18/Ⅴ.(火)2021 梅雨入り 澤田隆治死ぬ。88才、野末陳平先生と同い年。
文案↓
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4月も2週間が過ぎ、春の風を感じる日も多くなってきました。
環境が変化した人も多いでしょうか?
変化と言うと、川原クリニックもこの春から相談室がひとつ増えることになりました!
今週16日金曜日から、早速開室します。
元々喫煙室だった場所が、2つ目の相談室となります。(謝って入室しないようご注意下さい!)
コロナ後は禁煙となり待合スペースとなっていましたが、あの空間が好きだった方もいるかもしれません。隠れ家みたいで素敵でしたよね。
ベタですが、春は出会いと別れの季節と言います。新たな出会いと聞くとポジティブなイメージですが、日常の破壊でもあります。なかなか疲れも伴います。
春風に足を取られぬよう、踏ん張っていきたいものです。
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↑これはうちの心理の、都袋美知恵(ペンネーム)、が新しい心理室が出来る時に間に合うように作ってくれた文案でアップするのをすっかり忘れていました。今さらですがアップしてみました。
さて今回は心の護美箱(35)がいっぱいになったから(36)を作りました。始めてこのブログを読む人は「何のこっちゃ?」ですね。そんな人はこちらを。→心の護美箱(35)。
前回、「精神療法各論」を書いたので、今回は順序が逆ですが、「精神療法総論」をお送りします。主にフロイトが唱えた重要なキーワードをカワクリ流に意訳して行きます。
①無意識の意識化
人の心は氷山の一角に例えられ、見えてる部分は全体の30%くらいで残りの70%は水面下に隠れていると言われてます。みえてる部分を「意識」、みえない部分を「無意識」といって、なんと我々の重要な物事の決定には「無意識」が大きく関与してる訳です。恋人を選ぶ時も、「今度こそ良い人!」と祈って選んでも「今度も結婚詐欺師だ!」なんてのは、無意識がそういう人をわざわざ選んでるのです。いやになりますよね?どうしたらいいでしょう。それは「無意識」を「意識化」すれば良いのだという寸法です。
たとえば、その人にとってはあまり良い父親ではありませんでした。でも無意識下では「父親をかばいたい気持ち」もあります。そこで男を選ぶ時に無意識的に変な男をチョイスします。人間なんて100%善人なんていないから、付き合う中で「無意識」に彼の嫌な部分を刺激して引き出します。そしてひどい目に会って傷ついて別れます。こんなことが繰り返されると、「所詮、男なんてみんなロクなものじゃない。お父さんだけが特別じゃない」という結論を出し、「父をかばうこと」に成功するのが無意識の力。こわいですね。これを辞めたいなら、無意識を意識化し、「行動」で処理しないようにすることが必要ですね。
無意識には常識的なところもあります。例えば、夫がいるのに浮気して若い男とデートをしようとしてるご婦人。心のどこかに罪悪感があるから、車のドアに足を挟んで歩けなくなって、デートをキャンセルします。無意識が不倫にブレーキをかけた訳です。これも罪悪感をちゃんと言語化していれば、デートに行けてたでしょう。
②防衛機制
…不安や葛藤が湧き上がって来た時に意識から追い払うための自衛手段。代表的なものを幾つか。
・抑圧、とりあえず心の奥底にしまいこみ蓋をしておく。
・否認、ないことにしてしまう。僕は忌野清志郎が死んだことを認めない派です。
・取り入れ、別れた男の口癖をいつのまにか真似して寂しさをまぎらわす。
・同一視、高倉健の映画を観終わって出てくる客は皆、肩で風切ってる。
・反動形成、差別意識が高い人ほど平等を訴える。
・合理化、イソップの寓話でキツネがブドウがとれないと「どうせ酸っぱいんだぜ」と捨て台詞。
・隔離、悲しくてやりきれないから感情を切り離す。「離人症」はつらさをリアルに感じないための防衛機制。これを利用してる風俗嬢は多い。熟練者になると「行為」をしてる自分を空中からみれる。
