31/Ⅲ.(木)2011
Kさんから頂いたピンクのカーネーション。
フォトby徳田さん(カワクリ写真部)。↓。
Kさんは、
「××花屋さんは、あんまりお花が好きじゃないみたい。お花も元気ないし。○×花屋さんの方がよい」と言っていた。
お店屋さんは、自分の扱ってる品物を愛さないといけませんね。
それで思い出したのが、僕が大学生の時に出会った美容師さんのこと。
当時、僕は悪ノリで青山のモッズヘアとかジャニーズ御用達の「コバ(古場?)」とか
キョンキョンの通う「スターカットクラブ」などに月替わりで通ってた。
美容師さんは気を使って色々話しかけてくれるのだが、僕にはそれは鬱陶しい限りだ。
「学生さん?」なんて聞かれても、「何で、テメェに答えなきゃいけねぇんだよ」とか思った。
他人に自分の素性を知られるのも、「医大生!」と答えたりする自分も嫌で、
ふざけて「見ての通りのボイラー技士です」とか「こどもスパイ」と言ったり
「それは秘密です」とテレビ番組のタイトルをコールしたり出鱈目に答えてた。
だったら行くなよ!、って話だが、1980年代初頭ってそんな空気だったのである。
時代のせい。
そんな遊びもじきに飽きて、ある日、僕は気まぐれに地元の美容院に入った。
担当したのは元・不良って感じのお姉さん。お約束の「学生さん?」に、僕は面倒くさく、「まぁね」と答えた。
すると、彼女は、
「私は美容師になりたくてこの道に入ったの。
美容師でも好きじゃなくて仕事でやってる人もたくさんいるよ。
でもね、私は思うんだけど、私なら美容師の仕事が好きな人に髪を切って欲しいな。
だから、私はそう思って仕事をしてるんだ」
と鏡越しに真剣な目で語った。
さすが、元・不良。(決め付けるな)。
次回、僕はまたその人の予約をとり、自分から「僕は、今、実は医学部に通ってる学生なんだよ」と打ち明けた。
彼女は「何科のお医者さんになるの?」と聞き、僕は「精神科」と答えた。
不思議なことに、それ以来、僕は美容院で話しかけられるのが、それほど嫌じゃなくなっていた。
BGM . RCサクセション「金もうけのために生まれたんじゃないぜ」
K君のお父さん。
30/Ⅲ.(水)2011
♪フランシーヌの場合は、あまりにもおばかさん。フランシーヌの場合は、あまりにもさびしい。
三月三十日の日曜日、パリの朝に、燃えた命ひとつ、フランシーヌ~♪。
「フランシーヌの場合」という歌の歌い出しである。これは僕らが子供の頃に流行った。
「天才バカボン」でバカボンのパパが、フランス製の家具を自慢するフランスかぶれの人の家に招待される話で、椅子に座り、♪フランス椅子の場合は~♪、と歌ったので、我々こども世代にもこの歌は届いた。
高校の時、懐メロの話題で、「フランシーヌの場合」になった時、同級生のK君が「うちの父ちゃんの誕生日、三月三十日だぜ。」って訳のわからない自慢をして、周囲の反応が悪いとみるや、「それも日曜日!」ってフカしやがった。
でもさ、K君、「フランシーヌの場合」ってベトナム戦争などに抗議して、パリで焼身自殺した女学生の事を歌ってるんだぜ。
途端にK君の顔色が変わり、「やべ~、父ちゃん、どうしよう~」とパニクって家に帰ろうとするから、皆で抑えて、落ち着かせて、大丈夫だから、と安心させて、なだめて、何故か悪くもないのに謝る奴もいた。ほっとけばいいのに。
歌手は、新谷のり子。「しんたに・のりこ」と読む。「あらや・のりこ」と読んで、淡谷のり子と勘違いしないように、若い人は注意。
BGM. 新谷のり子「フランシーヌの場合」
写真。
29/Ⅲ.(火)2011
20才ちょっとの頃の話だ。僕の友達に「ナベゾ」というのがいる。
ナベゾとは、当時「ガロ」系で活躍してた渡辺和博という漫画家のニックネームで、
友達の名字が「ワタナベ」だったから、ナベゾと呼んでいた。
ナベゾは、写真学校に通っていて写真に詳しかった。
僕には父の肩身の一眼レフのカメラがあったから、ナベゾに色々教えてもらいながら写真を撮った。
ナベゾは、「写真とは時間を切り取る道具だ」と言い、
初心者の僕にはまずいつも見ている光景をファインダー越しに見るとどう映るかを知った方が良い、
と渋谷で街や通行人を撮ることにした。
始めはビルやネオンやサラリーマンを撮っていたが、段々と女の子ばかりを撮るようになる。
女の子たちは、「イエーイ」とピースサインをして来たり、「撮って!撮って!」と言ったり、「やだー」って逃げる子もいた。
それらを追いかけながらバチバチシャッターを切ってると、次第に脳から変な物質が分泌してきたみたいで、
なんだかハイな気分になってくる。
僕はカメラを持って渋谷の街を走り回り、
<なんだか楽しいな~>と頭の悪い子供みたいに笑うと、ナベゾは僕に伴走しながら、
「なっ、写真って面白いだろ?」と得意気に言った。でも、コレって写真が面白いってことじゃないよな?
