夢について ~相談室だより~

 こんにちは。とくだです。
夢については、カウンセリングの中でも話題になることがあります。
夢を見た人、夢主が、その夢を通じて、どんなことを連想するか、ということを私たちは考えます。

今回の企画の発端に、川原先生がおっしゃるように、
そもそも夢を意味のあるものと思っていない、
という人も多いのではないかという点があります。
ならば、夢をどんな風に考えるか、そこのところを共有できたら、カウンセリングでも、より話しやすいかもしれない。
あるいは、カウンセリングはしていなくとも、自己分析をする上で、自己理解を深めるための参考にしていただけたら嬉しいです。
ただ、夢にとらわれすぎてしまうのは要注意です。
不安が高まりすぎてしまっても逆効果なので、そういうときにはいっそ忘れてしまう方がよいこともあります。
その点はお忘れなく。

そうはいっても、『夢』というテーマはなかなか難しいです。
先生の夢シリーズの分析というのもハードルが高い気がします。でも、ご自分の夢を題材に、と提供してくださる先生の思いにも応えなくては、と思いながら葛藤していました。
 そんなときに、私が見た夢、
① 突然導かれた部屋で、半裸の男女が何人か寝ている、それを目撃してしまった。でも妙に冷静。
② 銀河鉄道999のような世界で、何かから逃げている、ブラックホールのようなところに吸い込まれていきながらもがく。
ほかにも共に逃げながら吸い込まれている人はいるけど、その流れを楽しんでいるよう。そういう楽しみ方もあるのか、と驚く。
③ 知らない人に、たまたま手が当たってしまって、怒られる。逃げる夢。
ざっくりというとこんな風でした。

 『夢』というのは、精神分析の世界では、クラシカルなテーマです。
フロイトの業績の中でも、大切な位置づけになるもので、「夢は無意識への王道」といわれています。
私たちは普段意識することのない無意識の世界、を想定したフロイトは、自分の夢も含め、その他にも多くの夢を検証しながら、
夢から、心のありようを科学的に示そうとした、それが『夢解釈』(1900)です。

そこには、フロイトが自分の夢を例に、一つ一つ構成されているものを挙げ、そこから連想されるものを分析していくことが度々出てきます。
自分の抱く嫉妬心や野心、さらには、私たち人間に普遍的にあるであろう同性の親へ向ける敵意や
異性の親への愛情の葛藤(エディプスコ ンプレックス)へと辿り着いていく大作です。
そんなわけで、私にとっての『夢』というと、なんだか教科書的で、権威的なイメージがわきやすく、
勝手に恐れおののいていたのが①の夢には現れているかもしれないです。
夢は無意識的な願望の充足、という側面もあるから、ショッキングなことも冷静に見ておける自分でいること、がある意味願望充足かもしれない・・・。

フロイトは、夢というものは、その人それぞれによってどういったものが連想されるかが重要であり、
紋切り型には解釈できない、という姿勢でした。
それでも、多くの人が見たことがあるという夢の存在は否定できない、としていて、それが「類型夢」とか、「典型夢」と呼ばれる夢です。

【類型夢】
・ 裸で困惑している夢
・ 近しい大切な人が死ぬ夢
・ 試験で苦しむ夢

【準類型夢】
・追われて逃げる夢
・落下する夢
・火事の夢
・ 空を飛ぶ夢
・ 水におぼれる夢
・歯が抜ける夢

私の②、③の夢もこの辺に当てはまる、いわゆるよくある夢でしょう。
「追われて逃げる夢→親への恐怖、性的衝動の活動による不安」、と教科書に書かれています。
なるほど、それはそうかもしれない。親のイメージ、権威のイメージ、この『夢』というテーマとリンクするなと感じます。

性的衝動の活動による不安というのはどうでしょう?
こういった説明から、精神分析、夢、というと何でも性的なものに還元されるイメージがある、という人も多いかもしれないです。
無意識、というのは意識の世界とは違って、もっと原始的な、生きる、とか、死ぬ、とか、生まれる、とか、そういう人間の根本的なエネルギーのようなものではないだろうかと思います。
それを踏まえて、性的な衝動、という言葉に含まれるのは、生きることにまつわるエネルギー、それが親愛の情のようなものだったり、やさしさだったりするかもしれません。
単純に、いわゆる性的なものだけを指すのではなく、どういったものの表れかを吟味する余地があるんだと思います。

こういった形で、①~③の夢には、私の中にある葛藤が、様々な形で表れているんだなということを改めて認識しました。
短い夢でも、一つ一つ吟味してみると6~8倍の量になる、ともいわれます。
そのくらい夢の中にはたくさんのものがつめこまれている可能性があるんですね。

 次回はいよいよ「先生の夢シリーズ」について、インタビューをしたいと思います。 乞うご期待!?