・退行、赤ちゃんプレイを好む社会的成功者は多い。母乳風俗も人気。
・昇華、不良たちの有り余るエネルギーをラグビーに向かわせ、皆で夕日に向かってダッシュ。
さてざっと書きましたが、「投影性同一視」というのが最近の流行りです。ちょっと難しいので、お芝居で説明しましょう。以前の心理啓蒙劇・シラノ~より。
これとよく似たものに「取り入れ性同一視」があります。クヴァード症候群って知ってますか?未開民族にクヴァード族というのがいてそこの風習では女性が妊娠すると男が「つわり」をするそうです。一説では婚姻制度がはっきりしてないから「俺が父親だ!」と主張してるとも言いますがどうでしょうね。そのクヴァード症候群が最近、日本でも多いそうですね。ひょっとして女が何股もかけてるから、「俺が父親だ!」と思いたいのかしら?押し付け合うケースはよく聞きますが、時代は変わったのかしら?男が優しいのですね。痛みを分かち合うのかしら。「すくすく子育て」というEテレの番組でもちょっと前はお母さんのワンオペが大変、だったのがコロナ以降、お父さんも子育て頑張ってるのに評価されなくて可哀想、みたいな番組に内容が変わってきてますから、クヴァード症候群増えるのかな?
③対象喪失
…「対象関係」とは、その人にとって大事な人との関係のことで、その他のどうでもいいような人間との「対人関係」と区別します。だから「対象喪失」は知り合いが死んだというよりとてもショックな喪失体験です。アメリカの診断基準で「ストレス強度」という項目があります。人によって何がストレスになるかなんて違うからそんなものに意味はないと思うのですが、各国間の比較とか疫学のリサーチにはある一定の基準が必要なのでしょう。そこでこないだまでの「ストレス強度」1位は「配偶者の死」だったのですが、最近は順位に変動があったらしく1位は「ペットロス」だそうです。ペットって不思議です。たとえば不登校の子とか場面緘黙の子に「ともだち」として犬や猫を飼ってあげます。家族が不和だからペットを飼うケースもあります。大抵の動物の平均寿命は人間より短いです。ですが、何故か、その子に友達が出来たり、居場所が出来たり、家族の仲が良くなったりすると、まるで「僕の役割は終わったね」と言わんばかりに死ぬケースが多い気がします。僕は獣医ではないから偏った母数を相手にしてるからでしょうか。
フロイトが晩年に大切にしたのは「対象喪失」に対する「喪の仕事」です。大切な人(ペットも家族か)が亡くなってからそれを受容するのにかかる時間はどんな文化圏でも「1年」と言われています。これは受容に必要な時間ではなく、喪に服す期間でしょうね。ペットロスの悲しみをもっと早く埋める方法を知ってますか?別のペットを飼うことです。
④夢
…「正夢」「逆夢」「吉夢」「夢占い」などは我々は信じません。では夢についてどう考えてるかというと、普段は記憶に残しとくと心の健康に良くない物を無意識下に抑圧して生きているけどさすがに無意識の容量も満杯になってくると、意識下に出しても良い物から寝てる間にクリーニングして洗い出します。その名残みたいなものが「夢」の構成要素になります。さすがに元の素材をそのまま出すのは安眠を妨害するから「検閲」して形をかえて夢の舞台に登場させます。だから夢は大抵、「不安」だったり「不気味」だったり「ヘンテコ」です。心が弱ってる時にバランスを取るために「良い夢」をみさせてくれることがありますが、これは要注意です。特に「うつ病」の人が「良い夢」をみて、目が覚めると「なんだ、夢か」とガッカリして自殺したりするからです。
昔何かで小児麻痺でずっと寝たきりで早死にした子の短歌を読んだことがあります。正確には覚えていませんが、こんな感じです。「思い切り草原を走ったらとても気持ち良かった。でも夢だった」、なんか目覚めのガッカリ感が伝わって来ますよね。
以上、精神療法総論でした。カウンセリング希望の方は受付まで。