憬れのハワイ航路⑤’

最後の夜。
帰り支度をして、明日は早いから早く寝なきゃなのに眠れない。寝たら明日が来ちゃうから、脳が抵抗をしているのだろうか。仕方ないから、バルコニーに座ってワインを飲む。辺りに喧騒がないから、星がいっぱい見える。
中1の時、ブラバンで「輝く星座(アクエリアス)」という曲をやった。
うちの部活はあまり吹奏楽、吹奏楽してなくて、他にもスタイリスティックス「愛がすべて」とかロバータ・フラック「やさしく歌って」とかブラッド・スウェット・ティアーズ「スピニング・ホイール」とかもやった。
しかし、満天の星空。あれが、ライオンキングの歴代の王たちみたいに、みんな死人の顔だったら嫌だな。どんなに優しく見守ってくれる先祖だとしても嫌だな。
BGM.A面 フィフスディメンジョン「輝く星座(アクエリアス)~レット・ザ・サンシャイン・イン」/B面 千賀かほる「真夜中のギター」 


憬れのハワイ航路⑤

あくる日。
朝食はホテルのバイキング。その後、ホテルのラグーンに行く。ここは、入江なので、波に流される心配がない。やしの木の下に、パラソルをさしてもらう。脳内に、斉藤哲夫の声で♪今の君はピカピカに光って~あきれかえるほど素敵~♪とCMソングが流れ、辺りを見回してから、やおらTシャツとジーンズを脱ぎ捨てビキニ姿になる宮崎美子の幻視を懐かしむ。
足こぎボートを借りて、入江をグルリと遊覧。


脳内に、小泉今日子の声で「半分少女」の一節が流れる、♪入江まで~逢いに来てよ Tonight  流されて~何処へ行くの? 肩と、胸と、そして髪が触れ合うから~そこだけが大人びてくるの~ Hold Me Tight~♪。
しかし、入江は波が全然来ないので、面白くない。早々と引き上げる。それから昼食の前に街へ。有名ブランド店の大きな看板があったから、ブラリと冷やかしで入ってみてビックリした。
そこは「DFSギャラリア」という免税店だった。お名前は存じ上げていた、バスの停車場の名前だったから。でも、まさかこんな綺麗なビルが、免税店とは思いもよらなかったからビックリしたのだ。
僕はてっきり免税店というのは、アメ横みたいなところをイメージして、グレート東郷や大橋巨泉みたいな店主がいて、値段の駆け引きをせねばならないのかと、勝手に思っていた。やはり、妄想で現実を判断してはいけないな。僕はあまり、こういうブランド店には興味がないらしく、15分くらいで全フロア、見終わった。
その後、またヤミーでBBQを食べ、ホテルに帰りトランプをする。ページュワンとスピードで勝負。
明日は帰国だ。朝が早い。あっという間だ。やっとハワイアン文化にも慣れてきたところでおしまいだ。そう言えば、石井慧もこの辺で練習をしていたのではないか?。近くのフードコートに石井の写真が飾ってあった。僕が、日本を留守にしている間に気になることといえば、マット界の動向だ。どうなっているのだろう?。
日本の精神医学界は、そんなに変わりはないだろう。
夜ご飯は、近くのフードコートへ。
「ここではお客様のわずらわしさを省くため料金にチップをあらかじめ入れてあります」との張り紙。
チップ?。…と、ディール?。
あっ、ハワイ滞在中、チップなんて発想、ゼンゼンなかった。そうかぁ~、そういうの払うべきだったのかぁ。チップなんて、クレージーキャッツの映画で無責任でホラ吹きキャラの植木等が、「君、君、とっときたまえ」ってやってるのしか思い浮かばないぞ。次回からは、気をつけよう。と、日記には書いておこう。
しかし、「郷に入らば、郷に従え」だ。そういえば、中学の時の教師がウケ狙いで「郷に入らば、郷ひろみに従え」と言っていた。「壁に耳あり、障子に東海林太郎あり」とも言っていた。覚えてようとしてないのに、忘れられない。
帰り支度、ホテルのセーフティーBOXにしまったパスポートをあやうく出し忘れて帰るところだった。危ない、危ない。
夏休みも終りだ。日本に帰るぞ~。
BGM.A面 キャロル「夏のおわり」/B面 ザ・ワイルドワンズ「想い出の渚」