カワクリ新メニュー

カワクリの心理部門は、僕の思いつきで新メニューが出来て、時々ザワつきます。
過去の専門外来は、こちら。

①「不倫専門外来

②「いじめ、DV【加害者】専門外来

③「安楽死専門外来

今回も2つ考えました。

(1)休職中、復職準備・短期集中カウンセリング

オーバーワークやハラスメントで心身が疲れた人は、燃えつき症候群になる前に、早目に休むのも手です。
ストレスから距離をとり休息をとることが、「くすり」になる場合もあります。
ただし、不慣れな休暇は、将来の不安を煽ることもあります。
そんな不安の源になるものを見つめ直し、働き方や生き方、本来の自分を見失っていないかを考えるカウンセリングは、
復職準備として有効です!

(2)親をなぐってはいけない外来

どんな理由があっても親をなぐってはいけない…、と人は戒める。
と言うことは、ある理由によっては親といえどもなぐられることはある、という事実が歴史上、たくさんあるからだろう。

僕は親をなぐったことはないが、1度だけ父と格闘したことがある。
小さい頃の父は怖かった。
えんじ色のカーディガンをよく着ていて、僕は動物図鑑をみるのが好きな子供で、そこに父そっくりの動物をみつけた。
オランウータンだった。

僕は高校の授業で柔道を習い、自分で言うのも何だが割とセンスが良かった。
高3の頃、反抗期だったのか、僕は父と口論の末、取っ組み合いになった。
僕は勝てるとは思わなかったが、もうどうにでもなれ、と必死で破れかぶれで、柔道で体得した大外刈りをかけ、
相手を倒し、そのまま馬乗りになった。
僕はビックリした。それは技がうまく決まったからではなく、「親がこんなに弱いの?」という驚きで、
「オレ、強いの?」って戸惑いでもあった。

家庭内暴力の子の心理を聴くと、皆、最初はそう思うらしい。
それでもう1回実験し、その時、親が「反省」してたり、または「手を抜いて」反撃しないと、
もう後はブレーキの壊れたダンプカー状態。暴君のようになる。
だから、親は子供が向ってきたら、「負けちゃいけない」と思う。
他人じゃないから、親だから、その関係性があるから、いくつになっても親と子だから、
腕力や格闘スキルを超越した精神性優位さがあるから、本気をみせたら子供は親をなぐれない。

僕の父はえらかったと思う。
僕が馬乗りになっても、下からものすごい形相でにらみつけ、その気迫に僕は思わず、手をゆるめ、体勢が逆転してしまった。

親が本気を出せないのは、うしろめたさがあるケースもある。それは人によって違う。
そんな場合もあるだろう。そんな人は家族相談に。心理部門も「親ガイダンス」をやっています。1回50分、保険適応外。

こないだ、ある進学校の先生が書いている勉強法の本を読んだら、生徒がメンタルな相談をしてきたら、という項目があって、
そこには「専門のメンタルクリニック」の受診をすすめる、とあった。
学校には相談室もあるが、そこは使わず、あえて有料の機関をすすめるらしい。
お金を払うことで、元をとろうとするから、らしい。なるほどね。

