みたいなアドバルーンをあげて、患者が集まっても、
納得いただける結果は出せず、誇大広告になってしまうと思い知った。
ひょっとしたら、スタッフはそんなことはお見通しで、それを僕が、<伝わらない>、と受け取った齟齬なのかも。
小さい美容院で、1日に予約する人数を制限して、シャンプーから会計まで全部1人でやる美容師さんがいると、
とても安心する、のと同じで、分業システムの落とし穴か。
法人化は荒野をめざす、のか。
またまた話しは変わって、僕は精神保健指定医なので、月に1-2回、指定医業務の当番が来る。
今週はそれも重なって、火曜が「夜間救急」で水曜が「後方支援」だった。
「夜間救急」では、トリアージと言って、緊急の患者さんの介入や送り先を判断して指示する役割があるのだが、
その際、その対象となる患者さんの主治医とも電話でやりとりした。
その先生は、新橋にあるクリニックの院長で、ホームページをみたら、洗練された院内風景で、美人な女医さんだった。
相談したケースの病気は「重そう」で、これをクリニック(病床がない)で診るのは大変だろうな、と思った。
でも、この女医さんはえらい人で、長年この患者さんを抱えているようで、「今、して欲しいこと」を、
こちらに丁寧に要求した。
僕は、<この人は顔写真だけでなく、心も綺麗なんだなぁ>と正直、ちょっと感動した。
そして、思った。
僕は今、疫学的に増えるだろう患者さんの専門外来をどうにかしようと考えていたが、そんなことより、
縁あってうちのクリニックに訪れる患者さんの一人一人を大切に診ていくことで、
その中には、僕が言わんとしてる「時代の傾向」も反映されるだろうから、そこはちゃんとおさえて、
それ以外にも必要なものはあるだろうから日々の診療に取り入れて、新橋の女医さんを見習って、
何かの専門に特化することを誇示するのではなく、目の前の出来ることを一つづつやって行こうと思い直した。
BGM. ザ・フォーク・クルセダーズ「青年は荒野をめざす」
先生、こんばんは。
私はインターネットで検索して、知り合いが通院しているところは避け、診察時間や家(や職場)からの距離を考えてカワクリにたどり着きました。
このブログを読んで「予習」した以上に初めてのカワクリはビックリする場所でしたが、今は一番安心出来る場所です。
精神保健指定医には、そういう業務があるのですね。
夜間救急、後方支援、と役割分担もされていて、すごいなぁと思いました、
意味を間違えているかもしれませんが。精神科医の精神を守る仕組みも大切なのでは?と思います。
トモトモさん、こんばんは。
色々と予習したり、条件を考慮して、うちに来てくれたのですね。
縁と言ってしまえばそれまでですが、安心できる場所になってくれて良かったです。
精神保健指定医は、これからも大変になってくるとの、裏情報(?)もあり、皆、戦々恐々です。
頑張らねば。
ではまた~
いつもブログ拝見しております。分業システムは症状を慢性化させない効率のよさのようなメリットがあるようにもみえますが、患者さんが感じる安心感が欠落してしまうような気がします。時代の流れは先生の中に少し反映されると思いますが治療方法が明確に示せなくとも「一緒に寄り添う医療」が実は患者さんにとっての安心であり「これができるから凄い」ではなくただ一緒に在り続ける事が当人とっての最高の治療だとも思えます。専門ではなくても信頼関係がもしかしたら一番の特効薬みたいなものなのかも?
駄文失礼しました。
猫ズッキーさん、こんばんは。
心強いコメントでした!
僕は、あまり他人に相談をすることがないから、迷いがあるとブログの記事にして消化してることが多いです。
書く、ことで自分の整理にもなるし、皆さんのコメントで気付かされたり、励まされたり、自信を取り戻りしたりしているようです。
そんなことにあらためて気付きました。
ありがとう。ではまた~
そうですね、先生の言うとおりですね(別に偉そうに言ってる訳じゃないですよ)
目の前の患者さん一人一人に出来るだけ時間を割いて頂ければこっちはとても嬉しいです。
皆先生に会いに、話を聞いてもらいたいんですからね。
今後とも宜しくお願いしますね、先生。
sinさん、こんばんは。
ちょっと気になっていたことを記事にして、皆さんからコメントをもらえて良かったです。
こういう応援のコメントが、我々の日々のエネルギーになるのです。
いつもコメントありがとうございます!
ではまた~
映画「椿三十郎」で名をたずねられた三 十郎(三船敏郎)が「つばき…三十郎…。も うすぐ四十郎だがな…。」と答えます。 あの脂ぎっているのに枯れている感じ、 三十代のジャニーズアイドルにはないで すよね。椿三十郎が自分より年下に感じ られる事は一生ない気がします。 子供とは何か?そして、大人とは? 子供は強力な学習能力を持ち、圧倒的に 成長します。その代償として(青春の)悩み を抱えるハメになります。 大人は段々、過去の経験を生かして、行 動できるようになり、知恵を使って行動 できる。
と、ここまでは昔の話で、現代では大人 も次々に新しいことを学習しなければな い。だから、青春の(?)悩みみたいなもの も抱えることになっちゃう。
と、わかっちゃいるんだけど、悩んじゃ うんだな。せめて 可愛げのあるオジさん になろうとボクは悩みながらも思うので あります。 BGM. 六角精児バンド「お父さんが嘘を ついた」
(ガラ携からコメントしようとして失敗、 恥ずかしい!)
ハガキの(のの字)さん、こんばんは。
椿三十郎、好きです!
クリニックには、用心棒、のポスターと2枚並べて待合室に貼ってあります。
用心棒、では、桑畑三十郎、でしたっけ?
確かに、三十郎が年下に見えることは一生なさそうですね(笑)
コメントありがとうございました。
(ガラケーからも、コメント出来るのかな?)
ではまた~
トモトモさんじゃないですけど、私も最初はその時行っているクリニックに納得が出来なくて、ネットで検索し、家からの距離などを考慮して最初に伺っいました。そしてクリニックに行ってその雰囲気にびっくりと同時に好きになったのを覚えています。今も当時と雰囲気は同じでありがたいことです。困っているのは少し混んでいる事でしょうか。でも混んでて大変なのは先生と受付のみんなですもんね、引き続き頑張って下さい!
sinさん、こんばんは。
スタッフの皆への心配り、ありがとうございます。
明日から、夏休みをいただきますが、スタッフにとって励みになると思います。
混雑緩和、なんとか工夫しますね。
ではまた~