20/Ⅴ.(金)2016 はれ
昔から、小説やマンガや歌のタイトルに使われやすい年令というのがあると思う。
代表的なのは、17才、か。
南沙織の「17才」や桜田淳子の「十七の夏」。下が、シングル・ジャケット。↓。
次は、14才。楳図かずおの「14歳」や、エヴァのパイロットも14才だ。
僕は髪が伸びたので、今日はマリの「インターフェイス・ヘッドセット」型のカチューシャをしてました。
どうせだから、腕白な感じを出そうと、ファッションで左目の下や鼻の頭にバンドエイドを貼っていたら、
皆から、「怪我ですか?」と心配されましたが、全然違います。14才の雰囲気を演出してただけです。
下が、エヴァのパイロット達。↓。
振り返ると自分でも、中2(14才)と高2(17才)の時の僕と来たら、繊細かつアナーキー、だったと思う。
中3(15才)や高3(18才)になると、わずか1年でうんと丸くなり保守的になっていた。
学校の校医相談の時に、14才と17才には反射的に構えてしまうのは、自分の実体験の投影でもあるのだろう。
しかし!だ。
今期のアニメで注目なのは、「12歳。」だ。
これは、ちゃお、にリアル思春期れんさい中のマンガのアニメ化だ。
ちゃお、5月号には、「12歳。」のポスターがついているので購入し、ラミネートまでした。
ところが、これをクリニックに貼る際には少し揉めた。
受付のKさんが、ボソ部らしく、印刷されている文字をワンセンテンスづつ音読した。
・12歳。~ちっちゃなムネのトキメキ~。
・オトナでもないコドモでもないJSのピュアななやみと初恋。
・JS、女子小学生。
これには、一瞬、空気が「………」となったが、そこを大平さんが「いいです!大丈夫です!貼りましょう!」と
獅子座の守護の勢いで思い切って貼ってくれた経緯がある。
下が、「12歳。」コーナー。↓。カメラマンも大平さん。
もっとも、今や人気者のBABYMETALだって、初めてカワクリに登場した時は待合室が少しザワザワした。
若い男性患者さんに、「あれ、大丈夫ですか?犯罪じゃないですか?」と言われた思い出がある。
だから、アニメ「12歳。」も、じきにマヒして慣れるだろう。
下が、その時分の曰くつきの、さくら学院・重音部、BABYMETALのポスター。↓。カメラマン、大平さん。
そう言えば、BABYMETALに詳しい人に聞いたのだが、彼女らがあまりにもワールドワイドな人気になったため、
遠い存在に感じ、その母体である、さくら学院、に走るファンも多いらしい。
僕もその傾向があるので、そこまではわかる。
いつの世も目利きのする人はいるもので、青田買い、というのだろうか、ちゃおガール、を追いかけてる人もいるらしい。
ちゃおガール、とは、「12歳。」の連載されている、ちゃお、の専属モデルのようで、主に小2~小5、くらいだそうだ。
さくら学院の多くは、この「ちゃおガール」出身のメンバーが多いらしいのだ。
言われてみると、アニメ「12歳。」の途中で流れるCMに出てきて、ちゃお、の告知をする、ちゃおガール、の手の振り方が、
さくら学院のメンバーの手の振り方とよく似ていた。
「12歳。」だが、これは多分、JSが将来、自分達が12歳になった時用に予習しておく恋愛マニュアルみたいな番組だ。
今さら僕がみて、どうしようというものでもないのだが、なかなか参考になる。
過去の自分の歴史と照らし合わせ、<あぁ、あの時はこんな風に言っておけば良かったのかぁ>とか、
<そうか、あの時はこうしておけば、傷つけずに済んだのかぁ>と、12歳の「高尾くん」をお手本にみてる。
出来損ないのパズルのピースが埋められて完成してゆくような快感だ。
それが今さら必要ないのに、毎週、見逃さずにみてるゆえんだ。
昔、バブルの頃にはやった、デート指南書「ホットドッグ・プレス」より格段、実用的な気がする。
さすが、JSのバイブル!