BGM. 高橋幸宏 「スイミングスクールの美人教師」


カワクリ心理インビテーション①~イエローサブマリンの旅

2017年夏、カワクリ心理インビテーションが始まります。
こんにちは。心理の原です。
最近の心理部門では、カウンセリングだけでなく、心理検査についてもお問合せをいただきます。
少し前のブログで、川原先生と大平さんによる「もうひとりの自分に会うための心理テストのすすめ」も反響が多かったようです。
自分のことって、わかっているようで、じつはよくわからない。
でも、自分だけで考えてみるのは難しいですよね。
例えば、 「自分について知りたい」
「自分の苦手なところや強みを知りたい」
「自分に向いていることってなんだろう」
「自分は何かみんなと違う気がする、でもどうしたらいいんだろう」 
「対人関係がうまくいかなくて、どう工夫したらいいんだろう」  などなど。
そこで、心理部門では、心理検査による「自己理解」のお手伝いを始めました。
心理検査には質問紙法と投影法があります。
質問紙法は、当てはまる回答を自分で選択する方法です。
自分の性格傾向を、数値で見える化できるのでわかりやすいという長所があります。
しかし、自分で答えるために「自分をよく見せたい」「悪く見せたい」というような回答のゆがみが生じる可能性があります
(ウソの回答もできます)。
投影法は、あいまいな刺激に自由に応えていく方法です。
あいまいで自由、ですから、例えば、「模様がチョウに見えたら正解、チンギスハーンの顔に見えたら不正解」ということを判定するテストではありません。
自分も意識していない心の内面を映し出すことができます。「自分らしさ」を知るためのテストともいえるでしょう。
このように、質問紙法と投影法では、明らかにしようとしている心理的水準が違っています。
その図を↓に示しています(大平さんのご協力に感謝! ©オーヒラ)

投影法は、目に見えない部分=無意識レベルに関係していて、より深層の世界を明らかにしていきます。
原初的な欲求や動機に近いもの、自分の内面の世界があぶりだされます。
SCT(文章完成法)やP-Fスタディは、海面により近い比較的意識レベルを反映します。
次いでTAT(主題統覚検査)、最も深いところがロールシャッハ・テストになります。
川原先生にうかがったところ、昔は医師が「診断の補助」として心理に丸投げしていた歴史があるそうです。
臨床心理士も困ったでしょうね。
そうした経緯もあり、患者さんに心理検査の結果が知らされることは少なかったようです。
カワクリでは、それを反面教師にしてきちんと数値化したものをグラフや用紙にして、先生からフィードバックをしてきました。
それぞれの心理検査には、把握できるものとその限界があります。
その限界を理解したうえで、補うために、いくつかの心理検査を組み合わせて実施することが一般的です。
心理検査だけで、自分の性格傾向を理解する、ことにも限界はあります。
前回のブログ「きっと浮かない」で、受付のうかいさんが抱いたような疑問が湧いてくるのは、ある意味で自然なことでしょう。
「心理検査の結果に、納得できない」
「検査結果が、現実の自分とかさならない」
「思っている自分と違う」
「思われている自分と違う」
今回、心理部門では、その疑問に答えるべく「心理検査フィードバックコース」を始めました。
このコースでは、心理検査を受けた後、フィードバック面接(5回程度)を受けることができます。
フィードバック面接は、検査結果を伝えるだけというものではありません。
検査結果を一緒にふりかえって、検査結果と自分の体験がピンとくるかどうか、検査中に迷ったことや困ったこと、
検査後に生じた疑問などをやりとりしながら進めていきます。
このような対話を通して、「自己理解」を深めていくお手伝いをしていきます。
これは「短期」「焦点付け」カウンセリングともいえます。
目的が明確です。さらに「自己理解」を深めたい人はそのまま、カウンセリングに移行していく方も多いでしょう。
もし、あなたが、「この心理検査の結果はまちがっている」と訴えたとしたら、それこそが「自己理解」の絶好の機会です。
※さて、ここで1つだけお伝えしておきたいのですが、
今回の心理の3人の記事へのコメントは臨床心理士という職業上の理由から、
コメントを個別にお返事することができないのでご理解ください。
ただし、感想や疑問は大歓迎で、願わくば大いにディスカッションしていただければ、
後々の心理部門の参考になりますので、よろしくお願い致します※”