憬れのハワイ航路④’

その日の夢。(『憬れのハワイ航路④』を先にお読み下さい)
@大金持ちが寄付で、クリニックにフィギュアを飾るコーナーを新設してくれた。
箱に眠りっぱなしの、怪獣やウルトラ戦士を飾れる。うれしい。
BGM.A面 ザ・スパイダース「いつまでも どこまでも」/B面 ザ・サベージ「いつまでもいつまでも」


憬れのハワイ航路④

あくる日。
目覚ましより早く目が覚める。ダイヤモンドヘッドの登山に出かける。
ホテルからのバスで登山口まで、そこから歩く。


ハワイといえば透き通る青い海。この青い海を保つため、ハワイ市長は毎朝早起きして海岸を歩き、
バスクリンをまいている、とバスガイドが日本人向けのジョークを言ってたが、
ダイヤモンドヘッドの展望台から観る海の色はまさにバスクリン。
バスクリンを誉めるべきか。


草も木もない裸の山から見える青い海とのコントラストも絶景だが↑、
ゴツゴツと剥き出しの山肌と枯れ木に親近感を覚える。
ハゲタカとかハイエナとか、嫌われ者の住み家のようで気を遣わなくてよさそうだから。↓。


ホテルに戻って、フルーツを食べて、お土産を選ぶ。
少し横になり本を読み、浮輪を持ってビーチへ。
今日は波がない。
浮輪で漂っていると、どんどん沖に流されて行ってしまい、怖いのでなるべく浅瀬に滞在する。
立って、ヘソくらいの波でも、腹這いになってれば頭を越える大波だ。
十分、サーファー気分が味わえる。