ナベゾがゲンゾーしてくれたり、そういう工程も楽しかったのだが、
古いカメラなので不具合が生じ、本社のカメラ屋に修理に持っていったら、
奥の部屋に通されて、このカメラを譲ってくれと言われた。
当時の自分の生活水準からすると、馬鹿高い値がついた。
写真もそろそろ飽きてきてたから売ってしまった。
こういうアブク銭みたいなものをずっと持ってるのは良くないことだと判断し、
友達を大勢集めて飲み食いに使い一晩でパーって使ってしまった。
「おごる」と言うと人はたくさん集まるものだ。友達の友達、なんてのもいた。
はじめまして、だって。
まぁ、でも今振り返っても、この判断で良かったんじゃないかと思う。
カメラにとっても、価値がわかる人が持ってた方がいいだろうし。
ナベゾに、一番すごい写真家って誰?と聞いたことがある。
ナベゾは、何でも良く知っていて説明もうまい男なのだが、
ダイアン・アーバスやらロバート・キャパやらの名をあげウンチクを語り、でも一番はラルティーグだと言った。
実際に写真も見せてくれた。
ダイアン・アーバスの撮る双子の女の子の写真や、ロバート・キャパの戦場で撃たれる兵士の写真に較べ、インパクトが薄いのである。
でも、ナベゾが一番だと言うんだから、写真はそうやって見るんだと疑わなかった。
ラルティーグは生粋の素人カメラマンで家族写真を多く撮っている。
ナベゾによると、被写体との距離感みたいなものがポイントだと言っていた。
僕が、「篠山紀信の前だと脱いじゃうみたいな?」って聞くと、「そうそう!」と答えていた。
なんだか、いい加減だな。ハタチそこそこですから、そこは一つ。
ナベゾは僕の父が趣味で写真を撮っていて、僕の子供時代の写真が異常に多いのを知っていて、
まだ父が死んだばかりの頃だったから、その辺も配慮してラルティーグを推したのかもしれないな。
被写体との距離感というと、徳田さんが撮るお花は総じて綺麗なのである。
下は、今日のお花、チョイスは岡田さん。↓。
まるで、お花が心を開いて、「私を撮って!」と言ってるみたいでしょ。
BGM. 斉藤哲夫「いまのキミはピカピカに光って」
かい。
28/Ⅲ.(月)2011
先日、寿司屋で巻貝という長っぽそい貝を醤油焼きにしてつまみにした。
韓国で買ったアワビの賞味期限もギリギリなので、毎日食べている。
クリニックの飲み会でも、僕は「サザエの壺焼き」を決まって頼む。
そんな、貝好きである。
僕が医者になり母がまだ生きてる頃、寿司屋に連れて行ってやると、
必ず「貝の盛り合わせ」か「サザエの壺焼き」を頼んだ。
母が貝が好きだったから。
徳田さんは、「先生は貝が好きですね」というけど、僕が貝を頼むのは「好み」でなく「習慣」なのだ。
徳田さんはおそらく、自分では絶対気付いていないと思うが、「サザエの壺焼き」を食べる時、
「おっ、すごい!サザエの中からワカメが出てきました~!」と必ず言う。
毎回言う。徳田さんの日常はあまり聞かないから知らないが、きっと「団らん」だ。
貝といえば、「かい」という名の女ナースがいたな。
僕らはよく仲間で呑みに行った。「かい」は名字で、下の名前は知らない。
彼女は、僕のことを「たつじん」と呼んでいた。
丁度、「料理の鉄人」という番組が流行ってる頃で、「達二」と「達人」をかけて、発音は平仮名で「たつじん」。
「鉄人」や「達人」を「てつじん」や「たつじん」にすると途端に骨抜きみたいになって、
意味内容を形骸化させる効果があって、僕は気に入っていた。
僕は、カラオケやディスコというのが嫌いなのである。
何か、歌ったり踊ったりってちょっと自己陶酔の世界だから、そんな姿を他人に見られたくない。
だったら、白昼堂々真っ裸で銀座の歩行者天国を口に生魚を加えて猫のポーズで四つん這いで歩いた方が百倍マシだ。
…何、言ってんだ?俺。