カワクリ心理インビテーション②~invitation! To心理検査フィードバックコース~

 こんにちは。とくだです。
お久しぶりです。相談室だよりも更新できぬままでしたが、
invitation!という形で、またやってきました。
さて、川原先生と大平さんが心理検査について書いてくださっていた記事(3部作-③もう一人の自分に出会うための心理テストのすすめ)、さらに原さんからも検査についての紹介がありました。
いろんな種類の検査があることがお分かりいただけたと思います。
 原さんの記事にもありましたが、結果については自分の感覚と一致すること、だけじゃなくて、しっくりこない部分も大切だと思います。
また、鵜飼さんが言っていた「自分のことは自分でわからない/結果は自己評価になってしまう」こと、
この疑問への一つの答えとして、質問紙では確かに自己評価になりますが、その用途として、
川原先生は質問紙の結果を薬物療法の効果の判定や、診断書作成の一つの指標として臨床的に用いています。
統計的な処理で『誰かとの比較(標準化されたT得点)』で判定し、
用途としては、『継時的にみたかつての自分との比較』をして用いているのです。
 
 カワクリでは、以前から心理検査のフィードバックは、大切な時間としてきました。
結果についてあまり知らされなかった、精神科臨床の現場でそういう声が多くある中で、
川原先生は、きちんと伝えることの大切さを、それこそ開院当初から私たち心理士にもいつも伝えてくださっていました。
たとえば、血液検査でもそうですが、結果の数値などは、専門的でよくわからないものです。
心理検査も、専門用語や数値化したそのスコアだけ見てもよくわからない、そういうところが多々あります。
ただ、たとえそうだったとしても、それも含めて説明し、受けた人が自分で結果を知るということ、そのための時間を設ける、
ということをしてきました。
日本人は数値化(可視化)が好きなので、これはある程度好評でしたが、ある日、川原先生がショックを受ける事件がありました。
 それは、SCTやP-Fスタディなど、記述式のテストを、数値化したりして、統計的にフィードバックしたところ、
その患者さんは、「先生、私のSCTやP-Fスタディの中身、よく見てくれました?あの感想を聞かせてくださいよ」だったそうです。
つまり、人間の心とは、振り子のようなもので、「本人の言ったまま」をそのままにしておくと、不満足になるので「数値化」する。
しかし、「数値化」が進みすぎると「本人の言ったまま」に触れて欲しくなるという、ごくごく自然な二元論です。
ということになると、果たして、「数値化」してそれを伝える、それだけでいいのだろうか?ということが、今回この企画の発端でした。
そこで、先生と、私たち心理で、その両方を満たす方法を模索し始めたのです。
川原先生と、そういった心理検査の話、結果の返し方についての話をしていて、思い出したことがありました。
 私も、特に学生時代、いろいろな心理検査を体験しました。
心理の学生は自分でもやってみたり、実習もしたりするんですが、その頃に印象深かったことがありました。
確かあれは授業で、描画テストと、その他諸々やった時のこと。
描いてみた絵について、詳しく知りたい人は授業の後で個別に対応してくれるという話だったので、
興味があった私は、授業後に先生のところを訪ねてみました。
そこで言われたことは、なんとなく、私の想像とは違うものでした。その先生は、解釈を伝えてくれたんです。
でもその解釈は、私にとってはすっと入るものではなかった。
それは今思うと、そういう見方もできるな、その通りだなとは思うんですが、多分、そこではなかったんですね。
授業だし、遊び心もあって、描いてみたんです、ってところを、結構しっとり真面目に解釈されてしまった、その温度差、でしょう。
ただ、その『温度差』(不一致だった)というなんともいえない感覚だからこそ、今も覚えているんでしょう。
そういう意味では、温度差、不一致の部分は、必要かもしれない。考えるきっかけにはなりうるかも。
いや、不一致の部分ていうのは、多かれ少なかれ、必ずあるものなんじゃないかな、うーん、それにしても温度差は結構大きかったけど(苦笑)。
 その後、そのことはすっかり忘れて時間は経っていき、今、その例でいえば、私はその先生と似たような立場、解釈する側にいるんですよね。
当時の先生が、その立場で言った意味は当時よりもよく分かる、正しい、こともわかる。
心理検査を習得していく中では、まずそれを使えるようになるために、正しい部分を知る必要があるし、それを目指してきました。
 ただ、今思う『難しい』点は、正しい、ということだけでは相手の理解につながらないことも多いんじゃないかな…
心理検査の結果をただ伝えるだけでなくて、その結果についての対話って大事なんじゃないか。
それが、冒頭にも言っていた、果たして結果を伝えるだけでいいのな?という、川原先生の問題提起と一致した部分、私が共感した部分でした。
この『難しい』と感じていることを意識して、以前の自分の体験談が私の中で意味を持ったのも、先生との話で再認識したわけで。
ぼんやりと違和感があった部分を意識できると、問題として扱えますね。
やはり、私たちは、こういう言葉でのやりとりを通して、漠然とした体験に、少しずつ意味を持たせられることで、
新たな自分の理解につなげられるんじゃないだろうか、そう思うのです。
気づくことで、問題として焦点が当たり、それについて対応が考えられる、
私たちは、その気づきをお手伝いしたいと思っています。 
③へつづく