そのかわり、海水パンツの中は砂だらけになる。
浅瀬で溺れ恐ろしい体験をするも、冷静に足をつけば、なんてことはない。
恐怖とはイメージの作り出すものだ。
泳げないことにコンプレックスを持ってる人に朗報。吉田拓郎もカナズチです。
僕は、それを小学校の時に知って、とても気が楽になり、それ以降、まったく泳ぎの練習をしなくなった。
そういえば、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウイルソンも泳げないらしい。
話を、海に戻す。
娘が、同様に浮輪を持って海に出るが、彼女は命知らず、どんどん沖の方へ行ってしまう。
娘は小学校の頃、スイミング・スクールにも通っており、僕とは違い、泳ぎには自信があるのだ。
海を満喫している。
その間、こちとら相変らず浅瀬で溺れている訳である。
1時間くらい経過して、疲れたので妻の待つゴザへ戻る。
僕は、娘の様子を時折、気にしていたが、どんどん沖へ流れていく。
一向に帰ってくる気配がない。
もしかして、戻れなくなったのではないか?
風が凪ぎ、波が沖へ沖へと物体を引き寄せているのかもしれない。
さっきまで娘の浮輪の目印のグリーンの付近にたくさんいた他の遊泳者達も遠ざかり、
娘の現在地を示すグリーンは、太平洋にひとりぽっち、ポツンと浮かんでいる。
自分から助けを求められない、内気な子だ。
不安でも周りに声をかけられない、それどころか外見は平然として見られてしまう。
周りも気付かないから、さらに沖へ流されている。
まだ陽は高いが、人間はこんなに長い時間、海に浮かんでいて楽しいと思うか?
人間には海に浮かんでいて楽しいと感じる時間の限界もあるだろう。
ライフセーバーの位置を確認する。
砂浜から、娘の名を呼んでみるも届かない。
望遠で写真を撮ってるカメラマンがいる。
彼にレンズをのぞかせてもらって表情を確認するか?。
いくら泳ぎが達者とは言え、いくら魚座生まれとは言え、足がつってしまえば使い物になるまい。
「河童の川流れ」、「海のもくず」、「水の泡」という不吉なフレーズが頭をよぎる。
早川義夫の声で、ジャックスの「からっぽの世界」の一節が脳内にかかり始める
。♪静だな~海の底~。静だな~何もない~♪。
砂浜から、娘の名を念じ気を送る。
その限りは、浮輪が破れない、荒波にさらわれない、そんなコーティングの力を期待して。
いよいよ、娘のグリーンの浮輪は、沖へ流されて行く。
娘を助けなければ。
もし仮にそれが過剰な心配でも構わない。
確率の問題ではない。期待値の問題だ。
娘が、もし助けを求め、不安のまま流されていたなら…そう思うと胸が張り裂けそうだ。
娘を助けに行こう。目測で50~100mの距離だ、と弟が言う。僕は泳げないが、弟も泳ぎが達者だ。
娘同様、小学校時代スイミング・スクールに通い、色んなトロフィーをもらって帰ってきていた腕自慢だ。
娘を助けるべく、僕は黄緑の浮輪をくぐり、弟に娘の所まで泳いで連れてってもらうことにする。
弟に、ビートバンの要領で、浮輪の僕をバタ足で押させる娘・救出作戦だ。
妻によく沖で観察し、もしグリーンか黄緑の浮輪が見えなくなったり、異変を感じたら
(たとえば、サメの背ビレが見えた、とか)あそこのライフセーバーに連絡するよう言い残す。
妻も、弟に無理はするな、そして弟が1人で行った方がいいんじゃないか?、などと言う。
それは、ちがう。
主は1匹の羊が迷ったら残りの99匹をその場に残してでも探しに行くと聖書に書いてあるではないか。
一家の長である、私が行かない訳にはいくまい。
僕は、自ら浮輪をかぶりスタンバイOK、弟の動力で娘のもとへ泳ぎ出す。
僕が方向を「12時の方向」、「11時の方向」、「1時の方向」と指示を出す。
風は逆風、波も我々救出班を岸へ押し戻そうとする。
必死に押す弟が、「進まない、遠い」と弱音を吐く。
オレも体重を前にかけ、波に負けないように体重移動、波の抵抗を和らげるべく波に向かって体を
45度に舵取りして、弟に「がんばれ!」と叱咤激励を飛ばし、自らもフル稼働で足を動かすも、
お風呂で遊ぶアヒルのおもちゃのごとく微力だが、気合を伝えるには十分で、弟は英雄的に力を発揮、
波を追い抜き浮輪は前進。必死の形相、男らしく育ったものだと感慨。
竜雷太・主演、「これが青春だ」の主題歌が脳内でかかり出す。
♪嵐の中も~君のためなら~七つの海を泳いでいこう~
誇りひとつを胸に掲げて~夢に飛び込む~それが若さだ~そうとも!これが青春だ~♪。
娘のグリーンの浮輪が近付く。
ホルンの奏法で身につけた複式呼吸の要領で、娘の名を呼ぶ。2度、3度。
すると、娘はこちらに気付き、手を振る。
SOSのサインか?
娘の名を呼び続けながら、手招きすると、勇気百倍になったか、自力でこちらに泳いでくる。
「何?」と言う。
潮に流されてるのではと心配して救助に来た、と伝えると、娘は安堵の照れ笑い。
砂浜へ戻るぞ、との号令に従い、彼女はスイスイと先に泳いでいく。一安心。
一方、弟は、「重い重い、浮輪が邪魔だ」と嘆きながら、今度は方向転換、
必死で今来た道をUターン、砂浜に父を無事に送り届ける任務にミッション変更。
そんな弟に、いかにお前のとっている行動が人として素晴らしく、縁の下の力持ちとは男らしい美学なのだ、
ということを噛んで含めるように言って聞かせながら、足がつく所までくれば、こっちのもの。
右足で砂浜をギュっと掴むように立ち、左足も前に、両足でしっかりと立てた。
もう大丈夫だ。
オレは、振り返り、疲労困憊の弟の手を握り、ご苦労様、と引っ張るようにすくいあげる。
ここだけ見たら、オレ、ヒーロー。
とにかく、皆、無事で良かった。
足の砂を洗い流してホテルの部屋に戻り、一休みして、おなかが空いたので焼肉を食べに行く。
その席で、弟に、泳ぎの不安はなかったか?、と聞くと、「自分が溺れたらどうしよう」と心配だった、と言った。
「人生は、多くの場合、慎重にしておいた方が無難だ。
しかし、あの場面で泳ごうと決意したのはとても立派なことだ。男らしく育って、お父さんは鼻が高いぞ」と誉め、
「今日のMVP」の称号を与えた。


