22/Ⅵ.(日) 2014 小雨
小雨の中、上野まで「バルテュス展」を観に行く。↓。
午後に、Dr.ストレッチの予定があるから、朝1で行く。
今日は最終日だけあって、この悪天候でも美術館は混んでいた。
僕が、バルテュス、を知ったのは、澁澤龍彦の本で、だ。
「部屋」という絵に衝撃を覚えた。
少女が全裸でソファに弓なりにヒステリー発作のように海老反っていて、その部屋のカーテンを意地悪そうな顔をした小人女
がめくって、そのせいで部屋の中に対角線上に光が入って、少女の裸体を照らし出していた。
そして、テーブルの上の猫が小人女の方に視線を送っていた。
僕は二十歳前後に「部屋」を見たものだから、ものすごくインパクトがあった。
今回の「バルテュス展」にあたって、澁澤龍彦の本を読み返してみた。↓。
すると、それは僕の記憶違いで、「幻想の画廊」で紹介されてるのは、「部屋」ではなくて、「夢見るテレーズ」だった。
ちなみに「部屋」は今回の「バルテュス展」では展示されなかった。
「夢見るテレーズ」は今回の展覧会の目玉で、チラシやチケットの絵柄に使用されていたから、目にした人も多いかも。
下が、美術館近くの立て看板の「夢見るテレーズ」。↓。
モデルの、テレーズは、バルテュスが起用した最初の少女モデルで、隣に住む失業者の娘だったそうだ。
テレーズは、第2次世界大戦が迫り来る暗い世相を反映した雰囲気を持つ少女で、それがバルテュスを惹きつけたようだ。
澁澤龍彦の解説を読むと、これはただ少女が頭の上で手を組んでうたた寝して、かた膝立てて、パンチラを見せてる絵などではない。
こういう難しい理論武装をすれば、アニメやエロゲーの表現の規制もかわせるのではと思った。
頑張ってみたらどうだろうか、そっち系の人。
話をテレーズに戻そう。
テレーズは、他にも「兄妹」という絵のモデルになっていた。
しかし、同じ画家が同じモデルを書いたとは思えない程、こっちは可愛くない。おまけに妹なのに兄よりデカいし。
犯罪性がグッと低くなる。↓。
「バルテュス展」のパンフの表紙は、手鏡を持つ少女。↓。
これは、「美しい日々」というタイトルで、ポストカードも買ってきた。↓。
「美しい日々」で思い出すのは、片山健という人の画集だ。ちょっとバルテュスっぽいのである。↓。
あとがきで、片山健は自分が絵を描き出したきっかけは、シュールレアリズムの傍流の一連のきわめてエロチックな作品に
ふれたからだ、と書いている。
しかし、実際のバルテュスはシュールレアリズム運動には1度も参加していない。
アンドレ・ブルトンの目にとまり、初期の作品がシュールレアリズムの雑誌に載ったりしたが、バルテュスは距離をとっていた。
アンドレ・ブルトンが、バルテュスの家までわざわざ出向いて、話をして、決定的な考え方の違いにガッカリして帰った、という
エピソードもこの展覧会で紹介されていた。なんか、ちょっと笑った。
しかし、バルテュスはジョルジュ・バタイユとは仲が良かったらしい。バタイユと言えば、エロティシズムの巨匠ですね。
寺山修司の年譜には必ず、「バタイユの眼球譚」に出会う、みたいなことが重要な事件として載っている。
下が、バタイユの「眼球譚」。デルヴォーとバルテュスの画集で挟んでみました。↓。
バルテュスの絵にはよく猫が出てきます。パンフの裏表紙も猫です。↓。
これもポストカードを買ってきました。この絵は、シーフード店の宣伝に書かれたもので、店内に掛けられていたそうです。
シーフードの新鮮さを表現するため、海から虹に乗って魚が、猫が待ち受けるお皿に弧を描いて直接、舞い落ちてくる様子はマンガチックですね。
左下でボートで手を振る少女は、バタイユの娘、ローランス・バタイユ。↓。
大人たちが延々と喋ってるのに退屈して、1人でボートに乗って港を探索していたという逸話を題材に取り上げたみたいだ。
さすが、ローランス!バタイユの娘だけありますね。↓。
ローランスは、「決して来ない時」という絵のモデルもしています。この絵は僕が冒頭で言った、「部屋」にちょっと似ています。
「決して来ない時」の原題を直訳すると、「木曜日が4日ある週」になります。
当時、フランスの小学校は木曜日が休みだったため、「木曜日が4日ある週」とは「決してあり得ない」という言い回しに使われていたそうです。
これも、ポストカードを買ってきました。猫が見てますね。↓。
僕が今回の展覧会でもっとも注目したのは、「読書するカティア」です。これは、ポストカードが無くて残念でした。
なぜ、僕が注目したかと言うと、このモデルは、ベルリン少女ハートの「みずほ」に似てるのです。
パンフから、カティアをクローズアップしてみました。↓。
僕が、高2の時、好きだった女の子が紺のスィングトップをよく着ていて、僕はいつもその子のことを想っていました。