カワクリ心理インビテーション③~親ガイダンス

こんにちは、臨床心理士のやつだです。
原さん、徳田さんからは心理検査についての新しい取り組みでしたが、今回「親ガイダンス」についてお伝えします。
「親ガイダンス」とは、子どもとの関わりあいを振り返り、親としての自信を回復することを目指しています。
親も一人の人間なので、すべてをパーフェクトに行うことは難しく、エネルギーを溜めることが必要なことがあります。
川原クリニックでは、2つのパターンを考えています。
一つは、子どもが当院に通院しており、親として本人への対応等相談したい場合です。
もう一つは、子どもがクリニックには来られないが、親が本人のことで相談にのってほしい場合です。
具体的に言えば、人の目が気になり外にでることが難しく、不登校や家にひきこもっていることが当てはまります。
子ども本人が相談に来ないと診ることができないとよく聞きますが、親がまず相談してみることが問題解決の一歩となります。
多くの場合、子どもが受診を嫌がっても、親が子どものことで相談に行くことを拒否することは少なく、
「行きたければ行けばよい」といった態度が多く見られます。
そして、具体的に子どもへの対応や、どういった関わりをすればよいのかを話し合うことで、親の態度が変化してくると、
本人がクリニックや治療に興味を示すことが起こります。
一言でいえば、「なぜあの親が変ったんだろう?」といった不思議な感じが生まれるようです。
そこから、子どもが受診やカウンセリングにつながることがあります。
イメージとしては、家族の中にささやかではあるが、風が吹き、何らかの変化をもたらすといった感じでしょうか。
このことを、少し専門的に言えば、家族を一つのまとまりとして捉えて、どこを治療の「入り口(port)」とするのかということになります。
親ガイダンスを最初の「入り口」として、治療が家族全体に広がっていくことを考えています。
子育てが失敗だと自分を責めたり、苦しんでいるご家族が多くいらっしゃるのではないでしょうか。
それは何らか、親が子育ての責任をとろうとする現れだと思います。
川原クリニック心理部門の親ガイダンスが、親と子どもを支える「器」になれるよう、一緒に考えていければと思います。


3部作-①アイデンティティーを考える

22/Ⅶ.(土)2017 18日連続の真夏日
アイデンティティーと言えば、みうらじゅん、のマンガ「アイデン&ティティ」が面白いですね。
1.でボブ・ディラン、2.でジョン・レノンが主人公の前にあらわれて、メッセージ(彼らの歌詞の引用)を送り、
主人公(バンドマン)が商業主義的な「ロック」の流れに抗って、社会にプロテスト・ソングを発表してゆく成長物語。
バンドマンを自分の職業(立場)に置き換えてみると良い。
ちなみに、ディランとジョン&ヨーコは主人公にしか見えないし、その声は彼にしか届かない設定。
裸の王様、の逆パターンですね。あれ、同じかな?
下が、みうらじゅん、の「アイデン&ティティ」の載ってた雑誌。↓。