男たちヒーロー軍団は疲労して、早々と床につく。
かたや、姉は元気いっぱい、遅くまで母親とショッピングを楽しんだ。
ハワイもあと2日。
BGM.A面 平山美紀「真夏の出来事」/B面 ザ・フォーク・クルセダーズ「女の娘は強い」


憬れのハワイ航路③’’

悪夢で起きた後、夕食はコンビにで、ワインとサラダとフルーツとビーフジャーキーとポテトチップを買い込んで、倹約する。
ハワイのコンビにはほとんど「ABCマート」。

寝る前15・6世紀の医学会における稀有の天才・異端児パラケルススの本を読む。彼は徹底して当時の権力や体制と戦った。一方、薬草が主体だった医学会で初めて治療に金属を使用し成功させた先駆者でもある。彼は、秘密結社「薔薇十字団」のメンバーだったとも。
@その日の夢
 医学会の総会の司会進行の役を任される。マンネリ化を打破するための抜擢だそうだ。しかし、TV中継中に保守派の連中(主に大和田獏)に邪魔をされたり、ジャングルジムの上にランドセルを隠されて見張りにカラスをおかれたりの妨害工作にすっかり嫌気が差す。
投げ出すか?迎合するか?と弱気の虫が走るが、はたと「ここは戦わねば」と思う。
そうなるとなったで、何のために戦うのか?、自分の主張は正しいのか?、主張を通し摩擦が生じてまで戦う意味があるのか?、と自問自答が始まる。
戦う/戦わないの前に大切なのは自分の中に核となる美学や理念を持ち、武器となる知識や方法論を整備することだと気付く。今からでもまだ間に合う。パラケルススのように。
BGM.A面 万里村れいとザ・タイムセラーズ「今日も夢みる」/B面 ザ・ビートルズ「レボリューション9」