そんな僕でも、「かい」達とはカラオケに行って歌ったりした。
平たく言えば、心を許してたってこと。
西城秀樹の「君よ抱かれて熱くなれ」や郷ひろみの「寒い夜明け」や野口五郎の「グッド・ラック」や
トシちゃんの「ラブ・シュプール」やマッチの「情熱☆熱風・せれなーで」を歌った(ヨッちゃんのは歌わなかった)。
午前3時を過ぎると、園まりの「逢いたくて逢いたくて」、渚ゆう子の「京都慕情」、
黛ジュンの「天使の誘惑」などの女性歌手の歌を歌った。
何度か歌うと、彼女らがそれを耳で覚え、いずれ歌ったりした。
やっぱり、女の歌は女性が歌った方がいい。
「かい」は元気でやってるかな。
ちゃんと生きてるかな。
一緒に遊んでた、セイコやT先生は死んじゃったもの。
俺は、割とうまくやってるよ。
死んだ2人に申し訳ないな、って思うことが、何故かたまにふっとあるよ。
BGM. 郷ひろみ「寒い夜明け」
なくしもの、さがしもの。
27/Ⅲ.(日)2011
僕の部屋は乱雑で、引っ越して引っ越して引っ越して、1回も開けないままのダンボールなんてのもある。中は、ビデオと雑誌。
部屋に棚はあって本やDVDなどを取り合えず手当たり次第に入れたままだから、時間がある時に整理しなきゃ。
だから今は聴きたいCDも、夢の島で宝探しをしてるようなもので、発見できない。
そこにこないだの地震。棚の物がドッとベッドに散乱した。それで見失ったのが、今日、大阪・堺市でやる立川談春のチケット。それは談春が「子別れ」という大作を、上・中・下とぶっ通しでやるので、大阪までゆく価値ありとゲットしたのに、それが見当たらない。今は、留まるべし、ということか。
かと思えば、寝る場所を確保すべく、手当たり次第に棚に戻してたら、ずっと探してたCDが見つかった!。
「クレージーキャッツ・レアディスク」。
これは1991年に発売されたクレージーソングの集大成アルバム2枚組CD「クレージーシングルス」に未収録だったものを集めたもので、シングル盤以外の形で発売されたため、数々のクレージー関連書籍でその存在を知られながら、歌そのものを聴くチャンスがほとんどなかった曲、たとえば当時のフォノシートだけに収録されたもの、発売早々放送禁止になって原盤が差し替えられたもの、録音されながらも未発売に終わった幻のシングル盤などで、これらはその原盤が廃棄されていたり行方不明となっているものが多く、当時のレコード盤や参考用コピーテープなどから音取りしたレア音源郡なのだ。
僕が落ち込んだ時に観るといい映画「クレージーのぶちゃむくれ大発見」のエンディング曲「笑って笑って幸せに」や、「五万節」のオリジナルヴァージョンなどが入っている。
人生、雨のち晴れだ。棚に飾って記念写真。↓。
BGM. ハナ肇とクレージーキャッツ「笑って笑って幸せに」(幻のレコード・ヴァージョン)
花を撮る。
26/Ⅲ.(土)2011
お花の写真撮影は、僕より徳田さんの腕前の方が断然うまいので、今後は彼女に一任することにした。
下は、心理室のお花。チョイス+撮影by徳田さん。↓。
お花の解説文も書いたら?、と提案したらそれは断られた。
その理由は、自分の書いたブログ記事を親類に、「主張がない!」と酷評されたからだそうだ。
カウンセリングは、患者さんが対話する中で色々と気づくことが大切で、カウンセラーは「鏡」のような役割である側面もある。だから、あまり独自色を出すことを控える習性のようなものがあるのだ。それも踏まえての投稿だから。主張控えめ。
ガンジーが「非暴力」をもって「暴力」を制したように、「無主張」という「主張」を貫くのもアリじゃないか。むしろ、新鮮。
BGM. 中川翔子「乙女のポリシー」
お水の話。
25/Ⅲ.(金)2011 はれ
地震の影響で、都心でもトイレットペーパーやお水のペットボトルが売ってませんね。
地震直後の外来で、避難中の女の子が帰り際、