カワクリでは、今、アイデンティティーを考えるキャンペーンをやっています。
しあわせの基準がわからない現代、不幸の基準もわからない。
高学歴の人がバカなことをやっているニュースが毎日、聞こえる。
勉強だけ出来てもダメなことは、もはや国民に啓蒙されたのではないか。それなのに、勉強しろ、と言う。
わけがわからない。青春はどうなる?
利口の基準もバカの基準もわからない。
自分が利口かバカかもはっきりしない。中途半端もつらいぞ。
いっそのこと、ぐうの音も出ない理論で、お前はバカだ、と納得させられたら、むしろ楽に生きられそうだ。
自分はバカだと思っても、バカの考えだから反対なのかも。じゃ、自分は利口か!やったー。
こんなことを毎日考えている。多かれ少なかれ、みんなも同じじゃないか?
自分とは何物か?それを、ここではアイデンティティーと呼んでみる。
イジメやハラスメントなどの外的なストレスは、耐えたり、逃げたり、工夫してしのぐのだが、
内面的なアイデンティティーは、外的なストレスと同じくらいやっかいだ。
アイデンティティーには身分証明の意味もあるが、
自分が所属する準拠集団(学校・会社・家族・都会・男/女役割etc.)
の求めるものと己の価値観に差がありすぎて、しっくりこない。
昨日や今日に始まったことでもない。
そういう意味では、逆説的だが、アイデンティティーがわからない人生こそが自分のアイデンティティーだ。
これじゃ、禅問答か言葉遊びで、まるで答えになってない。世間はそんなに甘くない。
そこで、お待たせしました、今回のキャンペーン!
自分の歴史やルーツや生い立ちや風土や文化を専門家と一緒に見つめ直し、アイデンティティーを考える。
そういう作業がカウンセリングなのだと考えている。
※詳しく知りたい人は受付に。カワクリ心理部門が作ったパンフレットあります。
BGM. さくら学院「アイデンティティ」


3部作-②リベンジ・カウンセリングの提案

22/Ⅶ.(土)2017 本格的な猛暑日
過去にカウンセリングを受けたが、「効果がなかった」「ただ一週間の報告をするだけだった」「話すことがなくなった」
という理由で中断したというカウンセリングへの不満を聞くことがある。
彼らの言い分は、事前に心理テストを受けたり、自分史まで用意して、一大決心して、やる気まんまんだったのに、
もうカウンセリングはこりごりだと言う。
言わんとしてる意味は痛いほど判る。
しかし、だからこそ、そんな人に、言ってみたい。リベンジ・カウンセリングの提案、を。
言いたかないけど、「相性」や「カウンセラーの技量不足」だったのかもしれないから。
人によって傷ついた心は、人でしか癒されないように、カウンセリングで負った心の傷はカウンセリンが請け負いたい。
昔、診察とカウンセリンのちがい、という記事を書き、心理部門のコンクールをしたことがあります。
参考に見てみてくれないですか?
そして、良かったら、別の治療者、とやり直してみませんか?
診察とカウンセリングのちがい
コンテスト・ファンファーレ
コンテスト1枠
コンテスト2枠
コンテスト4枠
心理個別インタビュー4枠
心理個別インタビュー2枠
心理個別インタビュー1枠
※詳しく知りたい人は受付に。カワクリ心理部門が作ったパンフレットあります。
BGM. 千賀かほる「真夜中のギター」


3部作-③もう一人の自分に出会うための心理テストのすすめ

22/Ⅶ.(土)2017 朝から番犬に吠えられる。セミの鳴き声が聞こえた。

心理テストには質問紙法と投影法があります。
前者は自分の自覚症状や性格傾向を数値化して目でみれるようにしてくれて便利です。
一方、後者は深層心理をみますから、質問紙と違って何をテストされてるのかわからず誤魔化しが効きません。
心の奥底を心理テストに映し出すのが、投影法たる由縁です。まさに、もう一人の自分に出会うチャンスです。
カワクリ心理部門ではマニアックな心理テストも取り揃えてあります。
カウンセリングには抵抗あるけど、もう少し自分のことを知りたい、という人にはおすすめのコースを作りました。
たとえば以下のものが代表です。
現物を出すのは後のお楽しみが減るので、受付の大平さんに類似品「なんちゃって心理テスト」を作ってもらいました。
①ロールシャハテスト
元々、ヨーロッパの子供の遊びだったみたいです。左右対称のインクの染みをみせて何にみえるか聞くテストです。
あいまいな物を無理矢理何にみえるか答えなければなりません。「インクの染み」という答えはNGです。↓。


