こんにちは。
早回しで冬がきてしまいましたね。
乾燥の時期に突入したので、クリニックでも加湿器をつけはじめました。
受付うかいです。
この間、大平さんが11月の模様替えをブログに書いてくれましたが
その中に2ヶ月に一度更新する絵のことがアップされていましたよね。
お題は【好きだった人】で、私には難しすぎてなんだかつまらない感じに仕上がりましたが、
大平さんは「なつかしい!」と言ってくれました。
私はアニメや漫画のキャラクターや、現実に存在するけど画面からは出てこない人によく恋をしていましたが、
身近な人を好きになることがあまりありませんでした。
なので、あの絵はわたしだけ的外れと言いますか、全然甘酸っぱくないのです。
そんな私なので引き出しがないですが、今回の記事は題して
『青春プレイバック』です。
皆さんは、「制服の第二ボタン」の風習を知っていますか?
卒業の時に好きな女の子に第二ボタンをあげる、または好きな男の子に「第二ボタンください!」と言うことで
自分の気持ちを伝える告白の手段ですよね。
もしかしたら10代は知らないのかな?と思っていましたが、何の影響だかわかりませんがわりと浸透しているみたいです。
ただ、実際にあげたことorもらったことがあるかは別ですよね。
では、なぜそんな風習が浸透したのでしょう?
わたしは「第二ボタンが心臓に近いから」といつ誰が言っていたのかわからない理由をずっと信じていました。
それじゃ心もとないので第二ボタンがいつから、どこから始まったのかわからないので調べてみました。
諸説あるそうですが、1960年公開の映画の中で
特攻隊志願の予科練生が、終戦を迎える前日に命令によって出撃していく際、
好きな女の子に胸の第二ボタンを引きちぎって渡すシーンがあるそうです。
永遠の別れなので、「告白」というよりは「形見」として渡したのかもしれないですね。
そのシーンが起源だと言われています。
この映画がとても気になったので探してみたのですが、DVD化はされておらず、中古のVHSしか売られていないみたいです。残念。
ちなみに、戦時中にそれが実際行われていた説もありますが
軍服のボタンをちぎるなんて当時の軍人としてありえない、と否定する記事も見かけました。
好きな子に、プレゼントをあげると同時に告白をする日で、バレンタインデーがありますが
日本のバレンタインは、もともと好きな人にチョコをあげて告白をするという文化でしたが
今の時代は友チョコだったり、お世話になっている人や苦手な上司にまであげる、
もうほとんど挨拶のような文化となりましたよね。
それと同じように、私の中学時代の「第二ボタン」の文化も変わっていて
あこがれの先輩に自らもらいに行くのですが
1番人気はジャージで、人気の先輩はすぐに売り切れてしまうので
ジャージが売り切れていたら次はカバン、
それがダメなら名札
それもダメならボタン
それすらダメなら校章、と売りつくし大セールが行われるのです。
基本的には女子が男子の先輩にもらいに行きます。
女子同士、男子同士の場合もありましたが、なぜか男子が女子の先輩からもらうことはありませんでした。
1番人気のジャージは基本的に予約制で、
『○○先輩!卒業式のときジャージくれませんか!(目キラキラ)』
と何ヶ月も前から言うのです。
ロマンチックな恋というよりは、獲物をゲットするハンターのようです。
中学生の頃の私は、髪の毛を染め、化粧もはじめて、だいぶませていました。
なのになぜか「恋がしたい!彼氏ほしい!」
とは思っていなくて、自分のそういう気持ちに疎かったです。
周りの友達は、先輩やサッカー部の男子にキャーキャー言っていて
放課後部活をサボって、校庭のサッカー部を教室から見るのに付き合っていました。
「○○先輩がボール持った!」
「走ってる姿やばい!!」
「あ!転んだ~バンドエイドもっていこうかな!!」
文字通りキャーキャー言っているなか、わたしは心の中で
(あ!あの先輩この前犬の散歩してた人だ!あの柴犬ふわふわしてて可愛かったな)
とか
(みんな靴下泥だらけだけど、あの汚れ落ちるのかな)
とか思っていました。
みんな一人はお気に入りの先輩がいるのに、自分だけいないのがすごくダメな気がして、
私は無理矢理お気に入りの先輩を作りました。
当時の私はアニメ好きというのをとにかく隠したくして、普通の女子でいることに必至だったのだと思います。
そうして無理矢理好きになった人は、柴犬を散歩していたサッカー部の先輩でした。
何故その先輩だったかは自分でもわからず、いつのタイミングで誰に打ち明けたのかなどは覚えていません。
周りの子が先輩にグッズの予約をする時期になると、友達から
「柴犬先輩から何かもらわなくていいの?」と聞かれ、
別にいらないなんて言えない私は
「恥ずかしいし、きっともう売れ残ってないよ」と返しました。
ですが残念ながら、その先輩は人気がなかったのです。
友達に「あの人なら予約しなくてもジャージもらえそうだから大丈夫か!」
と言われました。
その先輩の卒業式当日、私は友達に引っ張られてその先輩のところへ行きました。
気持ちなんてないのに、いざ先輩を前にすると緊張と恥ずかしさで顔が真っ赤になり、
何もいらないのに『何かください…』と、泣きそうになりながら言いました。
その時の私はもう、消えてなくなりたいと思っていました。
先輩は、ハニカミながら『何がいい?』と聞いてくれました。
その笑顔は、先輩が散歩していた柴犬に似ている気がしました。
1番人気はジャージですが、人が着ていたものには抵抗があり、カバンもなんだかクタクタで。
私は名札を通りこし、普段はあまりものの部類に入る校章をお願いしました。
先輩は学ランの詰襟についている校章をとり、私にくれました。
でも取るのに時間がかかり、その間も私はずっと緊張していて、やっぱり消えたいと思っていました。
そして、それがその先輩と最初で最後のやりとりとなり、先輩は卒業していきました。
好きでもない先輩から、いらないものをもらいました。
小さい、赤色の校章。
私は未だにそれを捨てられず、思い出ボックスの中で眠っています。
BGM: 松たか子 「明日、春が来たら」