憬れのハワイ航路③´

 飛び起きた悪夢。(『憬れのハワイ航路③』を先にお読み下さい)
@夏休み明け、クリニックは大混雑。救命救急センターのような母屋に改築。僕は週刊誌に原稿を書き、                                               研究所の偉い人も挨拶に来たり、新入女子職員の集団身体測定が別室で行われてもいるようだ。                                                    僕の旧友が、今度開業するので勉強させて欲しいと診察に陪席する。僕は研究所の人たちに「彼が今度、開業する藤巻です」と紹介し、仲を取り持ってあげる。
ところが、僕は長い休暇明けで、診察の仕方がわからなくなり焦る。たくさん、患者さんも待たせてしまう。                                              苦情が来たので、受付の女子職員(おきゃんぴー?)を呼んで「もっと、まいて!」と指示を出す。                                                      すると1人は糸のようなものを巻き出し、残りの1人は診察室にラッシュアワーの車両のようにどんどん患者を詰め込んでいく。
僕はまた、おきゃんぴーの2人を呼びつけ「まいての意味がわかるか?」と、それに対し2人は「わかんな~い」。                                            わからないでやってたのか!と一喝。1人は泣き出す。もう1人は「私は知ってました。でも、別の意味かも」。 
前の1人が「すご~い、知ってたの?」。もう1人「うん、でも知らなくてもいい言葉だよ」。それを聞いていて、僕はカチン。                                    「知らなかったら聞け!わからなかったら確認しろ!君達のスキルアップのためだぞ!君達の力が必要なんだ!」                                             と僕は熱く「叱った」。すると2人揃って、大あくび。僕はもうそれ以上、言うのをやめた。
外来に戻ると患者が1人もいない。太った黒人の事務員が「誰も来てませんよ」と無愛想に冷たく言い放ち別の仕事をしている。旧友も、何も言わずに姿を消した。外来は閑古鳥。あれだけいた患者はどうしたんだ?急に不安になる。
すると、はっぴを着た呼び込みが「お一人様、ご来店~」と威勢のいい声。良かった。しかし、その客はすぐに店を出ようとする。呼び込みはその客に「今、来たのはラッキーです。これから松坂の特訓がみられます」と松坂人気で引き止めた。                      球場のオーロラビジョンに松坂のアップ。
僕はユニフォームに着替えダッグアウトに駆け上がり、「よし!日本人対決もあるな」と気合を入れる。                                                 すると忙しい事務員は呆れ顔で、「あの人(俺)は、いつもこんな時にだけ偶然やってくるのよね」と溜息をつく。
幸せの絶頂から、一転して不幸のどん底へ。人気者から、誰にも相手にされない存在に。                                                          栄光を一度味わったが故に、落差でかえってつらい。本来なら不安にかられて当然なのに、俺は松坂と対戦する気になって、超お気楽。
何故って?。ここはチャンスの国、アメリカ。アメリカン・ドリームが掴める国。そしてマンガはいつだってそうした設定だもの。                                            俺が主役の野球マンガ。
BGM.A面 フランキー・レイン「OK牧場の決闘」/B面 植木等「俺は売り出し中」


憬れのハワイ航路③

2日目。
午前中、観光バスで市内観光。まずは、「この木なんの木」を観に行く。

この木は、モンキーポッドという名で、ハワイにはそこら中にあるが、日本人だけがここを有難く訪れ写真を撮るのだという。その光景を外国人が不思議がるのは、その日立のCMが日本でしか流れていないからだ。そうだ。
お昼には、浮輪を買って海に出る。僕は泳げないので、うんと浅い所で浮輪にしがみついていたら頭から大きな波が来て、一瞬溺れた。となりで外人の子が不思議そうに見てた。130cmくらいの子供のオヘソくらいの海域だ。天気晴朗なれど波高し。怖かったけど、仲々面白い。今度は波に流されて、砂浜をウォークする外国人女子の足にぶつかってしまう。「ソーリー」とあやまられた。こっちが悪いんだけど。僕は浮輪をしたまま丁度、正座をした格好で砂浜に打ち上げられたから、そのまま手を拝むように合わせ、「すみません」と和風にお辞儀で返した。
お昼は、ユミさんに教わったBBQプレートのお店へ。ユミー、だって。ユミ?もしかして、自分が経営してる店?まさかね。よく見たらヤミーだった。カルビ定食を食べる。おいしい。骨付きカルビなので手で持ってかじって食べた。六本木にあった、昔、猪木が経営してたアントン・リブを思い出す。
15時頃、ホテルに帰りシャワーを浴び、ベッドで一休憩。
空港で買った雑誌の『逆効果!あなたのムチの入れ方。「叱り方」のお手本』という特集を読みながらうたた寝。悪夢で飛び起きる。そしたら、夜の21時。そんなハワイ、2日目。
BGM.A面 モコ・ビーバー・オリーブ「海の底でうたう唄」/B面 ミーナ「砂に消えた涙」