これは、「逆さまにした方が皆さん、想像しやすそう」との作者の提案で、ひっくり返してみました。
何にみえますか?。↓。


②P-Fスタディ
Pはピクチャー、Fはフラストレーション。ムカつく場面のひとコママンガの吹き出しにセリフを書きます。
自分の内面を投影させるため、テストのマンガは表情や髪型などがあいまいで限定しにくくなっています。
主に、怒りの矛先や怒るとどんな対応をするかとか、
始めは我慢してるが最後に切れる、とか、始めは抗議するが疲れるとあきらめる、などのパターンもみれます。
スタンリー・キューブリックの「時計じかけのオレンジ」でも登場しました。
下が、大平さん版P-Fスタディ。↓。


③SCT(sentence completion technique:文章完成法テスト)
書き出ししかない不完全な文章の続きを書いて文章を完成させます。
これが何故、投影法かというと、この質問に対しては色んな答えが出来るはずです。
それを一つだけ書くことで、その人が何に囚われてるとか執着してるとか固着してるかをみます。
逆に、答えにつまる、なんてのも意味がありますね。国会答弁の「記憶にありません」みたいで怪しいですね。
下が、大平さん版SCT。↓。


④TAT(Thematic Apperception Test:絵画統覚検査)
意味ありげな絵画をみて、物語を作ります。
こども版もあって、その中の一枚はRCサクセションのシングルマンのレコードジャケットになっています。↓。


シングルマン、は名盤なのですが、一時期は廃盤でした。ファンの再販運動があってレコード会社がわびて復刻されました。
まさに日本の音楽業界の本質をみる目をテストした結果になった訳です。
下が、大平さん版TAT。皆さんもやってみましょう。出来るだけ想像力を働かせてドラマチックな物語作家になって下さい。
過去にどんなことが起きていたのか?そしてこの絵の場面では何が起きているのか?
登場人物達は何を考え、どう感じているのか?さらに今後物語りはどう展開して行くのか?
その辺の紙片にでも書き留めてみましょう。↓。


どうですか?意外と難しそうじゃないですか?興味のある人は、受付に。カワクリ心理部門が作ったパンフレットあります。
己を知り敵を知れば百戦危うからず、です。まずは順番通りに、己から。

BGM. 中山千夏「あなたの心に」


5月相談室だより(仮)

こんにちは、とくだです。
久々にお邪魔します。
10年経つと、変わるところも出てくるもので、ソファーがだいぶくたびれてきていました。
そこで今週から、相談室に新ソファーが届きました。

こんな感じです。
今、院内には、先生直筆メッセージ、アイデンティティや、リベンジカウンセリングについても貼ってあります。
川原クリニックの相談室をすでにご存知の方も、知らなかったという方、一度(もう一度)試してみたい、という場合にはご連絡お待ちしております。
診察で直接お話いただくか、
受付でご希望の旨お伝えください。
追ってご連絡いたします。
今週のお花もお届けします。

ひとまずご報告ということで、タイトル、(仮)
としました。
未完。


ファンファーレ

こんにちは、受付の大平です。
最近暑くなってきましたね。もうすぐ5月だし、ゴールデンウィークも始まるし
クリニックがお休みになってしまう前に、先生が予告していた
心理の皆さんの記事が完成したそうです。
タイトルは『カワクリ下克上・心理コンテスト

私は上の写真のカウンセリングルームでどんな事をしているのか
臨床心理士とは何をするのか、今だに謎なところが多く、
以前、先生がブログでカウンセリングと診察の違いを説明していましたが
それでも私にはよく分からず、その謎が少しでも解ければいいなと、
今回の心理の皆さんの記事を待っていたうちの1人です。
なので心理の4人がどんな記事を書くのかこれから読むのがすごく楽しみです。

カワクリのカウンセリングルームは診察室より奥にあります。

部屋の中はこんな感じです。
さて、ここで1つだけお伝えしておきたいのですが、
今回の心理の4人の記事へのコメントは大歓迎なのですが
臨床心理という職業上の理由からコメントを個別に
お返事を返すことができないのでご理解くださいね。
BGM. お好きな「ファンファーレ」を聴きながら記事をお読みください