スィングトップがオシャレな女の子の間で流行っている時代でした。
だから、僕は原宿とかですれ違うスィングトップの女の子が皆一瞬その子かと錯覚して見間違えるほどイカレテいました。
そんな心理と似てるのかな?「読書するカティア」を「みずほ」に見間違えるのは。
下が、「みずほ」、タワレコのポスターより、クローズアップ。↓。
今日の記念のお土産は、パンフやポストカードの他に「蜂蜜」を買いました。
バルテュスは早熟で、11歳の時に作品集を刊行しています。
お母さんの恋人が、あのリルケだったそうで、リルケが序文を書いてくれたそうです。
その作品のタイトルが「MITSOU(ミツ)」なので、それと「蜂蜜」を引っ掛けた商品です。
「ミツ」の絵が瓶にデザインしてあります。↓。
「ミツ」とは愛猫の名前で、日本語の「ミツ(光)」が由来だそうです。
バルテュスは日本びいきで奥さんも日本人。来日して三島由紀夫とあった時の通訳をしていた人で一目惚れしたらしい。
バルテュスは勝新太郎に絵をあげて、替わりに勝新から着物をもらったりして。「座頭市!」と言って喜んで着てたそうです。
もう少し、ゆっくり観ていたかったのですが、午後からストレッチだから、自由が丘に移動します。
僕の担当のトレーナーさんは週の半分、実家に帰ることにしたらしく、この1週間はその引っ越しで忙しかったという。
だから、蜂蜜を1つあげた。↓。
さて、大量にポストカードを買ったからな。お久しぶりの友人へ葉書を書いて、文通用に使おう。まずは、四国のY.からだ。
BGM. BELLRING少女ハート「Crimson Horizon」
先生こんばんは。
バルテュス展、行けたのに、行かず、先生のブログを読んで後悔しています。
いま、急な事情で、東京に戻れず、いろいろな出来事があるのですが、「ヘドバンギャー‼︎」の歌詞を何故かよく思い出します。
実は「いーちごの よーるを わすれはしない」の「いちご」は、「一期一会」の事だと思い込み、その上でさらに、「越後の夜」という言葉を連想し、これを題材に立川志らくが何か作ると良いなぁ、なんて妄想していたのです。越後に旅に出た二人組が、ウワバミに呑まれる…みたいな。
ところが!「15の夜」なのですね?検索したら、そういう文字表現でした。
「15の夜」って、15歳の夜のイメージでしょうか。
トモトモさん
バルテュス展、僕ももっと早く行くつもりでしたが、結局、最終日になりました。
上野って、「遠い」んです。
さて、急な事情も心配になりますが、志らくの「妄想」面白いですね。
もっとも、志らくは、BANYMETALなど、角兵衛獅子だ、などと言いそうですが。
「さくら学院」は小中学生のユニットだから、15才までしか所属できないんですよね。
先生、早速のコメント嬉しいです。
小中学生!なるほど、そこで「15」につながるのですね。
ありがとうございます。
トモトモさん
それが、「15」の意味かは判りませんが。
ところで、志らくのサインを貼りましたよ。天明さんのなぞなぞの隣です。
バルテュス展行きたかったです。
でも先生の言う通り意外と遠い上野・・・・なのです。
しかも知ったのが前日に先生のブログを見て・・・・ですから・・間に合いませんでした。
先生の好きな『部屋』見たいですね。
今度画像UPしてくれると嬉しいです。
宜しくお願いします。
Sinさん
バルテュス展、もっと早く告知すれば良かったですね。
「部屋」は、バルテュスの画集を探してたら、ありました。
今度、紹介しますね。
Sinさん
バルテュスの 「部屋」、アップしましたよ。
「美しい日々~カワクリ編」のラストにあります。
暇な時に、みて下さい。
先生、志らくサイン入りプログラムと、(今までどこにあるかよく分からなかったけれど、やっと分かったので)「巨大コルセット祭り」で先生が首に巻いたコルセットの写真、撮らせていただきました。
かなり…挙動不審な感じだったと思います。床にしゃがんで下から撮りましたから。
待っている時、「ヘドバンギャー‼︎」がBGMでかかったので、嬉しかったです。
診察の後に教えていただいた、奇妙礼太郎トラベルスイング楽団は現在活動しているバンドなのですね。
あの「カトリーヌ」という曲は、何となく「昔の曲」と思い込んでいたので意外でした。
トモトモさん
「志らく」の撮るの大変だったでしょう?
床にペタンと座んないと、難しいですよ。よく撮れましたね。
BABYMETALのコルセットの撮影時に「ヘドバン」が流れるとは、日常とは奇跡の連続ですね。
奇妙礼太郎は、レトロっぽいですよね。
下北沢のヴィレヴァンで去年の11月頃にかなり推してましたが、最近では新宿のタワレコのJ-POP売り場でもコーナーが出来てましたよ。