12歳。のポスターに関わった受付の二人は、これも何かの縁だと、飛ばし飛ばし(笑)、みてくれたそうで、
「高尾くんみたいな男子に会ったことはない」との感想だった。
そのくらいスマートでロマンティックなツボを抑えて来ますよ、高尾優斗、12歳。40才くらい年下なのに、もうくぎ付けです。
12歳と言えば、僕が思い出すのは、楳図かずおの「わたしは真悟」です。
僕はウメズ作品では1番好きで、クリニックに置くかどうかをずーっと迷っているのです。
みんなにみて欲しいのだけれど、つまらない、と言われたくないから…。
そんな現在迷い中の「わたしは真悟」を簡単に紹介しましょう。
小学6年生(12歳)の「さとる」と「まりん」は違う学校に通っていた。
偶然、町工場の産業用ロボット見学の日が同じで、2人は出逢い、恋におちる。
ロボットの名前は「モンロー」。
「さとる」と「まりん」は放課後に、工場に行き、「モンロー」に文字や自分達の情報を教えていく。
「まりん」の父親は外交官で身分が違い、2人の仲は引き裂かれる。
「さとる」と「まりん」は、2人は将来どうなるか?、と尋ねると、「モンロー」は、シアワセニナル、と答えた。
しかし、「まりん」の家はイギリスに引越し。
「さとる」と「まりん」は2人の愛を守るために、子供を作ろうと決意した。
どちらも子供の作り方を知らないから、「モンロー」に尋ねると、その答えが、
「333ノテッペンカラトビウツレ」
333、とは東京タワーのことだった。
2人は、東京タワーのてっぺんまで登って行くのだが、高くて怖かったり、強風が吹いて来たり、夜になって眠りそうになったりして、
読んでいるこちらはハラハラさせられる。
それでも、なんとかてっぺんまで行くが、東京は地盤沈下で30センチ、東京タワーが低いことがわかる。
そのうち大人たちも気付いて、ヘリコプターが救援に行く。
「さとる」と「まりん」は、東京タワーのてっぺんにランドセルを乗せ、ランドセルの高さが丁度30センチで、二人は
333からヘリコプターに飛び移る。↓。
先に紹介した、ちゃお、のアニメ化「12歳。~ちっちゃなムネのトキメキ~」には明るい未来がある。
ちょっとおませな小学生と言えなくもない。
しかし、「わたしは真悟」の12歳「まりん」は、頑なに大人になることを拒否する。
そして、今じゃないと、もうこどもの私たちじゃ会えないのよ、と必死で「さとる」に訴え、「さとる」もそれに応える。
その切迫感は、アニメ「12歳。~ちっちゃなムネのトキメキ~」にはない。
「まりん」が何故、それほど、こどもの終わりを拒むのかの明確な説明はないが、饒舌でない分、説得力を感じる。
ここから先は、ネタバレ。
333のてっぺんから飛び移った瞬間に出来た子供とは、それはロボット「モンロー」に意識や意志や感情が芽生えること。
離れ離れにされた2人は、結局、ラストまで再会することはない。
それどころか、「モンロー」に意識が芽生えたことや、2人の子供だということも、ついに最後まで知らないまま話は終わる。
奇跡が起きた、ことを読者以外は、誰も知らないのである。
「さとる」は悲嘆にくれ、自分の思いを「モンロー」に打ち込む。
「マリン、ボクハイマモキミヲアイシテイマス サトル」
「モンロー」はこの言葉がとても大事だと思い、イギリスの「まりん」に伝えようと海を渡る。
「さとる」も「まりん」もそれぞれ境遇は違えど、散々な不幸な生活をしている。
前に、2人がシアワセニナル、なんて言っといて嘘ばっかりである。
まるで、その責任をとるかのような「モンロー」の行動だ。
結局、「モンロー」は「まりん」に会えず、代わりに、「まりん」から「さとる」へのメッセージを届ける為日本に帰る。
それは、「サトル ワタシハ イマモ アナタガ スキデス マリン」というもの。
なぜ、「モンロー」は「まりん」に会ってないのに、そんなメッセージを持っていたのか。
それは、「モンロー」が、ロボットなのに、機械なのに、嘘をついたからだった。
「モンロー」は、色んな事があって、人間になったのだ。だから、嘘もつくし、そのことに葛藤もする。
さらに色んな事があって、ついに「モンロー」は神になるが、次第にエネルギーと記憶を失って行く。
「まりん」から「さとる」へのメッセージさえ、自分がついた嘘だということも忘れている。
メッセージは部分的に欠落して行く。
「サトル」とか「ワタシハ」とか「スキデス」とか「マリン」が抜け落ちて、「イマモ」と「アナタガ」だけになる。
さらに文章は崩壊して、「マモ」と「ナタガ」も抜け落ちて、「イ」と「ア」しか残らない。
そしてラストシーンで、残骸みたいになった「モンロー」は「さとる」に再会し、この2文字だけを残す。
すると、「さとる」がそれを、「アイ?」と読む。
この「アイ」が何を意味しているのかの説明もない。
「愛」なのか?
「I」=「わたし」なのか?「さとる」がロボット見学の作文に使った一人称は「わたし」であり、クラスの笑いものになった。
「わたしは真悟」の「わたし」だから?
「eye」なのか?産業用ロボットの「モンロー」が持っていた能力は部品を識別する目だった。
また、「さとる」と「まりん」は一目惚れ、だったから?
「逢い」なのか?「さとる」と「まりん」はロボット見学で偶然、逢って、放課後に逢っていたから?
「会い」なのか?「モンロー」は自分の母である「まりん」や、父である「さとる」に会いに行く話しであるから?
「アイ」なのか?「さとる」が「モンロー」に最初に教えたのは、カタカナ、だった。
だから、最初に覚えたのが「アイ」。それに色んな意味を付与して、「さとる」に伝えるメッセージとして残したのか?
などと色々と考えられるが、何でも説明しようとする所が「まりん」が最も嫌う大人の条件なのかもしれない。
だから、もう終わりにしよう。
そうそう、言い忘れてました。
タイトルの「わたしは真悟」の「真悟」とは、「モンロー」が自分で自分につけた「人間になった時の名前」です。
「まりん」のフルネームが「山本真鈴」で、「さとる」のフルネームが「近藤悟」だから、2人から一文字づつもらって、
「真悟」にしたそうです。
僕が友達にお気に入りのマンガを勧めると、
「みたけど、君から聴いた話と、ストーリーや物語のテーマが全然、違うんだよ。
困った事に、君から聴いた話の方が面白いから、マンガを読んで損した気分になるんだよ」
と、よく言われるので、そこのところは、ご用心!
BGM. ZELDA「東京タワー」