憬れのハワイ航路②

初日。
ハワイは日本語が通じると言うが、あれは嘘である。店員は片言の日本語を使ってくる人が3割、ガチのイングリッシュで来る奴が7割とみた。まさか、俺をみてアメリカ人とも思わんだろ。
しかし、英語が喋れなくても何とかはなる。概ね、買い物と観光でのやりとりなので、お互い、通じればいいのである。細かい文法の指摘や、「そんな言い回しは英語にはない」などとうるさいことも言われない。
僕の今日の数少ない経験から言えば、英語が苦手な人は一切英語を使わない方がいい。「イエス」とか「ノー」とかも言わない。「スモール」とかもダメ。全部、日本語で通す。「そう」「ちがう」「もっと、小さいの」と、なるべく大きな声で身振り手振りで言うと通じる。「この人には、一切英語が通じないんだ…」と思い知らせ、相手が聞き取り能力をアップしようと努力させるのである。中途半端に、「フィッシュ~」なんて言うと、牛肉が出てくるから。実際、ビーフ、出てきたし。「さかな!」と言うのがいい。
昔、英語の教師が、「英会話の上手・下手は語学力ではない。それは気質とか体質みたいなものが大きい」と言っていたのを覚えている。気質なら気合でカバーできる。後で、疲れるけど。
ホテルは素敵なホテル。荷物だけ置いて、海に出た。ビーサンを脱いで、波打ち際を歩く。海に入るのなんて何年ぶりだ?

ハワイの海には、白い鳩が多い。どのくらい海を渡れば、白い鳩は砂の上で安らげるのだろう?
ボブ・ディランの「風に吹かれて」の一節が頭をよぎる。
変な山があるなぁ、と独り言を言うと、近くの子どもが「ダイヤモンド・ヘッドだよ」と教えてくれた。あぁ、ベンチャーズの。
反対側に夕陽が映える。茅ヶ崎も、ハワイも陽が沈む方向は同じなんだな。
遠くにヨットが見える。夕陽に赤い帆、プラターズだ。綺麗なので、写メに撮ってみる。うまく撮れないなぁ。写メの限界だな。写るんです、買っとくべきだった。

BGM.A面 早見優「夏色のナンシー」/B面 ザ・リガニーズ「海は恋してる」


憬れのハワイ航路①

7/Ⅸ.(火)2010 はれ
 めったに海外など行かず、飛行機も何十年ぶり(オーバーか?)なので、緊張したフライトだった。                                                       昔みたマンガ『俺の空』で、主人公・安田一平が飛行機に乗るなりグーグー寝てしまうのを見て、スチュワーデス達が耳打ちして「よっぽど、旅慣れた方ね~」とうっとりしてるシーンが思い出されるが、まぁ『俺の空』とは安田一平が行く先々で色んな女に惚れられるというストーリー展開だから、さほど不思議な話でもない。何を言いたいかと言うと、真逆だ、ということである。
 話が前後するが、今回のクリニックのロング・ヴァケーションを利用して、ワイ・ハに行ってみることにしたのです。
ハワイには、初来日です。
飛行機の中、座席の前にモニターのがあって映画を観たりゲームを楽しんだりできるシステムが搭載されているのだが、僕のだけうまく作動しなかった。丁度、広瀬正の『マイナスゼロ』というSF小説を持ってたのでそれを読んだ。1945年の東京への空爆シーンから始まる。飛行機の用途も、色々だと思う。
 皆さんはご存知の方も多いかと思いますが、飛行機ではいくらでもタダでお酒をくれるのですね。前の席の人たちがガバガバ呑んでいた。僕も、もう少し旅に慣れたら注文してみようと思います。
でも、万一、「お…お客様の中に、お医者様はおられませぬか?」などと緊急事態があった時、あまりヘベレケでも困る。
 それで思い出したのだが、医学生の頃、友人の付き合いで赤坂あたりの「カラオケ道場」に行ったことがある。
カラオケ道場とは、当時、流行りで似たような店が色んな街にあったのだが、1人づつステージに上がってカラオケを披露し、元・歌手のオーナーがその腕前を審査して、「何級」とか「何段」とかのランクと賞状をくれる店であった。
僕は人前で歌を歌うことはあまり好まないので、ただ座って他の人の歌を聞いてるだけなのだが、その時、ステージで歌ってる人がいきなり倒れてしまう場面に遭遇したのである。
皆大慌てで、「誰か医者はいないですか?」ということになったが、その場に医者はいなかったので医学生の僕が出て行った。ただ、119番通報するように指示しただけなのだが、お店のオーナーに大変感謝された。
お礼と言っては何だが、歌ってないのに「初段」の賞状をもらった。
それは、その時の慌てぶりがよく出ていて、「川原達二殿」の字が「河原達二殿」となっていて、皆で笑った。
今でも、どこかにその賞状はあるはず。
BGM.A面 ザ・バーズ「アテンションプリーズ」/B面 能勢慶子「アテンション・プリーズ」