「もしもの時に」とペットボトルのお水2本と携帯カイロを1袋くれようとした。
<あなたが大変そうだから、こっちはいいよ>と断ると、「先生にじゃなく、もし患者さんが困ったら」と置いていった。
わざわざ返すのも何なので、診察室の「スモーク君」という引き出しにしまっておく。
一昨日の昼過ぎ、「乳児には水道水を飲ませないで」とニュースが言ったら、あっという間に、
水が売り切れてなくなった。
夕方に来たある患者さんに、<「そういえば赤ちゃん、いなかった?>と聞くと、
まだ数ヶ月だが、どこにも水がなくて困ってるって。
僕は、あの女の子が言ってたことを思い出し、その事を説明してペットボトルの水2本をあげた。
その人はとても喜んで、1本だけ受け取って、1本を返してきた。
僕は、<1本じゃ、足りないでしょう?>とそれも渡そうとすると、
「いえ、他にも困ってる方がいられるでしょうから」とやんわり言われた。
僕は、この人も先の女の子も、2人ともすごいなぁと感心した。
それに比べて、自分は何も考えてなくて恥ずかしいなと思った。
BGM. 忌野清志郎&ニーサンズ「空がまた暗くなる」
夢日記 2011年3月某日
24/Ⅲ.(木)2011
最近、みた夢のことを書く。
@オフィスで書類を書いてると、昔のよしみの男性ナースがやってきて、「先生、ちょっと来て下さい」と言う。
僕は今、手が離せないと断るも、「困った子がいるんです」と強引だ。仕方ないので付いて行く。
すると、すべり台の下の部分で毛布にくるまって寝ている男の子がいる。何かに腹を立てて、ストライキしている風だ。
みてると、別の女ナースがその子を起こし、「ちょっとこっちまで」と2、3歩離れたところに誘導しそこには布団が敷いてある。すると中からさっきの男ナースが魔法のランプの怪人みたいに意表をついて出現し、その男の子を捕獲した。
「帰ったら反省文よ!」と女ナースが言うと、その子は素直そうな顔で、「ごめんよ。でもさ、イチゴのジャムが」と言いかけたが、「さぁ、行くぞ!」と男性ナースが足早に連行した。
僕は、「ちょっと待って。その子に言い分があるみたいだよ」と声をかけるも、男女ナースは振り返ろうともせず、サッサと行く。その男の子は後ろを振り向いて、僕の顔を見て不安げな表情で、「ボクはどうしたらいいの?」と聞く。
僕は、「君は頭が良さそう顔をしているから、自分の思っていることをきちんと言葉で伝えるんだ」と伝えた。「そして、困ったら連絡をくれればいい。私は○×にいる××という者だ」と言おうとしたら、僕の声は出なくなってしまっていた。 声を失っていたのだ。
そんな非力な夢をみた。
BGM. 吉田拓郎「歌にはならないけれど」
インスピレーション
23/Ⅲ.(水)2011
写真は、Kさんからいただいたお花。名前は知らない、インスピレーションで選んだんだって。ニコちゃんの巻尺と記念写真。↓。
BGM. THE BLUE HEARTS「インスピレーション」
おしらせ 3月22日(火)PM9時30分
・大田区では、しばらくは計画停電(輪番停電)は実施しないそうです。
・従って、3月23日(水)以降の診療・カウンセリングは予定通りに行います。
・停電の予定は不確定なので、わかり次第、ホームページのトップとブログでお知らせします。
・お昼にご飯を食べようと外へ出ると、階段の踊り場に、「良かったら使って下さい」と匿名で巨大キャンドルが!!。 実は、懐中電灯などの準備がなかったので、停電の時は携帯電話の灯りで処方箋を書くしかない、と思っていたところ。 心強い援軍でした。大田区の停電は当分ないそうですが、いざという時に頼りになります。 …というか、ちゃんと準備しとけ、って話ですね。防災グッズが市場に出始めたら、きちんと買います。
下は、一緒にあったお花↓。ありがとうございます。