らくご×情熱大陸

5/Ⅸ.(日)2010 はれ
毎日放送開局60周年記念「らくご×情熱大陸」の第3夜を赤坂ACTシアターまで観に行く。                                                           赤坂サカスという場所には初めて行くが、なかなか綺麗なところでACTシアターも素敵なところ。                                                      こんなところで、談志と爆笑問題が本当にやるのかなと一瞬戸惑うほど都会でした。

開演までの間、スクリーンに孫悟空が乗るような雲がプカプカ浮かんでいて、上のチラシの左隅にあるやつ、                                           時々、その雲にCG処理された談志が乗って「あ~」って通り過ぎていくのが面白かった。
談志は今年の初めに入院していて、今回が退院後、初の舞台。はじめに、談志のスタンダップ・ジョーク。                                               談志は、思ったより元気で声も出ていた。
次いで、爆笑問題の漫才。
ステージを降りた爆笑問題の2人が談志の楽屋を訪れ、その前で下着になり着物に着替えながら話すシーンが、会場に‘生放送’された。
高座に湯呑みを運び、演者の札をめくる役をオダギリ・ジョーがやった。オダギリはちょんまげをして着物を着ていた。  
落語は「ぞろぞろ」と「落語チャンチャカチャン」。先のジョークと合わせると、談志は1時間半くらい喋った。                                                  「俺、おしゃべりだから」とケロッとしてた。ステージに、爆笑問題の2人とオダギリ・ジョーが集まりトークをする。                                         爆笑問題の2人の、談志のファンぶりがとても空間をやさしくした。
談志は太田光に「アンジャッシュはちゃんとやれてるか?」と聞いていた。太田は苦笑しながら「大丈夫です」と言い、                                          田中が「師匠が何もアンジャッシュの心配をしなくても」と突っ込んだが、談志は「昔、その腕を買ったから」心配らしい。 
談志は「昔は、漫才も一つのネタをじっくりやってそれを観に客は行ったものだが、今はテレビで一回やったら終りだからな」、と憂いた目をして言った。太田が「すぐ古くなっちゃうんですよ」と優しくつつむように言葉でフタをした。                                これは、「情熱大陸」でテレビ放映するのだろうが、どうやるのだろう?楽しみだ。

帰りに、自由が丘で焼肉を食べる。いつも行くホルモン屋がつぶれてた。それで、焼肉ハンターという店に入った。                                             そこがなかなか美味しかった。店の雰囲気も良く、沖縄風というか南国風の作りで、BGMがニュー・シネマ・パラダイスみたいにノスタルジックで良かった。ごきげんで、ウコン茶ハイを5杯飲んだ。
BGM. ジェフ・ベック・グループ「今宵はきみと」